日本女子大学附属高等学校 入試対策
2022年度「日本女子大学附属高等学校の国語」
攻略のための学習方法
知識
前述のとおり「直接出題」も多いが、「本文読解」等でも必然的に問われることになる日女の「総合的知識問題」。いかなる「攻略法」があるのか?
「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。
過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。
要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されているし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。
特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。
解法
「日女の国語」の「選択肢設問」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。
そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。
そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
記述
「日女の記述対策」は「問題解説」及び「攻略ポイント」のとおりだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。
そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。30~40字程度で書いてみる(日女の典型的な「記述」の練習にもなる)。
無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。
「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。
速読
大学入試にも匹敵するボリュームの問題文を読まなくてはならない。全体で5000字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。
やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。日女に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。
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2022年度「日本女子大学附属高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問?は「随筆」、出典は阿久津隆「本の読める場所を求めて」所収の「おひとりさまが主役になる」(文字数約2600字)。小問は全8問(解答数12)。「選択肢」(「換言説明」「内容説明」)、「抜き出し」(1問)、「説明記述」(「15字以内」と「40~50字以内」指定の2問)、「漢字の書きとり」(全5問)。問題文は3分程度で読み切り、設問を22分ほどで解きたい。
大問?は「論説文」、出典は信原幸弘編著「時間・自己・物語」(文字数約1900字)。小問は全6問(解答数6)。「選択肢」のみ(「換言説明」「内容説明」と「本文内容合致」)。問題文は2分半ほどで読み切り、設問を17分程度で解きたい。
大問?は「総合的知識問題」。小問は全2問(解答数8)。「四字熟語の誤字訂正記述」(4問)と「同音異義語正誤判別および訂正記述」(4問)。5分ほどで解きたい。
【大問一】
- 時間配分:
本を、読む。こんなシンプルなことが、どうして放っておかれているのか――なぜか語られてこなかった「読む場所」をめぐって、葛藤し、考えぬいた先に見えてきたものとは?
「読書」を突き抜けて、「場づくり」「孤独」「文化」「公共」までをも視野に入れ、「きれいごとをちゃんと欲望しよう」と思いを馳せている。本文では、「本の読める店」では「読書の公共圏」とでも呼んでみたくなるような磁場がつくられ、読書をする人同士が敬意を表し合う空気ができあがると述べている。内容は難なく理解できる。本校としてはオーソドックスな小問が並んでいる。難易度は標準レベルなので、迅速かつ確実に得点を重ねたい大問だ。以下、いくつかを検証する。
