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慶應義塾高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2019年度「慶應義塾高等学校の英語」
攻略のための学習方法

合格を絶対に勝ち取るための学習法について以下にその概要を項目別に述べることとする。

①単語力・イディオム力は大事である

英単語は、最低でも3500語は欲しい。最難関校用の単語帳(英検レベルでは準2級相当)をしっかり学習し単語力を定着させること。イディオムも800~1000は確実に習得して欲しい。どのようにすれば、それだけのボリュームを習得可能になるのであろうか。英単語を例に考えてみよう。
英単語に限らず、時間的に限られたなかで「如何に効率よく受験勉強を進められるか」が重要である。「効率よく」とは「既に理解している事柄は再度学習しなくともよい」ということである。つまり、心掛けなければならないのは「まだ理解していない事項および理解が曖昧な事項」についてだけ取り組めばよい、ということである。英単語についていえば、上記「単語帳」の中で、単語の意味が完璧に覚えていない英単語がいくつあるかを早急(2日間程度)で洗い出すのである。そして、これらの理解不十分単語の数を自分が習得したい日数(100日または150日)で割って一日当たりの学習するべき単語個数を算出するのである。
仮に、算出した一日の学習個数が10単語となったら、徹底的にこの10個を覚え切るのである。そして、一週間に一日「まとめ日」を設け、それまで行ってきた6日分の単語数(10×6=60個)に対する「チェック」を入れるのである。そこで理解が未だに不十分である単語を抽出し、さらに6で割った数字を翌週の一日当たりの習得単語数に上乗せして学習を継続するのである。この繰り返しを行なうことにより、英単語は徐々に自分のものとなり、飛躍的に英単語力は伸びてゆく。
また、一つの単語で多様な意味を有する単語は要注意。例えば、figureという名詞には「人形、人物、数字、(数字の)桁、図柄、形」などの意味がある(同様な単語は他にもたくさん存在)ことなどをしっかり把握しておくこと。そうしないと、英文を正しく読むことができなくなる。

②文法事項をしっかり習得しよう

(1)関係代名詞・関係副詞についての理解を深めることが重要である。英文が長くなる主たる原因の一つであるからだ。目的格(whom/which)の省略に慣れることや、先行詞を修飾する関係代名詞に導かれた形容詞節が何処までかを( )でくくり前にある先行詞にかけて(修飾させて)訳を考えること(いわゆる『返り読み』)は行わないように。これは、最後まで読んで前に戻るという手法で時間のロスが大きい。その場合には、関係詞に関係なく左から英文に合わせて先行詞まで一気に読み、関係代名詞以下を「そして~である」と読めるように日頃から練習を積むべきである。いわゆる『返り読み』をしないことが大切である。

(2)分詞構文には十分慣れておくこと

文頭に~ingがあり、それが動名詞として主語の働きをしていない場合には、分詞構文と捉えること。分詞構文の代表的用法としては、)時(~のとき)、)譲歩(~だけれども)、)理由(~なので)、)様態(~のように)、条件・場合(~の場合は)などがある。しかも、次に述べる接続詞(as)との関係で、)~)をしっかり覚えること。なぜならば、asには)~)の全ての用法があり、さらに付帯又は時の経過(~するにつれ)という用法もあるからである。また、-ed(過去分詞)で始まる動詞で始まる分詞構文もあるので注意すること。その場合には、従属節(条件節)な受動態の場合であることも必須知識である。

(3)仮定法は願望である

少々乱暴な言い方に聞こえるかもしれない。どういうことか。一文を例示しよう。仮定法過去(現在の事実を否定しこうだったらいいのになぁという願望)の典型的な英文を一緒に考えてみよう。

If I were a bird, I could fly the sky.

一度は目にした英文だろう。例文の動詞(助動詞)の時制は見た通り『過去』であるが、文頭にifがあるために、この英文は仮定法過去の文章となり現在の事実を否定して、現実とは逆のことを想定しているのである。つまり、現実には「私」は現実には「鳥」ではないが、もし「鳥」ならば空を「飛ぶ」ことができる(空を飛びたい)のに、という「私」の願望が込められているのである。

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2019年度「慶應義塾高等学校の英語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

【大問1】は、適語補充による書き換え問題<5分>。
【大問2】は、誤文箇所訂正問題である<7分>。
【大問3】は、適語選択による長文完成問題<10分>。
【大問4】は、長文読解総合問題(物語文)である<38分>。英問英答問題、適文選択問題、整序問題、下線部和訳問題、和文英訳問題が設問内容である。例年の出題形式に変更はない。

