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日本女子大学附属高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2021年度「日本女子大学附属高等学校の国語」
攻略のための学習方法

知識

前述のとおり「直接出題」も多いが、「本文読解」等でも必然的に問われることになる日女の「総合的知識問題」。いかなる「攻略法」があるのか?

「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。

過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。

要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されているし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。

特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

解法

「日女の国語」の「選択肢設問」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。

そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。

そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

記述

「日女の記述対策」は「問題解説」及び「攻略ポイント」のとおりだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。

そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。30~40字程度で書いてみる(日女の典型的な「記述」の練習にもなる)。

無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。

「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。

速読

大学入試にも匹敵するボリュームの問題文を読まなくてはならない。全体で5000字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。

やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。

「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。日女に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

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2021年度「日本女子大学附属高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問?は「随筆(ノンフィクション)」、出典は角幡唯介「極夜行前」(文字数約2300字)。小問は全6問(解答数12)。「選択肢」(「換言説明」「内容説明」「理由説明」)、「説明記述」(「30字以内指定」1問)、「漢字の書きとり」(全5問)。問題文は3分弱で読み切り、設問を20分強で解きたい。
大問?は「論説文」、出典は井上雅人「ファッションの哲学」所収の「ファッションと世界の行方」(文字数約2700字)。小問は全9問(解答数9)。「選択肢」(「換言説明」と「内容説明」)、「択一の語句記述」(全2問)。問題文は3分半ほどで読み切り、設問を17~18分で解きたい。
大問?は「総合的知識問題」。「ことわざ・慣用句」。小問なし(解答数5)。「選択肢」のみ(全て「空所補充漢字記述」と「意味選択」)。5分強で解きたい。

【大問一】

  • 時間配分:

太陽の昇らない冬の北極を一匹の犬とともに旅をし、4か月ぶりに太陽を見るという誰も真似できない大冒険を描いたノンフィクション作品「極夜行」。筆者がその「極夜行」を完遂させるために要したプロセスを描いたものが本作品だ。本文では、カナダ北極圏の太陽が昇らない季節である「極夜」に筆者が行ってみたいと考えるようになった理由や、行くためのリサーチ、本格的な「極夜探検」の偵察(ていさつ)に出発するまでの思いなどが述べられている。内容は容易く理解できる。本校としてはオーソドックスな小問が並び、難易度は標準レベル。確実に得点を重ねたい大問だ。以下、いくつかを検証する。

[問一] 「漢字の書きとり」(全5問)。
本文中の二重傍線部(A)~(E)の「カタカナ」を「漢字」に直す。例年と比較してやや平易だ。当然ながら、「全問正解」といきたい。確認する。
(A)「理由はタンジュンだ」=「単純」⇒文字通り単純だ。
(B)「私たちの生命をリツドウさせる太陽」=「律動」⇒本年度唯一の難問か? 「文脈」から「規則的に運動が繰り返す」⇒「律動」と特定したい。
(C)「獣脂ランプをタヨりに越冬する」=「頼(り)」⇒問題なし。
(D)「肉と脂をチョゾウ」=「貯蔵」⇒まさに基礎レベル。
(E)「地元警察にソッコク拘束(こうそく)されてしまう=「即刻」⇒「書きとり」の定番だ。本校志望者はあらゆる難易度の「漢字」にも対応できることが求められている。

<時間配分目安:全問で2分>

[問二] 「換言説明選択肢」(4択)。
傍線部(1)の「旅の手法はマニュアル化されており」とは「どういうことか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは、「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「換言説明」なので、「マニュアル化」の「原意」と、各選択肢の「文末」が結びつかないものを「消去」したい(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。確認する。
(ア)「想定通りの旅をしているということ」、(イ)「未知と出会える旅をしているということ」、(ウ)「自分好みの旅をしているということ」、(エ)「流行を先取りした旅をしているということ」。「マニュアル」は誰もが知っている一般常識。要は「手引書、取扱説明書」ということなので当然、(ア)以外は「消去」だ。「同一場面」を確認して(「随筆」「小説」では「同一場面」の「直前直後」に「根拠」や「手がかり・ヒント」がある)、他の部分の説明も特に誤ってはいないことが分かるので、「答え」は(ア)でいい。畏るべし! 「一発消去」だ。「選択肢設問」では先ず「原意消去」を試みること。

