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日本女子大学附属高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2019年度「日本女子大学附属高等学校の国語」
攻略のための学習方法

知識

前述のとおり「直接出題」も多いが、「本文読解」等でも必然的に問われることになる日女の「総合的知識問題」。いかなる「攻略法」があるのか?

「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。

過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。

要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されているし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。

特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

解法

「日女の国語」の「選択肢設問」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。

そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。

そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

記述

「日女の記述対策」は「問題解説」及び「攻略ポイント」のとおりだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。

そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。30~40字程度で書いてみる(日女の典型的な「記述」の練習にもなる)。

無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。

「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。

速読

大学入試にも匹敵するボリュームの問題文を読まなくてはならない。全体で5000字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。

やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。

「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。日女に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

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2019年度「日本女子大学附属高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問一は「随筆」、出典は吉村萬壱「うつぼのひとりごと」所収の「光」(文字数約2000字)。小問は全7問(解答数7)。「選択肢」(「換言説明」と「理由説明」が半々)、「説明記述」(「25字以内指定」1問)。問題文は2分半程度で読み切り、設問を20数分で解きたい。

大問二は「論説文」、出典は出岡宏「『かたり』の日本思想――さとりとわらいの力学」所収の「紛らわしでなく、痩せ我慢でなく、面白く。」(文字数約2200字)。小問は全7問(解答数7)。「選択肢」のみ(「換言説明」「理由説明」「内容説明」)。問題文は3分弱で読み切り、設問17~18分で解きたい。

大問三は「総合的知識問題」。小問は全2問(解答数10)。「空所補充の熟語判別と記述」(全6問)、「熟語の構成判別と記述」(全4問)。5分ほどで解きたい。

【大問1】

  • 時間配分:

暗い深みへと惹かれていく「ダイビング」、「ゴミ捨て場」あさりの愉しみ、幼い頃の小さなつぐなうことのできない「失敗」……、芥川賞作家である筆者が、何気ない日常の奥に潜む「世界のありのまま」をまっすぐに見つめる――人間への尽きない興味と優しさに溢れたエッセー集の一篇。本文では、筆者の「ダイビング」の体験から、「不幸の中に沈み込んでいく人、暗い考えから抜け出せない人、自ら不幸を招き寄せる人、絶望の谷底に転がり落ちていく人は、命知らずのダイバーであり、光の探索者なのかも知れない」と述べている。文学的でやや難解な語句があるが、内容は理解できるはず。「換言説明」「理由説明」の「選択肢設問」と、短い「内容説明記述」という大問。以下、いくつかの設問を検証する。

[問二] 「具体的内容説明記述」(「25字以内」指定)。
傍線部(2)「この畏怖の念」の「具体的な内容」を「二十五字以内」で説明する。

要は、「指示語換言」の「具体的内容」を説明するわけだ。「指示語が出たら前を見よ!」が鉄則だが、ここで注意しなくてはいけないのは、段落の冒頭にあるということだ。「段落冒頭の指示語」は「前段落全ての内容を指し示す」ことを忘れてはいけない。したがって、7行ある「前段落」の中で「畏怖の念」に結びつく内容を捉える必要がある。「畏怖」=「恐れおののくこと」、知っているはずだ。確認する。4~5行目に「厚さ二十四メートルの水というのは人間の力など全く及ばない途轍(とてつ)もない量であり、実に恐ろしい。」という一文がある。「畏怖の念」に合致し、「具体的」でもある。あとは「指定字数」に合わせて簡潔にまとめたい。たとえば、「人間の力など全く及ばない途轍もない量の水への恐れ。」(25字)といった「答え」になる。「説明記述」では、正否のポイントとなる「最重要要素」を必ず「文末」としてまとめること。

<時間配分目安:2分半>

[問四] 「換言説明選択肢」(4択)。
傍線部(4)「『心が捩(ね)じ切れそうに』なりながら」について、「心が捩じ切れそう」とは「どういうことか」を答える。

「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは、「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「換言説明」なので、「心が捩じ切れそう」(無論、「比喩換言」)の「原意」と、各選択肢の「文末」が結びつかないものを「消去」したい(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。確認する。(ア)「緊張感が極限まで高まったということ」、(イ)「笑い出しそうになったということ」、(ウ)「気後れしてしまったということ」、(エ)「平常心を保てなくなったということ」。(イ)と(ウ)は「消去」だが、残りで悩む、ではいけない。「心が捩じ切れそう」なのだから、(エ)もそのまま「消去」でいい。他の部分の説明も特に誤ってはいないので、「答え」は(ア)だ。畏るべし! 「一発消去」だ。「選択肢設問」では先ず「原意消去」を試みること。

