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慶應義塾高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2016年度「慶應義塾高等学校の英語」
攻略のための学習方法

合格を絶対に勝ち取るための学習法について以下にその概要を項目別に述べることとする。

①単語力・イディオム力は大事である

英単語は、最低でも3500語は欲しい。最難関校用の単語帳(英検レベルでは準2級相当)をしっかり学習し単語力を定着させること。イディオムも800~1000は確実に習得して欲しい。どのようにすれば、それだけのボリュームを習得可能になるのであろうか。英単語を例に考えてみよう。英単語に限らず、時間的に限られたなかで「如何に効率よく受験勉強を進められるか」が重要である。「効率よく」とは「既に理解している事柄は再度学習しなくともよい」ということである。つまり、心掛けなければならないのは「まだ理解していない事項および理解が曖昧な事項」についてだけ取り組めばよい、ということである。英単語についていえば、上記「単語帳」の中で、単語の意味を完璧に覚えていない英単語がいくつあるかを早急(2日間程度)に洗い出すのである。そして、これらの理解不十分単語の数を自分が習得したい日数(100日または150日)で割って一日当たりの学習するべき単語個数を算出するのである。仮に、算出した一日の学習個数が10単語となったら、徹底的にこの10個を覚え切るのである。そして、一週間に一日「まとめ日」を設け、それまで行ってきた6日分の単語数(10×6=60個)に対する「チェック」を入れるのである。そこで理解が未だに不十分である単語を抽出し、さらに6で割った数字を翌週の一日当たりの習得単語数に上乗せして学習を継続するのである。この繰り返しを行なうことにより、英単語は徐々に自分のものとなり、飛躍的に英単語力は伸びてゆく。また、一つの単語で多様な意味を有する単語は要注意。例えば、figureという名詞には「人形、人物、数字、(数字の)桁、図柄、形」などの意味がある(同様な単語は他にもたくさん存在)ことなどをしっかり把握しておくこと。そうしないと、英文を正しく読むことができなくなる。

②文法事項をしっかり習得しよう

(1)関係代名詞・関係副詞についての理解を深めることが重要である。英文が長くなる主たる原因の一つであるからだ。目的格(whom/which)の省略に慣れることや、先行詞を修飾する関係代名詞に導かれた形容詞節が何処までかを( )でくくり、前にある先行詞にかけて(修飾させて)訳を考えること(いわゆる『返り読み』)は行わないように。これは、最後まで読んで前に戻るという手法で時間のロスが大きい。その場合には、関係詞に関係なく左から英文に合わせて先行詞まで一気に読み、関係代名詞以下を「そして~である」と読めるように日頃から練習を積むべきである。いわゆる『返り読み』をしないとこが大切である。
(2)分詞構文には十分慣れておくこと
文頭に~ingがあり、それが動名詞として主語の働きをしていない場合には、分詞構文と捉えること。分詞構文の代表的用法としては、ⅰ)時(~のとき)、ⅱ)譲歩(~だけれども)、ⅲ)理由(~なので)、ⅳ)様態(~のように)、条件・場合(~の場合は)などがある。しかも、次に述べる接続詞(as)との関係で、ⅰ)~ⅳ)をしっかり覚えること。なぜならば、asにはⅰ)~ⅳ)の全ての用法があり、さらに付帯又は時の経過(~するにつれ)という用法もあるからである。また、-ed(過去分詞)で始まる動詞で始まる分詞構文もあるので注意すること。その場合には、従属節(条件節)な受動態の場合であることも必須知識である。
(3)仮定法は願望である
少々乱暴な言い方に聞こえるかもしれない。どういうことか。一文を例示しよう。仮定法過去(現在の事実を否定しこうだったらいいのになぁという願望)の典型的な英文を一緒に考えてみよう。

If I were a bird, I could fry the sky.

一度は目にした英文だろう。例文の動詞(助動詞)の時制は見た通り『過去』であるが、文頭にifがあるために、この英文は仮定法過去の文章となり現在の事実を否定して、現実とは逆のことを想定しているのである。つまり、現実には「私」は現実には「鳥」ではないが、もし「鳥」ならば空を「飛ぶ」ことができる(空を飛びたい)のに、という「私」の願望が込められているのである。

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2016年度「慶應義塾高等学校の英語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問1は、適語補充による書き換え問題<7分>。
大問2は、誤文箇所訂正問題である<7分>。
大問3は、適文選択による対話文完成問題<9分>。
大問4は、適語補充による長文読解(説明文)である<10分>。
大問5は、長文総合読解問題(物語)<27分>。
記述式問題のウエイトが高いので、英単語のスペルなどは間違えないようにしたい。また、全体的に相当な英文読解力が求められている。