<時間配分目安:1分弱>

[問三] 「条件付き理由説明記述」(「30字以内」指定)。
傍線部(2)「情報が過多になったことによる現代人の想像力の貧困」について、「なぜ情報が過多になると現代人の想像力は貧困になるのか」を「三〇字以内」で説明する。「条件」は「本文中の表現を用いて説明する」こと。
「情報過多」と「現代人の想像力」について、「同一場面」から読み解いていきたい。傍線部の後は全て「具体例」なので、その前、特に前段落を確認する。そこでは、「われわれはどこからともなく与えられる情報に満足し」「それがすべてであると」「みなして」おり、「本当の未知など」「この世に存在していないかのように」思っているといったことが読み解ける。つまり、「われわれ」は「与えられる情報に満足し、本当の未知などこの世に存在していないと思い、考えようとはしない」⇒だから、「想像力は貧困になる」と判断できるはずだ。あとは、「条件」を考慮して「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「与えられる過剰な情報に満足し、本当の未知を考えなくなるから。」(30字)といった「答え」になる。「説明記述」では、正否のポイントとなる「最重要要素」を必ず「文末」としてまとめること(「理由説明」では「直接的理由」)。

<時間配分目安:2分半>

[問四] 「空所補充の語句選択肢」(全3問/4択)。
本文中の空所 Ⅰ ~ Ⅲ に「あてはまる接続語」を答える。選択肢は「接続詞」と「副詞」、本校に限らず定番の問題だ。「接続詞」では「逆接」以外には十分に注意しなくてはいけない。「逆接」以外だと、どれもあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの「接続詞」の「意味・用法」を的確に押さえた上で、「文脈」を確認する必要がある。また、段落冒頭の「接続詞」は前段落全ての内容を受けているので注意すること。各空所の「答え」を確認していきたい。
Ⅰ には「逆接」の「接続詞」である(ウ)「しかし」、 Ⅱ には「例示」の「副詞」である(エ)「たとえば」、 Ⅲ には「順接」の「接続詞」である(ア)「だから」がそれぞれあてはまる。「接続詞」「副詞」などの「空所補充」は頻出だ。失点は致命的になると心得よ。尚、問題文に「接続語」とあるが、これは「用法」のことであり「品詞」ではないので要注意。

<時間配分目安:全問で1分半>

[問五] 「理由説明選択肢」(4択)
傍線部(3)「古代の太陽崇拝者を理解しようとする人は北極で一冬過ごすべきだ」について、「このように言えるのはなぜか」を答える。先ずは「原意消去」だが、ここは「理由説明」なので、各選択肢の「文末」が傍線部の「直接的理由」として成立しているかどうかで「消去」していく。要は「(文末)だから」⇒「太陽崇拝者を理解できる」とつながるのかということだ。確認してみたい。(ア)「太陽のいらない生活を送れるようになるから」、(イ)「太陽の偉大さを感じることができるから」、(ウ)「太陽を求めた心境を知ることができるから」、(エ)「太陽への信仰があつくなるから」。さあ、どうだろうか? 「太陽崇拝」なのだから、(ア)(ウ)はそのまま「消去」できなくてはいけない。それだけか?否、「古代」の「太陽崇拝者」を理解するのに「理解しようとする人」の「信仰があつくなる」ことは無関係に決まっている。よって、(エ)も「消去」できるはずだ。「同一場面」から、他の部分の説明も特に誤ってはいないと判断できる。したがって、「答え」は(イ)になる。「理由説明」での「原意消去」は、「直接的理由」で判別することが肝要だ。

<時間配分目安:1分半>

【大問二】

  • 時間配分:

「服を着る」ということはどういうことか? 「自己表現としてのファッション」なのか? あるいは、あくまで「衣」としての機能が果たせればいいのか? 「服を着る」ことが、知らぬ間に社会を変えているのだとしたら――身体、メディア、社会の変化、モードの意味、ブランドの意義、貧困と格差、環境への負荷など、さまざまな視点から「服を着る」ことの本質的な意味を論じている。本文では、ファッション研究は、身体と人工物を通して、人々の自己規定などとの関わりを解明する学問だと規定し、ファッションが人間の姿の提案である以上、その提案には人間がどのような存在であるかが明示されなければならないと論考している。身近なテーマなので内容は理解しやすいはずだ。「択一式語句記述」といった風変わりな設問以外は「換言説明」および「内容説明」の「選択肢設問」、流されないようにしたい。以下、いくつか確認してみたい。