<時間配分目安:1分弱>

[問六] 「換言説明選択肢」(4択)。
傍線部(6)の「闇の中に見出す他者は、なぜか決して他人ではない」とは「どういうことか」を答える。

無論、「原意消去」からだ。ここも「換言説明」、「決して他人ではない」の「原意」と結びつかない選択肢を「消去」したい。各選択肢の「文末」を確認する。(ア)「自他の境をたやすく溶解させたということ」、(イ)「彼の存在自体を祝福しているということ」、(ウ)「他者を確実に捉えさせたということ」、(エ)「自分も同じ願望を持っているのだと確信したということ」。「他者は他人ではない」のだから、「自他の境を溶解させた」、(イ)「彼を祝福」、(ウ)「他者を捉えさせた」、これらは「消去」すべきだと判別できるはずだ。しかし、「自分も同じ願望を持っている」を残していいのか、確信が持てないかも知れない。そこで、「同一意味段落」を確認する(「論説文」「随筆」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。前文で「それ(=闇の中に消えた男)を彼は彼自身の姿と見て」と述べられている。(エ)の「闇に消えた他者を見て、自分も同じ願望を持っていると確信」という内容と結びつく。したがって、「答え」は(エ)だ。結果的に本問も「一発消去」。ただし、念のために前後の「文脈」を確認するということも肝要だと心得よ。

<時間配分目安:1分強>

[問七] 「理由説明選択肢」(4択)。
傍線部(7)「命知らずのダイバーであり、光の探索者なのかも知れない」と「筆者が考えるのはなぜか」を答える。

先ずは「原意消去」だが、ここは「理由説明」なので、各選択肢の「文末」が傍線部の「直接的理由」として成立しているかどうかで「消去」していく。要は「(文末)だから」⇒「『光の探索者なのかも知れない』と筆者は考える」とつながるのかということだ。確認してみたい。(ア)「光を手にするためだと共感を覚えたから」⇒「『光の探索者なのかも知れない』と筆者は考える」、(イ)「幸福を希求しているのだと考えるから」⇒「『光の探索者なのかも知れない』と筆者は考える」、(ウ)「光に彩られた世界に到達できるといえるから」⇒「『光の探索者なのかも知れない』と筆者は考える」、(エ)「好奇心の表れであると感動したから」⇒「『光の探索者なのかも知れない』と筆者は考える」。さあ、どうだろうか? すぐに何かに気づきたい。設問は「考えるのはなぜか」と、「現在形」で問われている。よって、「覚えたから」「感動したから」と、「過去形」で説明している(ア)(エ)は「消去」できなくてはいけない。残りは2択。「光の探索者」なのだから、「到達」とある(ウ)は「消去」で、「希求」となっている(イ)が「答え」だと判別できるはずだ。「国語」でも「時制」にこだわること。それが「選択肢消去」のひとつのオプションとなるのだ。

<時間配分目安:2分半>

【大問2】

  • 時間配分:

人を楽しませる能や狂言、歌舞伎、落語といった芸能が、形を変えながらも、現代まで連綿と受け継がれてきたのは、その根底に流れる人生の苦楽、機微という共通項があったからだ――鎮魂、勧善懲悪、さとり、わらい……人の営みのある限り、逃れられない永遠のテーマをさまざまな芸能に託し、日本人の「価値観」や「死生観」を論じている。本文では、「色即是空」とは「色(物質)が不変の実体を持たない空(縁起によって成立したもの)であることだが、世界が、「空即是色」(空は何もない空虚ではなく、さまざまな原因・条件が集まって色として現象するということ)として取り戻されれば、世界は縁起において全てが連動する生きた動きの膨大な総量として溢れ出ると指摘している。「倫理用語」について論じているので、分かりづらい部分があるはずだ。ただ、小問は「換言説明」「理由説明」を中心とした「選択肢設問」だけなので、しっかりと解き切ってほしい。以下、いくつか確認してみたい。