[問一] 「漢字の書きとり」(全5問)。本文中の二重傍線部(A)~(E)の「カタカナ」を「漢字」に直す。昨年と比較して格段と難易度が上がっている。だが、本校志望者であれば何とか失点は避けたい。確認する。(A)「異国の地でドウホウを見つけたとき」=「同胞」⇒これは問題ないはず。「同じ国民、民族」のことだ。(B)「ジバがつくられる」=「磁場」⇒「文脈」を的確に捉えること。(C)「敬意は敬意を呼び敬意をゾウフクさせる」=「増幅」⇒これは必須定着熟語だ。(D)「なかなかシナンの業だ」=「至難」⇒「同音異義語」には注意すること。「至難の業」(=実現が極めて困難であること)という慣用表現として覚えておきたい。(E)「会話のルールも彼らを縛るものではなく、その(ゆっくりと本を読むことができなくなる)キョウイから守るものとしてある」=「脅威」⇒高校入試の「書きとり」の定番だ。本校志望者はあらゆる難易度の「漢字」にも対応できることが求められている。
<時間配分目安:全問で2分>
[問四] 「換言説明抜き出し」(「7字」指定)。傍線部(3)「寒い」について、「同じ意味合いの表現」を「七字」で抜き出して答える。「抜き出し」では、「抜き出すべき内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞っていくことが鉄則。「何」が「寒い」のかを、「傍線部一文一部の法則」に「手がかり」を求める(「傍線部が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という読解の基本となる解法)。直前に「(野球場で)サッカーの動画を見ている人がいたら」とある。よって、「野球場でサッカーの動画を見ている人がいるということ」が「寒い」と分かるので、「抜き出すべき内容」はそうした状況を表す「表現」だ。「範囲」は「同一場面」になる(「随筆」「小説」では「同一場面」の「直前直後」に「根拠」や「手がかり・ヒント」がある)。丁寧に探していく。すると、2行前に「敬意の欠落を目の当たりにするのは、寂しいし白ける。」という部分がある。ここでの「敬意」は「複数の人が場を同じくするに際して大切なもの」で、「僕はこの時間を楽しみに来ている。あなたもどうやら同じようだ。それならば、みんなが楽しいのが一番いい」という気持ちを伴った「行動」だと、「文脈」から読み取れるはずだ。であれば、「野球場でサッカーの動画を見ている人がいること」は、まさに、「敬意の欠落を目の当たりにする」ことになる。したがって、「答え」は「寂しいし白ける」(7字)だ。尚、「抜き出し候補」はひとつとは限らない。最初に見つけたものを即「答え」と断じるのではなく、必ず他の「候補」も確認し比較検討すること。
<時間配分目安:2分>
[問五] 「換言説明選択肢」(4択)。傍線部(4)の「積極的な効用」とは「どのようなものか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは、「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「換言説明」なので、「積極的」と「効用」の「原意」と、各選択肢の「文末」が結びつかないものを「消去」したい(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。確認する。(ア)「義務感から解放されるという効果」、(イ)「優越感にひたれるという効果」、(ウ)「配慮したくなるという効果」、(エ)「集中したくなるという効果」。最後は全て「効果」なので、その前の部分と「積極的」の「原意」とを照合する。「物事を進んでするさま」だということは周知のはずで、即座に「解放される」と「優越感にひたれる」は「消去」できなくてはいけない。次に、「傍線部一文一部の法則」から「他者に敬意を払う」ことの「積極的な効用」だと読み取れるので、(エ)の「読書に(集中したくなる)」ではなく、(ウ)の「他者へ(配慮したくなる)」が「答え」だと判別できる。「同一場面」を確認して、他の部分の説明も特に誤ってはいないことが分かるので、「答え」は(ウ)でいい。本問は「2段階消去」だったが、先ずは「原意消去」を試みることが鉄則。
<時間配分目安:2分弱>
[問七] 「換言説明選択肢」(4択)。傍線部(6)の「自分の中の何かを差し出すこと」とは「どのようなことか」を答える。無論、「原意消去」から。「換言説明」なので、「自分の中の何か」を「差し出す」の「原意」と、結びつかないものを「消去」する。各選択肢の「前半」は全て「公共圏を守る代償として」と同じなので、「後半」で判別したい。チェックする。(ア)「自己の存在感を消して完全な背景になろうとすること」、(イ)「本来自分の優先したかったことを我慢するということ」、(ウ)「相手を喜ばせるためにできる限りの手段を講ずること」、(エ)「自己の利益につながることを全て放棄するということ」。どうだろうか? 「消去」できるか? 「自分の中の何か」⇒「相手を喜ばせる」「手段を講ずる」および、「全て放棄する」は「消去」可能。「差し出す」⇒「背景になろうとする」は「消去」できるに決まっている。よって、「答え」は(イ)だ。畏るべし! 本問は「一発消去」だ。「選択肢設問」での「原意消去」を完全に理解し定着させ、応用できるようにすることが肝要だと心得よ。