[問二] 「空所補充の語句記述」(全2問/2択/複数完全解答)。
本文の空所 には、「『形態』または『生態』いずれかの語が入る」が、「あてはまる語」をそれぞれ答える。2つの空所はそれぞれ3箇所ずつあるので、自分が分かりやすいと考えるどこかひとつで特定すればいいわけだ。どこでも構わないが、最初の空所部が端的で判別しやすいだろう。確認する。「衣服の研究には、大きく 学的なアプローチと、学的なアプローチがある」とあり、続けて「つまり、どのような形をしているのかと、どのように使われているのかという二つの捉え方だが、……」と説明されている。もう分かったはずだ。前者は「形」がポイントなのだから無論、=「形態」、よって、=「生態」が「答え」になる。不思議な問題ではあったが、動ずることなく的確に対応すれば解くことができるのだ。

<時間配分目安:全問で1分半>

[問四] 「換言説明選択肢」(4択)。
傍線部(3)の「より多角的に人間を研究すること」とは「どういうことか」を答える。先ずは「原意消去」。 ここでは「換言説明」なので、「研究すること」の「原意」と結びつかないものを「消去」していきたい。各選択肢の「文末」と照合する。(ア)「発見すること」、(イ)「突きつめること」、(ウ)「明確にすること」、(エ)「確定すること」。「研究」の「究」は「きわめる」ことだと誰もが「知識」として定着しているはず。であれば、「突きつめる」以外は「消去」でいいと判別できて当然だ。「同一意味段落」を確認して(「論説文」では「同一意味段落」に「根拠」「手がかり」がある)、他の部分の説明も特に誤ってはいないことが分かるので、「答え」は(イ)。見事な「一発消去」。「原意消去」は「論説文」であっても徹底活用すべし。

<時間配分目安:1分弱>

[問五] 「換言説明選択肢」(4択)。
傍線部(4)の「『ファッション』という概念を捉え直し、世界を認識し創造する道具にすることである」とは「どういうことか」を答える。無論、「原意消去」から。 ここも「換言説明」、「道具」の「原意」と結びつかないものを「消去」していきたい。当然ながら、傍線部から一種の「比喩表現」だということは分かるはず。そのことを踏まえて、各選択肢の「文末」と照合したい(「文末の最後」は全て「となるということ」なので、その直前をチェック)。(ア)「視点」、(イ)「動機」、(ウ)「原資」、(エ)「観点」。「道具」とは要するに「媒介とするもの=手段」のことなので、「動機」と「原資」は「消去」できるはず。その上で「世界を認識し創造する道具」だということを考え合わせると、(ア)の「新しい歴史を知るための(視点)」は「消去」で、(エ)の「新しい価値を追い求める(観点)」がふさわしいと判別できなくてはいけない。「同一意味段落」から他の部分の説明も特に誤ってはいないと判断できる。「答え」は(エ)になる。「原意消去」では「比喩表現」には注意する必要があるが、「原意」を無視してはならないと心得よ。

<時間配分目安:1分強>

[問六] 「換言説明選択肢」(4択)。
傍線部(5)の「ファッションという世界観が通用しなくなる」とは「どういうことか」を答える。最優先は「原意消去」。 やはり「換言説明」なので、「通用しなくなる」の「原意」と結びつかないものを「消去」する。各選択肢の「文末」の確認。(ア)「変わらなくなるということ」、(イ)「見られなくなるということ」、(ウ)「求めなくなるということ」、(エ)「できなくなるということ」。さあ、どうか? 「消去」できるか? 視点を変えて「文法的用法」でアプローチしてみたい。「通用しなくなる」⇒「通用することができなくなる」という「意味用法」だと分かるはず。よって、「不可能」という説明をしている(イ)(エ)以外は「消去」でいい。次に、「世界観が通用しなくなる」に着目すると、「ファッションしか(見られなくなる)」とある(イ)ではなく、「社会を見ることが(できなくなる)」となっている(エ)が残ると判別できるはず。他の部分の説明も特に誤ってはいない。したがって、「答え」は(エ)だ。「原意消去」では、「文法」や「時制」、「文体」などのオプションもあると心得よ。

