城北埼玉高等学校 入試対策
2024年度「城北埼玉高等学校の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
例年、文学的文章と説明的文章の計2問が出題される。古文・漢文は出題されていないので、古典を苦手とする人には受けやすい学校である。
選択肢・穴埋め・抜き出し・空欄補充・並べ替えと設問の形は多彩であるが、以前は出されなかった長めの記述問題が2019年度以降出題されるようになった。全体としてはオーソドックスな試験であると言える。選択肢問題が多く、書き抜きが数問といった割合になっている。
難易度についても特別な難問は出されていない。選択肢の内容も無理に迷わせるようなものは無く、適正な実力があれば正解できる、クセのない試験問題となっている。
したがって、特別変わった対策を取る必要は無い。小説や論説文の読解の基本に則った訓練を積めば良い。
文学的文章ならば、やはり普段から数多くの小説に触れ、さまざまな登場人物の考えや行動を体感しておくことである。読書を通じて多種多様な考え方や物の見方に触れておくこと、いわば「人間心理体験」のようなものを積んでおくことが、人物の心情理解に役立つのである。
その上で、長文読解の技量を磨く。時間経過や登場人物の変化で場面・段落の変わり目をマークする。人物・筆者の言動や表情をチェックし、気持ちや筆者の考えを汲み取る。そこから作者・筆者の言いたいこと・主題に迫る。その際、矢印や傍線などを使って重要点をすぐ探せるようにしておくと、時間短縮できる。
説明的文章はやはり論理の流れを見誤らないことが重要である。自然科学・社会科学に関する本などを、序論・本論・結論や、段落のつながり、細部説明と要点の区分けなどを意識しながら読んでみると良いだろう。
そして実践。形式段落と意味段落の整理、この時、意味段落の内容をまとめてタイトルとしてつけてしまうとわかりやすい。段落の最初と最後に特に注目しながら要点を確認、それらをまとめて要旨・結論を抽出。本文を読み進めながら矢印・傍線を用いて目立つようにしておくことはここでも有効である。
同じような出題傾向の学校も多いので、他校の過去問なども良い練習になる。同レベルの入試問題などもこなして、長文に慣れておいていただきたい。
文章量
2022年度では約6600字、2023年度では約6200字の文章量であった。ここ数年は6000~7000字ほどで推移している。文章量が増加傾向にある学校も多く見られるので、文章を読むスピードは重要である。過去問に取り組む時はもちろん、普段の読書においても、意識して速く正確に読む訓練をしておかれたい。
本校の場合、使われる文章の難しさはさほど難解なものではないので、無理に大人向けの書物に挑戦する必要は無いだろう。高校生対象レベルの本で自分の興味の持てる内容のものを多く読んで、よく現れるテーマやストーリーに触れておくと良い。
知識問題
長文読解の問題と合わせて語句の意味や文法などの知識問題も出題されている。基本レベルで良いので、しっかり練習しておくこと。
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2024年度「城北埼玉高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
現代文の読解2問で合わせて約6500字。総解答数は27問。大問2の漢字・ことばの知識・文学史などを手早く終え、長文読解に十分な時間を確保したい。
2024年度では25~50字の記述が2問出題されており、ここで8分前後の時間をみておく必要がある。
素材文を速めに読み、要点のハイライトが上手く出来ていれば、大幅に時間が足りなくなることはないだろう。
【大問一】小説の読解
- 時間配分:22分
コロナ禍において制限を受けた学校生活を送らざるを得ない主人公たちの心情が描かれる。
問1 いったん電話を切り、しばらくたってから主人公が美琴に送ったLINEが「悲しみとかくやしさに、大きいとか小さいとか、特別とかないよ(二十九字)」であった。
問2 コロナウイルスの感染経路として、「屋内作業で密閉状態になるのがダメとか、飛沫が飛ぶ活動が最もよくないとか(三十五字)」言われている点で、合唱は当てはまってしまうのである。
問3 天文部の合宿について話している場面で、主人公が「なんだか後ろめたい気持ち」になっているのが、同じような気持ちであろう。
問4 いつになったら学校に普通に行けるのかと心配する主人公を元気づけようと、わざと明るい口調で話題を振ったのだと思われる。
問5 距離を取る・マスクをする・人と会合わないなどくらいしか、自分たちが今できることはない「らしい」、この病気に対しては地道な対策で対抗するしかない「らしい」のだが、主人公としては「実感が湧かない」し「納得できていない」。助動詞「らしい」が世間の常識と主人公の気持ちのギャップを表しているのである。
問6 ウ
【大問二】漢字・言葉の知識
- 時間配分:8分
問1 ① 指摘 ② 創造 ③ 発揮
④ にな(う) ⑤ いちじる(しい) ⑥ つちか(う)
問2 ① いただく ②動(詞) ③ 「いただく」→「いただい(て)」・音便
問3 ① 自画自賛 ② 自給自足 ③ 自業自得 ④ 自縄自縛
問4 A. エだけ「職を転ずる(動詞+目的語)」 ア・イ・ウは「主語―動詞」
B. イだけ「郷に帰る(動詞+目的語)」 ア・ウ・エは「修飾語+名詞」
【大問三】論説文の読解
- 時間配分:20分
組織においてスペシャリスト同士、またスペシャリストとゼネラリストのコミュニケーションがいかに大切であるかを指摘し、さらに異業種間の交流も始まっている現状を紹介している。
問1 広い視野と知的好奇心をもった「知識人」はすくなく、そうでない「専門家」が増えてしまったことを残念に思っている→選択肢エ。
問2 スペシャリストばかりでは、組織内コミュニケーションが寸断されて意思の疎通がうまくゆかなくなる、と理由を説明している。
問3 Ⅰ. 激論をたたかわせ Ⅱ. エ
問4 エ. 最後の段落の内容と一致する。
問5 例: 異分野間のコミュニケーションを広げることによって、専門家たちの視野を広げることが重要である(四十五字)
攻略ポイント
古文・漢文が出題されない試験であるだけに、現代文読解の得意な生徒が多く受けることが予想される。形式・内容ともにスタンダードな試験なので、堅実な長文読解力を養って臨むのが得策である。
記述問題が出されたことは新傾向として留意しておく必要がある。論説タイプではなく、読解がしっかりできていれば書けるので、同タイプの記述問題で練習しておこう。
また、問題数は多くないが文法や言葉の知識も出題されている。標準レベルの問題集で良いので言語事項なども油断なく学習しておくこと。