<時間配分目安:1分強>
[問八] 「理由説明記述」(「40~50字以内」指定)。傍線部(7)「場は自然と、敬意に満ちたものになるだろう」について、「本の読める店」が「自然と敬意に満ちたものになる」のは「なぜか」を、「四〇字以上五〇字以内」で説明する。「本の読める店」については傍線部の形式段落全体で説明されている。そこから「なぜ、自然と敬意に満ちたものになるのか」を読み解いていく。「来ている」のは「ゆっくりと本を読みたい人たち」であり、「本来やりたかった、思うがままにどんな制限もなく本を読むこと」が、そのまま「周囲の同じく読書をする人たちに敬意を表す行為にもなる」と述べられている。要するに、「本の読める店」では「ゆっくりと本を読みたい人たちがきている」ので、「思うがままに本を読むことが、そのまま周囲の同じく読書をする人たちに敬意を表す行為にもなる」わけだ。あとは、「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「店にはゆっくりと本を読みたい人たちだけが来ており、それぞれが思うがままに制限なく本を読んでいるから。」(50字)といった「答え」になる。「説明記述」では、正否のポイントとなる「最重要要素」を必ず「文末」としてまとめること(「理由説明」では「直接的理由」)。
<時間配分目安:3分>
【大問二】
- 時間配分:
心の時間について考えることは、自己について考えることだ――「私」は本当に存在しているのか? そのつど構築される仮象にすぎないのではないか。「時間」は意識をどう構成するのか。時間は私たちの脳とどう関係しているのか。時間は価値にどう影響を与えるのか。「主観的時間」をめぐる哲学の謎について論じている。本文では、「現在にのみ存在する自己」は「通時的に同一である自己」より捉えやすく、「物語的自己」からは将来の自分の問題が生じると指摘している。「哲学論」ではあるが、分かりやすく論じられているので内容は理解できるはずだ。全ての小問が「換言説明」・「内容説明」および「本文内容合致」という「選択肢設問」、流されないようにしたい。以下、いくつか確認してみたい。
[問一] 「内容説明選択肢」(4択)。傍線部(1)の「通時的に同一の自己」とは「どのような自己か」を答える。本問は「内容説明」だが、「原意消去」を試みることに変わりはない。傍線部の「通時的に同一」の「原意」で判別していきたい。もちろん、各選択肢の「文末」で「消去」していく。照合する。(ア)「様々な活動を行う自己」、(イ)「自由に生きることができる自己」、(ウ)「時間軸でつながっている自己」、(エ)「一定の行動を繰り返してしまう自己」。「通時的」? 「原意」は何か? 初見かもしれない。「関連する複数の現象や体系を、時間の流れや歴史的な変化にそって記述するさま」のことだが、「通時」⇒「時間が通っている、通じている」などとは類推できるはずだ。であれば、そう、「時間軸でつながっている自己」以外は「消去」できなくてはいけない。「同一意味段落」を確認して、他の部分の説明もOKだ(「論説文」では「同一意味段落」に「根拠」「手がかり」がある)。したがって、「答え」は(ウ)。見事な「一発消去」。「原意消去」は「論説文」であっても徹底活用すべし。
<時間配分目安:1分弱>
[問三] 「換言説明選択肢」(4択)。傍線部(3)の「物語的自己なら、その存在を確保するのはそれほど難しくない」とは「どういうことか」を答える。最優先は「原意消去」。 「換言説明」なので、「確保するのはそれほど難しくない」の「原意」と結びつかないものを「消去」する。各選択肢の「文末」の確認。(ア)「定義しやすくなるということ」、(イ)「見極めやすいということ」、(ウ)「捉えやすくなるということ」、(エ)「認めやすいということ」。本校志望者であれば、瞬時に判別できなくてはいけない。「確保する」のが「難しくない」のだから、「捉えやすくなる」以外はそのまま「消去」でいい。他の部分の説明も特に誤ってはいない。故に、「答え」は(ウ)だ。再度の「一発消去」だった。尚、「原意消去」では、「言葉の意味」の些細な相違にも敏感になる必要があると心得よ。
<時間配分目安:1分弱>
[問六] 「本文内容合致選択肢」(4択)。「本文の内容」として「最もふさわしいもの」を答える。典型的な「本文内容合致判別」だ。本文は「論説文」なので「論旨合致」ということになる。「論旨」が簡潔にまとめられているのはどこか? 「論説文」の類型によって、「頭括型」は「序論部分」、「尾括型」は「結論部分」、「双括型」は「序論部分」+「結論部分」となる。本文は明らかに「尾括型」なので、「結論部分」と各選択肢の説明とを照合すればいい。そして、「結論部分」は、〔中略〕をはさんでの最後の「形式段落」だとすぐに分かるはず。たった7行だ。その要点は「将来の自分の問題には、現在の自分だけを大切にして将来の自分を大切にしないことによって将来不幸にならないためにはどんな自己制御を行えばよいのかという実践的な問題も含まれる」ということだ。