【大問1】適語補充による書き換え問題

  • 時間配分:7分

全て基本的な問題であり、8設問全てが一度は目にしたことのある問題であろう。どんな問題集にも掲載されている典型的な問題なので受験生もすでに演習済みの問題であろう。完答を目指したい。

例えば、4.先行詞に形容詞の最上級、the only、the first、allなど限定するような修飾語がついている場合には、先行詞が人・物にかかわらず関係代名詞thatを使用する。8.to不定詞を動名詞に書き換える。

【大問2】誤文箇所訂正問題

  • 時間配分:7分

本問は完答を目指して欲しい。基本的文法知識があれば全問正答は可能である。

1.successは名詞なので動詞であるsucceedとする。
2.for studyingは不定詞の目的(~ために)を表わす副詞的用法であるto studyとする。3.fastは“速度”について「速い」を意味するので、“時間”について「早い」はearlyである。
8.「~するように言われる」という表現にはsayは使用できない。‘tell ~+to 不定詞’「~に…するように言う」の受動態‘be動詞+told+to不定詞’の形にする。

【大問3】適切な文選択による対話文完成問題

  • 時間配分:9分

本文の内容をしっかり把握して、空欄に適切な表現を選択すること。

1.2人が挨拶していることから玄関にいると考えられる。
2.家の中に入ったばっかりであることがわかる。
4.‘You’re here now’「無事到着しました」に続く表現は‘that’s all that matters.’が適している。
7.母親を部屋に案内した後の娘の言葉。適切な表現を選択する。
9.母親は居間にある電話から夫に到着を知らせようとしている。
10.機内食を食べない母親が食事について聞かれた後の言葉である。‘Yes,Ⅰ’m starving’「お腹がすいて死にそうよ」が適切である。

【大問4】適語補充による説明文長文読解問題

  • 時間配分:10分

死体を保存し維持する(ミイラ化)ことの古代エジプト文化における重要性に関する説明文である。非常に読みやすい英文であるので、迅速に読み的確に単語を埋めていきたい。8題は完答したい。

1.‘such as~’「~のような」。
2.第2段落で「処置・過程」という意味の単語が使用されていることから類推する。
3.「時間がかかる」という表現に用いる動詞を考え、その過去形を当てはめる。
5.一度取り出された臓器が死体の中に戻されることを述べているので、‘back’が適切である。
7.期間を表わす前置詞は何か。
9.「木製の」というのは「材料」を表わしているので‘made of wood’となる。また「原料」を表現するのは‘made from ~’となることも覚えておこう。

【大問5】長文(物語)読解総合問題

  • 時間配分:27分

本文はかなり長文である。本文を読みながら問題を解くようにする。

A.内容一致に関する英問英答問題である<10分>。
1.第1段落第4文・第21段落の修理人の言葉を参考に考える。
2.「どのようなサービスがオペレーターによって提供されるのか」に対する適切な選択肢を考える。
3.「受話器の中の精霊―」については、第3段落を参照すること。
6.「ポールがオペレーターに数年間電話をかけなかったのはなぜか」に対する適切な選択肢はどれか。第23段落を参照すること。
10.「サリーの最後のメッセージは何を意味しているのか」ということである。第13段落、第40段落、第41段落を参照すること。

B.整序結合問題である<6分>。
この類の問題(整序問題)においては、部分的に適切につなぎ合わせ絶対の整合性を取るという手法が定石である。
(ア)there was nothingとかため、その後に接続詞を使いthat she did not knowと続ける。
(ウ)‘used to +動詞原形’「~だった(過去の習慣)」と‘look forward to ~ing’「~するのを楽しみに待つ」の2つの熟語を組み合わせること。

C.英文和訳問題である<6分>。
(ⅰ)‘without thinking ~’は「~を考えずに」という意味。‘What Ⅰ was doing ’は「私がしていること」の意味である。
(ⅱ)‘It is ~ for … to―’は「…が―するのは~である」という形式主語構文である。(ⅲ)‘I ’m sorry + to不定詞’は「するのは残念である」という意味である。このto不定詞は感情などを表わす形容詞(sad、happy、gladなど)の後に置かれる副詞的用法の不定詞である。

攻略ポイント

相当な英語力が求められているものの、全く手も足も出ないというレベルではない。単語力、イディオム力、文法知識、長文読解力、口語表現などをしっかり身に付け、事前の準備として全国難関校の入試問題演習を徹底的に行えば、合格点は達成できるだろう。特に意識しておいてもらいたいのは、「読解力」である。600~800単語の長文を10分前後で読解が完了する「力」が欲しい。そのためには、単語力、イディオム力が不可欠であるのはいうまでもないが、一番大事なことは「長文読解に慣れる」ということである。つまり、全国上位校に出題されるような長文総合問題を2日に1題を目標に継続して演習し続けることである。そのような練習を通じて「速読力」と「精読力=英語の持つ奥行きに関する理解力」を身に付けることが可能になるのである。

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