城北高等学校 入試対策
2019年度「城北高等学校の国語」
攻略のための学習方法
小説は、設問の内容としての「心情把握」が定番である。
いかにして、的確に人物のキャラクターや特性、さらには内面の世界に広がる本人の「ものの考え方」、「他人に対する接し方」、「人生観や価値観」を理解できるか。
基本は、本文にそくして、話の展開と情景描写を丁寧に追いかけることである。直截的にその様な人物の内面の世界を描写することはないので、文章に込められた作者の意図を見抜かねばならない。人物と人物の人間関係の変化などにも注目するように。そして、その変化がどのような背景に起因して生じたのかを理解することである。
そのような変化と心情変化を的確かつ確実に結び付けられるかが、設問の正解へたどり着く時間的プロセスを短縮にすることも可能となるのである。
ぜひ、日頃から小説(教科書に掲載された小説や私的に読む小説)に親しみ、様々な角度から文章を吟味できるようにしておいてもらいたい。
論説文については、論理的文章に自身の論理展開をあてはめられるように。
大事なことは、筆者が主張しようとしているテーマが何なのかをいち早く発見することである。
論説文の最初の段落には、一般的に、本文で扱うテーマの内容や、問題提起のきっかけとなった「出来事」や「筆者の心象風景」などが書かれているものである。文章全体を把握する有力なヒントとして、第一段落は極めて重要な個所である。そこで展開される筆者の主張(同じ単語や表現が複数回使用されているかどうか)をしっかり理解し、自分の中で再構築して設問に挑戦しよう。
論説文の常として、筆者の主張をより明確に、説得力をもって読者へアピールしようと考えると、「対立の概念」を用いるという手法がある。
「対立」―つまり、真逆の概念・事実を並立して対比させながら主張することにより、互いの特性や論理性、合理性が明確になり、筆者が論じようとしているテーマ(論点)があぶり出されてくる。その論点を時系列的に並べていくことにより、本文の論理展開の流れが明瞭になり、結果、内容把握が確実に迅速に可能となる。
また、小説との学習法と明確に異なる方法として、「主張を書き出す」ということである。
論点を並べるということは、自分の論理と思考を整理し、正解へ導く有力な手法の一つである。
ただし、その論点並べが単に頭の中だけで行われてしまったのでは、正確な論説文把握を行うためには不十分である。出来るならば、箇条書きで要点だけを書き出すことが重要である。書き出すことで、論理の流れをより明確に的確に理解できることが可能になる。
そのような論理の流れを大雑把に把握し理解することで、論説文の全体的構造が良く見えてくる。そこまで、本文の流れを把握していれば、設問の意図を素早く把握でき、正解を消去法などで選択(確かに、消去法は一つの有力な解法手段であることは認めるが)することなく、積極的に正解を特定できるようになる。
初めは、論点を書き出すことは非常に手間のかかることでもあるし、速効性のある学力向上、言い換えれば「点数を1点でも多くいかに得点可能か」という観点で考えれば、「今日それ(論点の書き出し・整理)をやったからといって、明日のテストで論説文の高得点が得られる訳ではない」ということは自明であろう。しかし、長い目で考えてみれば、「真の学力」つまり「自分の頭で考え自分の言葉で表現する力」が、確実に形成されることは間違いない。その延長線上には、現代文以外の他教科の学力向上が見えてくるのである。
なぜならば、「言葉で理解する」ことが「何を問われているか」を的確に把握し、説得力ある合理的な言葉と表現で答案を仕上げてゆくことができるからである。そして、考えを書きとめるということで、「漢字」に理解と知識への定着につながるはずである。
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2019年度「城北高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、論説文の読解 <17分>。
現代社会に対する社会学的観点からの考察を加えた論説文である。選択肢の問題もあるが、記述問題(50字)の対策もしっかり行うこと。
大問2は、小説の読解問題 <20分>。
設問でも問われているように、小説問題で重要なポイントは、登場人物の心情把握。
大問3は、古文読解問題 <20分>。
内容把握が中心の問題設定。基本的な古典文法、古典知識(陰暦の月の異名)などもしっかり習得しておくように。
大問4は、漢字の書き取り問題 <3分>。
