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國學院高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2014年度「國學院高等学校の国語」
攻略のための学習方法

[古典]
「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶこともない。しかし、國學院ではそんなことはお構いなく出題されることになる。前述のとおり塾での学習でも不十分なので、「独習」をする他ない。「古文単語」では「大学入試基礎レベル」(300語程度)を定着させ、「文語文法」は「動詞」「形容詞・形容動詞」は当然として、「助動詞」「助詞」の「意味・用法・接続」、さらに「敬語」までも理解しておく必要がある。そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。なお、「古文」強化用のテキストとしては、「高校用」の「ステップアップノート30——古典文法基礎ドリル」(河合出版)や、「古文単語」定着用として「重要古文単語315」(桐原書店)などが推薦できる。

[解法]
「國學院の現代文」で勝利するための鍵は、「問題解説」でも触れたように「解法」をいかにうまく用いるかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

[速読]
全てで7000字程度を読解しなくてはならない。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。國學院に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

[知識]
「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「國學院の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・文法630」(「文法」含む)や「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字」(共に旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」からスタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

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2014年度「國學院高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問一は「論説文」、出典は鷲田清一「〈ひと〉の現象学」(文字数約2700字)。筆者は、大阪大学教授、同総長などを歴任し、現在は大谷大学教授。専門は「哲学」「倫理学」。「モードの迷宮」で「サントリー学芸賞」、「『ぐずくず』の理由」で「読売文学賞」を受賞している。「高校入試」「大学入試」での出典も数多い。小問は全9問(解答数は13)で、出題形式は「選択肢」「抜き出し」「空所補充」、「漢字の書きとり」(5問)「総合的知識問題」(2問)。問題文は4分弱で読み切り、設問を12分程度で解きたい。大問二は「小説」、出典は角田光代「ミツザワ書店」(「さがしもの」所収。文字数約3700字)。作者は、小説家・翻訳家。「幸福な遊戯」で「海燕新人文学賞」を獲得し作家デビュー、「対岸の彼女」で「直木賞」、「ロック母」で「川端康成文学賞」を受賞している。小問は全8問(解答数は12)で、出題形式は「選択肢」「抜き出し」、「漢字の読み書き」(4問)「総合的知識問題」(2問)。問題文は5分強で読み切り、設問を10数分程度で解きたい。大問三は「古文」、出典は鴨長明編著「発心集(第八ノ三)」(文字数約870字)。作者は、誰もが知っているはずの平安時代末期から鎌倉時代にかけての歌人・随筆家。主著は「三大随筆」のひとつ「方丈記」。小問は全11問(解答数は13)で、出題形式は「選択肢」「抜き出し」「空所補充」。15分程度で解きたい。

[大問1]論説文

  • 時間配分:16分

本書は、この世に生まれ落ち、やがて死にゆく「わたしたち」、「ひと」として生き、交わり、すれ違うその諸相を哲学的思考で論じている。本文は「親しみ——家族という磁場」と題された章で、「社会的動物」としての人間は原型となるものを家族の中で経験するのだが、現在ではそれを家庭外に委託する傾向があり、わたしたちの社会的な存在自体が危うくなりつつあると述べている。「漢字の書きとり」、「語句の空所補充」「理由説明」などに國學院らしさが出ている。以下、いくつか考えてみたい。

[問一] 「漢字の書きとり」(全5問)。「文脈」から判断しなくてはいけないものがある。特に、(あ)「ソウサイ」=「葬祭」、 (い)「カクシツ」=「確執」には要注意。國學院では「漢字」の完璧な「準備」が必要だ。

[問三] 「空所補充の組み合わせ選択肢」。本文の空所[A][B]に当てはまる「語の組み合わせ」を答える(「5択」)。「選択肢設問」は「消去法」が原則。ここでは、先ずは空所前後の「文脈」から[A][B]の「内容」を捉えて「消去」したい。[A]は「その過程」で「起こる」ことがら。「指示語」なので開く(「指示語」はすぐに開くことが大原則)。「子ども」が「家族」の中で身につける様々なこと、要は「しつけ」だ。つまりは、「しつけの過程で起こること」となる。[B]は[A]が起こる「理由」だ。[B]が「求められる」から[A]が起こるということ。さらに[B]の後では、「子どもはむずかる」「叱られる」「泣く泣く辛抱する」といった説明がされている。これで「内容」は分かったはずだ。[A][B]どちらから「消去」してもいいが、[A]では選択肢の(ウ)=「充足」と(オ)=「調和」が「消去」可能。次に[B]、(ア)=「自由」と(イ)=「放任」は「不適切」なので、(エ)=「抑制」が残り、「答え」になる。國學院の「選択肢設問」、「解法」を的確に応用して段階的に「消去」していきたい。

