慶應義塾高等学校 入試対策
2020年度「慶應義塾高等学校の英語」
攻略のための学習方法
合格を絶対に勝ち取るための学習法について以下にその概要を項目別に述べることとする。
①単語力・イディオム力は大事である
英単語は、最低でも3500語は欲しい。最難関校用の単語帳(英検レベルでは準2級相当)をしっかり学習し単語力を定着させること。イディオムも800~1000は確実に習得して欲しい。どのようにすれば、それだけのボリュームを習得可能になるのであろうか。英単語を例に考えてみよう。
英単語に限らず、時間的に限られたなかで「如何に効率よく受験勉強を進められるか」が重要である。「効率よく」とは「既に理解している事柄は再度学習しなくともよい」ということである。つまり、心掛けなければならないのは「まだ理解していない事項および理解が曖昧な事項」についてだけ取り組めばよい、ということである。英単語についていえば、上記「単語帳」の中で、単語の意味が完璧に覚えていない英単語がいくつあるかを早急(2日間程度)で洗い出すのである。そして、これらの理解不十分単語の数を自分が習得したい日数(100日または150日)で割って一日当たりの学習するべき単語個数を算出するのである。
仮に、算出した一日の学習個数が10単語となったら、徹底的にこの10個を覚え切るのである。そして、一週間に一日「まとめ日」を設け、それまで行ってきた6日分の単語数(10×6=60個)に対する「チェック」を入れるのである。そこで理解が未だに不十分である単語を抽出し、さらに6で割った数字を翌週の一日当たりの習得単語数に上乗せして学習を継続するのである。この繰り返しを行なうことにより、英単語は徐々に自分のものとなり、飛躍的に英単語力は伸びてゆく。
また、一つの単語で多様な意味を有する単語は要注意。例えば、figureという名詞には「人形、人物、数字、(数字の)桁、図柄、形」などの意味がある(同様な単語は他にもたくさん存在)ことなどをしっかり把握しておくこと。そうしないと、英文を正しく読むことができなくなる。
②文法事項をしっかり習得しよう
(1)関係代名詞・関係副詞についての理解を深めることが重要である。英文が長くなる主たる原因の一つであるからだ。目的格(whom/which)の省略に慣れることや、先行詞を修飾する関係代名詞に導かれた形容詞節が何処までかを( )でくくり前にある先行詞にかけて(修飾させて)訳を考えること(いわゆる『返り読み』)は行わないように。これは、最後まで読んで前に戻るという手法で時間のロスが大きい。その場合には、関係詞に関係なく左から英文に合わせて先行詞まで一気に読み、関係代名詞以下を「そして~である」と読めるように日頃から練習を積むべきである。いわゆる『返り読み』をしないことが大切である。
(2)分詞構文には十分慣れておくこと
文頭に~ingがあり、それが動名詞として主語の働きをしていない場合には、分詞構文と捉えること。分詞構文の代表的用法としては、ⅰ)時(~のとき)、ⅱ)譲歩(~だけれども)、ⅲ)理由(~なので)、ⅳ)様態(~のように)、条件・場合(~の場合は)などがある。しかも、次に述べる接続詞(as)との関係で、ⅰ)~ⅳ)をしっかり覚えること。なぜならば、asにはⅰ)~ⅳ)の全ての用法があり、さらに付帯又は時の経過(~するにつれ)という用法もあるからである。また、-ed(過去分詞)で始まる動詞で始まる分詞構文もあるので注意すること。その場合には、従属節(条件節)な受動態の場合であることも必須知識である。
(3)仮定法は願望である
少々乱暴な言い方に聞こえるかもしれない。どういうことか。一文を例示しよう。仮定法過去(現在の事実を否定しこうだったらいいのになぁという願望)の典型的な英文を一緒に考えてみよう。
If I were a bird, I could fly the sky.
