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慶應義塾志木高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2014年度「慶應義塾志木高等学校の国語」
攻略のための学習方法

慶應志木の国語は、試験構成が変更されやすい。今年は長文が一本だけだったが、この構成が続くとは思えない。受験生には悩ましい学校だが、対策がないわけではない。出題の「形式」にとらわれずに、出題者の「意図」を汲み取っていきたい。出題者が「文学の本格的な教養」を求めていると考え、志望者は学習を進めていきたい。その際に気をつけたいのは4点だ。

1点めは、「知識ではなく教養を学ぶ」ことだ。標準的な試験で、知識問題と考えられるものよりも、さらに広く知識を得ていこう。例えば、(設問2)で問われているのは、当時の時代の風物であるとともに、現代でも伝統的な行事の際に用いられるものだ。ここから類推すれば、「伝統的なものが問われる」という考えが浮かぶ。具体的には「俳句の季語」や「年中行事」だろう。国語便覧や資料集を上手に活用して、知識を蓄積していきたい。もちろん「漢字」や「文法」なども、構成によって問われ方が変わりはするだろうが、出題はされるので、万全にしておこう。

2点めは、「文章の構成を理解」できるようになることだ。例えば今年の長文では、登場人物の「油を売る男」と「村人」が、さまざまな点で対比されている。さらに対比は「仕事ぶり」「経済観念」「仕草」という三点にまで分析して、図式化したい。文章の構成を理解することで、設問に答えやすくなる。「村人」の「経済観念」について言及した箇所は、文中に散らばっていて、「返答する時すらおしんで」、「めったに話すらせずに」、「わざわざ彼のところへやって来ました」などとなる。同じ意味が、言いまわしを変えて、繰りかえし現れる。読みながら構成を理解し、書きこみを加えることで、解答の材料が整理される。「抜き出し」「択一」「記述」と設問の形が変わっても、利用できる読解の力を、志望者が手に入れることが有効になる。

3点めは、「漢文をしっかりと学習する」ことだ。漢文の問題は、高校受験では問われることが少ないが、慶應志木の国語では出題される可能性がある。さらに長文として出題されないまでも、漢文の教養があったほうが解きやすい設問は、今後も出題されるはずだ。

4点めは、「文章を書く」ことだ。「記述」の設問に対応するために、志望者は積極的に文章を書く機会を設けよう。できれば文章を読んだら自分なりに要約する経験を積んでおきたい。特に過去問の「記述」で言葉が出てこない志望者は意識したい。

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2014年度「慶應義塾志木高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

試験時間は60分だ。長文を読み進めながら「知識問題」を解き、「抜き出し」「択一」「記述」については精読しながら対応したい。長い文章が一本だけの試験構成は珍しいので、時間の感覚に戸惑いを覚えた受験生は多かったはずだ。特に「記述」にかかる時間を、受験生はあらかじめ知っておきたい。

大まかな手順としては、まずは「知識問題」である(設問1)(設問2)(設問3)(設問6)を仕上げ、そこから他の設問に取りかかるが、時間の予想がつきにくい。「抜き出し」「択一」「記述」がそれぞれ問題文のなかを広く探し回らなければならないことを考えると、読みながら書きこみをして、見返しやすくする工夫が欲しい。

【大問1】小説文

  • 時間配分:

小説文で、近代の文章だ。近代の文章は、現代の文章と較べて、漢字をはじめとしてさまざま表現に変更点がある。表現に古さを感じるかもしれないが、読みにくさはないだろう。
(設問1)漢字なので満点を取りたい。
(設問2)近代の日本を理解するための、教養が問われている。問われて困惑した受験者もいるはずだ。文学作品を深く理解するためには、それが描かれている背景世界についても理解したい。
(設問3)文語の表現が問われている。
(設問4)まずは文章の焦点が、商売や損得勘定という経済活動にあることを読み取りたい。そしてふたつの人間たちが、経済活動の点で対比されている部分に注意を向ければいい。気をつけたいのは、「抜き出し」の部分が、傍線部の近くとは限らないことだ。目安時間は、6分以内だ。
(設問5)行動から心情を読み取らせる設問で、小説文や物語文などの文学的文章では典型的なものだ。受験者は自分の言葉で答えなければならないので、すぐに言葉が出てくるようになっておきたい。目安時間は、5分以内だ。
(設問6)文法が問われている。
(設問7)石油の商品価値について、登場人物の意識を読み取っておきたい。目安時間は、7分以内だ。
(設問8)目安時間は、4分以内だ。
(設問9)目安時間は、3分以内だ。
(設問10)ここで少年の自尊心が傷ついたことを理解しておけば、結末も理解できるはずだ。目安時間は、7分以内だ。
(設問11)目安時間は、6分以内だ。
(設問12)目安時間は、6分以内だ。
文章の構成から気づきたいのだが、石油を売る男と少年の間のやりとりは、村人から直接は目撃はされていないことになっている。それゆえ、石油を売る男は白々しく答えることができ、少年を感情的に罵ったことが己の経済観念に由来していることを、村人に露呈せずに済んでいる。
(設問13)目安時間は、10分以内だ。

攻略ポイント

毎年の傾向と、与えられた設問から推測すれば、慶應志木の国語が、受験生に求めているのは「文学の本格的な教養」で、特別に対策が必要なのは明らかだろう。今年に限れば、近代の文章を数多く読んで、背景知識を理解していることが大事になる。しかし今後も、国語にまつわるものなら何であれ設問になりかねないので、偏った学習は避けたい。「知識」「文章表現」「読解力」「記述力」の四つに均整の取れた国語力を、受験者は磨いておきたい。

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