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慶應義塾女子高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2014年度「慶應義塾女子高等学校の国語」
攻略のための学習方法

慶應女子の国語について、志願者の学習の指針として、4点が指摘できる。

1点めは、「あらゆる分野の読書をする」ことだ。問題文は、日本語を扱ったものなら制限なく出題されてきている。近代・現代を問わず、「文学的文章」なら小説文や物語文、「説明的文章」なら論説文や随筆文が出題されるし、「古文」や、さらに散文に対比される詩や俳句などの「韻文」も出題される。志願者は、読解経験に偏りが生まれないようにしたい。

2点めは、「文学の知識を蓄える」ことだ。あらゆる文章を読んでいきながら、その背景にある知識や法則を知ろう。近代の文章を読むには、その時代背景の知識が欠かせないし、詩を読むのなら、その表現技法の体系的な理解が欠かせない。志望者に手に入りやすいものならば、便覧や資料集にまとめられている。特に押さえておきたいのは漢字の特殊な読みと、文学作品の背景だ。なにか文章を読んで曖昧に感じる箇所があったなら、必ず調べておく習慣を身につけよう。 

3点めは「記述問題に慣れる」ことだ。「記述」と耳にしただけで、苦手意識を持つ志望者は多いが、なにも飛び抜けた文学の才能が求められているわけではない。「記述」問題を見たら、「抜きだし」+「要約」が求められていると読みかえてみよう。
「記述問題」は、まずは傍線部の周囲を探し、必要な文章を「抜きだし」しよう。「抜きだし」の箇所が、複数になることもある。ここまでなら、慶應女子ではない学校でも問われている標準的な設問の形式だろう。
次に「抜きだし」した文章を整理しよう。多くの設問では、「抜きだし」のまま解答用紙に書こうとすれば、文字数が増えすぎてしまう。そこで、抽象的に「要約」してから清書をしよう。
例えば、この文章自体を要約するならば「慶應女子の記述問題の手順」になるし、【大問3】ならば「倫理学の脳科学の立場からの実証研究」となる。要約のための言葉が、すぐに出てくるだろうか。問題文で与えらていない言葉を、自分で用いることは、思うほど簡単ではない。「言葉が出てこない」という感覚があれば、それはまだまだ訓練が足りていない。志望者におすすめしたいのは、なにかの文章を読んだら、その内容を抽象的に要約する習慣を持つことだ。長い時間をかけて、じっくりと訓練していこう。

4点めは「作文に慣れる」ことだ。少なくとも5年分の作文問題を、構想から清書まで、きちんと時間を計って完成させて欲しい。完成した作文を、自己採点ではなく、きちんとした国語の指導ができる人間に見せて、添削してもらおう。添削を受けることによって、文章の構成力や、言葉の表現力を身につけていこう。

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2014年度「慶應義塾女子高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

試験時間は60分だ。大問数は、「作文」を含めて、4問と考えたい。いずれの問題文も、さほど長いわけではないが、多くの設問が受験者に記述を要求している。そのため、他の学校とは異なる、独自の時間配分が必要となる。「作文」に時間をかけすぎないようにしたい。

いずれの問題文も、文学的な教養を問う「知識」問題と、読解した内容を表現させる「記述」問題が含まれている。時間配分という点で、「記述」にかかる時間を、受験者は自覚しておきたい。くれぐれも「記述」の推敲に拘りすぎないようにしよう。

【大問1】文学的文章

  • 時間配分:18分

文学的文章で、近代の小説文の出題だ。
(設問1)漢字の設問だが、とくに文語の表現が問われている点に注目したい。
(設問2)「花やぐ」は、雅語の文章表現だ。
(設問7)「顔色は青白んだ」、「額には、冷たい汗がにじみ出た」、「目の前が、暗くなりかけた」という描写から、千恵子が不安と恐怖に襲われていることを読みとろう。
(設問8)難しい設問で、模範解答を読んでも、いまいち納得できない受験者もいるのではないか。ここで求められているのは、受験者があらかじめ人間の心理の法則について理解していることだ。問題文の文章の流れから、受験者が推察する必要がある。

【大問2】古文

  • 時間配分:7分

古文で、注釈が丁寧についているので、読解は易しい。受験生の間で差があまりつかなかったはずだ。
(設問2)傍線部の直前の文章を、現代語に訳せばよい。
(設問3)古文の常識が問われている。

【大問3】説明的文章

  • 時間配分:15分

説明的文章で、論説文の出題だ。倫理学を、脳科学の視点から考えた文章になる。「生物」と「公民」についての基本的な理解があったほうが、読みやすいだろう。
(設問2)受験者の水準を考えれば、ほぼ全員が正答するだろう設問だ。もし間違えてしまったら、すぐに語彙を鍛えなおそう。
(設問3)実証科学とは「データに基づいた」検証を行うもので、「脳科学がデータを提供」する。
(設問4)ジレンマとは、対立し、両立しえないもののことだ。ここでは「肉親関係にある子としての倫理」と「一般的な人間としての倫理」が対立している。対比の関係がわかるように記述したい。
(設問8)文法の設問だ。補助動詞に注意したい。

攻略ポイント

慶応女子の国語の設問が、共通して受験者に求めているものは、「記述力」と「文学の教養」だ。受験者の学力の水準を考えれば、「文学の教養」で差がつくとは思えない。要求されている知識は、決して膨大でも難解でもないからだ。したがって、差が生まれるのは「記述力」になる。「作文」を除いた「記述」の設問では、問題文の該当箇所を、抽象的に要約できることが求められている。日頃から文章を書く習慣のある受験生が圧倒的に有利だろう。

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