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城北高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2014年度「城北高等学校の国語」
攻略のための学習方法

小説は、設問の内容としての「心情把握」が定番である。
いかにして、的確に人物のキャラクターや特性、さらには内面の世界に広がる本人の「ものの考え方」、「他人に対する接し方」、「人生観や価値観」を理解できるか。基本は、本文にそくして、話の展開と情景描写を丁寧に追いかけることである。直截的にその様な人物の内面の世界を描写することはないので、文章に込められた作者の意図を見抜かねばならない。
人物と人物の人間関係の変化などにも注目するように。そして、その変化がどのような背景に起因して生じたのかを理解することである。そのような変化と心情変化を的確かつ確実に結び付けられるかが、設問の正解へたどり着く時間的プロセスを短縮にすることも可能となるのである。
ぜひ、日頃から小説(教科書に掲載された小説や私的に読む小説)に親しみ、様々な角度から文章を吟味できるようにしておいてもらいたい。

論説文については、論理的文章に自身の論理展開をあてはめられるように。
大事なことは、筆者が主張しようとしているテーマが何なのかをいち早く発見することである。論説文の最初の段落には、一般的に、本文で扱うテーマの内容や、問題提起のきっかけとなった「出来事」や「筆者の心象風景」などが書かれているものである。
文章全体を把握する有力なヒントとして、第一段落は極めて重要な個所である。
そこで展開される筆者の主張(同じ単語や表現が複数回使用されているかどうか)をしっかり理解し、自分の中で再構築して設問に挑戦しよう。
論説文の常として、筆者の主張をより明確に、説得力をもって読者へアピールしようと考えると、「対立の概念」を用いるという手法がある。「対立」—つまり、真逆の概念・事実を並立して対比させながら主張することにより、互いの特性や論理性、合理性が明確になり、筆者が論じようとしているテーマ(論点)があぶり出されてくる。その論点を時系列的に並べていくことにより、本文の論理展開の流れが明瞭になり、結果、内容把握が確実に迅速に可能となる。
また、小説との学習法と明確に異なる方法として、「主張を書き出す」ということがある。
論点を並べるということは、自分の論理と思考を整理し、正解へ導く有力な手法の一つである。ただし、その論点並べが単に頭の中だけで行われてしまったのでは、正確な論説文把握を行うためには不十分である。出来るならば、箇条書きで要点だけを書き出すことが重要である。書き出すことで、論理の流れをより明確に的確に理解できることが可能になる。そのような論理の流れを大雑把に把握し理解することで、論説文の全体的構造が良く見えてくる。
そこまで本文の流れを把握していれば、設問の意図を素早く把握でき、正解を消去法などで選択(確かに、消去法は一つの有力な解法手段であることは認めるが)することなく、積極的に正解を特定できるようになる。
初めは、論点を書き出すことは非常に手間のかかることでもあるし、速効性のある学力向上、言い換えれば「点数を1点でも多くいかに得点可能か」という観点で考えれば、「今日それ(論点の書き出し・整理)をやったからといって、明日のテストで論説文の高得点が得られる訳ではない」ということは自明であろう。
しかし、長い目で考えてみれば、「真の学力」つまり「自分の頭で考え自分の言葉で表現する力」が、確実に形成されることは間違いない。
その延長線上には、現代文以外の他教科の学力向上が見えてくるのである。なぜならば、「言葉で理解する」ことが「何を問われているか」を的確に把握し、説得力ある合理的な言葉と表現で答案を仕上げてゆくことができるからである。
そして、考えを書きとめるということで、「漢字」に対する理解と知識への定着につながるはずである。

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2014年度「城北高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問1は小説読解問題。設問数は9問。2問だけが記述問題で、残りの7題は選択問題である。記述は本文抜き出しと自由記述の2パターン。どちらも40字の字数指定である。その他の選択問題については、十分な内容把握ができていればそれほど苦労はしないであろう。
大問2は論説文問題。設問数は9問。選択問題は4題。5題は記述式(5題の内純然たる記述は1題。他は本文中からの抜き出し)である。純然たる記述字数は50字以上60字以内。
大問3は古文読解。設問数は6問。純然たる記述問題はない。ほとんどが選択肢問題。正確に解答するためには、古典文法の基礎知識は不可欠。
大問4は漢字の書き取り。設問数は5問。どれも見たことがある漢字であるが、正確に書き取り完答したい。