標準的な漢字である。完答を目指そう。
【大問1】論説文の読解
- 時間配分:17分
社会学的分野(現代社会)からの論説文読解問題である。
出典は『社会学 わたしと世間』(加藤秀俊著)。
問1は、文章内容把握選択問題 <2分>。
社会の中で私たちは、「みんな」という集団の中で暮らしておるのである。そしてその中で周りを気にしながら生きていくのであり、この周りのことを「準拠集団」と筆者は呼んでいる。
問2は、語句内容問題 <1分>。
「ひそみにならう」とは、中国の故事に由来する言葉で「むやみやたらに人のまねをする」という意味である。
問3は、文章内容把握選択問題 <1分>。
本文の内容から、自分の「世間」と他人の「世間」とは関係のないことがわかる。
問4は、文章内容把握記述問題 <5分>。
本文によれば、「世間」は「つねに流動」しており、「すこしずつ変化」するのである。
問5は、内容把握記述問題 <3分>。
交際する人は時とともに少しずつ変わっていくものである。
問6は、内容把握選択問題 <1分>。
福沢諭吉はお互いが「親友」であったとしても、時を経ると「疎遠」になってしまうと説いているのである。
問7は、ことわざに関する問題 <2分>。
どれも一度は耳にしたことわざであろう。完答を目指してほしい。
問8は、表現上の特徴に関する選択問題 <2分>。
本文中で使用されている言葉がどの様に定義されているかを見つけ出すこと。
【大問2】小説の読解問題
- 時間配分:20分
出典は『屋上は青』(朝井リョウ著)。
問1は、内容把握選択肢問題 <2分>。
芸能界に進むことになった同級生に対する孝子の心情を読み取ること。
問2は、内容把握選択問題 <1分>。
尚樹の踊りが優れているので、観客は尚樹の踊りに注目しているのである。
問3は、内容理解問題 <5分>。
「ズレてしまったメガネ」を直す行為がどの様な意味を持つのか、本文の内容に従って理解すること。
問4は、内容把握記述問題 <5分>。
本文で記載されている「折り目」とは何か。性格的な生真面目さ、几帳面さのことである。
問5は、内容把握選択問題 <1分>。
孝子にとって未知なる世界に飛び立つ尚輝に対し、どのような感情を抱いているのかを考える。その感情と状況が「卒業式」という「出発(たびだち)」を符合させて考察する。
問6は、内容把握選択肢問題 <1分>。
尚輝は音量を最大限まで高めて何の「音」を消そうとしていたのか。そして、その行為は何を意図していたのだろうか。
問7は、内容把握記述問題 <5分>。
泣いている尚輝の心情は、如何なるものであるか。尚輝自身もこれからの自分に対し「不安」なのである。
【大問3】古文読解問題
- 時間配分:20分
古文(説話)の読解問題である。出典は『十訓抄』。
問1は、内容把握問題 <2分>。
「いひたがえ」とは、「言い違へ」のことである。
問2は、文法知識問題 <2分>。
助詞、助動詞に関する基本的な文法知識があれば、しっかり答えられる。
問3は、古文知識問題 <3分>。
陰暦月の名称をしっかり覚えておくこと。
問4は、内容理解問題 <4分>。
顕雅卿の言い間違いに注目して問題に取り組むこと。
問5は、内容把握問題 <2分>。
「嘲笑」とは、相手のことをあざけり笑いものにする、という意味である。誰が誰の何をあざけったのかを考えよう。
問6は、内容把握問題 <2分>。
顕雅卿に、ある女房が尋ねた内容は何か。
問7は、現代語訳問題 <2分>。
「まさる」とは、人より優れている、という意味である。本文では、何がより優れているかを考える。
問8は、内容把握問題 <3分>。
本文の内容に沿って各設問の内容との整合性をきちんと精査すること。
【大問4】漢字の書き取り問題
- 時間配分:3分
普段使わない漢字も見られるが、日頃から注意深く漢字の書き取り練習をしておくこと。
攻略のポイント
全体的には標準的な問題レベルであり、出題範囲も現代文(論説文と小説)、古文、漢字と万遍なくカバーしている。この出題パターンは例年同じ傾向であり、今後も継続するものと思われる。
対策としては、標準的問題集をしっかり演習すること。その際に、文章読解力を高めるため設問の本文をじっくり分析しながら読む姿勢が必要である。時間の少ない受験生にとって、いかに良い文章、論理的文章に触れるかが国語の得点力向上に不可欠な要素であることを考えた場合に、上記のような設問の文章を丁寧に読み込むことの重要性は極めて高い。
また、知識問題として漢字、ことわざ、文学史なども事前にしっかり押さえておきたい。