國學院高等学校 入試対策
2023年度「國學院高等学校の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
説明的文章1問・文学的文章1問の計2問が毎年出題されている。それぞれ3000~3500字ほどで計6000~7000字程度の長文読解になる。同程度の文量の問題で必要なスピードを体感しておくこと。
新しくマークシート方式が採用されている。選択式になったからと言って答えるのが簡単になったわけではない。正確な読解ができなければ選択肢の微妙な違いにも気づけない。設問内容はオーソードックスだが、選択肢の文が長い点には慣れておく必要がある。長いけれども、本文を注意深く読んでいれば判別はつくので、言葉を正確に吟味し、慌てず正確に判断する練習を積んでおこう。難易度としてもそれほどの難問ではなく、選択肢も選択を迷わせるような意地悪なものではない。特殊な対策は要らないので、堅実に読解の実力を付ければ良い。
・説明的文章
まずは形式段落と意味段落の整理。意味段落の内容をまとめてタイトルをつけてしまうとわかりやすい。接続詞や指示語の指すところなどを確かめながら、段落のつながりを確認。各段落の最初と最後に特に注意しながら細部と要点の区分け。それらをまとめて結論・要旨へとたどり着く。読み進めながら印や下線で重要点を目立つようにしておくと時間の節約になる。
・文学的文章
登場人物・時間・場所などで場面の転換をマーク。人物・筆者の発言・行動・表情などから気持ちや考えを読み取る。それらをストーリーや話題と照らし合わせ、主題や筆者の意見を考える。重要点に下線を引いたり、関係する点を結んでおいたりすると設問にあたったときに考えやすい。
知識問題も読解と合わせて出されているが、難しい文法などは訊かれていない。語句の意味がよく出されているので、普段から本を多く読んで語彙を増やしておくと良いだろう。
古文
配点が大きいので、古文が苦手だからといって諦めてしまうわけにはいかない。使われる文章はなかなかに難しく、大学入試で出されてもおかしくないレベルである。ただし、全部ではないが現代語訳が付属しているので、難易度については配慮されている。
大筋の話はわかるようになってはいるが、それでもやはり古文を見慣れておかないと厳しい。高校古文の必修~標準レベルの教材で最重要単語や基本文法・敬語などを覚えておこう。
主語が省略されやすい古文では誰の発言・行動なのかを見分けることが内容理解には大事なので、敬語などで大まかにでも主語を推測できるようになっておくと役に立つ。古典に多く触れて宮廷や市井での人々の暮らしぶりを知っておくと、理解も一段と進むだろう。
選択肢問題
マークシート方式になり、すべての問題が選択式となった。同じマークシート方式を採用する試験問題(栄東高校など)で練習するのもよいだろう。読解が確実にできることは前提として、本文との一致・不一致を正確に見分けられるよう、一語一句を見逃さない注意力を養いたい。
漢字・その他
マークシート方式の必然として漢字の問題は同音異字の見分けが主となる傾向にある。その種の問題を多くこなして対策しておきたい。ただし、言葉というものは意味が分からなければ結局区別できないものなので、それぞれの字の根本の意味をよく理解しておこう。言葉の意味や四字熟語など、その他の言語事項も数問ほど出されるが、標準レベルの教材に目を通しておけば良いだろう。
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2023年度「國學院高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
当然、知識問題から先に手を着ける。漢字は4~5分で終えて残りは長文読解と古文に充てる。2題の長文を合わせて8000字ほど。
文章はさほど難解なものではないので、それぞれ5~6分で目を通し、重要点をチェックできるくらいのスピードで臨みたい。マークシート式だが選択肢の文が長いのでその分時間はかかる。他校のマークシートなどでも慣れておこう。
【大問一】論説文の読解
- 時間配分:17分
古代の贈答の文化が近代の獲得の文化へと移り変わる過程に神と罪の意識が介在していたと述べ、贈りもの文化が消滅していく次の社会の結合の姿勢についても考察している。
問一 「昔からそういうもんだ」=慣習、「風邪をひかない、歯を病まない」=現世利益。
問二 古代においてはまず「神にささげる姿勢」があり、それに付随して「富」があった。今日では逆転して「富、あるいは生産」が中心となって贈ることは付随的になった。
問三 a. 若い人は慣習は無意味だと感じる。「たとえば」若いころのフローベルは……。
