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國學院大學久我山高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2021年度「國學院大學久我山高等学校の国語」
攻略のための学習方法

1.読解力はすべての学力を高める不可欠な要素である
 国語(特に現代文)の入試問題における「読解力」の重要性は、いまさら言うまでもないだろう。しかし、受験生の大半は「どのようにしたら合格力に直結する読解力が身につくのか」と素朴な疑問を抱いているだろう。数学などと違い国語は、学習した成果がなかなか感じられにくく、模擬試験などの得点アップに即効性をもって表れてくるわけでもない。したがって、具体的な国語攻略法も見つからないまま漫然と学校の授業を受け、塾のテキスト問題を演習し、何となく国語対策をしたつもりになっているのではないだろうか。国語力、究極的には、「読解力」がすべての教科の学力を支えている要素であることを忘れてはならない。勉強とは考えるプロセスであり、考えるためには素材を十分吟味しなければならない。この「吟味」の作業が「読解力」なのである。数学と国語の読解力の関連性があまりないのではないか、と思っている受験生も少なくないのではないだろうか。しかし、よく考えてみると数学は、「思考過程」を文字ではなく「数式」に置き換えただけであり、本質的な部分は問題の原理を正確に「読み解く力」が求められており、正解を導く上では不可欠な要素なのである。したがって、一見関係のないような国語と数学ではあるが、その根本的な部分で「読解力」というキーワードでつながっているのである。

2.読解力を高めるにはどのようなことに留意すればよいのか
 結論から言えば「自分の頭で考え、答えを導き出す」ということに尽きる。「自分の頭で考える」ということは、いろいろな場面で受験生も耳にしていることだろう。その具体的な内容・作業とはどのようなものだろう。「疑ってかかる」ということである。これは、「人を信じるな」といいことを言っているのではない。つまり、本に書かれてあること、テレビで流れていること、新聞に書かれていること、著名人が話していること等々、自分の身の回りの事象が「本当にそうなのか?」と一歩引いた立場で考えてみるということである。一歩引くと視野が広がる。考えに余裕が生まれる。その結果、今まで見えなかった部分が見えるようになってくる。その見えてきた部分に対して、自分の考えや価値判断を当てはめるのである。そういう作業を日頃から継続してゆく中で、物事を捉える「自分の眼」が養われ、磨かれてゆくのである。そうすると、物事の本質を見抜く視点を持つことができるようになり、評論文のような難解で複雑な文章も「すんなり」自分の頭の中に入ってくるようになるのである。

 受験生には、是非とも「自分の頭で考え」て「読解力」を今以上に高めてもらいたい。

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2021年度「國學院大學久我山高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

【大問1】哲学的分野の論説文に関する読解総合問題である<16分>。
記述問題(60~70字)が1題含まれている。

【大問2】小説の読解問題である<16分>。
記述問題(30~40字)が1題含まれている。

【大問3】古文読解総合問題である<10分>。
現代語訳ができるように古語・古典文法の知識を確実にしておくこと。

【大問4】漢字・四字熟語問題である<8分>。
どれも標準的な問題である。四字熟語も確実に正解できようにしておくこと。

【大問1】 哲学的分野(人生)に関する論説文の読解問題

  • 時間配分:16分

出典:「人工知能と経済の未来」(井上智洋著)

資本主義に覆われた現代社会にあって人々は、「有用性」=「役に立つこと」ばかりを重宝しすぎる傾向がある。また、「有用性」に対しその対極として「至高性」=「役に立つと否とに関わらず価値のあるものごと」を置いた。人間の価値、生きていく価値をどのように考え「有用性」か「至高性」のどちらに立脚した視点でものごとを考えるか、という論説文である。

(問一)内容把握選択問題である<3分>。
資本主義の世界に生きる人々は、「有用性」にとりつかれているのであり、「有用性」とは「未来の利益のために現在を犠牲」にするようなものであり、未来の利得を基準にしてしまうのである。

(問二)内容把握選択問題である<2分>。
バタイユが「有用性」に対置させた「至高性」とは、「役に立つと否とに関わらず価値のあるもの」であり「それ自体が満ち足りた気持ちを抱かせる」ものなのである。