[問四] 「条件付き理由説明の選択肢」。傍線部②の「共存の習慣の基礎となるものをしつけられる」について、その「理由」を答える(「5択」)。「条件」は、なぜそのようなことが「必要になったのか」を答えること。「原意」を考え(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)、先ずは「直接的理由」で「消去」したい。「直接的理由」は当然、各選択肢の「最後の部分」、それを「理由」として傍線部の「共存」のために「必要」と直接的に結びつくかを確認する。「共存」の「原意」を踏まえれば、当然、選択肢の(ア)(ウ)(エ)は「消去」できなくてはいけない。次に「傍線部一文一部の法則」(「傍線部が一文の一部の場合、傍線部以外が重要」という重要な「解法」)で判別する。直前に「こうした」という「指示語」があるので、たどっていく。「こうした」=「礼儀やマナーやルール」⇒「仕込まれる」のも「そういう理由」(また「指示語」)=「人間関係のクッション」が「必要」となっている。つまり、「クッション」が「必要」というのが「理由」だと分かる。「クッション」なのだから、(オ)の「なくすため」ではなく、(イ)の「和らげるため」が「答え」になる。決して、判別は容易ではない。國學院では「原意」の微妙な差異にも着目する必要がある。

[大問2]小説

  • 時間配分:15分

[問二(A)] 「語句の意味の選択肢」。
二重傍線部(A)「怪訝そうな目」の「意味」を答える(「5択」)。どうだろうか? 「怪訝」を「知識」として押さえていれば何の問題もない。しかし、そうでなければ、そもそも「怪訝」を「ケゲン」と読めないのではなかろうか? そうなると「文脈」からの判別となるが、これまた紛らわしい選択肢が並んでいる。従って、「怪訝」=「不思議で合点のゆかない」という「原意」が定着していなければ、結局、「答え」が(ア)だということにたどり着けない可能性があるのだ。恐るべし國學院。高度な「語彙力」が求められていることを肝に銘じよ。

[問六] 「心情説明の選択肢」。「ミツザワ書店」を出た後の「ぼく」の「心境」を答える(「5択」)。傍線部設問ではないので、先ず、「根拠」とする箇所を特定する必要がある。手がかりは「『ミツザワ書店』を出た後」。本文の最後の2段落だと分かるはずだ。「心情」なので「心情を巡るスクエア」(「心情」は「セリフ⇔ト書き⇔動作⇔情景」という「4つ要素」を組み合わせて捉えるという「小説」の「重要解法」)で読み解く。ここの2段落は基本的に「情景描写」なので、「情景」から「消去」していきたい。「高く晴れた空」「色鮮やか」「青い空」といった「情景」に結びつかない選択肢の(ア)=「面白くない」、(イ)=「気持ちが沈んで」、(ウ)=「苦々しく」は即「消去」。次に、最後の段落の「ぼくは小説を書こう」「書き初めに向かう子どものような気分」といった説明を「根拠」として、(オ)=「希望を見いだした」は「消去」し、(エ)=「改めて決意した」を「答え」とする。「心情把握」では「4つの要素」を多角的に「根拠」とすることが常用だ。

[問七] 「条件付き内容説明の抜き出し」。かつての「ぼく」にとって、「ミツザワ書店」とは「どのような存在」であったかを抜き出す(10字程度)。「条件」は「比喩的に表現している箇所」であること。「抜き出し」では、先ず「抜き出すべき内容」をつかみ、次に「抜き出し範囲」を確定することになる。「内容」は字義どおりなのだが、「かつての」に注意したい。「高校時代」の「ぼく」と「ミツザワ書店」との結びつきということだ。次に、「抜き出し範囲」の確定。「かつての」ことになるのだから、「会話部分」はひとまず外していい。「地の文」が候補となる。それほどないので、最初から確認していく。すると、傍線部③の段落に「子どものころのぼくにとって、ミツザワ書店こそ世界への扉だった」とある。「内容」は合致し、しかも「世界への扉」は「比喩表現」で「条件」も満たしている。「これだ!」と焦ってはいけない。「10字程度」と指定があるのだ。「5字」ではさすがに不適切。改めてその後を探す。最後から2段落目に「世界に通じるちいさな扉」という表現がある。「11字」、これなら大丈夫。従って、「答え」となる。「抜き出し」では当てもなく彷徨ってはダメ。「解法」を用いて、的確に「範囲」を絞り込むことが肝要。また、「抜き出し候補」はひとつとは限らないので、「条件」等を考慮して最適な箇所を「答え」としなくてはいけない。國學院はそう甘くはない。

