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慶應義塾高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2021年度「慶應義塾高等学校の英語」
攻略のための学習方法

合格を絶対に勝ち取るための学習法について以下にその概要を項目別に述べることとする。

①単語力・イディオム力は大事である

英単語は、最低でも3500語は欲しい。最難関校用の単語帳(英検レベルでは準2級相当)をしっかり学習し単語力を定着させること。イディオムも800~1000は確実に習得して欲しい。どのようにすれば、それだけのボリュームを習得可能になるのであろうか。英単語を例に考えてみよう。英単語に限らず、時間的に限られたなかで「如何に効率よく受験勉強を進められるか」が重要である。「効率よく」とは「既に理解している事柄は再度学習しなくともよい」ということである。つまり、心掛けなければならないのは「まだ理解していない事項および理解が曖昧な事項」についてだけ取り組めばよい、ということである。英単語についていえば、上記「単語帳」の中で、単語の意味が完璧に覚えていない英単語がいくつあるかを早急(2日間程度)で洗い出すのである。そして、これらの理解不十分単語の数を自分が習得したい日数(100日または150日)で割って一日当たりの学習するべき単語個数を算出するのである。仮に、算出した一日の学習個数が10単語となったら、徹底的にこの10個を覚え切るのである。そして、一週間に一日「まとめ日」を設け、それまで行ってきた6日分の単語数(10×6=60個)に対する「チェック」を入れるのである。そこで理解が未だに不十分である単語を抽出し、さらに6で割った数字を翌週の一日当たりの習得単語数に上乗せして学習を継続するのである。この繰り返しを行なうことにより、英単語は徐々に自分のものとなり、飛躍的に英単語力は伸びてゆく。また、一つの単語で多様な意味を有する単語は要注意。例えば、figureという名詞には「人形、人物、数字、(数字の)桁、図柄、形」などの意味がある(同様な単語は他にもたくさん存在)ことなどをしっかり把握しておくこと。そうしないと、英文を正しく読むことができなくなる。

②文法事項をしっかり習得しよう

(1)関係代名詞・関係副詞についての理解を深めることが重要である。英文が長くなる主たる原因の一つであるからだ。目的格(whom/which)の省略に慣れることや、先行詞を修飾する関係代名詞に導かれた形容詞節が何処までかを( )でくくり前にある先行詞にかけて(修飾させて)訳を考えること(いわゆる『返り読み』)は行わないように。これは、最後まで読んで前に戻るという手法で時間のロスが大きい。その場合には、関係詞に関係なく左から英文に合わせて先行詞まで一気に読み、関係代名詞以下を「そして~である」と読めるように日頃から練習を積むべきである。いわゆる『返り読み』をしないことが大切である。

(2)分詞構文には十分慣れておくこと
文頭に~ingがあり、それが動名詞として主語の働きをしていない場合には、分詞構文と捉えること。分詞構文の代表的用法としては、ⅰ)時(~のとき)、ⅱ)譲歩(~だけれども)、ⅲ)理由(~なので)、ⅳ)様態(~のように)、条件・場合(~の場合は)などがある。しかも、次に述べる接続詞(as)との関係で、ⅰ)~ⅳ)をしっかり覚えること。なぜならば、asにはⅰ)~ⅳ)の全ての用法があり、さらに付帯又は時の経過(~するにつれ)という用法もあるからである。また、-ed(過去分詞)で始まる動詞で始まる分詞構文もあるので注意すること。その場合には、従属節(条件節)な受動態の場合であることも必須知識である。

(3)仮定法は願望である
少々乱暴な言い方に聞こえるかもしれない。どういうことか。一文を例示しよう。仮定法過去(現在の事実を否定しこうだったらいいのになぁという願望)の典型的な英文を一緒に考えてみよう。
If I were a bird, I could fly the sky.
一度は目にした英文だろう。例文の動詞(助動詞)の時制は見た通り『過去』であるが、文頭にifがあるために、この英文は仮定法過去の文章となり現在の事実を否定して、現実とは逆のことを想定しているのである。つまり、現実には「私」は現実には「鳥」ではないが、もし「鳥」ならば空を「飛ぶ」ことができる(空を飛びたい)のに、という「私」の願望が込められているのである。

