国際基督教大学高等学校 入試対策
2020年度「国際基督教大学高等学校の英語」
攻略のための学習方法
基本的なイディオムや文法事項はしっかり押さえること。文法事項について押さえておいて欲しい項目を挙げておく。不定詞についてである。不定詞は高校入試だけではなく次の大学入試においても重要な事項となるので、今の時点でしっかり基本を身に付けて欲しい。
第一に『不定詞』である。不定詞は①名詞用法、②形容詞用法、③副詞用法があることは既に承知しているだろう。中でも副詞用法が一番重要であり大学入試でも明確に理解しているかどうかが問われてくる。
副詞用法について重要な事項を述べる。副詞用法はさらに4つのジャンルに分類される。目的、結果、原因、判断基準である。名詞用法と形容詞用法にはこれほどの多様性はないのでしっかり文法書を見て確認しておいて欲しい。
第二に『比較』である。比較は基本的には現時点での異なる2事象間における違いを比べる(比較)のである。つまり、今この時にA君とB君を比べて、「A君の方がB君より背が高い」ということになる。
したがって、この場合には比較する際の基準となる「データ(この事例ではB君のデータ)」が必要となり、それが『than』以下の内容となるのである。比較に関しては更に、「A君がA’君になった」という比較もある。
つまり、A君に対して時間の経過の中で『身長が伸びた』、『体重が増えた』などの変化が生じA’君になったということである。
第3に『関係詞』である。先行詞が人、物によって、さらに主格、目的格、所有格によってどのような関係代名詞を使うのかをしっかり理解すること。また、目的格は省略可能なので文章中でそれを見抜く練習もしっかり行なうこと。
特に、関係詞の中でも「what」は特殊な関係詞(先行詞を含んでいる)なので、ぜひ一度、文法書で確認しておいて欲しい。また、英文が長くなる主たる原因が『関係詞』である。
受験生は関係詞が出てくると後ろをカッコで括って前に戻って先行詞を修飾させる(~した…)という手法を取るのではないだろうか。前に戻る、つまり前に帰って先行詞を修飾する(返り読み)をしてしまう。しかし、このような返り読みをしていては試験時間を有効に活用できない。
なぜならば、一つの英文を返り読みしてしまうと時間が掛かってしまうからである。特に、国際基督教大学高校のような問題量の多い場合に、返り読みをしていては最後の問題までにたどり着けなくなってしまうかもしれない。したがって、関係詞が入った英文の読み方は返り読みをしないということを心掛けて欲しい。
つまり、関係詞の前で英文を切って、訳を考えるということである。例えば「Yesterday, I met him whom I had given my book ten years ago.」を一緒に考えてみよう。返り読みをしない訳は「昨日、私は彼にあった。そして、その彼に私は10年前に本を与えたのであった」となる。
この英文は単純であるのでこのような訳出方法の有用性は実感できないかもしれないが、複雑な英文になればなるほど役立つ度合いは高まるであろう。自身でも、一度研究してもらいたい。
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2020年度「国際基督教大学高等学校の英語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、説明文の長文読解<14分>。
大問2は、説明文の長文読解総合問題<15分>。
大問3は、説明文の長文読解総合問題<18分>。
大問4は、ノンフィクションの長文読解総合問題<12分>。
大問5は、イラストを参照しながら英作文を考える総合問題<11分>。
イラストの流れを把握したうえで適切な英文を考える。例年、この出題形式である。
【大問1】適語・句選択の説明文の長文読解問題
- 時間配分:14分
全部で20問。一つ一つは基本的な文法知識求められているものであり、正確な知識をもとに完答も可である。
内容としては、野球とフットボールに対する人気があるアメリカにおいて、最近の子供たちは活動的になれる他の手段を模索している。最終的に大切なことは、そのスポーツを楽しむことである、という主張の英文である。
