国際基督教大学高等学校 入試対策
2015年度「国際基督教大学高等学校の国語」
攻略のための学習方法
国際基督教大学の入試問題に対応する力をつけるために必要なスキルは、一言で言うならば『論理的思考を支える考察力と洞察力』ということになろう。論述問題は少なく、ほとんどが選択肢問題であることも大分負担を軽減している。それではどうすれば『考察力と洞察力』は養成されるのであろうか。一朝一夕にはそのような力が身に着くものでないことは受験生の皆さんもよく承知しているだろう。
これから何点かにわたって、そのような力と学力、そして物の考え方について述べたいと思う。
第一には、論理的文章を読みこなすためには、自分の思考が論理的でなければならない。では、どうすれば『論理的』思考を手に入れることができるのだろうか。より実戦的なことを指摘するならば、論理的文章を扱った記述式問題集を徹底的にやることである。
さらに、余裕があれば『問題文の要約』を行ってみることである。要約といっても、文章で150字程度にまとめるというのではなく、箇条書きで構わないので筆者の主張の流れを書き出すことである。
その際に、忘れてならないのが『接続詞』である。接続詞には『順接』と『逆接』の2種類あることは受験生の誰もが知っているであろう。箇条書きで文章のキーワードや重要表現を書き出すことにより、文章の流れが『目に見える』ようになるのである。これが文章の『可視化』である。この可視化が手際よく上手にできるようになると、解答時間が飛躍的に短縮化される。当然、試験本番中に要旨を箇条書きにするなどという時間的余裕はないので、このような作業を行なうのは普段の受験勉強においてである。
大事なことは、そのような作業を普段から地道に繰り返し行い、積み上げてゆくと知らない間に、文章の流れを見抜く力が付くのである。自分は、文章読解力が足りない、あるいは殆どない、と感じている受験生はぜひこの手法をもって論理的文章の攻略法としてもらいたい。必ず、面白いように難解そうに見える文章がすらすらと読めるようになるはずである。
第二には、身の回りで起こる全ての事象に対して、『どうしてなのだろう』、『なんでこうなるのだろう』と自分の頭で考える習慣をつけることである。そして、人の意見や主張にじっくり耳を傾け理解しようとすることである。
仮に、その人の主張が自分と矛盾するような主張であっても、どのような点で自分と違っているのか、また、自分と同じような主張である部分はないのか、ということを考え抜くのである。
そのような作業の積み重ねが、論理的文章を楽々と読み進めるには不可欠なプロセスであることを理解して欲しい。そのような手順を経て行けば、本問のような文章は手こずらずに読み込むことができるであろう。
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2015年度「国際基督教大学高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、小説の読解問題である<40分>。
設問内容としては、漢字の書き取り・読み、内容把握、心情把握、記述式内容把握問題(90字)となっている。設問の8割程度は内容把握問題であるので、迅速に本文を読解し記述内容を正確に把握したうえで解答できるかが合否の分かれ目であろう。また、記述式問題も字数が90字という比較的長い字数でまとめなければならないので、日頃から記述式問題の対策は怠らないようにして欲しい。
大問2は、論説文の読解問題である<30分>。
扱っている題材は、国際的な事情(政治・経済等)に関する時事問題に関する周辺知識があった方が、本文内容把握はより効率的に行えるはずである。全体的に言えるのは、見直す時間的余裕は全くないと理解して解答にあたるべきだということである。
[大問1]
- 時間配分:
小説に関する総合問題。出典は、『人魚』(多和田葉子著)である。
問一は漢字書き取り・読み取り問題<3分>。完答を目指したい。「つまさき」は書けるだろうか。
問二は心情把握選択問題<2分>。アレクサンダーは「できればそこにいたくないという信号」を発していた。
