慶應義塾女子高等学校 入試対策
2016年度「慶應義塾女子高等学校の国語」
攻略のための学習方法
[語彙力]
語彙力については、どちらのご家庭からも、似たような質問を受ける。「どのように語彙を増やしたらいいですか？」という質問は、学習方法を、求めている。「語彙力はどれくらい必要になるのですか？」という質問は、目安を求めている。
語彙の学習方法については、まずは王道はないと知っておこう。語彙はいきなりは増えず、
日ごろから品質の高い言葉に触れておくことが、大事になる。具体的には、読書をすることと、言葉を調べる習慣を持つことが、有効だ。どちらもできていない生徒は、当然、語彙量が少なく、受験では不利になってくる。語彙は、すべての基礎になるので、読解力や記述力よりも、優先したい。
語彙の目安については、慶応女子の志望者は、まずは漢字検定を２級まで取っておこう。そのあと、もし余裕があるのであれば、文学史・詩歌の参考書を、それぞれ１冊仕上げておきたい。
[読解力]
慶応女子は、文学分野からの出典が多い。したがって、これらの分野の入門書を、読書に選んでおくとよいだろう。日常ではあまり用いられない「デジタル」「アナログ」「世界観」「因果律」などの言葉を、自分で説明できるようになっておきたい。
また、最近では「読書が大事とわかってはいるが、どの本を選んでいいのかわからない」という家庭が増えてきた。書籍の販売点数が増し、かつ書籍が消費財として扱われるようになったからだろう。そのような状況に対応するために、毎年、担当した生徒には、ブックリスト（受験までに読んでおくべき本の一覧）を提供している。早めに声をかけてもらえれば、生徒の読解力を計画的に育てていくことができる。
[記述力]
記述力の育成は、家庭教師がもっとも得意とする分野だ。学校の授業だけで、記述力が手に入ることは、まずないだろう。なぜなら、学校のカリキュラムには、そもそも文章を書く時間が、あまり用意されていないからだ。さらに、もし文章を書いたとしても、集団授業では、添削などの対応に限界がある。また、独学で記述力が上がることも、あまり見られない。
そこで、家庭教師ならば、生徒の生活に合わせて、オーダーメイドで小論文講座を設計することができる。教材の手配や、丁寧な添削によって、記述力を最短で手に入れたい場合は、声をかけてほしい。ただし、最低限の語彙力や読解力が身についていることが、前提にはなる。
慶応女子の志望者であれば、最終的には６００字の作文まで、対策が必要になる。目安としては、中３の夏休みからはじめて、６か月の期間があれば、記述力が完成できる。
志望校への最短距離を
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2016年度「慶應義塾女子高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は６０分で、得点は１００点満点と推定される。大問が３問あり、そのうち、長文が２問、古文が１問で、構成されている。文量は標準的だが、記述を清書する必要があるので、解答用紙がきちんと埋められるように、時間配分に注意したい。
【大問1】長文読解（物語文 約２８００字）
- 時間配分：26分
出典は、おのりえんの「虫愛づる姫もどき」であり、日本人の愛好する桜の木をめぐる物語だ。内容はわかりやすいが、一人称の口語で描かれていたり、台詞回しが独特であったり、さまざまな文学技法が凝縮されている。
（４）木は植物なので、声を出して人間を呼ぶことは、ない。そこを、あえて擬人法を用いて「木に呼ばれたんだよ」と言うことで、「あこちゃん」が木に誘われた心情が、印象づけられる。
（５）「よりさん」が、大人から叱られると注意したにもかかわらず、「あこちゃん」は楽しそうに桜の木に座っている。
（７）情景がきちんと想像できるだろうか。ふたりにとって、桜の枝に座ることは、特別な行動だ。そこへ、あえて無関係な第三者を対置することで、詩的な効果を強めている。
【大問2】 長文読解（古文 約３５０字）
- 時間配分：8分
出典は、世阿弥（ぜあみ）の「風姿花伝」であり、能の稽古を通じて、学ぼうとする人間を題材にしている。
（１）と（６）と（７）文学史をきちんと学習しておこう。ただ単に古文の単語や文法を学ぶのではなく、文学教養としての古文を学ぼう。
【大問3】長文読解（説明文 約２６００字）
- 時間配分：20分
出典は、渥美堅持（あつみけんじ）の「イスラーム基礎講座」であり、砂漠という風土と、イスラームの人間の精神が、題材となっている。
（１）傍線部の前後で、筆者が言い換えをしている箇所を、整理してみよう。
例えば、「この世は、因果律的に動くのではなく」「アッラーのそのつどの命令により動く」が該当する。
（４）文章をまとめるのではなく、受験者自らの意見が求められている。「砂漠に適応した姿で行動」できればよいので、例えば、「肌を露出しない」「光り物を持って歩かない」などと、具体的な姿を指摘したい。
（７）品詞分解は、毎年出題されている。過去問の該当箇所を、数年分、解いてみて、満点が取れるか確かめておこう。
攻略ポイント
受験者の合否を分けるのは、記述力になる。
解答用紙を見れば、その大部分を記述式の設問が占めており、配点が高いことがわかる。そして、記述といっても、文章を分析して、要約するだけでなく、自らの意見をきちんと主張できなければならない。記述力があるかないかで、受験者を選ぶ試験構成といえる。一方で、記述力のある受験者にとっては、安定して合格点が取りやすい。
対策として、国語で読解力を鍛える一方で、記述（小論文）の独立した講座を、６か月は受講しておくことを推奨する。