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2021年度「慶應義塾高等学校の英語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

【大問1】は、適語補充による書き換え問題<8分>。【大問2】は、誤文箇所訂正問題である<10分>。【大問3】は、適語選択による長文完成問題<10分>。【大問4】は、長文読解総合問題(物語文)である<32分>。英問英答問題、適文選択問題、整序問題、下線部和訳問題、和文英訳問題が設問内容である。例年の出題形式に変更はない。

【大問1】適語補充による書き換え問題

  • 時間配分:8分

全体的には難問の類はなく、基本問題から標準問題。一度は問題集などで演習したことがある問題ばかりであろう。
1.現在完了形(経験)を用いて書き換える。「新しい経験である」=「今まで経験したことがない」としたいので、neverを使う。
2.比較に関する書き換え問題。比較級の内容を原級構文を用いて書き換える問題は慣れているであろう。
3.It is ~ for … to -=仮主語(形式主語)に関する構文を用いる。「~」の部分が性格などを表わす語(kindなど)の場合は、forではなくofとなることに注意すること。
4.~ is increasing =「増えている」を「ますます増えている」にしたいので、more and more を使って書き換える。
5.「一緒に働くことを楽しみにしている」としたい。「~を心待ちにしている」「~を楽しみにしている」をlook forward to ~ingとなる。この場合、toは前置詞であるので、続く動詞は原形ではなく動名詞にしなければならない。
6.「とても遅かったので、何もできなかった」という文章を書き換えたいので、too ~ for … to -=「あまりにも~なので…は-できない」という構文を使う。
7.Let’sで始まる‘提案’を表わす英文である。What(又はHow) about ~ing か又は、shall we + 動詞原形 あるいは、why not + 動詞原形 のいずれかで書き換えが可能である。
8.与えられた英文を「レースに勝っただけではなく、新記録も出した」としたいので、not only ~ but also …=「~のみならず、…も」を用いて書き換える。
9.「~して欲しいのですが」という丁寧な依頼を表わす表現である、would you mind ~ingを用いる。
10.「急いで服を着ないと学校に遅れる」という英文であるので、‘命令文,or ~’=「…しなさい。さもないと~」の構文に書き換える。

【大問2】誤文箇所訂正問題

  • 時間配分:10分

基本的文法知識があれば、全問正答を狙えるレベルの設問である。
1.主語は複数である。be動詞は当然、複数に対応したbe動詞となる。
2.「修理(fix)されるまで」という受け身の形にする。
3.英文は間接疑問文である。疑問詞の後の語順に気を付ける。
4.「一方、他方では」としたいので、in one handではない。
5.最後の部分は「今は寝た方がよい」となるので、had better + 動詞原形 のイディオムを使う。
6.someoneがkindであるという判断をしているので、to不定詞(副詞的用法)の根拠判断を用いなければならない。
7.「日本製品」としたいので、makeを過去分詞madeにしたうえで過去分詞形容詞用法(後置修飾)の形にする。
8.「彼女にあとで私に電話をくれるように言ってくれ」という英文にしたいので、「彼女に電話をしてもらう」という使役の構文を使い、have her call me backとしたい。
9.文頭のIf ~は、条件を表わす副詞節なので、内容が未来を表わしていても時制は現在形となる。
10.「眠っている赤ん坊を~」としたいので、sleep を sleeping として現在分詞形容詞的用法を用いてbabyの前に置く。

