國學院大學久我山高等学校 入試対策
2022年度「國學院大學久我山高等学校の国語」
攻略のための学習方法
1.読解力はすべての学力を高める不可欠な要素である
国語(特に現代文)の入試問題における「読解力」の重要性は、いまさら言うまでもないだろう。しかし、受験生の大半は「どのようにしたら合格力に直結する読解力が身につくのか」と素朴な疑問を抱いているだろう。
数学などと違い国語は、学習した成果がなかなか感じられにくく、模擬試験などの得点アップに即効性をもって表れてくるわけでもない。
したがって、具体的な国語攻略法も見つからないまま漫然と学校の授業を受け、塾のテキスト問題を演習し、何となく国語対策をしたつもりになっているのではないだろうか。
国語力、究極的には、「読解力」がすべての教科の学力を支えている要素であることを忘れてはならない。勉強とは考えるプロセスであり、考えるためには素材を十分吟味しなければならない。この「吟味」の作業が「読解力」なのである。数学と国語の読解力の関連性があまりないのではないか、と思っている受験生も少なくないのではないだろうか。
しかし、よく考えてみると数学は、「思考過程」を文字ではなく「数式」に置き換えただけであり、本質的な部分は問題の原理を正確に「読み解く力」が求められており、正解を導く上では不可欠な要素なのである。したがって、一見関係のないような国語と数学ではあるが、その根本的な部分で「読解力」というキーワードでつながっているのである。
2.読解力を高めるにはどのようなことに留意すればよいのか
結論から言えば「自分の頭で考え、答えを導き出す」ということに尽きる。「自分の頭で考える」ということは、いろいろな場面で受験生も耳にしていることだろう。その具体的な内容・作業とはどのようなものだろう。「疑ってかかる」ということである。これは、「人を信じるな」といいことを言っているのではない。
つまり、本に書かれてあること、テレビで流れていること、新聞に書かれていること、著名人が話していること等々、自分の身の回りの事象が「本当にそうなのか?」と一歩引いた立場で考えてみるということである。一歩引くと視野が広がる。考えに余裕が生まれる。その結果、今まで見えなかった部分が見えるようになってくる。その見えてきた部分に対して、自分の考えや価値判断を当てはめるのである。
そういう作業を日頃から継続してゆく中で、物事を捉える「自分の眼」が養われ、磨かれてゆくのである。そうすると、物事の本質を見抜く視点を持つことができるようになり、評論文のような難解で複雑な文章も「すんなり」自分の頭の中に入ってくるようになるのである。
受験生には、是非とも「自分の頭で考え」て「読解力」を今以上に高めてもらいたい。
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2022年度「國學院大學久我山高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問1】小説に関する読解総合問題である<12分>。
記述問題(30字)が1題含まれている。
【大問2】論説文に関する読解総合問題である<14分>。
記述問題(50~60字)が1題含まれている。
【大問3】古文読解総合問題である<13分>。
現代語訳ができるように古語・古典文法の知識を確実にしておくこと。
【大問4】漢字・四字熟語問題である<11分>。
どれも標準的な問題である。四字熟語も確実に正解できようにしておくこと。
【大問1】 小説に関する読解問題
- 時間配分:12分
出典:「ひと」(小野寺史宜著)
(問一)内容把握選択問題である<1分>。
傍線部分の後に「お前、総菜屋をやるのはいやか?」と聞いているので、聖輔に将来のプランがあるかどうかを確かめようとしているのである。
(問二)内容把握抜出し問題である<2分>。
督次がコロッケ作りに愛着をもっている様子は、「油の熱に耐えられるように皮が厚くなり、結果太くなった指だ」という箇所に書かれている。
(問三)心情把握選択問題である<2分>。
不適切な選択肢を選ぶ問題。聖輔は「父親は偉大な料理人だったのに、自分は総菜屋の店主」でいいのかと葛藤しているのである。
