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開成高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2015年度「開成高等学校の国語」
攻略のための学習方法

現代文

現代文に関しては、かなり高度な文章が出題される。
では、『高度な文章』とはどのような文章のことをいうのだろうか。結論から言えば、『抽象的で極めて論理的な文章』ということである。論理的文章であるので、しっかりと文脈を辿っていく文章読解力があれば、論点が何なのか、筆者の論証の進め方、つまり「筆者の考え方」の軌跡を明確にすることは、それほど困難ではないであろう。

その際には、何度も反復して使用されている『単語』が重要になってくる。
特に、『名詞』は重要であり、抽象名詞は筆者の考え方を補完するうえでその有用性は極めて高い。本文を一読する過程の中で、「これはっ…」と思う『言葉』はマルで囲んだり、傍線を引いたりしておく習慣を日頃の学習においても定着させるべきである。
また、各設問に解答する場合には、設問の対象となっている個所の前後をしっかり読み込むことが不可欠である。

さらに、キーワードは何か、繰り返し使用されている「言葉」が、文章全体の中でいかなる役割と意味を持たされているのかを見抜く力が必要である。その力を習得するためには、論理的文章に読み親しむことが求められる。
例えば、各出版社で販売している「新書」を読むことも論理的文章読解の力を養成するには最適であろう。「新書」はさまざまなジャンルを扱っているので、読む場合には「自分の興味のあるジャンル」を選択することが基本である。長期休暇とか土日など、時間に比較的余裕のある時期に読み込もう。

秋以降になって時間的に余裕がなくなってきた場合には、そのような「新書」を読むことは得策ではない。
では、どうすれば論理的文章の読解力を向上させることができるのか。その場合には、高度な論理的文章読解の演習を通じて、課題文である本文をじっくり読み込むことである。少なくとも、入試問題として出題される文章であるので、論理的分析に耐えられない文章ではないことだけは間違いないはずである。
したがって、入試までに時間的余裕のない状態で、論理的読解力を高めようとする場合には、演習の問題文を徹底的に分析することである。

小説問題に対する対策としては、登場人物の心情把握をいかに正確かつ迅速に行うかである。そのためには作者がその人物をどのように描写しているかを素早く見極めることである。
例えば、性格的に明朗なのか陰湿なのか、発言内容を通じてその人物の考え方や価値観などを把握するということである。そのような総合的な分析作業を経て、登場人物の人格やキャラクターを鮮明にすることが可能になるのである。
特に、小説の場合には、間接的な情景描写を通じて人物の心情描写を行なう手法を用いるのが一般的である。入試問題においても、そのような情景描写を把握し、そのような描写を通じて、作者が登場人物をどのような特性・人格として描こうと意図しているのかを理解することがカギとなる。

いずれにしても現代文については、本文の分量もかなり多く内容的にも高度(特に論説文)であり、設問内容も記述式であるため、正確な文章読解力は当然のこととして、その上で「高度な文章表現力」も高校側が求める『力』であるということを十分認識するべきである。
その様な要求に対応するためには、過不足なく簡潔に、しかも説得力をもった文章を手際良く書き上げる練習を行わなければならない。
そのような文章表現力を磨くには、自分が書いた文章を誰か他人に「添削」してもらうことが有効である。他人の客観的評価が加わることで文章作成能力は飛躍的に向上する。

古文

古文についても、設問はほとんどが内容把握に関する問題であるので、古典(当然ながら漢文も含む)文法などの知識だけではなく、内容把握(当然ながら人物描写や心情描写の把握と理解)をしっかり行えるように、近世の古典作品を扱った問題演習をしっかり行うことである。

 

将来的な大学入試を考えた場合、大学側が、というより社会が求める人材像の要件は、『自分で考え、説得力ある自分の言葉でいかに相手に自分の考え方を伝えるか』ということである。
そのような意味では、現代文の問題文をじっくり読み込む作業を通じて自身の論理力を鍛えて貰いたい。

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2015年度「開成高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問1は、文学に関する随筆(現代文)の読解問題である。漢字(5題)以外はすべて記述問題である。本文の内容を的確に把握し、各設問において求められている事項を正確に理解し、かつ該当箇所を過不足なく文章としてまとめ上げなければならない。日頃から、考える習慣及び自分の思考内容を文章として表現する訓練を行わなければならない。

<時間配分目安:30分>

大問2は、小説の読解問題である。解答に際して、漢文の知識が必要な設問が出題されている。特に、漢詩の基本的表現方法や書下し文などの内容も押さえておくこと。

<時間配分目安:10分>

大問3は、随筆(古文)に関する読解問題である。古語の用法についての基礎知識及び文法知識は必須事項であり、参考書の基本事項を反復して確認することと問題演習を通じて知識の定着を図ること。

<時間配分目安:7分>

 

[大問1]随筆

  • 時間配分:

