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慶應義塾高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2014年度「慶應義塾高等学校の国語」
攻略のための学習方法

設問数は大問2題で問の数は全部で17問。
出題されている文章レベル(極めて論理性の高い文章)と試験時間が60分ということを考えあわせると、見直しの時間はほとんどないと考えたい。

大問1で扱われているような論説文を攻略するためには、日頃から物事を自分の頭で考えることを心掛けるべきである。自分の頭で考えるということは、ある事象に対する判断の基準を「その場で思いついたひらめき」や「自分の好き嫌い」に求めるのではなく、自分が導く結論に対して「説得力ある論理展開」を行っているかどうかである。
それでは「説得力」とは何か。
一言でいうならば、誰が聞いても「納得できる」という要素が不可欠である。
ある主張に対して自分の結論は、「賛成」でも「反対」で構わない。大事なことは結論がどうであれ、その結論に至る「論理プロセス」の成熟度である。
このようなスキルは、試験の2週間前位に一夜漬け的に知識を詰め込んでも、合格点には届かないだろう。まずは自分の頭で考える。そして、次の段階では「頭で考えたこと」を「自分の言葉で書き出す」訓練である。
人間は、頭で考えたことが100だとすると、それが発言すると10になり、文章で表現するとわずか1になってしまうと言われている。それだけ、自分の考えを言葉として文章表現することの難しさを端的に表しているのだろう。

各出版社が発行している新書を読むのも論理的文章に親しむには効果的である。大きく分類すれば、自然科学系、社会科学系と分れるが、どの分野の新書を読むかは、基本的には「自分の好み」に基づいて選択すればいいだろう。ただ、文字だけを表面上で読むのではなく、じっくり筆者の論理展開を辿っていく姿勢が大事である。余裕があれば、要旨を紙に書き出してみるということも効果的である。
そのように、自分の考えをまとめあげる作業を行えば、必ず自身の論理的思考力を着実に高めてゆくことが可能となるだろう。

慶應義塾高校入試問題では、かなりの割合で知識問題が出題される。漢字の書き取り・読み、国文法(動詞の活用形、助詞)、文学史などである。

現古融合問題の場合は、古文に対する現代評論文が出題される。古典文法の知識は欠かせないのは言うまでもないが、その古典作品に関する現代評論を読み解く力は現代文の読解力である。特に、現代文、現古融合の問題で扱っている話題が、言語論や芸術論の場合には性質上書かれている内容が抽象的にならざるを得ない。そのような抽象的文章を読み慣れていないと、試験当日に初見でそのような文章を読み解くことは不可能であろう。
ただし、そのような文章でも攻略するための手掛かりは必ずあるものである。例えば「キーワード」。何度も繰り返されている単語や表現があるかどうか。そのような単語があればチェックを入れ、本文全体の流れの中でその「キーワード」がどのような役割を担って使用されているかを考察すれば、論理の組み立てを正確に把握することができる。
また「接続詞」も大事である。接続詞を丁寧に辿ることにより、段落ごとの筆者の主張の流れの概略を理解することができる。

いずれにしても、論理性の高い文章の内容把握を正確に行うために、日頃から「自分の頭で考える」ことを念頭に置き、考えたことを「文章にまとめてみる」という学習習慣を身につけて欲しい。

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2014年度「慶應義塾高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問1は、A・B・C(論説文:A・C、小説:B)で構成され設問数は10題。
漢字書き取り、漢字の画数、内容把握、国文法(動詞の活用形)と出題内容は多岐にわたる。本文を読み始める前に、設問を概観し「何を問われているか」を事前にある程度把握すること。

大問2は、現古融合問題。設問数は7題で解答時間は25分。
出題は、内容把握が主要であるが50字の記述問題が2題含まれている。手際よく自分の考えを文章にまとめる事前準備はしっかり行うこと。

