開成高等学校 入試対策
2014年度「開成高等学校の数学」
攻略のための学習方法
問4を除けば「初見の問題」とは言い難く、一度は演習済みの問題ばかりであろう。
計算問題では、乗法の展開公式やその逆である因数分解の公式について演習問題を通じてしっかり理解し、知識として定着させることが大切である。計算問題は中学校のレベルを超えているので、ハイレベルな問題演習を行なうことが必要である。
因数分解については特定の一つの文字に関して次数の高い順に並び替える(降べきの順)と共通因数が見つけやすくなることも覚えておこう。
2次関数については必須分野として捉え、日頃から高度な演習問題に取り組んでもらいたい。特に、放物線と直線との関係、座標軸平面にできる図形の面積やその図形を特定の軸を中心に回転させてできる立体の体積を求めさせる求積問題は要注意。日頃から十分な演習を積んでおきたい。
確率の問題も、条件を複雑に組み合わせることによる解法方針が立てづらい問題演習に習熟して欲しい。特に「少なくとも~である場合の確率」という条件をどのように読み替えるかについて、瞬時に的確な判断を出せることが求められる。
図形(幾何)の基本的定理の証明は、一度、紙に鉛筆で書いて論証する必要がある。道具としてしか「定理」を使えないとしたら危険である。どのような考えた方とプロセスを経て定理が導かれたのか、言い換えれば「なぜ、この定理は正しいと言えるのか」が自分の頭で検証できているのか、ということである。大切なことは、「自分の頭で苦しみながらも最後まで考え抜く」という姿勢が確立されているかである。基本的な定理については、必ず自分で証明をしておくこと。
立体(空間図形)も必須分野として十分な事前準備が求められる。三平方の定理をあてはめる場合が多いが、立体のどの部分に直角三角形ができるのかを見極めなければならない。その有効な手段の一つとして、「立体を三方向から眺め頭の中で一つの像として描く」手法である。「三方向」とは「真上・正面・真横」のこと。これらの方向から見た像を頭の中で立体的に構成し、自在に回転させ様々な方向からの立体の特性を視覚的に把握できる想像力が必要である。その領域まで達していないと感じる受験生は、しっかりとした見取り図を描けるようにすること。
今後、出題が予想される可能性が高いのが「規則性・論理性」を問う「新傾向問題」である。
この手の問題は、入試本番での「初見性」が高く、従来の公式による解法や既習問題における解法パターンが通用しない。与えられた条件から問題の本質的な構造を見抜き、その規則性・論理性を抽出し、正解へ至るアプローチを数式に置き換え、論理的に矛盾することなく結論を導き出す訓練を積むことである。
全体的に言えることは『自分の頭で考え抜くこと』を念頭に、最後まで諦めずに問題に立ち向かっていくことである。興味のある受験生は『日日のハイレベル演習』(東京出版)で考える『学力』を養成して欲しい。この問題集によって、中学校では履修しないが開成高校を始めとする難関上位校入試に出題される問題に立ち向かえるだけの『骨太の思考力と解法力』を手に入れられることは間違いない。そうすれば、開成高校の入試問題においても75~80%の得点率が可能となるだろう。
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2014年度「開成高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
問1は雑小問題群であり、問題数は全部で4題。
問2は接弦定理に関する証明問題である。定理そのものの証明は教科書に掲載されている極めて基本的な定理の証明。
問3は空間図形に関する辺の長さや面積・体積に関する求積問題で全4問。
第4問は新傾向問題で、全3問であるが規則性を見出しそれを数式化できるかどうかが勝負。
全体として50分強で解答したい。残った時間で見直しを。
【大問Ⅰ】雑小問題群
- 時間配分:10分
(1)【解答時間2分】因数分解の問題。yの次数について高い順に並べ替えて共通因数である(x+1)を括り出す。
(2)(ⅰ)【解答時間2分】2次関数と図形の問題。AD‖BCという条件から各々の直線の傾きをcの式で表すことができるかどうか。その際に点Dを(m,㎡)のように文字を用いて表現し、AD、BCのそれぞれの直線の傾きをc、mを用いた式で表し、2つの傾きに関する等式を作りmについて解く。
(ⅱ)【解答時間3分】直線AD・BCのy軸切片をcで求め、△OAD・△OBCの面積をそれぞれcの式で表し7:1の比例式から内項・外項の積に関する等式を立てる。
(3)【解答時間3分】場合の数の問題。『4頂点に4種類の数字がおかれている面が少なくとも1つ』の場合を『全ての面の4頂点に異なる4種類の数字がおかれない場合』と考えられるかが重要。
【大問Ⅱ】接弦定理に関する証明問題
- 時間配分:3分
【解答時間3分】接弦定理の証明問題。円周角の考え方を的確にあてはめられるかがポイント。
【大問Ⅲ】空間図形
- 時間配分:16分
(1)【解答時間4分】三平方の定理の応用。BCに垂直な一辺(xとおく)を共有する2つの直角三角形においてxに関する2次方程式を解く。
(2)【解答時間4分】論証問題。LK‖DMを論証するために何を証明すればよいかを考える。
(3)【解答時間4分】三平方の定理を用いた面積問題。△AKLが直角三角形であることに注目する。
(4)【解答時間4分】三平方の定理を用いた体積問題。△BCDを底面としALを高さとしたとき、三角錐の体積を求める公式で正解を求められる。
【大問Ⅳ】新傾向問題
- 時間配分:20分
(1)【解答時間5分】規則性を見抜く新傾向問題。「九九表0」と「九九表1」の特性(規則性)を把握し、その規則性を数式化できるかが重要である。
(2)【解答時間5分】(1)同様の規則性を見抜く問題。「九九表2」と「九九表6」の特性(規則性)を把握したうえで、いかに手際よく、しかも的確に数式化できるかがポイントとなる。
(3)【解答時間10分】規則性の問題。(1)、(2)を踏まえさらに「九九表A」と「九九表B」を一般化し数式化するとともに、数字の組み合わせを考える。考え出した等式と不等式から、与えられた条件に適合する自然数の組み合わせをいかに手際よく、的確に考え出せるかが正解へのポイントである。
攻略ポイント
問1(1)・(2)は完答したい。(3)で「少なくとも1つある」という条件をどう処理するかが正答へのカギ。
問2は完答。円周角を取り入れた基本的な証明問題。
問3は立体空間に三平方の定理をうまくあてはめ、正解を導くうえで必要な辺の長さを求められれば完答も可能であろう。日頃から、空間図形と幾何の問題、それもハイレベルな問題演習にじっくり取り組んでいた受験生にとっては楽勝であったであろう。
問4は今後出題される可能性が極めて高い分野の問題。与えられた条件から規則性と原理的な仕組みを抽出し、論理を数式化することによる『思考の数量的表現』を手際よくできるかが重要。
(1)・(2)は完答したい。(3)は5分程度考えて解法方針が見えてこなければ、残り時間を他の問題の見直しにあて完答を目指す。