城北高等学校 入試対策
2015年度「城北高等学校の国語」
攻略のための学習方法
小説は、設問の内容としての「心情把握」が定番である。
いかにして、的確に人物のキャラクターや特性、さらには内面の世界に広がる本人の「ものの考え方」、「他人に対する接し方」、「人生観や価値観」を理解できるか。
基本は、本文にそくして、話の展開と情景描写を丁寧に追いかけることである。直截的にその様な人物の内面の世界を描写することはないので、文章に込められた作者の意図を見抜かねばならない。人物と人物の人間関係の変化などにも注目するように。そして、その変化がどのような背景に起因して生じたのかを理解することである。そのような変化と心情変化を的確かつ確実に結び付けられるかが、設問の正解へたどり着く時間的プロセスを短縮することも可能となるのである。
ぜひ、日頃から小説(教科書に掲載された小説や私的に読む小説)に親しみ、様々な角度から文章を吟味できるようにしておいてもらいたい。
論説文については、論理的文章に自身の論理展開をあてはめられるように。
大事なことは、筆者が主張しようとしているテーマが何なのかをいち早く発見することである。論説文の最初の段落には、一般的に、本文で扱うテーマの内容や、問題提起のきっかけとなった「出来事」や「筆者の心象風景」などが書かれているものである。文章全体を把握する有力なヒントとして、第一段落は極めて重要な個所である。そこで展開される筆者の主張(同じ単語や表現が複数回使用されているかどうか)をしっかり理解し、自分の中で再構築して設問に挑戦しよう。
論説文の常として、筆者の主張をより明確に、説得力をもって読者へアピールしようと考えると、「対立の概念」を用いるという手法がある。「対立」―つまり、真逆の概念・事実を並立して対比させながら主張することにより、互いの特性や論理性、合理性が明確になり、筆者が論じようとしているテーマ(論点)があぶり出されてくる。その論点を時系列的に並べていくことにより、本文の論理展開の流れが明瞭になり、結果、内容把握をすることが確実に迅速に可能となる。
また、小説の学習法とは明確に異なる方法として、「主張を書き出す」というものがある。
論点を並べるということは、自分の論理と思考を整理し、正解へ至る有力な手法の一つである。
ただし、その論点並べが単に頭の中だけで行われてしまったのでは、正確な論説文把握を行うためには不十分である。
出来るならば、箇条書きで要点だけを書き出すことが重要である。書き出すことで、論理の流れをより明確に的確に理解することが可能になる。そのような論理の流れを大雑把に把握し理解することで、論説文の全体的構造が良く見えてくる。本文の流れを把握していれば、設問の意図を素早く把握でき、正解を消去法などで選択(確かに、消去法は一つの有力な解法手段であることは認めるが)することなく、積極的に正解を特定できるようになる。
初めは、論点を書き出すことは非常に手間のかかることでもあるし、速効性のある学力向上、言い換えれば「点数を1点でも多くいかに得点できるか」という観点で考えれば、「今日それ(論点の書き出し・整理)をやったからといって、明日のテストで論説文の高得点が得られる訳ではない」ということは自明であろう。しかし、長い目で考えてみれば、「真の学力」つまり「自分の頭で考え自分の言葉で表現する力」が、確実に形成されることは間違いない。その延長線上には、現代文以外の他教科の学力向上が見えてくるのである。
なぜならば、「言葉で理解する」ことが「何を問われているか」を的確に把握することになり、説得力ある合理的な言葉と表現で答案を仕上げてゆくことができるからである。そして、考えを書きとめるということが、「漢字」の理解と知識の定着につながるはずである。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
2015年度「城北高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、論説文の読解<25分>。社会科学系の論説文である。法律によって自由を認められている我々にとって、実質的に自由に生きるということはどういうことなのかを論じた文章。選択肢問題と60字の記述式問題が出題形式である。非常に論理的な文章であるので、しっかり筆者の論理展開を把握し解答すること。
大問2は、小説の読解問題<22分>。登場人物の心情理解を中心に選択肢問題と記述式問題から構成されている。特に、記述式問題は、50字・30字の記述となっており、本文にそって筆者の考えをまとめあげる練習を事前に徹底して行っておくこと。
大問3は、古文読解問題<10分>。内容把握問題中心である。当然ながら、古典文法やその知識に基づく内容理解を問う問題内容である。基本的な古典文法はしっかり理解しておくこと。さらに、古文の現代語訳についても文法知識を基本にして、しっかり読み込む演習を標準的な古文を使って行う必要がある。
大問4は、漢字の書き取り問題<3分>。どれも標準的な漢字である。完答したい。
【大問1】論説文読解問題
- 時間配分:
社会学的分野の論説文読解である。
出典は『信頼にいたらない世界』(数土直紀著)。
問1は、語句の理解問題でを問う選択肢問題<2分>。
2題出題されているが、どちらも標準レベルなので完答したい。