(問四)内容把握記述問題である<3分>。
督次が聖輔に「店を継いでもらいたい」思いを告げたのは、「映樹さんが休みの日」であったからである。
(問五)要旨把握問題である<4分>。
聖輔は督次が「店の跡取り」に自分のことを考えてくれていることに、自分に対する強くて深い信頼を感じたのである。
【大問2】 社会に関する経済分野の論説文読解総合問題
- 時間配分:14分
出典:『人新世の「資本論」』(斎藤幸平著)
(問一)内容把握選択問題である<2分>。
不適切な選択肢を選ぶ問題。
1 「社会的な土台」とは「自由に良く生きるための『潜在能力』を実現する物質的条件」のことである。したがって、「戦争と平和」が不適切である。
2 「環境的な上限」とは「プラネタリー・パウンダリー論に依拠」している。つまり、地球の限界に関するものであるので、「オゾン層の増加」は不適切である。
(問二)内容把握問題である<2分>。
A 図2の縦軸は「達成された社会的閾値の項目数」を表しておりこの項目数が多く、かつ横軸の「プラネタリー・パウンダリーを超えた項目数」が少ないほど「安全で公正な社会」といえるので「左上」である。
B しかし、実際には日本、アメリカ、ドイツそしてフランスなどは「右上」に位置している。
(問三)内容把握記述問題である<4分>。
「ほとんどの国は、持続可能性を犠牲にすることで、社会的要求を満たしている」のである。先進国と発展途上国との「格差是正」を図ろうとすると、必然的に発展地上国の生活の質の向上を目指すことになり、結果「地球環境」の悪化を引き起こしてしまうことが「大変都合が悪い」ことなのである。
(問四)内容把握選択問題である<3分>。
何が「偽善的」であるかを考える。発展途上国の経済的発展のために行われる「経済支援」は、結果として「先進国が浪費を続けたり、自国の製品を売りつけたりする」状況を生み出してしまうのである。
(問五)内容把握選択問題である<3分>。
「地球環境が環境的上限」を超えると「持続可能で公正な社会」の実現も不可能となり、ひいては「先進国の繁栄さえも、脅かされてしまう」のである。
【大問3】 古文読解総合問題
- 時間配分:13分
出典:『鶉衣』(横井也有著)
(問一)内容理解選択問題である<2分>。
「かれ」は「かしこくも風を生ずるの外は、たえて無能」であるが「扇」とは違う。「団」とは「団扇」のことである。
(問二)内容理解問題である<2分>。
「団(=団扇)」は次の夏が来るまでは用がないのである。
(問三)内容把握選択問題である<2分>。
「我」は「親しみ」を込めて、「団」に語っているのである。
(問四)俳句内容理解問題である<3分>。
「袴着る」とは正装をして臨むような場面である。そのような場面では「団(=団扇)」ではなく「扇」を使用するので、「団」にとっては一時の休息になる。
(問五)古文内容理解選択問題である<4分>。
「団」は正式な場所ではなく、私的な場で使用するのがふさわしいのである。
【大問4】 知識問題
- 時間配分:11分
(問一)漢字問題の書き取り問題である<6分>。
設問数は7問。「憲法」「微力」「脱落」「糖分」「巨体」「心地」「新鮮」であるがすべて標準問題レベルである。完答したい。
(問二)四字熟語問題である<5分>。
「自暴自棄」、「免許皆伝」、「一騎当千」を問う問題である。与えられた四字熟語は一文字だけ間違っている。
攻略のポイント
論説文、小説、古文、漢字(知識問題)と出題としては、すべてのジャンルから偏りなく出題されている。出題された題材も標準的レベルであり、難解な文章ではない。
ただし、記述問題対策はしっかり行っておくこと。指示された本文箇所の表現をどのように言い換えているのかを注意深く捉えていくことが重要である。
また、漢字の書き取りや四字熟語などの知識問題も比較的出題数が多いので、事前の準備をしっかり行い完答してほしい。
全体的な出題レベルは、標準的であるのでしっかり本文を読み、前後関係を把握して解答するクセを付けよう。対策としては、上位高校の入試問題のうち論説・随筆・小説に関する問題演習を70題程度こなしておくこと。