【大問1】小説読解問題

  • 時間配分:17分

出典は、東直子著『トマト・ケチャップ・ス』。
本文に入る前のリード(前文)は解答する際の有力なヒントである。登場人物3人の家庭事情が語られている。「完璧主義の母親に心の中で反発し、母親よりも完璧を目指す依理」、「父親の家庭内暴力に悩む葉」、「二人に巻き込まれるような形で漫才をすることになったゆな」これらの記述は、設問を考える際の大きな手掛かりになる。
問1は心情把握。本文の「好ましい」とはある程度の評価を与えていること。
問2も心情把握。完璧主義者の母親と依理との関係の中で、依理の心の中の「ゆらぎ」を理解する。以上、解答時間は各1分。
問3は本文抜き出しによる内容把握問題。葉の発言の中に「世界からいつか大きくはみ出すために・・・」という箇所がある。解答時間は3分。
問4は同じく内容把握問題。依理の発言に「・・・観客の欲望を満たし・・・自分がいい気持ちになれ・・・個人的欲望につながる・・・」という個所が重要なヒント。
問5は表現問題。本文によれば、ゆなが勢いよく入ってきて、肩で息をしている状態。息が切れ切れになり、苦しい様子を表している。
問6は慣用表現。うれしくてたまらない様を表す選択肢を選ぶ。
問7は内容把握問題。ゆなが途中で練習を抜けざるを得なかったことへの気持ち・心情。本番直前のタイミングでの心情理解。普通の精神の持ち主であれば「緊張」の極みである。
問8は同じく内容把握。直接的な心情記載はなく、人物の仕草や、情景描写を頼りにユナの心情を推測する。頭をくしゃくしゃにされたゆなが、さらに自分でくしゃくしゃにした心理状態を考える。
問9は内容把握と表現問題。「少女たち」と表現することにより、これから3人が行なおうとしている「漫才トリオ」の何を表現しようとしたのかを考える。3人が「トリオ」として一体化した。解答時間は問4から問9まで各1分。

【大問2】論説文問題

  • 時間配分:18分

先崎彰容著『ナショナリズムの復権』。
問1は「読み書きの能力を身に付けるということ」が、どんな組織・社会へ移動しても役立たせることができる。
問2は「産業社会の主人公たち」は平均的な人たちであり、本文の論理展開より「平均的な人」とは近代社会(産業社会)にあって、どのような役割を担った存在かを考える。
問3は産業社会における人間の価値判断は「人の能力」がどのように働くかにかかっている、という論旨を踏まえて解答。解答時間は設問ごとに1分。
問4は「勉強して学力を身に付ける」=「経済的に豊かになること」との親の考えを考察する。解答時間は3分。
問5は「産業社会における何の特徴もない人間」=「個性のない人間」についての言及個所を丁寧に追いかける。
問6は産業社会における「流動性」が多くの人たちを不安定にする、という論理展開を追いかける。
問7は産業社会の人間が、自らの有する「流動性」に基づき選択の自由を満喫できるものと考えるが、実際にはどうであるか本文中より推論する。解答時間は問5~問7まで各1分。
問8は産業社会で生きていくために人間が身に付けてきたものは「平均的な学問と情報」である。結果、私たちが「無個性」な人間となってしまった、ということを考察する。
問9は産業社会の平均人とスラム街の住民の特性を把握して解答。解答時間は両問とも各2分。

【大問3】古文読解問題

  • 時間配分:15分

出典は「宇治拾遺物語」。古典的仮名遣い、古典文法の基本的知識を踏まえ、本文の流れに従って内容をしっかり把握すること。解答時間は本文の読了と設問への解答で15分。

【大問4】漢字の書き取り

  • 時間配分:3分

大問4は漢字の書き取り。紛らわしい漢字についてははっきりと理解しておくように。

攻略ポイント

小説、論説文、古文について、内容把握をしっかり行えるような学力を培うことが必要である。
特に、小説については人物の心情変化を見抜くスキルを身につけること。そのためには、情景描写や人物の言動などを中心に丁寧な分析が出来ることが不可欠である。
論説文については、キーワードを一読して見抜けることが大事。原則として、「キーワード」は本文中で繰り返し使われている単語および独特な表現も含まれるだろう。
漢字の書き取りも、日頃から意識して文章に出てくる漢字を注目するように心掛けること。論説文は、キーワードを中心に論理の展開を追跡できるように文章把握を行うことができるかどうかが、高得点への必須条件である。

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