慶應義塾志木高等学校 入試対策
2015年度「慶應義塾志木高等学校の数学」
攻略のための学習方法
慶應志木の数学は難しい。合格点を取るために、志望者は早い段階から準備していきたい。学習に際して、気をつけたいのは次の2点である。
1点目は、「途中式を書く習慣をつける」ことだ。数学が得意か不得意かに関わりなく、解答の数字だけを求め、計算式や図などは乱雑に書き捨てている志望者は、学習姿勢を改めよう。中学の数学では、そもそも「途中式」を書かせる設問が少ないのだから、志望者が意識しなければ身についていかない。
計算の過程を丁寧に書いておけば、計算の間違いが減り、見直しも効率的になる。【大問6】は方程式を立てるまでの過程についても採点しようとしている。
同じように、図形をしっかりと描いておけば、そこから解法がひらめきやすい。慶應志木の数学は、図から解法をひらめく必要がある設問が多い。例えば、【大問5】は、志望者が問われている図が書けるどうかが、そのまま解法のひらめきにつながっている。
計算の「速度」と「精度」は、もちろん必要だが、解法の過程をおろそかにしてはいけない。日頃から問題を解きながら、「途中式」を丁寧に書く習慣を身につけていこう。
2点目は、「演習量を確保する」ことだ。慶応志木の数学は、教科書の水準の易しい設問はまず出題されないと考えたい。出題される設問は、いずれも難しいが、難しさの質が異なっている。「難しいが解法が典型的な設問」と、「解法をその場で考えなければいけない設問」だ。
「難しいが解法が典型的な設問」については、市販の問題集にも掲載されているので、演習をして準備をすることができる。特に、早慶付属校や私立難関校の過去問には、演習の価値があるものが多い。
「解法をその場で考えなければいけない設問」については、志望者は、数学の法則を理解するように心がけよう。数学を暗記だけで解こうとすると、問題の数字を変えたり、図形を入れ変えたりした途端に正答率が下がる。ひとつの解法を学んだら、それを用いて類題を積極的に解いていきたい。
さらに余裕があれば、中学の範囲の数学を出て、広く数学を扱った書籍に目を通しておくのもよい。例えば、【大問1】の(設問2)は中学受験の「算数」では典型的な問題だ。一般的な数学の解法に精通しておくと、数学の得点がさらに安定するだろう。
思考力を磨くには長い時間がかかるが、それはしっかりと問題を悩んで解くことを経験しなければ身につかない。志望者は手間を惜しまずにがんばって欲しい。
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2015年度「慶應義塾志木高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は60分で、得点は100点満点だ。
大問は6問で、設問数は18問と少なめだが、証明や作図を清書しなければいけないので、他校と較べて答案作成の時間感覚は異なってくる。
過去問を解きながら、時間配分を意識しておきたい。
【大問1】小問集合(計算)
- 時間配分:10分
小問集合で、計算分野からの出題が中心だ。
(1)因数分解の単元からの出題だ。因数分解は、難易度が高くなると、解法がすぐに見つかるわけではない。そのため、解法を発見しやすくするいくつかの定石がある。ここでは、まずは共通の因数である(y+1)に注目するとよいだろう。
(2)方程式の分野から、時計算の文章題の単元からの出題だ。
(3)確率の単元からの出題だ。ていねいに数えあげても正答はできるが、数学の法則を見抜いて記述したほうが得点は高い。
【大問2】グラフと平面図形
- 時間配分:10分
グラフと平面図形の融合問題だ。
(1)から(2)融合問題の類題をきちんと演習しておきさえすれば、解法に迷うことはないだろう。
【大問3】相似の証明
- 時間配分:8分
平面図形の分野より、相似の証明の単元からの出題だ。
簡単そうに見えるが、難易度は高い。「補助線による角の移動」「二等辺三角形の発見」「平行線と線分の比」などの、平面図形の解法が重ねあわされており、図形の解法に精通しておかなければ正答できない。
【大問4】円と外接図形
- 時間配分:8分
平面図形の分野より、円と外接図形の単元からの出題だ。
こちらの設問も、簡単そうに見えるが、難易度は高い。「円と接線」「三平方の定理」「直角三角形の合同」などの、平面図形の解法が重ねあわされている。複雑な図形から、単純な図形を見抜く目を養っておきたい。
【大問5】立体の切断
- 時間配分:10分
立体図形の分野より、立体の切断の単元からの出題だ。
(1)ABCDに注目すれば、立体図形ではなく単なる平面図形の相似の設問になる。難易度は易しい。
(2)いきなり解法の方針は思い浮かばないので、まずは与えられた立方体から、三角形LKMと、四角形AEGCの切断図を描こう。
【大問6】方程式
- 時間配分:
方程式の分野より、文章題の単元からの出題となる。
計算の結果だけではなく、文字や式をどのように決めるのか、記述しよう。余白の大きさを参考に、どこまで詳しく書くのか判断したい。
攻略のポイント
ただ計算すれば良いという設問はなく、解法と思考の道筋をしっかりと立てることが求められている。数学的な思考のセンスを身につけておく必要がある。受験者はすべての分野で難問に挑戦し、あらゆる解法に精通しておくことがのぞましい。
またある分野では、高校の初歩的な内容まで学習しておくほうが、有利になっている。受験者との相性がはっきりしている試験構成で、暗記や計算力で数学を乗り切ろうという姿勢では、太刀打ちができない。
中学数学の履修が終わったら、受験生は個別に対策を取っていく必要がある。