國學院大學久我山高等学校 入試対策
2020年度「國學院大學久我山高等学校の国語」
攻略のための学習方法
1.読解力はすべての学力を高める不可欠な要素である
国語(特に現代文)の入試問題における「読解力」の重要性は、いまさら言うまでもないだろう。しかし、受験生の大半は「どのようにしたら合格力に直結する読解力が身につくのか」と素朴な疑問を抱いているだろう。数学などと違い国語は、学習した成果がなかなか感じにくいし、模擬試験などの得点アップに即効性をもって表れてくるわけでもない。したがって、具体的な国語攻略法も見つからないまま漫然と学校の授業を受け、塾のテキスト問題を演習し、何となく国語対策をしたつもりになっているのではないだろうか。
国語力、究極的には、「読解力」がすべての教科の学力を支えている要素であることを忘れてはならない。勉強とは考えるプロセスであり、考えるためには素材を十分吟味しなければならない。この「吟味」の作業が「読解力」なのである。数学と国語の読解力の関連性があまりないのではないか、と思っている受験生も少なくないのではないだろうか。しかし、よく考えてみると数学は、「思考過程」を文字ではなく「数式」に置き換えただけであり、本質的な部分は問題の原理を正確に「読み解く力」が求められており、正解を導く上では不可欠な要素なのである。したがって、一見関係のないような国語と数学ではあるが、その根本的な部分で「読解力」というキーワードでつながっているのである。
2.読解力を高めるにはどのようなことに留意すればよいのか
結論から言えば「自分の頭で考え、答えを導き出す」ということに尽きる。「自分の頭で考える」ということは、いろいろな場面で受験生も耳にしていることだろう。その具体的な内容・作業とはどのようなものだろう。「疑ってかかる」ということである。これは、「人を信じるな」といいことを言っているのではない。つまり、本に書かれてあること、テレビで流れていること、新聞に書かれていること、著名人が話していること等々、自分の身の回りの事象が「本当にそうなのか?」と一歩引いた立場で考えてみるということである。一歩引くと視野が広がる。考えに余裕が生まれる。その結果、今まで見えなかった部分が見えるようになってくる。その見えてきた部分に対して、自分の考えや価値判断を当てはめるのである。そういう作業を日頃から継続してゆく中で、物事を捉える「自分の眼」が養われ、磨かれてゆくのである。そうすると、物事の本質を見抜く視点を持つことができるようになり、評論文のような難解で複雑な文章も「すんなり」自分の頭の中に入ってくるようになるのである。
受験生には、是非とも「自分の頭で考え」て「読解力」を今以上に高めてもらいたい。
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2020年度「國學院大學久我山高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問1】自然科学的分野の論説文に関する読解総合問題である<17分>。
記述問題(50~60字)が1題含まれている。
【大問2】小説の読解問題である<17分>。
記述問題(40~50字)が1題含まれている。
【大問3】古文読解総合問題である<9分>。
古語知識などの知識問題もしっかり押さえておくこと。
【大問4】漢字・慣用句問題である<7分>。
どれも標準的な問題である。四文字熟語も事前に目を通しておくこと。
【大問1】 自然科学的分野(科学)の論説文の読解問題
- 時間配分:17分
出典:「人間にとって科学とは何か」(村上陽一郎著)
人々が日常生活の中で、何を危険と感じるかについて、科学的な調査に基づく判断を行なうことが重要であるという論説文である。
(問一)内容把握記述問題である<3分>。
筆者は、「リスク」を人間の力が及ばない「神のなせる業」と捉えているのか、又は「科学技術などで人間が制御可能なもの」のどちらと捉えているのかを考える。
(問二)文章内容把握選択問題である<3分>。
筆者が「主観的な要素」をどのように捉えているのかを理解することが重要である。「主観的」とは、個々の人間が各々の価値観などで判断をするということであり、本文では「リスク」に捉え方が人によって様々であるということである。
(問三)内容把握選択問題である<3分>。
筆者は「リスク」をどのように捉えているのかをしっかり理解すること。そのうえで“Act of God”における「リスク」は筆者の考えではどのような認識になるのか。
(問四)内容把握記述問題である<3分>。
直後にある「逆説的」という語彙がヒントになる。科学技術と人間、そして「リスク」に関する論理展開を見極めよう。
(問五)表現把握記述問題である<5分>。
本文によれば、「リスク」の感じ方は人それぞれである。また基準があってないような「安全」に関しても、科学的社会調査に基づき、人々にとっての「リスク」を最大公約数的に抽出するのである。50~60字の記述問題。
【大問2】 小説の読解総合問題
- 時間配分:17分
出典:「線は、僕を描く」(砥上裕將著)
(問一)内容把握選択問題である<3分>。
適切な力加減で擦った墨で描かれた絵がどのようなものであるかを、本文に即して考えること
(問二)内容把握選択問題である<3分>。
墨をする際における力を抜くことの大切さを、どのように伝えようとしているのかを前後を熟読して理解する。
(問三)内容把握記述問題である<6分>。
空欄の直後の会話文は「繋がりといっしょに描く」となっている。この個所で「僕」は湖山先生の言葉を繰り返しているので、これをヒントにまとめる。
(問四)内容把握選択問題である<3分>。
水墨画に対する「僕」と「湖山先生」との考え方の違いを明確にし、そのうえで「僕」がどのように感じたかをまとめる。
(問五)主題選択問題である<2分>。
「僕」はどのような青年であったのか。また、「湖山先生」は、どのような思いで「僕」に接していたのかを中心にまとめ上げる。
【大問3】 古文読解総合問題
- 時間配分:9分
出典:「宇治拾遺物語」
(問一)内容理解記述問題である<2分>。
「かかること」とは何かを本文に即して考える。
(問二)内容理解選択問題である<2分>。
「いまいまし」という言葉の中に、「身の程をわきまえるべきである」という気持ちが込められている。
(問三)和歌に関する問題である<2分>。
「び散りき」がポイントになる。
(問四)内容把握問題である<3分>。
「思ひかけ」なかったこととは、ある事象が自分の「予想」に反していたことであるから、「何」を予想していたのかを考えること。
【大問4】 知識問題
- 時間配分:7分
(問一)漢字問題の書き取り問題である<4分>。
設問数は7問。すべて標準問題レベルである。完答したい。
(問二)四字熟語問題である<3分>。
「雲散霧消」、「有為転変」、「大同小異」を問う問題である。
攻略のポイント
論説文、小説、古文、漢字(知識問題)と出題としては、すべてのジャンルから偏りなく出題されている。出題された題材も標準的レベルであり、難解な文章ではない。ただし、記述問題対策はしっかり行っておくこと。指示された本文箇所の表現をどのように言い換えているのかを注意深く捉えていくことが重要である。また、漢字の書き取りや四字熟語などの知識問題も比較的出題数が多いので、事前の準備をしっかり行い完答してほしい。全体的な出題レベルは、標準的であるのでしっかり本文を読み、前後関係を把握して解答するクセを付けよう。対策としては、上位高校の入試問題のうち論説・随筆・小説に関する問題演習を50~60題程度こなしておくこと。