[問一] 「理由説明選択肢」(4択)。
傍線部(1)「縁起という言葉も理解が難しい言葉である」について、「それはなぜか」を答える。

先ずは「原意消去」だが、「理由説明」なので、例によって各選択肢の「文末」が傍線部の「直接的理由」として成立しているかどうかで「消去」していく。要は「(文末)だから」⇒「理解が難しい」とつながるのかということだ。確認したい。(ア)「使用範囲が限定され実用的ではないから」⇒「理解が難しい」、(イ)「日常的に使用しない意味で使われているから」⇒「理解が難しい」、(ウ)「語の概念を知らないから」⇒「理解が難しい」、(エ)「語の意味が変わってしまうから」⇒「理解が難しい」。「理解が難しい」のだから、(ア)(エ)は「消去」でいいはず。つぎに「同一意味段落」に「根拠」を求めて、さらなる「消去」をしたい。次文で「これ(傍線部での『縁起』の意味)を、縁起がいいとかわるいとかいう、日常語の縁起と最後まで区別できない者もいる」と説明されている。(イ)は「『縁起』という言葉に複数の意味があり」、(ウ)は「高校で『倫理』を履修しなかったため」となっている。であれば、(ウ)は「消去」だ。よって、「答え」は(イ)だ。本問では「2段階消去」だった。このように「段階的消去」が求められる「選択肢設問」もあると心得よ。

<時間配分目安:2分>

[問二] 「換言説明選択肢」(4択)。
傍線部(2)「私たちの身体は縁起によって成立している」について、「それはどういうことか」を答える。

「原意消去」からだ。「成立している」の「原意」と、各選択肢の「文末」を照合して「消去」していきたい。確認する。(ア)「喜ぶべきである」、(イ)「支配されているのである」、(ウ)「なくしてしまうのである」、(エ)「持ち続けているのである」。「成立している」ということは、(ア)(イ)(ウ)は全て「消去」できるはずだ。以上終了だが、何か不安だな、という諸君のために、一応、「同一意味段落」を確認しておく。前の3行から、「私たちの身体は多くの分子の結合によってできており、それらの結合は生きている間は平衡を保っているが、死ねばそれらも解けて私たちはいなくなる、それが『縁起によって成立する』ということだ」と分かる。(エ)で説明されている「(私たちの身体は)様々なものが集まって形成され続けているが、同時に常に消滅する可能性も持ち続けている」ことと合致している。「答え」は(エ)で問題ない。実に端的な「一発消去」ではないか。「原意消去」、フル活用したい。

<時間配分目安:30秒>

[問六] 「理由説明選択肢」(4択)。
傍線部(6)「物事を『固定的なものとみ』たほうが便利で手っ取り早い」について、「それはなぜか」を答える。

各選択肢の「文末」が、傍線部文末の「便利で手っ取り早い」の「直接的理由」として成立しているかどうかで「消去」していきたい。各選択肢を確認する。(ア)「簡単に再現できるから」、(イ)「容易にできるから」、(ウ)「たやすく取り扱うことができるから」、(エ)「成功を収めることができるから」。「便利で手っ取り早い」の「直接的理由」なので、(エ)は即「消去」可能。残りは3択だ。「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要」という「重要解法」)で「手がかり」を探したい。直前に「簡単に生きるためには、複雑に〈連動〉する〈動き〉の相なんぞは無視して」とある。残りの選択肢の他の部分の説明は、(ア)「たとえ目の前の物事が失われたとしても」、(イ)「何か一つの要素が失われても他の物事に影響することはなく」、(ウ)「複雑な関係を考えずに目の前に生じた物事のみを便宜的に取り出すと」となっている。「複雑に〈連動〉する〈動き〉の相」を「無視」するのだから、「物事」や「要素」が「失われ」と説明されている(ア)と(イ)は不適切で、「消去」できると判別すべきだ。それらに対して、「複雑な関係を考えずに目の前に生じた物事のみを取り出す」とある(ウ)は特に誤ってはいない。したがって、「答え」になる。やや手間暇のかかる小問だった。たまにはこうした問題もあるということだ。

<時間配分目安:3分>

[問七] 「内容説明選択肢」(4択)。
傍線部(7)の「私たちの世界は、縁起において全てが連動する、生きた動きの膨大な総量として溢(あふ)れ出るだろう」という記述から「筆者のどのような考えがうかがわれるか」を答える。

