城北埼玉高等学校 入試対策
2018年度「城北埼玉高等学校の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
例年、文学的文章と説明的文章の計2問が出題される。古文・漢文は出題されていないので、古典を苦手とする人には受けやすい学校である。
選択肢・穴埋め・抜き出し・空欄補充・並べ替えと設問の形は多彩であるが、長い記述問題などは見られず、オーソドックスな試験であると言える。選択肢問題が多く、書き抜きが数問といった割合になっている。
難易度についても特別な難問は出されていない。選択肢の内容も無理に迷わせるようなものは無く、適正な実力があれば正解できる、クセのない試験問題となっている。
したがって、特別変わった対策を取る必要は無い。小説や論説文の読解の基本に則った訓練を積めば良い。
文学的文章ならば、やはり普段から数多くの小説に触れ、さまざまな登場人物の考えや行動を体感しておくことである。読書を通じて多種多様な考え方や物の見方に触れておくこと、いわば「人間心理体験」のようなものを積んでおくことが、人物の心情理解に役立つのである。
その上で、長文読解の技量を磨く。時間経過や登場人物の変化で場面・段落の変わり目をマークする。人物・筆者の言動や表情をチェックし、気持ちや筆者の考えを汲み取る。そこから作者・筆者の言いたいこと・主題に迫る。その際、矢印や傍線などを使って重要点をすぐ探せるようにしておくと、時間短縮できる。
説明的文章はやはり論理の流れを見誤らないことが重要である。自然科学・社会科学に関する本などを、序論・本論・結論や、段落のつながり、細部説明と要点の区分けなどを意識しながら読んでみると良いだろう。
そして実践。形式段落と意味段落の整理、この時、意味段落の内容をまとめてタイトルとしてつけてしまうとわかりやすい。段落の最初と最後に特に注目しながら要点を確認、それらをまとめて要旨・結論を抽出。本文を読み進めながら矢印・傍線を用いて目立つようにしておくことはここでも有効である。
同じような出題傾向の学校も多いので、他校の過去問なども良い練習になる。同レベルの入試問題などもこなして、長文に慣れておいていただきたい。
文章量
2017年度ではおよそ計7800字、2018年度では計6000字ほどの文章量であった。近年文章量が増える傾向にある。他の難関校でも同様の傾向が多く見られるので、文章を読むスピードは重要である。過去問に取り組む時はもちろん、普段の読書においても、意識して速く正確に読む訓練をしておかれたい。
本校の場合、使われる文章の難しさはさほど難解なものではないので、無理に大人向けの書物に挑戦する必要は無いだろう。高校生対象レベルの本で自分の興味の持てる内容のものを多く読んで、よく現れるテーマやストーリーに触れておくと良い。
知識問題
長文読解の問題と合わせて語句の意味や文法などの知識問題も出題されている。基本レベルで良いので、しっかり練習しておくこと。
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2018年度「城北埼玉高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
現代文の読解2問で合わせて約6000字。総解答数は31問。漢字の読み書き5問は1~2分で済ませ、残りは長文読解に当てることになる。
その他は例年通り、記号選択と書き抜きの問題で、記述問題は出題されていない。
素材文を速めに読み、要点のハイライトが上手く出来ていれば、大幅に時間が足りなくなることはないだろう。
【大問一】漢字の読み書き
- 時間配分:2分
⑤「もさ」。もともとは「もうざ」と読んでいたものが転用したとされる。
【大問二】論説文の読解
- 時間配分:23分
大人が子供に教えられることはほんのわずかであり、むしろ子供からも教わることも多い。それによって自分の中の「こども」が再生するのだと述べている。
問1 a.荒唐無稽 b.自画自賛 c.波乱万丈
問2 「示唆」ははっきりとではなく、それとなくわからせること。
問3 次の段落冒頭に適切な部分がある。
問4 「こどもの姿が自分(大人)の姿を映す鏡であること」が「後者」にあたる。それは「ことばの置き換え」であるととられているのだから、「前者」は前の文の「大人の言動が~鏡になること」であるとわかる。
問6 「生を受けて」「ただちに」「教育という体系に組み入れられる」とは、親による教育を意味している。
問7 3段落後で、大人がこどもに教える際には「保守経験主義か感傷主義」におちいる、とあるのが同じ内容を述べた部分である。
問8 指示語の鉄則どおり、直前にある。
問9 「私がこどもだったころ」は~だった「だから」きみたちも…と、自分の「こども時代」を押し付けるのである。
問10 ウの「成長」も良さそうだが、「新しい自分として出発」し「無心の存在として~未知の旅をめざす」のだから、エの「再生」がよく当てはまる。
問11 直前の「大人が自分のこどものころ(経験)を今のこどもに押し付ける」のとは違って、「老人」は押し付けないから「無欲」と言えるのである。
【大問三】小説の読解
- 時間配分:25分
旅館の女将・僧侶として修業の道に入る息子・その母親の3者の心の交流が描かれる。
問1 目をしばたたく――しきりにまばたきをする。目を和ませる――慣用句ではないが、ここでは優しい目つき・表情になった、という意味。
問3 3つの「ない」を見分ける問題はよく出る。①動詞+「ない」→助動詞 ②ある・無いの「ない」・形容詞など+「ない」→形容詞 ③あどけない・せわしないなど→品詞の一部。
問4 里心――実家・故郷に帰りたい気持ち・ホームシック。
問5 「子供らしさ・幼さ」といった内容が入るだろう。二文字の熟語で「~さ」と作れる言葉は「可憐」しか見当たらない。
問6 「詮索」はあれこれ尋ねること。「動じる」は動揺する、の意。7は「思いがけなく」が含まれるのでエがよい。
問7 アは「力強く背中をおそうと」が合わない。「仕方なさそうに」とあるので、心配しながらも「笑って」修業に送り出す様子が感じられるイが良い。
問8 「父親も見守ってくれてます」には「天国から」というニュアンスが強く感じられる。住職である主人がなくなり、息子が急ぎ後を継ぐ事態になったことが考えられる。
問9 辛い修業に赴く前の最後の食事である。母親が自分の分のとんかつを息子に譲ったので、ハナから食べていないのである。
問11 前回の食事のことを息子は当然覚えている。その時と同じメニューを用意してくれた女将に感謝の意を込めての合掌である。仏門での修行がその振る舞いに表れている。
攻略ポイント
古文・漢文が出題されない試験であるだけに、現代文読解の得意な生徒が多く受けることは予想される。形式・内容ともにスタンダードな試験なので、堅実な長文読解力を養って臨むのが得策である。
今後、文量がさらに増える可能性もあるので、3000~4000字程度の読解2問を45分程度でこなすスピードを身につけておきたい。
また、問題数は多くないが文法や言葉の知識も出題されている。標準レベルの問題集で良いので言語事項なども油断なく学習しておくこと。