慶應義塾志木高等学校 入試対策
2015年度「慶應義塾志木高等学校の国語」
攻略のための学習方法
慶應志木の国語は、試験構成が変更されやすい。今年は長文が4本の構成だったが、この構成が続くとは思えない。受験生には悩ましい学校だが、対策がないわけではない。出題の「形式」にとらわれずに、出題者の「意図」を汲み取っていこう。出題者が「文学の本格的な教養」を求めていると考え、志望者は学習を進めていきたい。その際に気をつけたいのは次の4点だ。
1点目は、「知識ではなく教養を学ぶ」ことだ。標準的な試験で知識問題と考えられるものよりも、さらに広く深く、知識を得ていこう。例えば、【大問3】の(設問2)では日本の伝統文化である浮世絵を知っている受験者が有利となる。すべての設問に共通しているのは、なんらかの文学的な背景と関係づけて、読解をさせている点だ。この点に注目すれば、「伝統的なものを学んでおく」という対策が浮かんでくる。具体的には「俳句の季語」や「年中行事」だろう。国語便覧や資料集を上手に活用して、知識を蓄積していきたい。もちろん「漢字」や「文法」なども、構成によって問われ方が変わりはするだろうが、出題されることには変わりがないので、万全にしておこう。
2点目は、「文章の構成を理解」できるようになることだ。例えば【大問4】では、主人公の心情として、「娘」「娘の父親」「自らの将来像」「商売の先行き」などが次々に描写されていく。問題文のどこの箇所が、どこの心情を表現しているのか、志望者は読み取れるようになっておきたい。特に、同じ内容が、言いまわしを変えて、繰りかえし現れる箇所は、設問に問われやすい。読みながら構成を理解し、メモ書きを加えるなどして、解答の材料を整理していこう。「抜き出し」「択一」「記述」と設問の形が変わっても、読解力を高めておくことで、解答に柔軟に対応できるだろう。
3点目は、「漢文・古文をしっかりと学習する」ことだ。古典の問題は、高校受験では問われることが少ないが、慶應志木の国語では出題される可能性がある。さらに長文として出題されなくとも、古典の教養があったほうが解きやすい設問は、今後も出題されるはずだ。
4点目は、「文章を書く」ことだ。「記述」の設問に対応するために、志望者は積極的に文章を書く機会を設けよう。過去問の記述を書こうとしても、言葉が出てこない志望者は多かったのではないだろうか。日頃から文章を読み、自分なりに要約する経験を積んでおきたい。その際には、文字数によってどれくらいの内容が書けるのか、自分なりの感覚を養っておくことだ。例えば、50字と100字では、どこまで詳しく記述すればよいのか、感覚が異なってくるはずだ。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
2015年度「慶應義塾志木高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は60分で、得点は100点満点だ。
大問数は4問で、いずれも記述の設問を含んでいる。短答式の設問はほとんどない。
受験者は文章を構成し、清書することが求められているので、時間配分には独特の慣れが必要だ。
【大問1】随筆文
- 時間配分:10分
長文読解で、「俳句と短歌の違い」を題材にした随筆文だ。
慶應志木は、文学的な教養がある受験者を求めており、問題文にもその傾向が反映されている。対比されている短歌と俳句には、内容上の違いがあることを、まずは読み取りたい。
俳句は客観写生を求め、短歌は主観情緒に流れる傾向があることを指摘したい。
【大問2】古文
- 時間配分:10分
長文読解で、「牛車での旅行体験記」を題材にした古文だ。牛車は古典時代の貴族の乗物であることを理解しておくと、文章が読みやすい。
(設問2)枕草子の作品の成立背景を、あらかじめ理解しておくと書きやすい。
枕草子が題材としているのは、平安時代の日々の宮廷生活の記録であり、作者の清少納言の感性や観察の鋭さが特徴となっている。
出題文においても、牛車旅行の楽しさを、感覚的にとらえている。
【大問3】説明文
- 時間配分:22分
長文読解で「複雑系と浮世絵」を題材にした説明文だ。
日本の伝統文化である浮世絵と、現代の科学理論である複雑系を組み合わせている点に、慶應志木らしさが感じられる。それを一言でいえば、文学を理論的にとらえようとする傾向といえるだろう。
(設問1)記述の設問だが、文字数の指定はない。
解答用紙の余白の大きさを参考にしよう。
(設問2)受験者に絵を描かせる変わった設問だ。
文章の要点を理解できていれば、絵の上手下手は二の次なので、対策としてとくに絵の練習をする必要はない。
(設問5)記述の設問で、文章の内容を要約する。
複雑系を説明する具体例として、筆者は「寺田寅彦の浮世絵」と「磁化した鉄」とを並置している。
【大問4】物語文
- 時間配分:18分
長文読解で「思春期の若者の心情」を題材にした物語文だ。
近代文学からの出典となり、作者の牧野伸一は、大正時代から昭和にかけて活躍した小説家だ。
(設問2)読解の設問だ。若者が娘への複雑な想いを抱いていることを読み取ろう。
(設問3)読解の設問だ。若者と娘の父親との関係を読み取りたい。
攻略のポイント
「読解力」と「記述力」の両方が必要となる。
「読解力」については、深い教養に裏打ちされた知識が求められ、とくに文学史にまつわる知識は必須となる。古典から近現代までの、あらゆる文章を読む経験も必要だ。
また「記述力」については、ただ文章を要約するだけではなく、自分の言葉で物事を説明する本格的な力が求められている。
どちらも一朝一夕には身につかない。はっきりと慶應志木の対策の国語を準備しておかなければ、合格点には達しないだろう。