慶應義塾女子高等学校 入試対策
2016年度「慶應義塾女子高等学校の数学」
攻略のための学習方法
[思考力の育成]
数学の思考力は、質の高い演習によって、成長する。演習に際して、気をつけたいのは2点になる。
1つめは、類題を多く解くことだ。生徒が、公式をただ暗記して、解答しているかどうか、試す方法がある。設問の問い方を変えたり、文字や数字を変えたりしてみて、正答率が変わるかどうかで、判断できる。正答率が変わる生徒は、公式を丸暗記し、設問に機械的に反応しているだけであって、自ら思考していない可能性がある。正答率が変わらない生徒は、自ら思考して、正答までたどりついている。生徒同士には、明らかに思考力の差があるが、その原因としては、類題の演習量がある。教材として、類題がたくさん収録されている、厚めの問題集に挑戦し、思考力を鍛えていこう。
2つめは、はじめて見た設問を、じっくりと考える習慣をつけることだ。わからなくとも、すぐに解答を見たりせずに、ある程度の時間を定めて、悪戦苦闘する経験が大事になる。そのような経験にふさわしい教材は、各種の過去問になる。慶応女子はもちろんのこと、他校の過去問も積極的に教材として活用し、上質な演習をしていこう。
[答案の完成度を上げる]
本番で安定して得点できるように、答案の完成度を上げる訓練を積んでいこう。多くの志望者は、一問一問を解くことに満足しがちで、答案全体の完成度を意識するのは、受験の後半(中学3年の夏休みくらい)からだ。もっと早めに受験生として意識を持ち、答案の完成度を上げる技術を身につければ、有利になる。答案の完成度は、2つの面から確認しておきたい。
1つめは、設問ごとの時間配分だ。時間配分ができていない志望者は、過去問を解いてみると、後半に簡単な設問があっても、得点できていない。つまり、前半の設問に時間をかけすぎていて、後半の設問にまで、手をつけられていない状態だ。受験では、答案全体の得点が、評価される。したがって、答案全体の得点を上げるために、それぞれの設問を解くべきか、あるいは解かないべきか、判断力が重要になる。過去問の演習は、そのような判断力を鍛える良い教材になる。
2つめは、見直しの技術だ。まずは答案全体でどれくらい見直しが必要になるのか、目安の時間を決めよう。あらかじめ時間を決めておくと、本番で迷いが生まれにくい。そして、見直しが効率的にできるような工夫をしよう。計算式を再利用したり、図形やグラフを確認しやすいように、丁寧に準備しておこう。
志望校への最短距離を
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2016年度「慶應義塾女子高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は60分で、得点は100点満点と推定される。大問数は5問で、設問数は、実質的には18問になる。すべての設問に記述が要求されており、さらに作図も仕上げる必要があるので、時間配分の計画をしっかりと練っていきたい。
【大問1】方程式の文章題、数の性質、円の性質、作図
- 時間配分:14分
(1)まずは文字を利用して、方程式を立てよう。そこから、文字の範囲を、考えていこう。
(2)同じ角度を満たしながら移動する角は、円周上の角だと、置き換えのできる思考力が必要になる。他校には類例のない、作図の応用問題なので、独自の対策が必要となる。不安があれば、家庭教師に依頼して、作図問題の対策講座を作ってもらおう。
【大問2】確率
- 時間配分:10分
(1)この設問を間違えてしまった受験者は、注意が足りない。標準的な解法で、そのまま正答できる出題は、まずない。あまりにも簡単に解けたと感じたら、何かを見落としていないか、確認しよう。
(2)場合をていねいに数えていっても正答はできるが、記述の手間を考えると、余事象による解法を用いたい。
【大問3】平面図形、相似、円の性質
- 時間配分:12分
(1)と(2)すぐに解きたい設問だ。解けなかった受験者は、図形が重ねられている問題集を一冊、演習しておこう。
(3)解法を、受験者は自ら手書きする必要がある。日ごろから、整理して記述する作業に、慣れておきたい。
【大問4】関数と平面図形の融合問題
- 時間配分:11分
(1)計算が具体的な数字ではなく、抽象的な文字式になっているので、難しそうに見えるかもしれないが、解法は基本的なものだ。解答用紙の後半にも、このように得点しやすいものがある。
【大問5】立体図形の切断、相似
- 時間配分:13分
(1)と(2)三角形OACに注目しよう。また、設問文に60度と書かれていたら、特殊な三角形が隠れていないか探してみよう。
(3)と(4)立体図形の切断ができなければ、そもそも解法が立てられない。切断の技術を、確実に習得しておこう。まだ習得していない場合は、家庭教師に立体図形だけの講座を依頼しよう。
攻略ポイント
受験者の合否を分けるのは、2点になる。
1点めは、数学の思考力だ。はじめて見た設問に、それまで学んだ解法を応用できるような、思考力を養っておきたい。暗記だけで数学を乗り切ってきたり、計算が早いだけの受験者は、思考力があるとは言えない。
2点めは、答案の完成度だ。解くべき設問の判断力と、記述力によって、答案全体の得点を安定させよう。このような技術は、中学数学の学習だけでは対応できないので、独自の対策が必要になる。
全体として、受験者のそれまでの人生の学習の質が問われており、学習方法そのものを見直す必要も出てくるだろう。