各選択肢の「文末」は、(ア)「自己と時間とは抽象的かつ不明確なものなのである」、(イ)「自己と時間とは難解にして多様な問題をはらんでいるのである」、(ウ)「自己と時間とは想定される以上に具体的な思考を要求しているのである」、(エ)「自己と時間とは多角的な視座や寛容な姿勢を必要としているのである」。「実践的な問題も含まれる」のだから、無論、「多様な問題をはらんでいる」以外は「消去」できなくてはいけない。「同一意味段落」から他の部分の説明も誤っていないことが分かる。であれば、(イ)が「答え」だと判別できる。本問の選択肢説明はそれぞれ「180字ほど」もある。全てを仔細に照合していては日が暮れてしまう。やはり、「本文内容合致」でも「原意消去」は不可欠だ。尚、三類型のどれなのか判然としない場合は、念のために「序論部分」と「結論部分」の両方と照合すればいいいと心得よ。
<時間配分目安:2分強>
【大問三】
- 時間配分:
例年【大問?】は「総合的知識問題」。一昨年度は、意表を突く「全6問/32択」という「文学史」のみだったが、本年度は昨年度に引き続きオーソドックスな問題で、「四字熟語」・「同音異義語」(ともに「訂正記述」)。難易度は本校の標準レベルだ。「全問正解」をしたい。確認してみよう。
[問一] 「四字熟語の誤字訂正記述」(全4問)。示されている4つの「四字熟語」には一字だけ誤りがあるが、「誤りの一字」を抜き出し「正しい漢字」に直す。「答え」をチェックする。(1)「互越同舟」(仲の悪い者同士が、行動を共にすること)⇒中学入試レベル、できて当然⇒「答え」=「互」→「呉」。(2)「不役流行」(永久に変わらない基本と、時代とともに変わる新風)⇒大学入試レベル、定着していれば最上級者⇒「答え」=「役」→「易」。(3)「朝三夕四」(目に見える違いにこだわって、本質が同じであることに気づかないこと)⇒これまた中学入試レベル、初心者でも周知⇒「答え」=「夕」→「暮」。(4)「一日白秋」(待ち遠しくて、時間が長く思われること)⇒高校入試レベル、誰もが答えられる⇒「答え」=「白」→「千」。尚、本校では「四字熟語」に限らず、「故事成語」「ことわざ」「慣用句」等も完璧にしておくこと。
<時間配分目安:全問で2分強>
[問二] 「同音異義語正誤判別および訂正記述」(全4問)。示されている文の傍線部の「熟語」について、使い方が正しければ「〇」を記し、誤りがあれば「正しい同音異義語」に直す。確認する。(1)「人事異動が発表される」=「〇」⇒「移動」・「異動」・「異同」は定番だ。(2)「昔を思い出し鑑賞に浸る」=「感傷」⇒これまた基本、「干渉」・「緩衝」・「勧奨」・「管掌」・「完勝」にも注意。(3)「朝晩過ごしやすい紀行になってきた」=「気候」⇒「寄稿」・「機構」などと混同するはずがない。(4)「患者の病状は解放に向かっている」=「快方」⇒「同音異義語」のサンプル的熟語、「解放」・「開放」・「介抱」・「解法」・「会報」などの判別も必須。尚、「同訓異字」についても確認しておきたい。
<時間配分目安:全問で2分強>
攻略のポイント
●「換言説明」「内容説明」「理由説明」などが連なる「選択肢設問」。同じような「設問」が続き、惰性で解いてしまう恐れがある。どう「攻略」するか? ポイントはいかに「解法」を的確に用いるかだ。「設問内容」の「細部」にまでこだわり、それぞれに応じた「解法」に則して段階的に解いていくことが重要。基本的「解法」を完全に習得し適切に応用できるようにしておくこと。
●多種多様な「総合的知識問題」はどのように「対策」すべきか? 「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」、さらには、多彩な「副詞」の「意味」までも押さえておきたい(「オノマトペ」なども頻出)。当然、「敬語」も含め「文法」も完璧に。さらに、「文学史」などの「国語常識」も必須事項だ。「国語」の「合格ライン」は6割台半ば(一昨年度までの9年間の「合格者平均得点率」は69.1%、昨年度は73.1%。ここ2年は非公表)、準備することが確実に得点に反映する「知識」での「高得点」は合格に大いに貢献する。
●「説明記述」にも対策は不可欠。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。「内容」から優先順位を特定し、高いものから積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習すること。
●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は5000字程度(本年度は約4500字)。速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。