出典は、長谷川櫂著『理想なき現代の喜劇』。

問一は、漢字の読み書き問題＜2分＞。
標準的な漢字であるので6題完答を目指したい。「そうしつ＝喪失」、「侮る＝あなど・ル」、「へんせん＝変遷」、「へいこう＝平衡」、「し・イル＝強いる」、「旗印＝はたじるし」である。

問二は、文学史問題＜2分＞。
『徒然草』の冒頭の一部を書かせる問題。著名な古典作品の冒頭は目を通しておいた方が良い。有名なところでは『源氏物語』なども要注意である。

問三は、現代語訳選択問題＜２分＞。
「無きにしもあらず」は、「ないということもでもない」という意味である。

問四は、内容把握記述問題＜3分＞。
「愚かなる人は、偶々、賢なる人を見て、これを憎む」のである。理由は「大きな利」を得ようとして、「少しの利」を受けようとせず、「名を立てん(＝名声を立てる)」としているのである。つまり、本心を隠している(偽っている)のである。

問五は、内容把握記述問題＜2分＞。
「下愚の性」とは「愚かなる人」の「腐りきった性根」のことであり、「賢なる人」の「立派な行い」を「謗り、さらには嘲る」のである。

問六は、内容把握選択問題＜1分＞。
宴会で小判をばらまく紀伊国屋文左衛門の行為。果たしてそこに「理想」はあったのか。ないのであれば文左衛門の行為は「法師の想定しなかった事態」なのである。

問七は、内容把握記述問題＜2分＞。
本文で兼好法師は人間を「『人の賢』立派な行いを見て羨む人」と「憎む人」の2つに分類している。この個所を手掛かりに考えをまとめること。

問八は、内容把握記述問題＜2分＞。
「分岐点」とは「明治天皇の死」である。その前後に人々が抱いていた国家感・理想について本文に即し考える。

問九は、文学史問題＜2分＞。
傍線F「夏目漱石」の作品をすべて選択する問題である。『門』と『城の崎にて』である。

問十は、文学史問題＜2分＞。
『論語』は孔子の言葉をまとめた書物である。

問十一は、内容把握記述問題＜5分＞。
渋沢栄一は「事柄に対し如何にせば道理に契ふかを先ず考へ」、次に「其の道理に契った遣方をすれば国家社会の利益となるかを考へ」そして「更に此くすれば自己の為にもなるかと考へる」のである。

問十二は、内容把握記述問題＜2分＞。
「それに代わる」とは、「経済における明治の国家主義」であり「渋沢のいう『国家社会の利益』という理想」に代わる「現代の日本の姿」である。つまり、「国家に代わる新たな理想の可能性」であり「日本国憲法のうたう国民一人一人の自由であり平等」なのだろう。

問十三は、内容把握記述問題＜5分＞。
本文によれば理想とは「人間の限りない欲望を制御する力」があるのであり、当然ながら「理想」＝「制御する力」が存在しなくなるとどのような状況に陥るかを筆者の主張に沿って考える。

出典は、内田樹著『日本習合論』である。

問一は、漢字の書き取り読み問題＜２分＞。
全て標準レベルの問題である。完答をめざそう。「くし＝駆使」「被害にアって＝遭」「制御＝せいぎょ」「そんりつ＝存立」である。

問二は、ことわざ問題＜2分＞。
「背に腹は代えられない」ということわざである。しっかり覚えておこう。

問三は、内容把握選択問題＜3分＞。
Ｘは直前にある「しつけ」が手掛かりであろう。Ｙは本文によれば“とてつもない個人資産”を有する人物の資産の“膨大さ”を表現する用語を選択する。「天文学的」である。Zは本文直前に「農業は違います。食べる人間がいて、・・・総和が『必要な農作物』の上限」とあるので、「食べる人間」の総和の積算を表現したいので「算術＝足し算」となる。

問四は、語句解釈問題＜2分＞。
語句解釈問題である。「修辞」とは「美しい表現技術」のことであり、「暫定」とは「とりあえず」という意味である。

問五は、内容把握記述問題＜4分＞。
傍線B は「食習慣の差別化」についての言及であり、それは「隣接する集団と自分たちの集団の主食を『ずらした』」のである。つまり「同じものを食べない」ことであり、「集団がそれぞれ主食のタイプをずらしてゆく」のである。それは「単一の農作物への需要の集中を回避」させることなのである。

問六は、内容把握選択問題＜2分＞。
「食文化」とは「破局的事態を回避する」ために作られたのである。

問七は、内容把握記述問題＜5分＞。
農業と市場の違いについて考える。「農業」とは「需要に上限のある生産活動」であり必要以上のものは作らないという『原理』である。他方、「市場」とは「『たくさん金が欲しい』という原理だけ」で動いているのである。

問八は、要旨正誤問題＜4分＞。
１は○。市場と農業のロジックは異なるからである。5は○。発酵物質(腐ったもの)を使用する調味料を「使わない集団から見れば『腐敗したものを食べている』ようにしか見えない」のであり、「あいつらゴミを食っている」と思われるのである。

問九は、品詞に関する問題＜4分＞。
基本的な国文法(品詞・活用)をしっかり押さえておくこと。このような出題は毎年出題される。

問一は、漢字の読み書き問題＜2分＞。出題数は４題。どれも標準レベルであるので完答したい。
問二は、接続語選択問題＜2分＞。アは、当時の常識として「デモクラシー」という用語の使われ方をしっかり理解していれば「つまり」が入る。イは、前後の関係が「…使用されていなかった」と「…うまく使いこなしている」とあるので真逆の関係であることを考えて適切な接続語を選択する。
問三は、表現選択問題＜2分＞。「結社」とはいかなるものであるかについて、～的であるかを答える問題である。
問四は、内容把握記述問題＜4分＞。筆者によれば「遥かに古くから存在した『デモクラシー』」もその根本では「個人主義」とつながっているのであり、そして「個人主義」は「最後にはエゴイズムに陥る」のである。その点が「負の価値を負わされる」のである。
問五は、内容説明記述問題＜6分＞。本文によれば「個人主義」は「最後にはエゴイズム」に陥り、「パブリックな問題に対してはうまく機能しなくなりかねない」のである。また、「近代は個人主義」になったため「人々はお互いのつながりを失って、ばらばらになってしまった」のであり、「一人ではほとんど何をなす力」もないのである。
問六は、内容説明記述問題＜6分＞。「個人主義」においては自分個人について自分自身が決める「自己決定」が重視されるのに対し、「結社主義」は「一人の人間の生涯(死も含めた)は、決してその人だけのものではない」という発想に基づいているのであり「自己決定」が全てではないという考え方が根底にある。