[大問1]総合問題

  • 時間配分:35分

A(笹原宏之著「日本の漢字」)、B(夏目漱石著「門」)、C(ニ瀬由理著「心理学ふしぎふしぎ」)に関する総合問題。

問1は漢字の書き取り。解答時間は3分。「オサまる」、「ジタイ」、「ドウクン」が正確に書けるかどうかが完答のカギ。
問2は「義塾」の総画数に関する問題。解答時間は1分。「塾」の画数は14画であるが、15画とする受験生も多いのでは。
問3も漢字の問題であるが「間引く」から連想して解答する。解答時間は1分。
問4は国文法(助詞)の問題であるが、基本問題であるので知識問題としてしっかり正解を導きたい。
問5は内容把握問題。解答時間は4分。「理解字」と「非理解字」に関する本文中での筆者の主張を把握し、その上で昨今の電気機器の普及に伴う漢字運用能力との関連性を考える。
問6は漢字の読み。完答したい。解答時間は2分。
問7は国文法に関する問題。解答時間は6分。動詞の活用形、係助詞、動詞の意味など細かな知識を習得しておくこと。
問8は内容把握である。解答時間は1分。「宗助」の「近」という漢字が思い出せない原因に関する「御米」と「宗助」との違いを把握する。
問9は漢字の問題。「字の留まった所」とは「しんにょう」の最後の部分。
問10は内容把握問題。解答時間は5分。「ゲシュタルト崩壊」と「門」に関する出題である。BとCを読み込み、選択肢と本文との整合性、矛盾性を考える。⑤は客観的事実として○。

[大問2]現古融合問題

  • 時間配分:25分

吉川幸次郎著「本居宣長—世界的日本人—」
本文が扱っているテーマは「言語論」である。
本居宣長の主張として「言語活動」が「人間の精神を反映するもの」であることを把握したうえで設問に解答する。また、その様な本居宣長の学問において「文学」というものの比重が高く、「言語(言のさま)」は歴史を学ぶ上での極めて重要な手掛かりであると捉えている。これが「東洋の学問の伝統的な精神である」という筆者の論理展開を押さえること。
内容的にはベースが「言語論」であるため内容把握の上で、しっかりした読解力が求められる。

問1は古文内容把握問題。解答時間は3分。次問にも関連してくる「言」と「事」と「心」との関連性をしっかり把握すること。
問2も内容把握問題。解答時間は4分。本文の「ところで学問とは、・・・」から「・・・指摘しているのである。」との論理展開をしっかり理解する。
問3は同じく内容把握問題。解答時間は3分。本文中からの抜き出しである。Ⅰは「これをしらざるは、・・・」、Ⅱは「文学こそは「言」の淵藪であり、・・・」の個所から正解を導く。
問4は文学史。解答時間は0.5分。「古事記」と「日本書紀」をしっかり思い出すこと。
問5も文学史である。解答時間は0.5分。文学史の常識問題として落とせない。
問6は古文内容把握問題。解答時間は2分。物事を「他人」の事として捉えるか、または「自分」の事として考えるかについて考察する。
問7は内容把握の記述問題。解答時間は4分。論理展開として、東洋の学問が伝統的に「言のさま」を重視したのは、「古人の精神」を理解するために「古人の言葉」を理解しなければならない結果、「言語(言のさま)」が重視されたのである。

攻略ポイント

内容的には、高度な論理的文章を読ませ十分に内容把握ができているかを問う問題である。
単に、文章を読んで書いてある事柄を理解するだけでは、設問に対する正解は導けないであろう。一読しただけで深く「読み込む」作業を行わなければならない。
普段から、論理的文章に慣れ親しみ、「キーワードの抽出方法」、「自分の頭で考え抜く」という訓練を継続して行っているかがポイント。その際に、論理の流れを把握する上で「接続詞」に注目したり、論理を正当化する根拠として挙げている「具体的な事例」などを押さえることも内容把握のための有力な手掛かりである。
50字程度の記述問題が2題出題されている。考えを過不足なく文章にするというのは、付け焼刃的な対応では無理である。
記述対応の問題集でしっかりとした練習を行うこと。
国文法、文学史、漢字書き取り・読みは知識問題としてしっかり完答できるように知識を定着させて欲しい。

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