社会学的分野からの論説文読解問題。出典は『フェイクニュース時代を生き抜く　データ・リテラシー』（マーティン・ファクラー著）。トランプ政権誕生によってNYタイムズが購読者を劇的に増やした要因とは何か。その要因を詳らかにする過程で、マスコミと政治の在り方についても論じている。

問１は、慣用句選択問題＜2分＞

「溜飲を下げる」、「矢継ぎ早」および「傍若無人」の意味を問う問題。どれも標準的問題である。完答を目指したい。

問２は、内容理解選択問題＜2分＞

本文に「トランプを支持しない人々は、彼の主張とは違ったアジェンダとモノの見方を示してくれるメディア」を求めているのでありその結果、NYタイムズの購読者数の増加をもたらしたのである。

問３は、内容把握選択問題＜2分＞

キャンペーン・ジャーナリズムが行きすぎると「公正で客観的である職業倫理」が守れなくなり「商業主義」に引きずられてしまう傾向がある。結果、情報の正確性が失われてしまいかねない状況になってしまう。

問４は、内容把握選択問題＜2分＞。

本文によれば「ページビュー至上主義、ランキング至上主義で仕事をしていると」、「重要なテーマは隅っこに追いやられてしまう」のである。

問５は、内容把握問題＜2分＞。

「バイアスがない知識」に基づき読者は自ら「選択」を下せるのである。「下す」とは「行動に移る」ということである。

問６は、内容把握問題＜5分＞。

「揺り戻し」とは、一方の勢力だけに肩入れした記事を書くと読者は「自分たちはジャーナリストによって情報操作されている」と感じ、他方の勢力の意見に傾いてしまうということである。

問７は、内容把握問題＜5分＞。

「商業主義」とは購買者数を増やすことを主眼とするのであり、結果、読者が興味をそそるような記事を書く傾向が高くなる。他方、「新聞の信頼」とは読者が正確な判断をすることができるように、中立公正で偏りのない報道のことである。

問８は、主題に関する選択問題＜２分＞。

ジャーナリズムに求められるのは、「中立」と「公正」である。具体的には、社会に起きる事象について賛成・反対双方の立場からの意見を提示することである。その際にも、客観性を失ってはならないのである。

問9は、本文要旨に関する選択問題＜3分＞。

エの「メディアの情報は信用しないで、実際に自分の目で確かめなければならない」という部分が誤っている。

出典は『眠るひと』（咲沢くれは著）。

問１は、表現内容選択問題＜２分＞。

「からからと」、「あどけなく」および「卑屈になって」など馴染みのある言葉である。得点源として確実に正解したい。

問２は、内容把握問題＜4分＞。

さっきはチョコレートを食べたいといっていた男の子の勝手な言い分を沙織は「わがまま」ととらえていたのであり、お金も持っていないのにチョコレートを黙って持ち出すこと（＝万引き）を男の子が嫌がっていることを沙織は理解していたのである。

問３は、心情把握問題＜2分＞。

担任として万引きをすることを見過ごすことができなかったからである。

問４は、心情把握問題＜２分＞。

万引きを阻止され、さらにそのチョコレートを買うと言い出したことに対して「勝手な干渉」は止めて欲しいと反発しているのである。

問５は、心情把握選択問題＜２分＞。

名前が「シンヤ」と「カタカナ」で表記されることで、泰子には一瞬それが誰かが認識できずやっとのことで、沙織の弟の「真哉」であることに気がつくのである。

問６は、内容把握選択問題＜2分＞。

泰子と自分（沙織）との生活環境には雲泥の差があり、そのことを理解せずに「どの家庭でもきちんとした夕食」が準備されていると思っていることに沙織は呆れているのである。

問７は、心情把握選択問題＜2分＞。

沙織は弟である「真哉」の名前を担任である泰子が知っていたことに驚き、そこまで自分のことに気をかけていてくれることを知って、心の中では嬉しく思ったのである。

問８は、文章内容把握記述問題＜5分＞。

本文中に「小三にしては少し背が低いと思った。それにかなり痩せている」問過疎を手掛かりに考えをまとめる。

問９は、内容把握記述問題＜5分＞。

沙織が発した言葉によって「母親が不在である」という事実を泰子に知られてしまい、「しまった」と後悔しているのである。

問10は、内容把握と心情把握記述問題である＜5分＞。

沙織は担任である泰子に「今日助けてもらっても、その先に生きていく方法がないなら、一緒なんよ」と話している。そこには、沙織の決意（誰もあてになんかできない。自分たち家族を守るのは私なんだ、という決意）がにじみ出ている。

標準的な漢字である。普段から知識問題としてしっかり練習を積み重ねて欲しい。完答を目指したい。