開成高等学校 入試対策
2020年度「開成高等学校の英語」
攻略のための学習方法
合格を絶対に勝ち取るための攻略的学習法について以下に項目別に述べることとする。
①単語力は大事である
具体的には最低でも3500単語は欲しいところ。最難関校用の単語帳(英検レベルでは準2級相当)をしっかり学習し単語力を定着させること。特に、一つの単語で多様な意味を有する単語は要注意。例えば、figureという名詞には「人形、人物、数字、(数字の)桁、図柄、形」などの意味がある(同様な単語は他にもたくさん存在)ことなどをしっかり把握しておくこと。そうしないと、英文を正しく読むことができなくなる。
文法というものは、単にその知識を習得するだけではないことは言うまでもない。そのような知識習得は当然のこととして、開成高校合格を目指す受験は是非次のことを念頭に焼き付けて欲しい。
『文法事項とは情報伝達の基本ルールであり、話し手・書き手は聞き手・読み手に何を本当は伝えたいのかを認識・理解するための基準である』
それでは、具体的に最低限必要な文法事項について以下に概観しよう。
②関係代名詞についての理解を深める
英文が長くなる主たる原因の一つである。目的格(whom/which)の省略に慣れることや、先行詞を修飾する関係代名詞に導かれた形容詞節が何処までかを( )でくくり前にある先行詞にかけて(修飾させて)訳を考えること(いわゆる『返り読み』)は行わないように。これは、最後まで読んで前に戻るという手法で時間のロスが大きい。その場合には、関係詞に関係なく左から英文に合わせて先行詞まで一気に読み、関係代名詞以下を「そして~である」と読めるように日頃から練習を積むべきである。いわゆる『返り読み』をしないとこが大切である。
③分詞構文には十分慣れておくこと
文頭に~ingがあり、それが動名詞として主語の働きをしていない場合には、分詞構文と捉えること。分詞構文の代表的用法としては、ⅰ)時(~のとき)、ⅱ)譲歩(~だけれども)、ⅲ)理由(~なので)、ⅳ)様態(~のように)、条件・場合(~の場合は)などがある。しかも、次に述べる接続詞(as)との関係で、ⅰ)~ⅳ)をしっかり覚えること。なぜならば、asにはⅰ)~ⅳ)の全ての用法があり、さらに付帯又は時の経過(~するにつれ)という用法もあるからである。また、-ed(過去分詞)で始まる動詞で始まる分詞構文もあるので注意すること。その場合には、従属節(条件節)な受動態の場合であることも必須知識である。
④前置詞・接続詞に注意するように
どのような場合にどの前置詞を使用するかの識別をしっかり押さえておくこと。toがあると無条件で原形動詞があとに続くと考えてはいけない。イディオムによっては、toが前置詞(その後には名詞が置かれる)である場合には、前置詞のルールに従い原形動詞ではなく名詞の役割を持つ動名詞(~ing)が続くということも必須知識として押さえたいところ。
⑤仮定法は願望である
少々乱暴な言い方に聞こえるかもしれない。どういうことか。一文を例示しよう。仮定法過去(現在の事実を否定しこうだったらいいのになぁという願望)の典型的な英文を一緒に考えてみよう。
If I were a bird, I could fly the sky.