(問三)内容把握選択問題である<3分>。
バタイユが定義する「有用性」と「至高性」の違いに留意しつつ適切な選択肢を選ぶ。結局、「至高性」を重視しない生き方は「人生の楽しみを味わうことができない」のである。

(問四)内容把握選択問題である<3分>。
AIやロボットがこれまで人間の担ってきた「有用性」を代わりに担ってくれることで、人間は「至高性」に基づく「価値観が変わる」のである。

(問五)要旨問題である<5分>。
本文の内容を「AIとBI」という語句を用いて60~70字でまとめる記述問題。本文の要旨をまとめると「AIの発達やBIの導入により、人間の価値観は「有用性」から「至高性」へとシフトしたのであり、生きていくうえでも「至高性」wpベースにした生き方の方がより喜びが得られるのである」となる。

【大問2】 小説の読解総合問題

  • 時間配分:16分

出典:「雲を紡ぐ」(伊吹有喜著)

(問一)内容把握選択問題である<3分>。
「フワフワ」しているとは、どのようなことを言っているのかを考える。美緒が何の目的もなく祖父の家に身を寄せていることを母はとても心配しているのである。

(問二)心情理解選択問題である<3分>。
母が返そうとした「ショール」を受け取らなかった美緒の態度に、母は苛立ちを感じているのである。

(問三)内容把握問題である<3分>。
これまで母親は美緒の大切なものを無理やり取り上げてきたのであり、母のそのような行為に対し美緒は反発を覚えているのである。「大切なもの」とは「宝物」のことである。

(問四)内容把握問題である<3分>。
その前にある母の美緒に投げかけた言葉がヒントになる。「…母親がどれだけ一生懸命、話を聞こうとしてもいつも無視。それなのに父親やお祖父さんには舌足らずに返事をして甘える。ずるいのよ、いつでも女を武器にして。どうして自分の力で何とかしようと思わないの?」という母親の言葉に美緒はショックを受け、「立ち上がろうとしたが、足に力が入らない」のである。また、美緒は「昔からずっと、母にきらわれていたのか」と感じているのである。

(問五)内容把握記述問題である<4分>。
父親である広志は美緒の気持ちを理解し、対立する妻、祖父そして美緒の間を何とかうまく調整しようとしている。

【大問3】 古文読解総合問題

  • 時間配分:9分

出典:「宇治拾遺物語」

(問一)内容理解選択問題である<2分>。
本文の「このちごさめざめと泣きける」を「僧」が見たのである。

(問二)内容理解選択問題である<2分>。
僧の発言に「この花(桜)の散るを惜しう覚えさせたまふか」とある。

(問三)内容理解記述問題である<3分>。
「(桜の花とは)そういうものなのなのだ」と僧が言っている。「そういうもの」とは「桜がはかなく散ってしまうこと」である。

(問四)内容理解記述問題である<3分>。
泣いていた子の本当理由は「わがてての作りたる麦の、花の散りて実のいらざらむ、思うが、わびしき」なのである。子は、父が作った麦の収穫が落ちてしまうことを考えていたのである。

【大問4】 知識問題

  • 時間配分:8分

(問一)漢字問題の書き取り問題である<5分>。
設問数は7問。すべて標準問題レベルである。完答したい。

(問二)四字熟語問題である<3分>。
「前途有望」、「臨機応変」、「無病息災」を問う問題である。

攻略のポイント

論説文、小説、古文、漢字(知識問題)と出題としては、すべてのジャンルから偏りなく出題されている。出題された題材も標準的レベルであり、難解な文章ではない。ただし、記述問題対策はしっかり行っておくこと。指示された本文箇所の表現をどのように言い換えているのかを注意深く捉えていくことが重要である。また、漢字の書き取りや四字熟語などの知識問題も比較的出題数が多いので、事前の準備をしっかり行い完答してほしい。全体的な出題レベルは、標準的であるのでしっかり本文を読み、前後関係を把握して解答するクセを付けよう。対策としては、上位高校の入試問題のうち論説・随筆・小説に関する問題演習を70題程度こなしておくこと。

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