一度は目にした英文だろう。例文の動詞(助動詞)の時制は見た通り『過去』であるが、文頭にifがあるために、この英文は仮定法過去の文章となり現在の事実を否定して、現実とは逆のことを想定しているのである。つまり、現実には「私」は現実には「鳥」ではないが、もし「鳥」ならば空を「飛ぶ」ことができる(空を飛びたい)のに、という「私」の願望が込められているのである。
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2020年度「慶應義塾高等学校の英語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、適語補充による書き換え問題<7分>。
大問2は、誤文箇所訂正問題である<10分>。
大問3は、適語選択による長文完成問題<10分>。
大問4は、長文読解総合問題(物語文)である<33分>。英問英答問題、適文選択問題、整序問題、下線部和訳問題、和文英訳問題が設問内容である。例年の出題形式に変更はない。
【大問1】適語補充による書き換え問題
- 時間配分:7分
全体的には難問の類はなく、基本問題から標準問題。一度は問題集などで解答したことがある問題ばかりであろう。
1.直接話法から間接話法への書き換え問題である。話法の書き換え問題に場合、代名詞や時制に注意しよう。
2.「とても~なので…できない」という表現は、‘so ~ that 主語 can’t … ’という構文を使おう。
6.‘in order to ~’は「~するために」である。同じ意味を表す構文は‘so that … can ~’である。「…が~できるために」という目的を表す構文。
8.元の文章は‘it is ~ for - to …’という形式主語構文を使っている。意味は「私は彼の家を容易に見つけることができるだろう。なぜなら、以前、彼の家を訪問したことがあるからだ」という文章なので、「簡単に(easily)彼の家を見つける(find)だろう」と書き換えたい。
【大問2】誤文箇所訂正問題
- 時間配分:10分
基本的文法知識があれば、全問正答を狙えるレベルの設問である。
1.‘only’に留意しよう。onlyには、「しかない」という否定の意味が内包されているので、本文にあるCは否定形でなく肯定形にしなければならない。
2.本文の内容から、「とてもよく売れるので、その辞書の新しい版がすぐに出版される」となり波線部は受け身にならなければならないので、‘published’ではなく‘was published’となる。
5.‘the number of ~’と‘a number of ~’の違いは明確に把握しておくこと。高校生でも曖昧に覚えている受験生が多い。前者は「~の数」なので単数扱いである。一方、後者は「たくさんの~」なので複数扱いとなる。
8.‘remember’は、to不定詞が続く場合と~ing(動名詞)が続く場合がありそれぞれ意味が違ってくる。to不定詞の場合は、不定詞は未来を表すので「忘れずに~すること(~することを覚えておいて欲しい)」となる。一方、~ingは、「過去の内容」を表現しているので「~したことを思えている」となるので注意すること。
【大問3】適切単語選択による説明文の長文完成問題
- 時間配分:10分
ビートルズが音楽界のみならず社会に与えた影響に関するエッセーである。
1.ビートルズの出現により、ポピュラー音楽の意味を「(全体的に)変化させた」のである。
3.‘to name a few’は「いくつかの事例を挙げると」というイディオムになる。
6.‘not only ~ but also …’は「~だけではなく、…も」という相関構文である。Alsoは省略される場合が多い。
10.本文の述語動詞が過去完了になっていることに注意すること。英語では全般的に「時制」に注意する必要がある。
【大問4】物語文に関する長文読解問題
- 時間配分:33分
かなりの長文(2000単語超)である。毎年、このような長文が出題されるので、高度な英文読解力と速読力が必要である。1分間で120単語は読みたい。
A:英問英答問題<10分>
1.英語質問の内容は「マーティンが考える間違った選択とは?」という質問である。
2.「マーティンにとって安堵したことはなにか」という質問内容である。‘relief’という単語の意味は大丈夫だろうか。
3.「マーティンの両親は、息子が怖い映画を見ていることについて、どのように考えているのか」という質問に対し、本文より、父は理解しており母はしたいようにさせている、のである。
4.「両親が外出中であるとき、マーティンは、通常何をしなければならないのか」という質問内容である。第5段落に「妹をベットで寝かせドアと窓の施錠の確認をする」と書いている。
5.「ポールに関して真実ではないのはどれか」という質問である。
10.「多くの読者は、この物語をどのように考えるか」という問いに対しては、ハロウィンという映画と共通点がある、との記述がある。‘have ~ in common with …’は「…と共通点を~持つ」というイディオムである。
B:適切英文選択問題<6分>
2.マーティンがクッキーの表面をなめていた理由は何か。
4.ポールはマーティンが怖い映画を好きな理由を分析している。
5.ポールが家にいるはずだと思い込んでいる父親は、マーティンの返事を聞いてどう思ったのか。
C:整序問題<6分>
(ア) 文末に「?」があるので、当然ながら疑問文を考える。
(イ) ‘It is ~ to …’の仮(形式)主語構文を考えること。また、believeがあるので、その目的語をhowで導く関節疑問文としよう。
(ウ) ‘make’を使って使役動詞構文を考える。入試では、‘make’がでたら第5文型のmake(~を…にする)かまたは使役のmakeを第一番目に考える。作るなどの意味は最後に考える。
Ⅾ:英文和訳問題<7分>
(ⅰ)to不定詞は、この場合は目的を表す副詞的用法である。Ifは目的節を導く接続詞であり、意味は「~かどうか」となる。
(ⅱ)whichは関係代名詞(主格)である。‘to get to know ~’は「~を知るようになる」という意味である。
(ⅲ)‘the 比較級+主語+動詞 ~、the 比較級+主語+動詞 ~’は「~すれば、するほど~だ」という構文である。
E:和文英訳問題<4分>
③ 理由を表す接続詞を使うのだが、as、 because、 sinceがあるが、相手が理由を既に知っている場合はasが一般的である。
「~とそっくりの」の表現はしっかり覚えておこう。look just like ~ となる。
攻略のポイント
相当な英語力が求められているものの、全く手も足も出ないというレベルではない。単語力、イディオム力、文法知識、長文読解力などをしっかり身に付け、事前の準備として全国難関校の入試問題演習を徹底的に行えば、合格点は達成できるだろう。特に意識しておいてもらいたいのは、「読解力」である。600~800単語の長文を5分前後で読み込める「力」が欲しい。そのためには、単語力、イディオム力が不可欠であるのはいうまでもないが、一番大事なことは「長文読解に慣れる」ということである。つまり、全国上位校に出題されるような長文総合問題を2日に1題を目標に継続して演習し続けることである。そのような練習を通じて「速読力」と「精読力」を身に付けることが可能になる。