城北高等学校 入試対策
2021年度「城北高等学校の英語」
攻略のための学習方法
全般的には標準的な問題であるので、基本をしっかり学習し基本的事項に関する知識を身に付けるべきである。
長文総合問題の占める得点比率が高いであろうから、長文読解については事前の十分な練習が必要である。標準レベルの長文総合問題集で、入試本番までに70~90題(単語数:600~700語)の長文読解問題に取り組んでもらいたい。
ジャンルは、論説、評論、小説、エッセーと様々で多岐にわたっている。
比較的、論説や評論は論旨も明確で文脈を辿ることもそれほどの困難さは感じないはずである。
むしろ、人物の心情を探らなければならない小説は、表面的に文字で内面の世界である人物の心情など書かれていないので、使用されている動詞、副詞、形容詞のニュアンスや使用されているイディオムの違いなどに留意し丁寧な読解を心掛けたい。
日本語の小説でも、人物の内面的な心情の類を把握するのは難しい場合もある。イマジネーションを働かせて、発想を柔軟にして設問の意図を間違えずに理解し解答したい。
英語表現としては、会話における「口語表現」も注意が必要である。
見慣れない会話表現がないように、代表的な口語表現はしっかり押さえておきたい。
また、英単語の持つ微妙なニュアンスの違いを把握しておくことも大事であろう。
代表的なところでは「勇気」を表す「courage」と「bravery」。英和辞典的にはどちらも「勇気」である。
しかし、前者は精神的・内面的強さを表しており、後者は内面的というより腕力的強さを表している。
よって、「インド建国の父」、「無抵抗の指導者」といわれた「ガンジー」は「courage」を持った人物といえる。
また、ドラえもんに出てくる「ガキ大将のジャイアン」は「bravery」な人物ということになる。
このような違いを明確に把握しておくことは、長文総合問題における内容真偽問題において、消去法を用いなくとも正解を特定可能とする知識となる。
また、次のような状況で、「まだ」という英語表現をする際に「yet」を使うのか「still」を使うのかを考えて欲しい。
状況は「太郎君が駅前で19:00に次郎君と待ち合わせをした。18:45に駅に到着した太郎君は、たまたま出会った友人の三郎君から何してるの、と聞かれたとき『次郎君と待ち合わせしてるんだけど、まだ来ない(事例1)』と答えた。
時刻は20:00。太郎君は次郎君を待ち続けている。その時、駅前を通りかかった友人の四郎君から何してるの、と聞かれたとき『次郎君と待ち合わせしてるんだけど、まだ来ない(事例2)』と答えた」。
どうだろう。事例1と事例2のどちらに「still」または「yet」を使うのか。
正解は、事例1が「yet」、事例2が「still」である。
つまり、「yet」には、物事がいまだ完了していない(未了)状態(事例1は約束した時間である19:00前だったので、次郎君が19:00に約束通り来るかどうか確定していない状況)を表す意味があり、「still」には、物事が決まってしまい、その確定状況に変化がない事態が継続(事例2は次郎君が約束した19:00に来ないという事実が確定し20:00においてもその状況が継続)しているのである。
別の観点で考えると「still」には、「依然として」という意味がある。つまり、「ある事実が確定し今でも状況に変化はなく、その状況が継続している」のである。したがって、事例2「still」となる。
そのような意味での使い方の違いは日本語にはない。日本語であれば事例1も事例2も「まだ」である。
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2021年度「城北高等学校の英語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問1】は長文読解総合問題(物語)<14分>。
大切な試合を実際に観戦したいと思った会社員の主人公が、会社にウソをついて抜け出し試合を観戦していた。試合が終了し会社へ戻った主人公は部長から「二度と会社へは来なくていい」と言い渡された。なぜ試合を観戦したいたことがバレたのだろう。
【大問2】は長文読解総合問題(説明文)<18分>。
グランドキャニオンに関する地質学的観点や地球規模での記述である。客観的内容が記載されているので比較的読みやすいであろう。
【大問3】は適語補充形式の和文英訳問題<10分>。
基本的文法事項、イディオムの知識があれば完答も可能である。
【大問4】は書換適語補充問題<8分>。
基本的文法事項をしっかり習得しておくこと。基本イディオムや慣用表現も要注意。
【大問5】は整序問題<10分>。比較、分詞の形容詞的用法などの基本的文法事項を完璧にしておくこと。
【大問1】長文読解問題(物語)
- 時間配分:14分
物語のあらすじとしては、会社員である主人公が大事な試合を会場で直に観戦したいと思っている。しかし、試合当日は仕事があって観戦は無理であった。そこで主人公は「ウソ」をついて会社を出て、観戦はできたのだが会社へ戻ってくると部長から「二度と会社へ来るな(クビだ)」と言われてしまう。なぜ「ウソ」がバレてしまったのだろう。
(1)語句解釈問題<1分>。主人公は会社を休みたい「口実」を考えていたのである。