<時間配分目安:1分半>

[問八] 「内容説明選択肢」(4択)。
傍線部(7)の「私たちの社会は、流動性を失い、再び固定された身分秩序の中に収まろうとしているのだろうか」という記述から、「筆者のどのような考えがうかがえるか」を答える。本問は「内容説明」なので単純ではないが、「原意消去」を試みることに変わりはない。傍線部の中では、「固定された身分秩序」の「原意」での判別が分かりやすい。各選択肢の「文末」だけに限らず、「身分秩序」に着目して「消去」したい。チェックする。(ア)「かつての身分秩序」、(イ)「かつての身分秩序」、(ウ)「決められた身分の中」、(エ)「かつての身分秩序」。あれれ、(ウ)以外は全て同じだ。2択、どちらを「消去」するか? 「身分秩序」だから(ウ)を「消去」? 甘い! 「身分秩序」≒「身分の中」とは考えられるが、「固定された」と「かつての」では全く結びつかない。よって、(ウ)以外を「消去」しなくてはいけない。「同一意味段落」を確認して、他の部分の説明もOKだ。したがって、「答え」は(ウ)になる。奇跡の「一発消去」。変則的ではあったが、少しだけ頭を捻れば大いなるショートカットに繋がるというわけだ。

<時間配分目安:2分弱>

【大問三】

  • 時間配分:5分

例年【大問?】は「総合的知識問題」。昨年度は、意表を突く「全6問/32択」という「文学史」のみだったが、本年度はオーソドックスな「ことわざ・慣用句」。しかも全て平易で、本校志望者であれば「全問正解」が必須だ。一応、確認してみよう。

[問] 「空所補充の漢字記述および意味の選択肢」(全5問/選択肢は8択/複数完全解答)。示されている5つの「ことわざ・慣用句」の空所【 】~【 】に「入る色」を「漢字」で答えた上で、それぞれの「意味」を答える。「答え」をチェックする。(1)「朱に交われば【 】くなる」⇒中学入試レベルで、「朱に交われば【赤】くなる」、「意味」は選択肢(ウ)の「人は環境によって良くも悪くもなるということ」。(2)「【 】羽の矢が立つ」⇒定番中の定番、「【白】羽の矢が立つ」、「意味」は(オ)「多くの中から特に選ばれて指名されること」。(3)「山【 】水明」⇒必須定着語彙の「四字熟語」、「山【紫】水明」、「意味」は(キ)「景色が清らかでこの上なく美しい様子」。(4)「【 】雲の志」⇒若干、戸惑うか? 「【青】雲の志」、「意味」は(カ)「出世して高い地位にのぼろうとする希望」、(5)「大【 】柱」⇒馴染みが薄いかも知れないが……、「大【黒】柱」、「意味」は(イ)「一家・団体の中心となって支えている人物のこと」。本校では、あらゆる「語彙力」が問われると心得よ。

<時間配分目安:全問で5分弱>

攻略のポイント

「換言説明」「理由説明」などが連なる「選択肢設問」。同じような「設問」が続き惰性で解いてしまう恐れがある。どう「攻略」するか? ポイントはいかに「解法」を的確に用いるかだ「設問内容」の「細部」にまでこだわり、それぞれに応じた「解法」に則して段階的に解いていくことが重要。基本的「解法」を完全に習得し適切に応用できるようにしておくこと。

●多種多様な「総合的知識問題」はどのように「対策」すべきか? 「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」、さらには、多彩な「副詞」の「意味」までも押さえておきたい(「オノマトペ」なども頻出)。当然、「敬語」も含め「文法」も完璧に。さらに、「文学史」などの「国語常識」も必須事項だ。「国語」の「合格ライン」は6割台半ば(昨年度までの9年間の「合格者平均得点率」は69.1%、昨年度は73.1%。本年度は非公表)、準備することが確実に得点に反映する「知識」での「高得点」は合格に大いに貢献する。

「説明記述」にも対策は不可欠正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。「内容」から優先順位を特定し、高いものから積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習すること。

試験時間は50分時間配分にも細心の注意をすること。問題文は5000字程度(本年度は約5000字)。速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ

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