市川高等学校 入試対策
2020年度「市川高等学校の数学」
攻略のための学習方法
[複雑な問題に対応する]
高校受験には、教科書だけでは対応しにくい複雑な問題が登場する。例えば、【大問2】は整数の応用問題、【大問3】は規則性を利用しての式の応用問題、かつ、複雑な場合分けが必要な問題、の出題があった。このような問題は、学校で学習する基礎知識を基に複雑になったり、単元が融合されたり、推測して解いたりする訓練が必要である。教材については、基礎~標準~応用~難問と段階的に取り組んでいこう。もし不安があれば、家庭教師に相談し、自分に合った教材を推薦してもらうといいだろう。
[記述力の強化]
記述力については、意識して訓練しておきたい。中学の標準カリキュラムにおいては、数学の記述を学ぶ時間は、ほとんどない。図形分野においては、簡単な合同や相似の証明を記述させる時間があるものの、量的に十分とはいいがたい。
例えば、市川高校の数学は、例年、図形分野以外にも、計算分野からも、記述が出題されてきている。過去問を解かせてみて、計算分野の記述にはじめて出会い、戸惑う志望者は、たくさんいる。
記述力の訓練は、集団授業では対応に限界があり、また参考書を見ながら自分で採点してみても、実力がついているのかわかりにくい。生徒と1対1で向き合える家庭教師の長所が、もっとも発揮されるのが記述力の訓練なので、不安があれば声をかけてほしい。
[答案の完成度を上げる]
本番で安定して得点できるように、答案の完成度を上げる訓練を積んでいこう。多くの志望者は、一問一問を解くことに満足しがちで、答案全体の完成度を意識するのは、受験の後半(中学3年の夏休みくらい)からだ。もっと早めに受験生として意識を持ち、答案の完成度を上げる技術を身につければ、有利になる。答案の完成度は、2つの面から確認しておきたい。
1つめは、設問ごとの時間配分だ。時間配分ができていない志望者は、過去問を解いてみると、後半に簡単な設問があっても、得点できていない。つまり、前半の設問に時間をかけすぎていて、後半の設問にまで、手をつけられていない状態だ。受験では、答案全体の得点が、評価される。したがって、答案全体の得点を上げるために、それぞれの設問を解くべきか、あるいは解かないべきか、判断力が重要になる。過去問の演習は、そのような判断力を鍛える良い教材になる。
2つめは、見直しの技術だ。まずは答案全体でどれくらい見直しが必要になるのか、目安の時間を決めよう。あらかじめ時間を決めておくと、本番で迷いが生まれにくい。そして、見直しが効率的にできるような工夫をしよう。計算式を再利用したり、図形やグラフを確認しやすいように、丁寧に準備しておこう。
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2020年度「市川高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は50分で、得点は100点満点だ。大問数は5問で、そのうちの1問に記述式の解答が含まれる。大問中の小問は誘導のように順を追って解いていくような構成である。難問はないが、標準問題と応用問題でびっしりと出題されている。大問それぞれで10分以内で次の問題に移ったほうが良い。
【大問1】平面図形-円と三角形
- 時間配分:9分
(1)<証明記述式-角度>正三角形、二等辺三角形を利用することが多い。教科書に出てくる定義や公式は証明できるようにしておく。
(2)<長さ>BD:BC=5:(5+2√2)より求める。
(3)<長さ>BC:CE=(5-2√2):2√2より求める。
(4)<線分の比>(1)と関連していることに留意してみよう。Fは直径DEの中点であり円の中心である。
【大問2】数の性質
- 時間配分:9分
(3)は設問の内容と(1)(2)の結果を利用すると、5×101=21×21+8×8となり、2020=2×2×5×101=16×16+42×42と表せる。また、5=1×1+2×2、101=10×10+1×1とすると、5×101=12×12+19×19である。よって2020=24×24+38×38と表せる。
【大問3】 方程式の応用―規則性
- 時間配分:10分
(1)①3辺の長さがn、n、4の直方体の底面を1辺が1の正方形と見ると、1辺の長さが2の正方形は(n-1)×(n-1)個含まれる。この底辺に対して立方体が4段積まれているので、1辺の長さが2の立方体は、3×(n-1)×(n-1)個となる。
②1辺の長さが1の立方体は、4n×n個となる。①と同様に考えると、1辺の長さが3の立方体は、2×(n-2)×(n-2)個となる。1辺の長さが4の立方体は(n―3)×(n―3)個となる。よって4n×n3×(n-1)×(n-1)+2×(n-2)×(n-2)+(n―3)×(n―3)=505よりn=8となる。
(2)(1)より、n、n、nの中には1/2n(n+1)の3乗=44100が成立する。
【大問4】空間図形-立方体
- 時間配分:8分
(1)<特別な直角三角形>DFとACの交点をIとすると、△AFIは1:2:√3の直角三角形となり、DF=DI+IF=√2+√6となる。
(2)<長さ>展開図を描いて、二等辺三角形や正三角形を正確に把握して、△DFGは二等辺三角形であることよりDF=DGである。
【大問5】関数―反比例と直線
- 時間配分:10分
(1)<三平方の定理>線分ABを斜辺とした直角三角形で三平方の定理を用いる。
(2)<三平方の定理>①~③の座標でそれぞれ点B、Cからの線分を計量する。
(3)<座標>3点A、B、Cを通る円の中心Dは、弦ACと弦BCの垂直二等分線の交点である。
(4)<面積>点Eから線分ABに引いた垂線の長さが最大のときである。
攻略のポイント
関数と図形の融合問題、平面図形、空間図形の計量問題を確実に解いて、なおかつ、整数問題や場合の数、確率を正答できることがポイントである。整数問題や場合の数など苦手な問題が出題されても、小問1と2は正答できるように習得しておこう。大問中の小問で順を追って正解していく必要があるので小問の初めから慎重に解答していくこと。(1)の結果(2)の結果を利用できるように解答してくことが求められる。このような問題構成に数多く触れておくこと。問題の選択は個別指導の家庭教師に指示してもらうのが最適であろう。