本大問で唯一の「換言説明」「理由説明」以外の「選択肢設問」だ。ここまでに流されることなく、頭を切り替えて臨みたい。とはいっても、先ずは「原意消去」を試みることには変わりない。「溢れ出る」の「原意」から「うかがうこと」ができない「考え」の選択肢を「消去」することになる。各選択肢の「文末」を確認する。(ア)「多くの個性が発する豊かさで彩られているのだという考え」、(イ)「多種多様な現象がもたらす豊かさへと足を踏み入れるのだという考え」、(ウ)「あらゆる現象が消え去る直前の豊かさに満ちていることに気づくのだという考え」、(エ)「流動する世界から生み出され続ける豊かさと出会うことができるのだという考え」。さあ、どうだろうか? ここまでいくつかの「原意消去」をこなしてきたわけだが、その真価がここで問われている。「一発消去」できるか? 「溢れ出る」、つまり「溢れ出している」のだから、勿論、「彩られている」や「足を踏み入れる」ではなく、さらに、「満ちている」ということは「溢れ出して」はいないので、「生み出され続ける」以外は「消去」できるはずだ。(エ)は他の部分の説明も特に誤ってはいない。よって、「答え」となる。尚、傍線部は本文の「最終段落」なので「論旨直結」だということも意識しておきたい。

<時間配分目安:1分以内>

【大問3】

  • 時間配分:

例年【大問三】は「総合的知識問題」。本年度は2問とも「二字熟語」に関する小問だ。例年と比して若干平易になっている。無論、油断は禁物だ。以下、確認してみよう。

[問一] 「空所補充の熟語判別と記述」(全6問)。
示されている(1)~(6)の文の空所【    】に「あてはまる語」を オンコウ・カイダク・カツアイ・カンサン・シュウイツ・シュコウ の中から選び、「漢字に直して」答える。

的確に「文脈」を捉えて「熟語」を特定していくこと。それぞれの「答え」を確認したい。(1)「【    】とした会場」⇒「~とした」につながるものとしては「カンサン」か「シュコウ」だが、「会場」を修飾する⇒「カンサン」、「答え」は「閑散」。(2)「【    】を凝らした催し物」⇒「凝らした」につながる⇒「シュコウ」、「答え」は「趣向」。(3)「急な依頼を【    】する」⇒「依頼を」に対する「述語」⇒「カイダク」、「答え」は「快諾」。(4)「親しみやすい【    】な人柄」⇒「人柄」を修飾する⇒「オンコウ」、「答え」は「温厚」。(5)「中でも彼の作品は【    】だ」⇒「作品」の「述語」⇒「シュウイツ」、「答え」は「秀逸」。(6)「残念ながら部分的に【    】する」⇒「カツアイ」、「答え」は「割愛」。万が一、ひとつでも「漢字」が怪しい諸君がいたら、「知識」の習得不足だと自覚せよ。

<時間配分目安:全問で3分強>

[問二] 「熟語の構成判別と記述」(全4問)。
示されている(1)~(4)と「同じ構成の熟語」を 納・路・亡・無・税・道・策・興 の「漢字を組み合わせて」答える。

「中学入試」では頻出の「熟語の構成」、「高校入試」の準備としては意外と抜け落ちているかも知れない。それぞれの「答え」を確認する。(1)「完了」⇒「類義」の「漢字」の組み合わせ⇒「答え」は「道路」。(2)「登山」⇒最初の「漢字」が「述語」で次が「目的語」や「補語」の組み合わせ⇒「答え」は「納税」。(3)「否定」⇒「打ち消し」の「接頭語」との組み合わせ⇒「答え」は「無策」。(4)「明暗」⇒「対義」や「対」の「漢字」の組み合わせ⇒「答え」は「興亡」。「中学入試」で定番の「パズル」のような「知識問題」にも対応できるようにしておきたい。

<時間配分目安:全問で2分弱>

攻略のポイント

●「換言説明」「理由説明」などが連なる「選択肢設問」。同じような「設問」が続き惰性で解いてしまう恐れがある。どう「攻略」するか? ポイントはいかに「解法」を的確に用いるかだ。「設問内容」の「細部」にまでこだわり、それぞれに応じた「解法」に則して段階的に解いていくことが重要。基本的「解法」を完全に習得し適切に応用できるようにしておくこと。

●多種多様な「総合的知識問題」はどのように「対策」すべきか? 「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」、さらには、多彩な「副詞」の「意味」までも押さえておきたい(「オノマトペ」なども頻出)。当然、「敬語」も含め「文法」も完璧に。さらに、「文学史」などの「国語常識」も必須事項だ。「国語」の「合格ライン」は6割強(8年間の「合格者平均得点率」は65.0%、本年度は昨年度よりやや下がって65.2%)で、準備することが確実に得点に反映する「知識」での「高得点」は合格に大いに貢献する。

●「説明記述」にも対策は不可欠。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。「内容」から優先順位を特定し、高いものから積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習すること。

●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は5000字程度(本年度は減少して約4200字)。速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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