【大問3】古文

  • 時間配分:

本作品は、鎌倉初期の仏教説話集(全8巻102話)。仏の道を求めた隠遁者の説話集で「太平記」や「徒然草」にも影響を与え「これぞ説話の本性」というべきものを後世に伝えている。収録説話は,発心出家した人々の様々な機縁を述べたものと、往生を遂げた人々の様々な行いを述べたものが中心となっている。本文では、「魚にあらざれば、水の楽しみを知らず」というように「人の心の中は容易く外部から推し量ることができないものだ」と説いている。「中学レベル」の「古文知識」では太刀打ちできないような問題が並ぶ。「國學院の真骨頂」といった大問だ。以下、いくつか検証してみる。

[問二] 「語句の意味の選択肢」。
傍線部④「やをら」と⑦「かたじけなくも」の「意味」を答える(「各5択」)。「中級レベル」の「古文単語知識」が必要な「語句」だ。「文脈」から判別することも可能だが、それには高度な「古文読解力」が不可欠になる。難問だ。「答え」は、④「やをら」=選択肢(オ)の「そっと」、⑦「かたじけなくも」=(ア)の「おそれ多くも」。國學院では、「古文単語」に対して万全の準備が求められる。
 
[問三] 「主語特定の組み合わせ選択肢」。傍線部①「ありきて」、②「見給ふ」、③「打ち案じて」の「主語」の組み合わせを答える(「5択」)。「主語」が省略されることの多い「古文」での定番問題だ。無論、「文脈」から考えることも重要だが、「敬語」の「種類」から判別する方法も知っておきたい。選択肢は、「盗人」と「帝」の組み合わせ。傍線部では②のみに「給ふ」という「尊敬」の補助動詞がある。「地の文」での「尊敬」なので、「動作主」=「主語」に対する「敬意」を表している。従って、②は「帝」で、選択肢の(イ)(ウ)(オ)に絞られる。①③も「地の文」で、「敬語」が使われていないということは、共に「盗人」が「主語」なので、「答え」は(イ)になる。「地の文」では、「尊敬」が「動作主」への、「謙譲」が「動作の受け手」への、「丁寧」が「読者」への「敬意」をそれぞれ示しているということは覚えておきたい。

[問五] 「空所補充の選択肢」。空所[B]に当てはまる「語」を答える(「5択」)。「空所」の前後を確認する。前は「汝は盗人なれども、賢者なり。心の底[B]。」で、後は「我、王位にあれども、愚者と云ふべし。」となっている。「盗人」=「賢者」⇔「我」=「愚者」と対比されており、空所[B]は「盗人」の「心の底」についての説明だと分かるはずだ。ということは、「賢者」と結びつく選択肢が「答え」になる。よって、(オ)の「いさぎよし」。古文では「対応関係」に着目することが大切だ。

攻略ポイント

●「國學院の国語」の最大の特徴である「古文」の「攻略法」はどうするか? 勿論、「中学レベル」の学習ではとても追いつかない。一般的な「私立高校」向けの対応をする塾などの「範囲」をも超越する必要がある。要は、中堅クラスの「大学入試」に対応できなくてはならないのだ。「語彙」や「文法」、「古典常識」まで幅広い「知識」が求められる。「國學院の国語」の「合格ライン」は60%程度(4年間男女合計の平均「合格者最低」は57%。14年度は59%)。「配点」が「現代文」同等なので、「古文」での失点は致命的だと心得よ。
●「現代文」の「読解問題」も無論、無視はできない。どう処理するか?「問題解説」でも繰り返し指摘したが、「設問内容」に応じた「解法」の適用がポイントだ。基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておくことが重要になる。それによって、「読解問題」での「失点」を防ぎ、「得点力」を安定させなくてはならない。限られた「時間」の中でいかに的確に「解法」を用いて解いていくかが、合否を分ける。
●あらゆることが問われる國學院の「総合的知識問題」も決して侮れない。 直接的な出題は勿論、問題文の内容理解でも「高度な語彙力」等が問われる。國學院を志望したその時点から、独自に「幅広い知識」を常に習得していくことが重要だ。学校や塾での学習だけでは全く不十分なので、「独習」は欠かせない。
●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文のボリュームは「現代文」で7000字程度。当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速700字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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