国際基督教大学高等学校 入試対策
2023年度「国際基督教大学高等学校の国語」
攻略のための学習方法
国際基督教大学高校の入試問題に対応する力をつけるために必要なスキルは、一言で言うならば『論理的思考を支える考察力と洞察力』ということになろう。
論述問題は少なく、ほとんどが選択肢問題であることも大分負担を軽減している。それではどうすれば『考察力と洞察力』は養成されるのであろうか。一朝一夕にはそのような力が身に着くものでないことは受験生の皆さんもよく承知しているだろう。
これから何点かにわたって、そのような力と学力、そして物の考え方について述べたいと思う。
第一には、論理的文章を読みこなすためには、自分の思考が論理的でなければならない。では、どうすれば『論理的』思考を手に入れることができるのだろうか。より実戦的なことを指摘するならば、論理的文章を扱った記述式問題集を徹底的にやることである。さえに、余裕があれば『問題文の要約』を行ってみることである。
要約といっても、文章で150字程度にまとめるというのではなく、箇条書きで構わないので筆者の主張の流れを書き出すことである。その際に、忘れてならないのが『接続詞』である。接続詞には『順接』と『逆接』の2種類あることは受験生の誰もが知っているであろう。箇条書きで文章のキーワードや重要表現を書き出すことにより、文章の流れが『目に見える』ようになるのである。これが文章の『可視化』である。この可視化が手際よく上手にできるようになると、解答時間が飛躍的に短縮化される。
当然、試験本番中に要旨を箇条書きにするなどという時間的余裕はないので、このような作業を行なうのは普段の受験勉強においてである。
大事なことは、そのような作業を普段から地道に繰り返し行い、積み上げてゆくと知らない間に、文章の流れを見抜く力が付くのである。自分は、文章読解力が足りない、あるいは殆どない、と感じている受験生はぜひこの手法をもって論理的文章の攻略法としてもらいたい。必ず、面白いように難解そうに見える文章がすらすらと読めるようになるはずである。
第二には、身の回りで起こる全ての事象に対して、『どうしてなのだろう』、『なんでこうなるのだろう』と自分の頭で考える習慣をつけることである。そして、人の意見や主張にじっくり耳を傾け理解しようとすることである。仮に、その人の主張が自分と矛盾するような主張であっても、どのような点で自分と違っているのか、また、自分と同じような主張である部分はないのか、ということを考え抜くのである。
そのような作業の積み重ねが、論理的文章を楽々と読み進めるには不可欠なプロセスであることを理解して欲しい。そのような手順を経て行けば、本問のような文章を手こずらずに読み込むことができるであろう。
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2023年度「国際基督教大学高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、日本文化に関する随筆文読解問題である<36分>
選択問題が何題かあるが、正確に本文を読み取らないと適正選択肢を選ぶことができない。的確に判断し正しい選択肢を選ぶこと。75~90字の記述問題が出題されている。手際よく自分の考えを制限字数内にまとめる練習をしておくこと。
大問2は、教育に関する論説文読解問題である<34分>
内容把握選択問題、漢字書き取り問題である。選択肢の適・不適の判断基準が微妙である。2つに絞り込んで最終的に正解を選択できるように深く読み込む読解力を鍛錬しよう。
両問とも出題問題数に占める選択肢問題の割合は約9割であるが、安易に考えてはいけない。正解一つに絞り込むには相当な読解力と時間を要するので要注意である。
【大問1】文化人類学的分野(日本文化)に関する随筆文の読解問題
- 時間配分:36分
出典は、『日本移民日記』(MOMENT JOON著)である。
本文は、「言葉を読む・書く・聴く・話すの中で最低一つの能力でも使わないと、われわれは社会の中で正常に生きていけません」で始まる。
問一は、内容把握選択問題<3分>
「縛り」とは、一般的に「何かを行おうとしたときに受ける制限・制約」のことである。本文では、「平坦なイントネーションのソウル弁で育った私」は「『ネイティブの日本語』を駆使するには、イントネーションの壁」を「私」は感じているのである。
問二は、内容把握抜出し問題<3分>
「普通」とは、本文に「匿名の『ただ一人』としてその場に存在できる」ということである。