文学に関する随筆(現代文)に関する読解問題である。

出典は、『今を生きるための現代詩』(渡邊十絲子著)である。

本文の骨子としては、『詩の中には「自分がすでに知っている感覚の再現」をしてくれるものもある。それは、「生の実感」を読む人に想起させリアリティーを感じさせるタイプのものが多い』と述べ、筆者はそれを『実感の再現』としており、『自分(筆者)がひかれたのは「実感の再現」などとはほとんど無関係の詩』であるとする。そして、その具体例として、塚本邦雄の『馬を洗はば…あやむるこころ』という短歌と谷川俊太郎の『沈黙の部屋』を挙げている。

筆者が例示した短歌又は詩の中では、表現内容が、『読者の現実的・時間的な過去の実体験を作者の文章によって追体験し、結果「実感の再現」を読者にもたらす』というものではなく、どちらかというと『未来に起こるであろう事象に対する「先取り体験」のような感覚』を読者に惹起させる。したがって、『短歌の友人』(穂村弘著)の中で述べられている『塚本的な「何か」は、自らの表現が未来と響き合うことを期待している、…ここで云う未来とは…幻の時である』との部分を引用している。

そして、『実感の再現』のことを筆者は「読者の中にすでにある体験や感情をひっぱりだしてくる力」つまり『再現力』としている。しかし、『ひととおなじに行動できない問題児だった自分』を『弁護したかった』と思ったとき、『再現力』の対極に位置する谷川俊太郎の『沈黙の部屋』は筆者を圧倒したのである。

(問一)内容把握の問題である。
「あいまいさ」とは何なのか。
傍線箇所の前文にある『情熱』とか『潔癖』と真逆の言葉である。
つまり、「あいまいさを嫌う」ということがすなわち「情熱的で潔癖であろうとする心情」が恋愛感情において如何なる役割を果たしているかを考察する。

<時間配分目安:3分>

(問二)言い換えの表現問題である。
筆者は文章表現(詩や短歌)が持つ役割として『過去の読者の体験を再現する実感の再現』つまり『再現力』とは対極にある、つまり自分(筆者)を圧倒した長谷川俊太郎の『沈黙の部屋』や塚本邦雄の短歌に表現されている『何か』が『未来と響き合っている』と描写する穂村弘の『短歌の友人』の中に、『未来』とは『過去の反対語』ではなく『時間の流れからの逸脱そのもののような幻の時』という辺りを手掛かりに考える。

<時間配分目安:2分>

(問三)
本文中の『手ざわりがつるつる』とは描かれた完成度が高いということ、そして『不気味』や『おそろしい』とは現実的には考えられないこと、つまり『実感の再現』言い換えるならば『再現力』が及ばない世界観なのである。

<時間配分目安:2分30秒>

(問四)
本文最後の部分に『詩とは、ただ純粋な「ことば」である。』という文章で始まる段落がある。
そこには、『日常の秩序にゆさぶりをかけ』て『意識に未体験の局面をもたらす』ような『作用をすればじゅうぶん』であると筆者は言及している。

<時間配分目安:4分>

(問五)
どれも標準レベルの漢字である。完答を目指したい。

<時間配分目安:1分30秒>

 

[大問2]小説

  • 時間配分:

小説の読解問題である。
出典は、『岷山の隠士』(国枝史郎著)である。漢文・漢詩の基礎知識が求められる。

(問一)
本文は『もしあなたが「織女」でないならば「牽牛」に問いかけたりしようか、いやするはずがない』という意味。

<時間配分目安:1分>

(問二)
李白も県令もともに詩人であり、詩の題材として適格か否かで物事の価値を図っている、という点を根拠に考える。

<時間配分目安:1分30秒>

(問三)
漢詩の技法の問題である。知識問題として押さえておきたい。

<時間配分目安:1分>

 

[大問3]古文問題

  • 時間配分:

古文の読解問題である。
出典は、『玉勝間』(本居宣長著)である。
内容的には、『人の形を小さく作って、子供が遊ぶのを「ひゐな」というが、ひ文字を引き延ばしたのであるから、「ひいな」と書くべきところ「ひゐな」と書くのは間違いである』という主旨である。

(問一)内容把握問題である。
『四時』を「しいし」、『女房』を「にょうばう」と読むのと同じように『詩歌』は「しいか」ともいう。

<時間配分目安:1分>

(問二)現代語訳の問題である。
『引いて』とは「引き伸ばして」という意味である。つまり「引き伸ばして発音した」ということである。

<時間配分目安:1分30秒>

 

攻略のポイント

大問1の評論・随筆文(現代文)は、芸術・言語学的分野の読解問題である。
書かれている内容は、『ことば』による表現方式である『詩(現代詩)』が『過去の時間の中で既経験の事柄を再現』する力を有するが、筆者が中学時代(人生経験も少なくそれ程過去の経験を有していない時)に『圧倒』されたのは言葉による自らの『表現が未来と響き合う』ということを期待しているものであり、そして『未来』とは『幻の時』である、という論理の展開をしっかり押さえること。
すべての設問が記述で、字数は指定されていないものの過不足なく解答するためには、本文の読み込みが重要なファクターとなる。
漢字は標準的なものであるので、5つの漢字は完答したい

大問2・3は、漢文及び古文の基礎知識をしっかり習得して、標準的な古典問題の演習を事前に行なっておくことが重要である。

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