(2)適語補充問題<2分>。文脈を考えると「チケットが手に入った」という趣旨になる。
(3)整序問題<2分>。この類の問題は、どのような日本文が適切かを文脈から類推しよう。この文は「カメラはどれほど観衆が興奮しているかを映していた」となる。
(4)適語選択問題<3分>。動詞の活用法、不規則の変化する動詞など基本的な文法事項を明確に覚えておくこと。
(5)内容把握問題<3分>。最終段階で女性が主人公に‘We also saw some of spectators.’と語っている。この言葉で主人公はすべてを察したのである。
(6)内容真偽選択問題<3分>。ウソの口実を部長が電話で受けたこと、部長が試合を部下に見せたいために会社にテレビを置いたことが本文と一致している。
【大問2】長文読解総合問題(説明文)
- 時間配分:18分
(1)不要文選択問題<2分>。直後の文章に‘only one answer’とあることから、‘Which is the most beautiful lake?’は、客観的ではなく主観的な要素が含まれるため不適切である。
(2)適語選択問題<2分>。直後に‘and look down into the earth’とあるので、‘look down’するのはどこからかを考える。
(3)適語補充問題<2分>。本文では、(3)の直後にグランドキャニオンにおけるさまざまな「色」についての記述がある。’c’で始まる単語を答えるのですぐに想像がつくであろう。
(4)文整序問題<4分>。4つの英文を文意がつながるように並び替える問題である。本文は大昔の地球の様相を述べている部分である。イの‘In the end’(最後に)は重要なヒントになる。
(5)英文解釈問題<2分>。‘not stay still’は「じっとしていない」=「とどまっていない」という意味である。
(6)適語補充問題<3分>。本文からグランドキャニオンの歴史は「何」の歴史かを適切に類推しよう。
(7)内容真偽問題<3分>。地層の地質学的年代記述に関して本文を丁寧に正確に読むこと。
問4.内容把握問題<3分>。
フランクの財布と腕時計を奪った少年が、それらをフランクに返還しに来たのは、フランクの過去の何を少年が知ったからかを本文中より見つけ出す。
問9.適語選択問題<6分>。
文脈に従い適切な語を選択する。必要に応じて語形を変化させる。
(A)主人公のフランクは物静かな老人であり、‘silent’の状態を「維持する」という意味で‘keep’を選択し過去形にする。
(B)直前にある‘decide’がto不定詞を伴うことと‘turn ~ into’のイディオムを当てはめること。
(D)過去分詞の形容詞的用法についての理解を踏まえ、left(残されている)と考える。
(F)子供たちがhimを“Frank the Flower Man”とよんでいる、という形にする。文型で考えるとS+V+O+Cであり、この文型ではO=Cの関係が成立している。
【大問3】適語補充による和文英訳問題
- 時間配分:10分
(1)は、‘It is ~ for … to -’の基本的構文知識が完答できる。「~」の部分が性格や心情を表す形容詞(kindやsadなど)の場合は、forではなくofがくることもしっかり覚えておこう。
(2)は、比較級の構文知識であるが、比較級の強調にはmuchまたはfarを用いることに注意。
(3)は、「~しなければならなかった」という表現は‘had to’である。
(4)は、「~し始める」はbeginまたはstartを用いて表現する。to不定詞が続く。
(5)は、「~している子ども」を‘playing’(現在分詞形容詞的用法の後置修飾)を使って表現する。
【大問4】書換適語補充問題
- 時間配分:8分
イディオム、文法知識を基に単語を並べること。
(1)は、「冷蔵庫には食べるものが何もなかった」という文章にしたい。
(2)は、‘Shall we ~’という勧誘の表現は、‘How about ~ing’に書き換えられる。
(3)は、現在完了形(継続用法)に書き換えよう。
(4)は、‘how to’を用いて「~の使い方を知っている」と書き換える。
(5)は、「~をして楽しんだ」という表現を‘enjoy’を使って表現する。enjoy ~ingになることを忘れないように。
【大問5】整序問題
- 時間配分:10分
(1)は、「何人の子どもたち」で始まるので、‘How many children’では始めよう。
(2)は、「住む家」という表現をto不定詞の形容詞的用法を使って表現する。
(3)は、「~の2倍」は比較級の原級構文を用いる。
(4)は、「壊れたドア」という表現は、過去分詞形容詞的用法の後置修飾を用いる。
(5)は、時制の一致に気をつけること。
攻略のポイント
難問を演習するよりも、標準的な問題をしっかり演習することを優先すること。
文法的知識が求められるが、ハイレベルな知識ではなく基本的事項を確実に覚えること。
5文型、比較、関係代名詞、仮定法、接続詞、前置詞、不定詞、時制、現在・過去分詞の形容詞的用法などは、入念に仕上げて欲しい。
長文は、読みなれていない受験生にとっては、内容把握、文脈整理が容易ではないだろう。
標準より長め(600~700単語)で、評論、論説、エッセー、小説等あらゆる分野の英文を読んでおくことが必要である。