設問のポイントは以下の通りである。
①‘Recently’という単語が使われているので、時制は過去形又は現在完了形となる。
②本文は「忘れられている」となるので、受動態の英文にする。
③理由を表わす接続詞を選択する。接続詞 ‘as’ は、理由、時、譲歩、様態、経過などの用法がある。これらについては、文法書でしっかり確認をして欲しい。
⑦文意から類推すること。
⑨‘allow ~ to …’は、「~が…するのを許す」又は「~は…することができる」などと訳す。
⑪直前に‘expert’があり、直後に動詞があるので関係代名詞(主格)を考える。
⑬直前の‘sports’を受けることを踏まえて考えること。
⑯比較級を強める副詞は‘much’である。
⑰‘not all’は、部分否定である。他には‘not always’などがあるので、文法書などを参照して部分否定についての知識を確認しておくこと。
⑲‘even though ~’は、「~ではあるが」という逆接になる。同じような表現に‘even if ~’がある。
【大問2】説明文の長文読解総合問題
- 時間配分:13分
ダ・ヴィンチの絵を通じて、芸術と科学技術の関係性について論じた英文である。
問1は、単語の意味を問う問題<7分>。
中学では見慣れない英単語も散見される。英検準2級以上の英単語力が求められる。前後の文脈から類推する力も必要である。
[ア] ‘bulletproof’とは「防弾」の意味である。proofには「防水」などの「~を防ぐ」という意味がある。‘waterproof’は文字通り「防水」を意味する。
[オ]「最新の技術を使用」するので「革新的な」を選択する。
[カ]後ろにある‘that’は同格(~という)を表わしている。この同格のthatは、頻繁に出てくるのでしっかり押さえておくこと。関係代名詞‘that’との違いの見抜き方(関係代名詞であれば後ろの文章は不完全文、同格であれば後ろの文章は完全文となる)もしっかり押さえておこう。
[コ]ダ・ヴィンチはVR展示にどのような感情を抱いていたかを考えれば、‘applauding’の意味も類推できるであろう。単語そのものの意味が不明でも、このように文脈をたどり意味を類推するスキルも必要である。
問2は語句解釈に関する問題<8分>。
[C]‘the masterpiece’は「モナ・リザ」のことである。‘masterpiece’とは「傑作」という意味である。
[G]‘curiosity’が人体の仕組みと機能を研究させようとしているのであるから、「何かを知りたいという強い願望」である。
[H]‘compete’とは「競争する、競う」という意味であるので、「お互いに反発しあう」が正解となる。
[J]‘expand’とは「拡大する、拡張する」という意味である。‘ex-’とは「内から外へ」を表す接頭辞であるので、「大きさ、数または重要性などをより大きくする」という選択肢が適切である。
【大問3】説明文の長文読解問題
- 時間配分:18分
世界的に有名なイタリア人であるガリレオ・ガリレイに関する英文である。彼は、それまで一般的であった「地球が宇宙の中心であり、太陽が地球の周りを回っている」という説に対し、「地動説」=「地球が宇宙の中心にあり、地球は不動の存在である、という説を真っ向から否定する説。つまり地球も動いている」という説を主張し、裁判にかけられた天文学者であり、哲学者・数学者でもあった。
Aは指示語選択問題<1分>。
itがさしているのは、この段落の冒頭にある‘Eppur si mouve’=「それでも地球は動く」である。
Bは指示語選択問題<1分>。
‘this’に「反すると罰せられ殺されさえする」と書かれているので、「地球中心主義=地球が宇宙の中心である」という選択肢を選ぶ。
Cは英文英答問題<2分>。
コペルニクス(ガリレオよりも先に地動説を提唱)が本を出版するのに、なぜ時間がかかってしまったかの理由を問う問題である。
Dは英問英答問題<2分>。
教会がブルーノを殺す決定を下した理由を問う問題である。ブルーノがその考えを変えなかった、と第3段落に書かれている。
Eは英問英答問題<2分>。
ガリレオが最初に裁判にかけられたときに罰せられなかった理由を問う問題である。ガリレオは、「自分の考え(地動説)を広めることを止める約束をした」のである。