問2は、内容把握の選択肢問題<2分>。
法律で自由を権利として保障していることと、我々が日常生活で常に自分の意志で何かを選択しながら生きて行くことの違いをしっかり理解すること。
問3は、内容把握問題であり、キーワードを見つける問題<2分>。
私たちは、日常的な些細なことの選択を自動的に処理できるように『定型化』しているのである。
問4は、内容把握の選択肢問題<2分>。
当たり前のことを当たり前にしておくことによって、余計なことを考えなくて済むという利点が生まれ「会話の内容に集中」できるのである。
問5は、内容を把握したうえでの適語選択問題<2分>。
例えば、Ⅹは「当たり前と思っていたことが、実は当たり前ではなかったこと」が明確になると、「混乱のただ中」におかれてしまうということは、「信頼」をしていたものがそうではなかった時に陥る精神状態であろう。
問6は、内容把握の選択肢問題<2分>。
「定型化」されるということは、「当たり前のことは当たり前でなければならない」のであり、そのことによって私たちは「日常をスムーズに生きて」いけるのである。
つまり、「定型化」とは「予測可能性」のことであり、予測できるということは諸事象が「パターン化」されているということである。
問7は、内容把握の記述式問題<5分>。
私たちが自由であるためには、「いっけんすると相反する二つの要請に同時に応えることが必要」となるので、「(相反するという)難しさ」を抱えているのである。したがって、「二つの要請」とは何なのかを考える。
指定字数でまとめることを留意する。キーワードは何かについて、的確に把握しよう。
問8は、内容把握の選択問題<2分>。
本文傍線部の直後に、「大切なのは、その気になれば自分で決めることができること」、そして「本当に重要なことであれば積極的に自分で決めようとする」ことが肝要であるという個所をヒントに考える。
つまり「世界に対する信頼」があるからこそ、私たちは自分達で重要なことを自ら選択できるのである。
【大問2】小説読解問題
- 時間配分:
小説の読解問題。出典は『モノクローム』(乾ルカ著)。
問1は、語句解釈の選択肢問題<1分>。
どちらも基本的語句であり、瞬間に正答を選択できなければならない。
問2は、人物の心情把握問題で適語選択問題<2分>。
Aは、「…の気持ちに気が付いて恥ずかしく」なったのである。「恥ずかしく」なる気持ちとはどういう気持ちであるかを考える。Bは、「A」の気持ちを感じた「僕」はどう感じるか。
良識的な、人間的な判断で考えれば適語の選択はそれほど難しくはないであろう。
問3は、心情選択問題<1分>。
「でもそうしながら…」とある「そう」とは何か、また「あの冷たさ」とは何を意味するかを本文の文脈に沿って考えること。
問4は、心情選択問題<2分>。
「試に別の人を撮って」みるというのは、本当の「僕」の気持ちではない、ということを理解する。
問5は、内容把握語句選択問題<2分>。
本文にあるように、「僕」は「石に託す、その場所に存在しなければならない意味」を考えているのである。
問6は、内容把握記述問題<5分>。
碁を打つときに「僕」が質問に答えてしまった自分のことを理解してもらえるであろう、という自分よがりの考え方(=自分の甘さ)という点を考える。
問7は、心情把握選択問題<2分>。
「僕」は「ほっとする感覚と、目の前に現れかけていた明るげな未知の景色が、重苦しい濃霧の向こうにかき消えていくような感覚」を味わったとある。この部分から適切な選択肢を選ぶ。
問8は、内容把握記述問題<4分>。
精神的に「暗がりの中」にいた「僕」の本質を突いたのが「香田」であり、その本質とは何かを本文に則して考察する。
【大問3】古文読解問題
- 時間配分:
古文(説話)の読解問題である。出典は『沙石集』(無住著)。
問1は、現代仮名遣い問題<2分>。
歴史的仮名遣いと現代仮名遣いについての基本的知識を確認すること。
問2は、内容把握問題<2分>。
傍線の主語にあたる部分を抜き出す問題であり、本文を丁寧に読めば正解は見えてくる。
問3は、現代語訳選択問題<1分>。
基本的文法問題であり、基本をしっかり学習しておくこと。
問4は、内容把握適語記入問題<2分>。
在家人が合理的ではないと感じたことは何だったのかを考えるように。
問5は、内容把握選択問題<2分>。
「…信の致す…」の「信」とは何か。それは、在家人の層に対する「心の清さ」という観点で考察する。
【大問4】漢字の書き取り
- 時間配分:3分
漢字の書き取り問題である。
2.と4.が難しいかもしれないが、完答を目指したい。
攻略のポイント
全体的には標準的な問題レベルであり、出題範囲も現代文(論説文と小説)、古文、漢字と万遍なくカバーしている。したがって、苦手分野の克服が最優先課題である。対策としては、標準的問題集をしっかり演習することである。
その際に、文章読解力を高めるため設問の本文をじっくり分析しながら読む姿勢が必要である。
時間の少ない受験生にとって、いかに良い文章、論理的文章に触れるかが国語の得点力向上に不可欠な要素であることを考えた場合に、上記のような設問の文章を丁寧に読み込むことの重要性は極めて高い。
また、知識問題として漢字、ことわざ、文学史なども事前にしっかり押さえておきたい。