【大問3】適切単語選択による説明文の長文完成問題

  • 時間配分:10分

2020年に開催されるはずであった東京オリンピックに関するエッセーである。
1.「~として」としたいので前置詞のasとなる。なお、asには接続詞としての用法もあるのでしっかり確認しておくこと。
2.「行われる」というイディオムであるtake place を使用する。
3.「~ではあるが」という譲歩の接続詞、although 又は though を入れる。
4.「…ではなく~」という意味の ~ rather than … となる。
5.東京はライバルのイスタンブールやマドリードの都市を破り開催権を勝ち取ったのである。「都市(複数)」を入れる。
6.東京は「この大会(オリンピック)」をアジアで2回開催する初めての都市である、としたい。
7.「今回の東京オリンピックは4度目の開催」になるという意味にしたい。
8.「…だけではなく~も、…と同様に~も」を表わす ~ as well as … とする。
9.「~して以来初めて」としたいので since を入れる。似た表現に「~ぶりに」= for the first time in ~ がある。
10.前文(又はその一部)を先行詞とするwhichを入れる。

【大問4】物語文に関する長文読解問題

  • 時間配分:32分

かなりの長文(2000単語超)。例年、このような長文が出題されるので、高度な英文読解力と速読力が必要である。1分間で120単語は読みたい。

A:英問英答問題<12分> 英問の内容は以下のとおり。
1.「1における私と2における私の関係は何か」という質問である。
2.「下線部①のenvied(←envy)はどういう意味であるか」という質問である。
3.「下線部②のblaming(←blame)はどういう意味であるか」という質問である。
4.「釣りでの事故の後、少年はどのように感じたか」という質問である。
5.「下線部③のI wasn’t just trying to win his favor を別の表現でどのように表わすか」という質問である。
6.「父親が変わったと少年が思う理由の一つではないものはどれか」という質問である。
7.「物語の中で『The Invasion of the Body Snatchers』を紹介する意味は何か」という質問である。
8.「下線部④のget a great kick of out of を別の表現でどのように表わすか」という質問である。
9.「少年は眠っているふりをしている間に、どうして泣き始めるのか」という質問である。
10.「下線部⑤のhold on を別の表現でどのように表わすか」という質問である。
11.「父親が少年は変わったと思う理由の一つではないものはどれか」という質問である。
12.「父親の息子に対する感情についてどれが正しいか」という質問である。
13.「下線部⑥のlimiting it is the last thing I want to doを別の表現でどのように表わすか」という質問である。
14.「下線部⑦のin vainはどのような意味であるか」という質問である。
15.「正しくないものはどれであるか」という質問である。
16.「この後に起こりそうにないものはどれか」という質問である。

B:適切英文選択問題<10分>
(ア) this invisible tie とは「父と僕との絆」であるが、どのような内容であるかを考える。直後に we were tied together by telepathy とある。
(イ) 下線部の訳は「とても恐ろしいもの」という意味になるが、具体的にはthat 以下の内容をまとめる。
(ウ) That は、直前に書かれている he doesn’t come tome for help any longer を指している。

C:和文英訳問題<10分>
(ⅰ)「それ以来ずっと~」は現在完了(継続)を使う。また、「~じゃないだろうか」はI think ~ よりは、I wonder if ~ の方がよいであろう。
(ⅱ)「~で悩んでいるのかもしれない」は might be worried about ~ を使う。
(ⅲ)「~せずにはいられない」は can’t help ~ing または can’t but +動詞原形である。「息子の様子を確かめるために」は to see if he is all right などがよい。to不定詞は目的を表わす副詞的用法である。

攻略のポイント

相当な英語力が求められているものの、全く手も足も出ないというレベルではない。単語力、イディオム力、文法知識、長文読解力などをしっかり身に付け、事前の準備として全国難関校の入試問題演習を徹底的に行えば、合格点は達成できるだろう。特に意識しておいてもらいたいのは、「読解力」である。600~800単語の長文を5分前後で読み込める「力」が欲しい。そのためには、単語力、イディオム力が不可欠であるのはいうまでもないが、一番大事なことは「長文読解に慣れる」ということである。つまり、全国上位校に出題されるような長文総合問題を2日に1題を目標に継続して演習し続けることである。そのような練習を通じて「速読力」と「精読力」を身に付けることが可能になる。

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