Fは英問英答問題<2分>。
ガリレオは『天文対話』が問題を起こさないためにどのようにしたのかを問う問題である。「地動説」と「天動説」の両方を唱えたのである。
Gは内容把握選択問題<2分>。
ガリレオの罰を問う問題である。ガリレオの本は発禁処分となったのであり、焼却処分となったのではない。
Iは内容正誤問題<4分>。
2.「17世紀に大部分の人は、太陽、月そして星が地球の周りを回っていると信じていた」、
5.「ガリレオが出版した本には、聖書に相反する考えが書かれていた」などは内容が本文と一致している。
【大問4】ノンフィクションの長文読解総合問題
- 時間配分:12分
パラグアイの首都アスンシオンの郊外に位置する最極貧の町の一つであるカテウラに関する英文である。犯罪や暴力に直面する子どもたちが置かれている厳しい環境についてのレポート。
Aは適語選択問題<1分>。
カテウラについて関係代名詞を用いて説明する個所である。先行詞は主語である「カテウラ」になるが、主語が先行詞となる場合は本文のように、後ろに置かれることが多い。
Bは語句解釈選択問題<1分>。
‘valuable’とは、「金銭的に価値のあるもの」ばかりではなく、この場合は「再利用可能なもの」という意味である。
Cは適語句選択問題<1分>。
「貧しすぎて楽器を買うことができない」という英文にしたいので‘too ~ to …’=「とても~なので…できない」という構文を使う。
Fは適語句選択問題<1分>。
‘Since then’とあるので、現在完了形(継続用法)に形にする。
Hは適文選択問題<2分>。
空欄Hの前に‘But’があるので、選択するべき英文は前の内容と逆になることを手掛かりに考える。このような「アプローチ」は頻繁に出題される。
Iは内容正誤問題<3分>。
本文の内容から判断すると、
2.カテウラのたくさんの子供たちは両親を助けるために働かなければならず、学校に行くことは難しい。
5.記録映画の監督は、リサイクルの材料からできている楽器で演奏するオーケストラを見ることで、人々にパラグアイの諸問題を認識してもらうことを望んだ。
6.映画制作チームは、記録映画を制作するお金が必要であったので、最初はリサイクル・オーケストラについての短編動画を制作した。
以上の3選択肢が正解である。
【大問5】イラストを見ながら場面状況を理解して英文を作文するライティングの力を問われる問題
- 時間配分:11分
イラストの内容は、「クラスの学級委員」になるための「人間的資質」に関するものである。
A.は条件作文問題<2分>。
クラス委員に立候補した「コータ」は、試験で良い点を取り、スポーツが上手なことが、クラスのリーダーとしての条件であると考えている。
B.は整序英作問題<3分>。
書き上げたい英作文は、「『ナツコ』が選ばれたのはもっともな理由がある」という内容にしたい。「もっともな」には‘good’を使う。
C.は英文和訳問題<3分>。
ナツコが朝、誰も気が付いていないのに、花に水をあげている場面についてのコータの台詞である。
D.は条件英作問題<3分>。
「本当のリーダー」とは何か、を問う問題。絵5、絵6から判断すると、クラスのみんなの協力を求め、意見を募りそれをまとめる力を持っていることである。
攻略のポイント
相当な英語力を求められている。中学校では学習しないような英単語も極めて多くみられる。毎年、長文が出題されるが、事前の準備をしっかりしておかないと試験本番では時間切れになってしまう。
したがって、最大の得点源である長文において高得点を確実にするためには、難関校の入試問題、特に長文読解問題を集中的に演習することが重要である。
また、長文(500~600単語)をただ漫然と読むのではなく、読了時間(5~6分)を決め、緩急をつけて読む手法も必要である。入試英文を読む際に「緩急」をつけるとは、必要であると思われる個所はじっくり読む(精読)、あまりテーマとは関係なさそうな個所はさっと読む(速読)という具合に、本文通読にメリハリをつけるということである。また、設問の一つ一つは基本的な文法事項やイディオムの知識があれば十分に合格点は取れるので、基本をしっかり押さえておこう。