問三は内容把握記述問題<3分>。「あなた」は「アリスに借金でもあるのだろうか。それとも浮気の秘密を握られているのだろうか」と想像している。
問四は心情把握選択問題<2分>。アリスの提案は、普通では考えられないような意外なものであったことは事実であるので、そこから正解を導いてみよう。
問五は表現把握選択問題<2分>。「床にはコーラのペットボトルがいくつかころがって」いて「雑誌が二、三冊投げ出してある」状態から、「生活の荒み」は容易に想像がつくであろう。
問六は心情把握選択問題<2分>。アレクサンダーが自ら話せるようにするための「気の遣い方」である。
問七は内容把握選択問題<2分>。アレクサンダーに「あなたを否定する何か」があるのを感じているだけであることを手掛かりに考える。
問八は内容把握選択問題<2分>。「あなた」は「よく分からない」ことがあると、「冗談としか思えない」といって投げ出してしまうのである。
問九は不適切表現選択問題<2分>。不適切な選択肢を選ぶ問題である。マナティは「おもしろおかしい存在」としては描かれてはいないのである。
問十は表現内容選択問題<3分>。老人はマナティについて、「大変頭がいい」といったことを手掛かりに適切な選択肢を選ぶこと。
問十一は文章内容記述問題<10分>。90字の記述式問題である。アレクサンダーに、「お互いに雌や権力を得るため戦ったりしない」マナティの姿を見せたいと思ったのである。
問十二は内容把握選択問題<2分>。マナティとカウボーイを正反対の位置に置いているのである。マナティは、戦いをせず。優雅ではないが水の中を楽に移動する動物である。
問十三は不適切表現選択問題<4分>。「あなた」はアレクサンダーが戦争で深く傷ついたことを悟ったことなどを参考に、不適切表現を選択する。
[大問2]
- 時間配分:
政治・経済分野に関する論説文の読解総合問題。出典は、『ナショナリズム入門』(植村和秀著)である。
問一は内容把握選択問題<2分>。ドイツ・ミュンヘンの広場でセルビア人の大集団が行なった「示威行為」の背景を考えていること。
問二は内容把握選択問題<2分>。「たわし」が抱く人間の「ネイション」への考え方を手掛かりに考えをまとめること。
問三は内容把握選択問題<2分>。コソヴォ独立に関わる一連の出来事であるから、そこから問題の選択肢にアプローチしてみよう。
問四は内容把握選択問題<2分>。「わたし」がドイツで目にしたものは、「 正義と呼ぶには、あまりにも人間的な宿業のようなもの」が見えてしまう姿であった。
問五は内容把握選択問題<2分>。「ナショナリズム」という日本語は、その意味を日本語で示している訳ではない。
問六は内容該当箇所選択問題<3分>。ネイションに肯定的にこだわる場合に、どのような状況が生まれるだろうか。
問七は内容把握選択問題<2分>。「ナショナリズム」や「ネイション」は多くの意味を含む単語であることをヒントに問題に取り組もう。
問八は内容把握選択問題<3分>。「国民主義」はどの国の「国民」か、「民族主義」はどの「民族」であるかにこだわることである。
問九は内容把握選択問題<2分>。「ナショナリズム」という語は、「一面のみにこだわることが極めて困難」であるのだ。
問十は内容把握選択問題<2分>。日本語で「インド人」という場合に、「インド」というイメージに関係のあるあらゆる人を「インド人」と大ざっぱ把握の仕方を行なうのである。
攻略ポイント
試験時間と問題のボリューム及び設問のレベルを考えると、時間的余裕はないものと考えた方がよい。したがって、時間配分を間違えてしまうと「時間切れ」になってしまい全問答えることなく試験終了になってしまう。
出題形式は、8割強が選択肢問題である。したがって、本文をしっかりと読み込み、迅速に適切な選択肢を選ばなくてはならない。この作業に手間取ると、試験時間がなくなってしまい精神的にも追い詰められ、気が焦り正解を導くことも困難になってしまう可能性もある。
記述式問題対策も手を抜くことなく十分に行って欲しい。日頃から、自分の頭で考え、自分の言葉をもってどのように文章としてまとめていくかを練習することが重要である。