問三は、内容把握選択問題<3分>
不適切な選択肢を選ぶ問題である。「日本語上手ですね」といわれることに「悪意と同情」を感じるわけではないのである。
問四は、内容把握抜出し問題<3分>
本文に「日本語ネイティブとしてのその人の権威と優位性」とある。
問五は、内容把握抜出し問題<4分>
「『日本語達者』を、日本語ネイティブたちは必死で『我らとは違うもの』」ということは、「違うもの」を「確かめる」ということは、「『必死の粗探し』が『内』と『外』の境が曖昧になること」である。
問六は、内容把握選択問題<3分>
本文より「異質なものを『われわれと同じもの』にしちゃって安心したい気持ちを表している」かもしれないのである。
問七は、内容把握選択問題<3分>
本文に「褒め言葉」「善意の言葉」とある。
問八は、内容把握選択問題<6分>
「『日本語』の独立」とは、「グローバルなステイタスを獲得すること」ではないのである。
問九は、内容把握記述問題<8分>
75~90字の記述問題である。解答字数としては最低でも85字は書きたい。「善意の日本語母語話者」は日本人であり、日本語を母国語としない非母語話者に対しては、権威と優位性を持つと思っているのであり、非母語話者から「日本語が上手」であると褒められるとは想定していないのである。
【大問2】教育・心理学的分野(教育)に関する論説文読解問題
- 時間配分:34分
出典は、『学校はなぜ退屈でなぜ大切なのか』(広田照幸著)である。
問一は、漢字の書き取り読み取り問題<2分>
書き取りは「雑談」「参入」「配属」「投与」「累積」である。標準的漢字であるので完答を目指したい。
問二は、内容把握選択問題<3分>
「大人の行動」は「間違っている部分や不要な部分」が含まれているとは筆者は述べていない。
問三は、内容把握選択問題<3分>
本文に「社会が発展して複雑になり、子供たちが親とは異なる生き方」をするようになったことで得られた「日々の経験を超えた知」とは、「カリキュラム化された知」「学校に通ってそこで学ぶ知」「言語的・記号的に組織された知」である。
問四は、内容把握選択問題<4分>
「個人の経験というのは、狭く偏って」いたりするのである。「経験は大事」だが「狭い限定されたもの」でしかないのであり、選択肢にあるように「経験をどのように受けとめる」かは「ひとつの決まった形は存在」しないのである。
問五は、内容把握書出し問題<3分>
「ほかの人の経験」との対比で書かれている個所であるので「自分の経験」が適切である。
問六は、内容把握選択問題<4分>
「学校の知」とは「世界がどうなっているかという知識をみんなが勉強」して、「世界」を「再構築してまとめた形」で学ぶことである。
問七は、内容把握選択問題<4分>
「学校の知」とは「知識の活用の本質」である。つまり、「世の中のあれこれについての知識」を使って「現状を認識し、未来に向けた判断」をし、「過去についての知識を組み合わせて現状を分析し、未来に向けていろいろなこと」をするのである。
問八は、内容把握問題<4分>
「当てはまらないもの」を選択する問題である。「当てはまるもの」は、本文に「知識を基盤にして、さらに新しい知識を得ることが可能」になり、「自分にとってまったく新しいことを学ぶ際の『学び方』が身についていく」のである。
問九は、内容把握選択問題<2分>
「ウェブの情報」は「ある程度の知識を持っていないと、まったく理解できない記事もたくさんある」のである。
問十は、内容把握選択問題<5分>
「何よりもグローバルな危機の中での国を超えた広がりを持つデモクラシーにとって不可欠」であるとヌスバウムは説くのである。
攻略のポイント
試験時間と問題のボリューム及び設問のレベルを考えると、時間的余裕はなく見直しの時間は取れないと考えた方がよい。時間配分を間違えてしまうと「時間切れ」になってしまい全問答えることなく試験終了になってしまう。
出題形式は、選択肢問題が多いが選択肢問題といっても、本文をしっかり読み込み、迅速に適切な選択肢を選ぶ能力を身に付けなければならない。選択問題だから何とかなる、と考えてはいけない。漢字の書取りも知識問題としてしっかり事前に準備して完答を目指したい。記述問題は1問の出題であるが、文字数は75~90字であるので、的確に自分の考えをまとめ上げる練習をしておくこと。
さらには、試験前に論理的文章などを数多く読み、内容把握力を高めておかなくてはならない。入試本番でこの適正選択肢選択能力が十分発揮できないと、解答に手間取り試験時間がなくなってしまう。