【大問1】適語補充による書き換え問題

  • 時間配分:5分

全体的には難問の類はなく、基本問題から標準問題。一度は問題集などで解答したことがある問題ばかり。

1.「原宿に行かずに東京を離れたくない」という英文に書き換えたい。without ~ingを使う。
3.「私がこれまで見た映画の中で一番~である」という文章にしたい。
5.‘the 比較級~,the 比較級…’「~すればするほど、ますます…である」という構文を使う。
8.「彼には話し友達がいない」という文章なので、to不定詞を用いて表現しよう。

【大問2】誤文箇所訂正問題

  • 時間配分:7分

基本的文法知識があれば、全問正答を狙えるレベルの設問である。

  • 1. この問題は頻出である。exciteは、「人が興奮する(人が主語の場合)」はexcited、「人を興奮させる(物が主語の場合)」はexcitingとなる。
  • 2. ‘keep A B’=AをBに保つ(AをBの状態で維持する)という形を思い出し、本問の場合におけるBの形(過去分詞又は現在分詞)を考える。

5.‘stop’については、to不定詞が続く場合は「~するために立ち止まる」、~ing(動名詞)が続く場合は「~することをやめる」となる。
6.‘have lived’と完了形になっているので、期間を表す‘for’を用いて表現する。
9.肯定文に関する付加疑問文である。完了形の付加疑問文なので、‘hasn’t’を用いる。

【大問3】適切単語選択による説明文の長文完成問題

  • 時間配分:10分

1.「公共の」場所である。
3.形式主語の‘it’を用いた文章なので、to~することが「マナー」である、という表現にする。
6.文脈から判断すると、目的を表すto不定詞であるので「減らすため」としたい。
8.「~としてマスクをつける」としたいので、「~として」を表す前置詞の‘as’を用いる。

【大問4】物語文に関する長文読解問題

  • 時間配分:38分

かなりの長文である。毎年、このような長文が出題されるので、高度な英文読解力(英検2級レベル)が必要である。

A:英問英答問題<5分>
1.女性の宿に入ったとき誰も客は泊まっていなかった、のである。
2.ビリーがクリストファーの名前を知っていたのは、「クリストファーの名前が新聞に載っていた」からである。
3.彼女が宿帳に名前を書くことを望んだのは、「客の名前を忘れることが多かった」からである。
4.他の2人の客の共通な特徴は、「ハンサムで背が高かった」のである。
5.ビリーは、彼女の「動物を剥製にする技術」に感動したのである。
10.宿屋の女主人は、どのようなキャラクターとして描かれているかを考えること。

B:適切英文選択問題<3分>
2.ビリーは、2人の名前に心当たりがあることがわかる。
3.ビリーは、オウムが生きていると思っていたことがわかる。
4.宿帳に記帳したかどうかを尋ねられたことに対するビリーの回答である。
5.ビリーから、この数年間自分以外の客が来なかったか否かを尋ねられた女主人の回答である。

C:整序問題<9分>
(ア)‘let+目的語+動詞原形’を用いた「命令文」を考えること。
(イ)本文の文脈から「記帳されていた名前は2つ」と判断できる。
(ウ)‘not as ~ as …’「…ほど~でない」という形にする。

Ⅾ:英文和訳問題<12分>
(ⅰ)‘looked exactly like~’は、「まさに~のように見えた」となる。
(ⅱ)文章全体は強調構文である。つまり‘it is ~ that …’の形をしっかり理解すること。
(ⅲ)‘stuff’は「~を剥製にする」という動詞である。

E:和文英訳問題<9分>
「~だけではなく、…も」は‘not only ~ but also’である。頻出イディオムである。alsoは省略される場合が多い。
比較級の文章を考え、「少し」をどの様に表現するか。‘a little’を用いること。

攻略のポイント

相当な英語力が求められているものの、全く手も足も出ないというレベルではない。
単語力、イディオム力、文法知識、長文読解力、口語表現などをしっかり身に付け、事前の準備として全国難関校の入試問題演習を徹底的に行えば、合格点は達成できるだろう。特に意識しておいてもらいたいのは、「読解力」である。600~800単語の長文を10分前後で読み込める「力」が欲しい。そのためには、単語力、イディオム力が不可欠であるのはいうまでもないが、一番大事なことは「長文読解に慣れる」ということである。
つまり、全国上位校に出題されるような長文総合問題を2日に1題を目標に継続して演習し続けることである。そのような練習を通じて「速読力」と「精読力」を身に付けることが可能になる。

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