開成高等学校 入試対策
2022年度「開成高等学校の英語」
攻略のための学習方法
合格を絶対に勝ち取るための攻略的学習法について以下に項目別に述べることとする。
①単語力は大事である
具体的には最低でも3500単語は欲しいところ。最難関校用の単語帳(英検レベルでは準2級相当)をしっかり学習し単語力を定着させること。特に、一つの単語で多様な意味を有する単語は要注意。例えば、figureという名詞には「人形、人物、数字、(数字の)桁、図柄、形」などの意味がある(同様な単語は他にもたくさん存在)ことなどをしっかり把握しておくこと。そうしないと、英文を正しく読むことができなくなる。
文法というものは、単にその知識を習得するだけではないことは言うまでもない。そのような知識習得は当然のこととして、開成高校合格を目指す受験生は是非次のことを念頭に焼き付けて欲しい。
『文法事項とは情報伝達の基本ルールであり、話し手・書き手は聞き手・読み手に何を本当は伝えたいのかを認識・理解するための基準である』
それでは、具体的に最低限必要な文法事項について以下に概観しよう。
②関係代名詞についての理解を深める
英文が長くなる主たる原因の一つである。目的格(whom/which)の省略に慣れることや、先行詞を修飾する関係代名詞に導かれた形容詞節が何処までかを( )でくくり前にある先行詞にかけて(修飾させて)訳を考えること(いわゆる『返り読み』)は行わないように。これは、最後まで読んで前に戻るという手法で時間のロスが大きい。その場合には、関係詞に関係なく左から英文に合わせて先行詞まで一気に読み、関係代名詞以下を「そして~である」と読めるように日頃から練習を積むべきである。いわゆる『返り読み』をしないことが大切である。
③分詞構文には十分慣れておくこと
文頭に~ingがあり、それが動名詞として主語の働きをしていない場合には、分詞構文と捉えること。分詞構文の代表的用法としては、ⅰ)時(~のとき)、ⅱ)譲歩(~だけれども)、ⅲ)理由(~なので)、ⅳ)様態(~のように)、条件・場合(~の場合は)などがある。しかも、次に述べる接続詞(as)との関係で、ⅰ)~ⅳ)をしっかり覚えること。なぜならば、asにはⅰ)~ⅳ)の全ての用法があり、さらに付帯又は時の経過(~するにつれ)という用法もあるからである。また、-ed(過去分詞)で始まる動詞で始まる分詞構文もあるので注意すること。その場合には、従属節(条件節)な受動態の場合であることも必須知識である。
④前置詞・接続詞に注意するように
どのような場合にどの前置詞を使用するかの識別をしっかり押さえておくこと。toがあると無条件で原形動詞があとに続くと考えてはいけない。イディオムによっては、toが前置詞(その後には名詞が置かれる)である場合には、前置詞のルールに従い原形動詞ではなく名詞の役割を持つ動名詞(~ing)が続くということも必須知識として押さえたいところ。
⑤仮定法は願望である
少々乱暴な言い方に聞こえるかもしれない。どういうことか。一文を例示しよう。仮定法過去(現在の事実を否定しこうだったらいいのになぁという願望)の典型的な英文を一緒に考えてみよう。
If I were a bird, I could fly the sky.
一度は目にした英文だろう。例文の動詞(助動詞)の時制は見た通り『過去』であるが、文頭にifがあるために、この英文は仮定法過去の文章となり現在の事実を否定して、現実とは逆のことを想定しているのである。つまり、現実には「私」は現実には「鳥」ではないが、もし「鳥」ならば空を「飛ぶ」ことができる(空を飛びたい)のに、という「私」の願望が込められているのである。
⑥比較は時系列の中での比較を習得しよう
比較には2種類あることを理解して貰いたい。第1には『同時に異なる2事象以上を比較する』ということである。したがって、この場合には『比較の元』になる事象が必要なのでthan以下の表現を伴うのである。つまり、AとBを同時に比較し『Aの方がBより背が高い(A>B)』という表現になる。第2には『時の経過の中で変化してゆく様を表す(比較する)』ということである。つまり『Aは10年たって背が伸びた(10年前に比較するとAは背が伸びてA´になった)』ということである。この様な比較の用法があることもしっかり押さえておいて欲しい。
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2022年度「開成高等学校の英語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、長文総合読解問題(物語)<13分>。主人公が別の人間の体に入り込んでしまった物語。
大問2は、長文総合読解問題(説明文)<13分>。2児の母親である35歳の女性の身に起きた事象に関する説明文である。
大問3は、同音異義語に関する適語補充問題<4分>。
大問4は、整序問題<6分>。基本的な文法事項とイディオム力が問われる。
大問5は、リスニング問題<14分>。
【大問1】長文読解総合(物語)の問題
- 時間配分:13分
主人公は他人に乗り移ったことで感じる事柄をまとめた文章である。本文からそのような事象は、毎日の朝に起きていることが分かる。
(問1)文脈把握問題<1分>。
関係代名詞whatに導かれた主部に対する述部(補語)を考える。基本的には「名詞句」を想定するので選択肢の中からto不定詞の名詞的用法を用いて考えよう。
(問2)語句解釈問題<2分>。
本文からは、主人公が朝目を覚ますと他人の体に乗り移っていることが理解できるであろう。つまり、「他人の体で目が覚める」のであるから“wakes up in another person’ s body every morning”となるのである。
(問3)下線部訳問題<2分>。
文脈に即した訳を考える。take care of himselfは「彼の体を大切にする」という意味である。
(問4)指示語問題<1分>。
itは前文の内容を示す指示語である。したがって、I’ve harmed people’s lives in the past がその内容である。
(問5)語句解釈問題<1分>。