一度は目にした英文だろう。例文の動詞(助動詞)の時制は見た通り『過去』であるが、文頭にifがあるために、この英文は仮定法過去の文章となり現在の事実を否定して、現実とは逆のことを想定しているのである。つまり、現実には「私」は現実には「鳥」ではないが、もし「鳥」ならば空を「飛ぶ」ことができる(空を飛びたい)のに、という「私」の願望が込められているのである。
⑥比較は時系列の中での比較を習得しよう
比較には2種類あることを理解して貰いたい。第1には『同時に異なる2事象以上を比較する』ということである。したがって、この場合には『比較の元』になる事象が必要なのでthan以下の表現を伴うのである。つまり、AとBを同時に比較し『Aの方がBより背が高い(A>B)』という表現になる。
第2には『時の経過の中で変化してゆく様を表す(比較する)』ということである。つまり『Aは10年たって背が伸びた(10年前に比較するとAは背が伸びてA´になった)』ということである。この様な比較の用法があることもしっかり押さえておいて欲しい。
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2020年度「開成高等学校の英語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、長文総合読解問題(エッセー)<15分>。
脳性小児まひをもって生まれた自分と人生を見つめるエッセーである。
大問2は、長文総合読解問題(説明文)<11分>。
走る行為が人間にどのような効果を与えるかについての科学的考察文である。
大問3は、共通語に関する適語補充問題<2分>。
大問4は、同音異義語補充問題<3分>。
大問5は、正誤問題<2分>。
大問6は、和文英訳問題<2分>。
大問7は、リスニング問題<15分>。
【大問1】長文読解総合(エッセー)の問題
- 時間配分:15分
生まれながらに脳性小児まひである「私」が、生きていく上でどのようにそのハンディを捉え、他人と関わっていくかというエッセーである。
(問1)適語問題<1分>
設問の英文は比較構文を用いた英文である。比較構文で重要なことは、「何」と「何」を比較しているのかということである。
(問2)整序問題<2分>
どのような英文を作るかについて、文脈に従って考えよう。そのためにも、与えられた語群の中からS(I)とV(thought)を初めに確定すること。
(問3)英文和訳問題<3分>
’it’が何を指しているのかを初めにしっかり把握すること。
(問4)適切文選択問題<3分>
各空欄の前後を注視し、適切な選択肢を選らぶ。例えば、4-5は身体的な障害を持った人間に対して、人々がなぜ不親切になってしまうのかについての理由を述べている箇所である。
(問5)適語補充問題<1分>
関係代名詞の知識を用いて省略されている単語を考察する。
(問6)整序問題<1分>
整序問題の鉄則は、部分的につなぎ合わせ全体的に仕上げるということ。イディオム・文法知識は必須。
(問7)英文和訳問題<2分>
‘could’の用法については、普段からしっかり研究を行っておくこと。
(問8)内容正誤問題<2分>
問題文の中で、筆者は自分に対する周りの考え方や接し方を変えるのは、結局「自分が変わること」なのであると気が付いたことを手掛かりにする。
【大問2】長文総合(説明文)の問題である
- 時間配分:11分
’running’が人間の肉体に与える影響を科学的に考察した英文である。
(問1)空欄適語選択問題<1分>
(1)~(4)に適語を選択する問題であるが、どれも基本イディオムである。(4)「足で」移動するのか、「車、電車などで」移動するのかで使用する前置詞(on または by)は異なってくる。
(問2)共通適語補充問題<2分>
「終わっている、終了する」という意味の単語を補充する。「ゲームが終了(=over)する」でなじみがあるだろう。
(問3)適切語句選択問題<1分>
わずか26.2マイルという距離は、タラフマラ族にとってどのように感じたのか。彼らは80マイル以上を走っているのである。
(問4)指示語問題<2分>
‘this’は指示語であり、直前の内容を指している。
(問5)要旨把握問題<2分>
下線部(8)の内容をしっかり把握すること。‘makes sense’は「意味を持つ、理に適う」という意味である。
(問6)整序問題<3分>
直前にある‘understand’の目的語を選択する。to不定詞の知識、‘imagine’の用法についての知識を押さえておくこと。
【大問3】共通語補充問題
- 時間配分:2分
一つの単語が異なる意味を持つ単語についての知識を問われている。(5)は「最後に(副詞)」と「続く(動詞)」の意味を持つ‘last’である。
【大問4】同音異義語補充問題
- 時間配分:3分
同音異義語を考える問題である。(1)「標高がより高い」という意味の「higher」と「人を雇う」という意味の「hire」である。
【大問5】正誤問題
- 時間配分:2分
基本的な文法知識を問う問題。瞬間的に正誤判断ができるようにして欲しい。オは、‘at first’の用法(初めてその後の状況が変化する場合に使用する)についての知識を確認しておくこと。
【大問6】和文英訳問題
- 時間配分:2分
「~の3倍」、「暗記する」などの表現は、常識化しておくこと。
攻略のポイント
例年通り、求められている英語力は高校初級レベルであるが、実態的には英検で考えると準2級以上のレベルは欲しい。一つ一つの設問内容は、比較的標準レベルであるが、自分の知識の引き出しの中に蓄積させている「知識の山」から、最適な知識(道具)を取り出せるか否かがポイントとなる。
また、日頃から解答時間を自分で計り、感覚的に時間の尺を自分の体に叩き込む必要がある。具体的には、1分間で100wsを読めるスピード感を養おう。単語力は、最低でも3500単語は欲しい。
文法知識は、関係代名詞、分詞構文、前置詞、仮定法、比較、準動詞の知識と例文はしっかり理解しておくことが大事である。書き換え問題では話法も押さえておきたい。
難関校対策として様々なジャンルの英語長文読解総合問題(700ws)を2日に1題を目標に取り組んで欲しい。