開成高等学校 入試対策
2015年度「開成高等学校の英語」
攻略のための学習方法
合格を絶対に勝ち取るための攻略的学習法について以下に項目別に述べることとする。
【1】単語力は大事である
具体的には最低でも3500単語は欲しいところ。最難関校用の単語帳(英検レベルでは準2級相当)をしっかり学習し単語力を定着させること。特に、一つの単語で多様な意味を有する単語は要注意。
例えば、figureという名詞には「人形、人物、数字、(数字の)桁、図柄、形」などの意味がある(同様な単語は他にもたくさん存在)ことなどをしっかり把握しておくこと。そうしないと、英文を正しく読むことができなくなる。
【2】文法事項
文法というものは、単にその知識を習得するだけではないことは言うまでもない。そのような知識習得は当然のこととして、開成高校合格を目指す受験生は是非次のことを念頭に焼き付けて欲しい。
『文法事項とは情報伝達の基本ルールであり、話し手・書き手は聞き手・読み手に何を本当は伝えたいのかを認識・理解するための基準である』
それでは、具体的に最低限必要な文法事項について以下に概観しよう。
①関係代名詞・関係副詞についての理解を深める
英文が長くなる主たる原因の一つである。目的格(whom/which)の省略に慣れることや、先行詞を修飾する関係代名詞に導かれた形容詞節が何処までかを( )でくくり前にある先行詞にかけて(修飾させて)訳を考えること(いわゆる『返り読み』)は行わないように。これは、最後まで読んで前に戻るという手法で時間のロスが大きい。
この場合には、関係詞に関係なく左から英文に合わせて先行詞まで一気に読み、関係代名詞以下を「そして~である」と読めるように日頃から練習を積むべきである。いわゆる『返り読み』をしないことが大切である。
②分詞構文には十分慣れておくこと
文頭に~ingがあり、それが動名詞として主語の働きをしていない場合には、分詞構文と捉えること。
分詞構文の代表的用法としては、ⅰ)時(~のとき)、ⅱ)譲歩(~だけれども)、ⅲ)理由(~なので)、ⅳ)様態(~のように)、条件・場合(~の場合は)などがある。しかも、次に述べる接続詞(as)との関係で、ⅰ)~ⅳ)をしっかり覚えること。なぜならば、asにはⅰ)~ⅳ)の全ての用法があり、さらに付帯又は時の経過(~するにつれ)という用法もあるからである。
また、-ed(過去分詞)で始まる動詞で始まる分詞構文もあるので注意すること。その場合には、従属節(条件節)が受動態の場合であることも必須知識である。
③前置詞・接続詞に注意するように
どのような場合にどの前置詞を使用するかの識別をしっかり押さえておくこと。
toがあると無条件で原形動詞があとに続くと考えてはいけない。イディオムによっては、toが前置詞(その後には名詞が置かれる)である場合には、前置詞のルールに従い原形動詞ではなく名詞の役割を持つ動名詞(~ing)が続くということも必須知識として押さえたいところ。
④仮定法は願望である
少々乱暴な言い方に聞こえるかもしれない。どういうことか。一文を例示しよう。仮定法過去(現在の事実を否定し、「こうだったらいいのになぁ」という願望)の典型的な英文を一緒に考えてみよう。
If I were a bird, I could fly the sky.
一度は目にした英文だろう。例文の動詞(助動詞)の時制は見た通り『過去』であるが、文頭にifがあるために、この英文は仮定法過去の文章となり現在の事実を否定して、現実とは逆のことを想定しているのである。つまり、現実には「私」は「鳥」ではないが、もし「鳥」ならば空を「飛ぶ」ことができる(空を飛びたい)のに、という「私」の願望が込められているのである。
⑤比較は時系列の中での比較を習得しよう
比較には2種類あることを理解して貰いたい。第1には『同時に異なる2事象以上を比較する』ということである。したがって、この場合には『比較の元』になる事象が必要なのでthan以下の表現を伴うのである。
つまり、AとBを同時に比較し『Aの方がBより背が高い(A>B)』という表現になる。第2には『時の経過の中で変化してゆく様を表す(比較する)』ということである。つまり『Aは10年たって背が伸びた(10年前に比較するとAは背が伸びてA´になった)』ということである。この様な比較の用法があることもしっかり押さえておいて欲しい。
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2015年度「開成高等学校の英語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、長文読解(物語)の総合問題。祖父と孫の少年との会話の流れを的確に把握しながら読み進めること。
<時間配分目安:12分>。
大問2は、単語知識問題。ここでのミスは許されないだろうと。
<時間配分目安:30秒>
大問3は、単語の定義の問題。5問中4問は必完答。
<時間配分目安:5分>
大問4は、長文読解(説明文)。正確な文法知識が求められ、本文とイラストとの関係性を的確に読み取れるかがカギとなる。