what I can tell とは「僕が分かること」である。Whatはいうまでもなく関係代名詞である。fromは「判断の根拠」を示しているので「僕が分かることから判断する」となり、それは「経験から判断する」となる。
(問6)適文選択問題<1分>。
直後の文に着目しよう。I know this is Justin’s room, but I no idea if he likes it or not. という英文から判断する。「ここがジャスティンの部屋であることは分かるが、彼がこの部屋を好きかどうかは分からない」という内容から、主人公は他人の体に入り込んで「状況認識」は可能であるが、「価値評価(ジャスティンがこの部屋を好きか否か)」はできないということである。
(問7)整序問題<2分>。
このような整序問題のポイントは、前後の文章に注目することである。本問の段落は、「目覚ましが鳴る」そして、I reach for a shirt and some jeans, but ~ (ここに整序問題)It’s the same shirt he wore yesterday. とつながる。It’s the same ~が続くので適切な英文としては、「それが昨日着ていた同じシャツであることを何かが気づかせてくれる」としたい。使役の文章にしたいので、something lets me see that とする。
(問8)内容把握英文選択問題<1分>。
本文の文脈(主人公が毎日他人の体に乗り移ること、乗り移った人の人生を傷つけないようにすることを知ったこと)を総合的に考え、「他人の人生の練習をする」と続けたい。
(問9)内容真偽問題<2分>。
本文の内容に従えば、「主人公にとって、他人が自身の人生をどう生きてきたかを理解することは、他人の体に適応するよりも難しい」という内容が適切である。
【大問2】長文総合(説明文)の問題
- 時間配分:13分
メーガンは2人の母親である。彼女の身の回りに生じる日常的事象に対して、どのように対応してきたかについての説明文である。
(問1)適語補充問題<1分>。
メーガンは結婚していて子供がいることが書かれているので、a good wife であるのみならず a good mother であろうとしていたのである。
(問2)指示語問題<2分>。
(2a)電話に出なくなった理由は、メーガンがその電話の内容を知っていたからである。
(2b)本問の最初の部分に、her cousin’s phone calls とあるので電話をかけてきたのが誰かを考える。
(2c)電話をかけてくるのが誰であるかが分かれば、その人物がneeded something なのである。
(問3)整序問題<2分>。
作りたい英文は、「夕食に間に合わない」という内容にしたい。in time for dinner = 「夕食に間に合う」とし否定形のwasn’tを組み合わせる。
(問4)英文和訳問題<2分>。
下線部訳の問題である。be about 名詞(本問ではimproving(動名詞))=「ということである」という意味である。
(問5)適文選択問題<2分>。
本文の冒頭に譲歩を表わすAlthoughがあるので、後半は前半の内容に反する文章がくることになる。
(問6)適語補充問題<2分>。
feel less pressured to ~は、「~という圧力を感じない」という意味である。メーガンは何に不安を感じ「圧力」を感じていたのかを把握する。それは「他人を喜ばせるプレッシャー」である。
(問7)適語選択問題<2分>。
全体的に本文よりメーガンが何にストレスを感じていたかを考えよう。
【大問3】同音異義語補充問題
- 時間配分:4分
同音異義語を補充する問題。単語力が問われる問題である。
(1)は、上は「公平な」を表わすfair、下は「運賃」を表わすfareである。
(2)は、上は「穴」を表わすhole、下は「全体の」を表わすwholeとなる。
(3)は、上は「名所」を表わすsightの複数形、下は「場所」を表わすsiteである。
(4)は、上は「書く」を表わすwrite、下は「正しい」を表わすrightである。
(5)は、上は「待つ」を表わすwait、下は「重さ」を表わすweightである。
【大問4】整序問題
- 時間配分:6分
ポイントは与えられた日本語を英訳し易いように、かつ与えられた語群を使って表現できる文章を考える。
(1)「充電しておかないと」は「充電していない場合(時)は」と考えてwhen you don’t charge your battery とする。
(2)「どうしてわかったのですか」はHow do you know ~ ?と表現する。「うそをつかれている」は受動態で、you were lied toとする。
(3)「ここからしばらくは」はfor a while from hereとし、「できないかもしれない」はmight not be able to と表現する。
(4)「何をするのが楽しみですか」はWhat are you looking forward to doing ~ とする。
(5)「私たちは驚きました」はWe were surprised at ~ で表す。人口が多いという場合の「多い」はlargeを用い、人口が少ないという場合の「少ない」はsmallを使用する。
攻略のポイント
例年通り、求められている英語力は高校初級レベルであるが、実態的には英検で考えると準2級以上のレベルは欲しい。一つ一つの設問内容は、比較的標準レベルであるが、自分の知識の引き出しの中に蓄積させている「知識の山」から、迅速かつ正確に最適な知識(道具)を取り出せるか否かがポイントとなる。
また、日頃から解答時間を自分で計り、感覚的に時間の尺を自分の体に叩き込む必要がある。具体的には、1分間で100wsを読めるスピードが必要であろう。単語力は、最低でも3500単語は欲しい。
文法知識は、関係代名詞、分詞構文、前置詞、仮定法、比較、準動詞の知識とそれらの事項に関連した例文はしっかり理解しておくこと。書き換え問題では話法も頻出であるのでしっかり事前準備をしておきたい。
難関校対策として様々なジャンルの英語長文読解総合問題(700ws)を2日に1題を目標に取り組んで欲しい。