b. 若い人は古い慣習を無意味だと感じる。「しかし」、新しい慣習を人為的に作ろうとするとき、人はしばしば法と暴力に依存してしまう。
c. どのような結びつきを考えているのか。「あるいは」、結びつきというものを拒否しようとしているのか。
問四 昔からそういうもんだと思ってしきたりを守っている人ですら、はたして神信心を持っているのかどうか疑わしい。
問五 ② 西洋の国では贈り物をするのは特定の日だけなので、「おすそわけ」という日本の慣習に驚いてしまった。
問六 「所有を否定する自己犠牲」「神にささげ、人にそれを分けあたえることで、罪の感覚、負債の感覚をうすめてきた」などの記述から、選択肢③が選べる。
問七 筆者は直前で、贈りもの文化・ささげる姿勢が消滅した場合、どのような「結合」の姿勢が模索されるのかという疑問を呈している。そのひとつの答えとして「握手」に可能性を見出しているのである→選択肢①。
問八 ④ 最後から三番目の段落の内容と一致する。
問九 【 ③ 】の直前の二つの段落で、「神への捧げもの→人々への贈りもの→交易や富」
という流れの説明と「沈黙交易」の日本での例が示されているので、【 ③ 】で「つまり」とまとめたと考えればうまく収まる。
【大問二】小説の読解
- 時間配分:15分
兵隊宿という制度により数日間を一緒に過ごした主人公と三人の将校の、短くも心に残る交流が描かれる。
問一 「出征」「乗船待ち」などの説明から、将校たちは日本を離れて異国の戦地に向かうのだと考えられる。戦闘の最前線であることが予想され、彼らの「運命=死の可能性」を感じざるを得ないのである。
問二 Y. 「腰」をまげて=深くおじぎをして。
Z. 彼等はほとんど「口」を利かなかった。
問三 「上気」は興奮などで顔が赤らむこと。
問四 直前の発言は将校たちに向けてのものである。騎兵隊の馬が川にくるところを将校たちに見せたかったのだが、あいにくその日は馬がいなかったので弁解がましいような表情になってしまった。
問五 これから戦地に赴く将校たちに「死」を想起させる戦没者の墓を見せるのがはばかられたのであろう。
問六 短い時間ではあったがともに過ごし心を通わせた三人の将校たちが戦地へ向かって旅立っていった。おそらくはもう二度と会えない・戦死も考えられる彼らのことを思い、感情が強く揺さぶられているのである→選択肢③。
問七 問六における馬の絵をかいていた時の感情が、時間が経ち礼状が届いたときに「とりとめのない『かなしみ』」と、よりはっきりしたものになっている。
問八 【 ③ 】の直前の「ひさしは、そのことにむしろほっとした」につながる。
【大問三】古典の鑑賞
- 時間配分:13分
妻を亡くした藤原千兼が、妻のとしこと仲が良かった一条の君の訪ねてもこない情の無さを問うと、一条の君から思いやりのこもった返事が届いた。
問一 ③ いひける→いいける ⑤ とはぬ→とわぬ ⑦ さへ→さえ
問二 ② 妻が亡くなったのに仲が良かった一条の君は訪ねてもこない。この訪ねてこない人(一条の君)の従者の女がいたので、このように言った……。
問三 このようなこと(妻が亡くなったこと)になってしまったときにも。
問四 問二・問三を参照。
問五 一条の君は来ないが、その従者がいたので(藤原千兼は)その人に歌にのせて「このように言った」。
問六 (1)・(2) 「亡くなった妻のことが悲しいのに、仲が良いあなたまで無情になられるなどと、思ったことがありましょうか」という意味が、倒置法で書かれている。
問七 「な……そ」は禁止の意味。一条の君は自分が訪問すれば千兼がとしこのことを考えてしまうため遠慮した、そういう理由なので「どうか恨まないでください」と伝えたのである。
【大問四】同音異字
- 時間配分:5分
(1) 恒例――装甲・効果・講義・振興・恒星
(2) 風刺――漢詩・指示・名刺・施設・廃止
(3) 端的――単調・淡泊・大胆・探索・発端
(4) 浸る――浸透・刷新・屈伸・紳士・辛抱
(5) 摘む――点滴・適任・摘発・敵地・的中
(6) 廃(れる)――排出・灰・敗北・後輩・廃棄
(7) 法定――贈呈・堤防・出廷・定員・日程
(8) 介入――奪回・介抱・弁解・改札・懐柔
攻略ポイント
人それぞれに得意・不得意はあるものだが、本校の試験では説明的文章・文学的文章・古文が毎年出題されるので、このうち2分野は得意分野にしておきたい。古文はさほど時間を取られないだろうから、現代文読解のスピードをつけ、できれば全体を時間内に終えることができれば理想的である。
また、古文の配点の大きさはやはり捨てるには惜しいので、塾あるいは独習で一定の時間をかけて学ぶべきであろう。
選択肢問題の比重が大きい試験なので、正解の選び方のコツをつかんでおきたい。