<時間配分目安:7分>
大問5は、長文読解総合問題。図表と本文とをしっかり対比して解答する。
<時間配分目安:7分>
大問6は、整序問題。正確な文法知識(高校初級程度)とイディオム力が不可欠である。
<時間配分目安:6分>
[大問1]長文読解(物語)
- 時間配分:
長文読解(物語)の総合問題である。
本文を読みながら、各設問に解答するスタイルで設問4を除き全体を10分強で解答したいところ。
二人の会話の流れをしっかり把握することが重要である。そのためにも、正確な文法知識と単語力が求められよう。
(問1)会話に流れをつかむこと。
特に、(8)は前の文をしっかり理解しないと正解へはたどりつけないだろう。
(問2)文の流れからどのような英文を書くかを考えよう。
その上で、与えられた英単語を用いてどのような文法事項・イディオム等が使えるかを瞬時に考える。
<時間配分目安:1分30秒>
(問3)ロゼッタ・ストーンの碑文が古代ギリシャ語で書かれているという内容と、2番目の前の文章に祖父がappという言葉を理解していないことより推測する。
<時間配分目安:1分>
(問4)本文より、『孫がペンマンシップを学んでいないので、それを知らない』ということを把握すること。
また、祖父が『孫はコンピュータだけでなく何についても学ぶべきか』についてどう考えているかを捉えること。
<時間配分目安:1分30秒>
(問5)下線部訳である。正確なイディオム力が求められる。
Aについてはbe used to~ing(~に慣れている)とused to~(~したものだった)との違いに注意。
BについてはIt is not until ~ that …(~して初めて…)は必須構文。
是非、慣れておいてもらいたい。
<時間配分目安:1分30秒>
[大問2]単語知識
- 時間配分:30秒
単語の知識問題である。ここは完答である。
[大問3]単語定義
- 時間配分:5分
単語定義問題である。
全体的には正確な単語力が問われている。各設問ともスペルミスは命取りとなる。常日頃から正確な綴り(スペル)を心掛けること。
少々手間取りそうなのは(問4)であるかもしれないが、『私は彼女だと(認識)できなかった』と考えればrecognizeが思いつくはず。
[大問4]長文総合(説明文)
- 時間配分:
説明文に関する長文総合問題。
本文を確実に把握したうえで各設問に答えること。
本文を読みながら各設問に解答するスタイル。手際よく解答したいところ。ポイントは段落構成を前提として、キーワード(抽象名詞や反復使用単語など)をしっかりと把握することである。
(問1)過去分詞の形容詞的用法についての知識があれば瞬間完答であろう。
過去分詞の形容詞的用法については、重要な文法事項であるため『攻略のための学習法』で解説する。
<時間配分目安:15秒>
(問2)下線部訳である。
必須イディオムと文法事項(『学習法』参照)は必ず習得すること。
特に、受験生にとって見慣れている等位接続詞(and/but/or)の用法はしっかり学習すること。
<時間配分目安:1分30秒>
(問3)本文の記述内容とイラストの特徴を十分に把握できれば、完答できるだろう。
[大問5]長文読解(グラフ)
- 時間配分:
グラフを見て答えさせる長文読解である。
各グラフと本文で記述されている内容とを正確に結びつけることが大事。そのためにも、グラフの特徴を迅速にかつ的確にとらえ、その上で本文をしっかり読み込むことがポイント。
(問1)本文で記述してある事柄、特に「数字」を用いて表記している部分は、有力な解答への手掛かりとなる。
(問2)内容正誤問題である。
消去法ではなく的確に正答を選択できるためには、正確な本文の内容把握が不可欠である。
各活動の人数を加算してゆけば何が一番人気があるかは自明であろう。ゲームとスポーツの人数を比較すれば正答へたどりつけるはず。
[大問6]整序問題
- 時間配分:
整序問題である。必要な知識としては、当然ながら「イディオム力」と「文法知識」である。
仮定法、不定詞の文法知識(『学習法』参照)は常識としておくことが合格のためには不可欠である。
攻略のポイント
例年通り、求められている英語力は高校レベルである。
しかも、試験時間に対する出題量のボリュームを考えると、解答時間には余裕はないと考えるべきである。そのようなレベルの入試問題に対応するために、どのような取り組みを事前に行っておくべきかについては次の『攻略のための学習法』に詳細を記載するので参照して欲しい。
ここでは、総論的な事項について以下に述べてみたい。
【1】単語力(3500~4000)、イディオム力(約1000)
【2】文法事項(①関係代名詞・関係副詞、②分詞構文、③前置詞・接続詞、④仮定法、⑤比較)
【3】長文読解力(500~700WSの長文を、ジャンルを問わず2日に1問を目標に取り組むこと)
総論的には上記のような点について留意しながら学習を進めて欲しいが、とりわけ大事なのは長文読解力である。日々怠りなく、多種多様な全国難関校の長文問題を継続的に行うことが大事である。