出典は、『日本語の科学が世界を変える』（松尾義之著）。
ノーベル賞を受賞した益川敏英京都大学名誉教授の受賞スピーチを題材にした論説文である。同スピーチの概要は、科学においては英語よりも日本語による数学や物理学が大事であるという趣旨であり、日本の科学者たちにとって最大の武器は日本語による思考であるということである。

問一は、内容把握問題＜4分＞。
日本語によるスピーチにより「日本語による精密な思考や議論を通じて、人類が迫りうる最も深遠な理論や考察」が可能になるのである。

問二は、内容把握問題＜3分＞。
「この仕事」とは「日経サイエンス編集部」における仕事である。

問三は、接続詞問題＜2分＞。
１は、前後関係から「でも」が適切である。
２は、前段の内容を受けて結論を述べる部分であるので「したがって」が適切である。
３は、文末が「～からである」なので理由を表す「なぜなら」である。

問四は、適語選択問題＜2分＞。
Aは、「必死になって…取り入れた」のであるので「集中的」である。
Bは、原則的にという趣旨が入るので「基本的」である。
Cは、「従来存在しなかった」のであるから「画期的」である。
Dは、前後の文脈から判断し「論理的」が適切である。

問五は、指示語記述問題＜5分＞。
②「日本人は日本語で…成果を得ることができた」という命題である。
③「韓国ではハングル優先で漢字を棄て…厳密な議論できなくなった」ことである。
⑤「皇族や王族関係の会であれば…国益を損ねることにもなりかねない」の部分を参考にまとめる。
⑥「英語で意味が理解できても…日本語表現することは別だ、ということ」である。
⑪「世界共通語としての英語の重みはますます大きくなっているようにも見える」である。

問六は、内容把握問題＜5分＞。
４は、何故、益川博士がスピーチを日本語で行ったかを考える。
５は、日本語では「科学」といい、あちら(＝英語)では「サイエンス」という。つまり、表現が違うけれども両者の意味はほとんど同じなのである。

問七は、内容把握記述問題＜5分＞。
「化石」とはシンボリックな表現であり具体的には「益川博士」のことであるが、何故「化石」と表現しているのかを考える。また「アイドル的存在」とはどのような「存在」であるかを本文に即して考える。

問八は、内容把握記述問題＜4分＞。
養老博士は「日本語による科学表現の重要性を強く認識」している。大沢博士は「日本語表現は、英語では決して表現できない」と考えている。

問九は、語句解釈問題＜1分＞。
「含蓄」とは「意味内容が豊かで味わいがある」ということである。

問十は、語句解釈問題＜1分＞。
「なおざり」とは「きちんと対応せずいい加減におこなう」ことである。

問十一は、内容把握問題＜2分＞。
「よい言葉は外国語でもどんどん日本語に取り込んで」いくということであるので、「消化」と「昇華」である。

問十二は、内容把握記述問題＜5分＞。
「こういう時代」とは「世界が平坦化して、先鋭化した個性が消えた」時代のことである。「おもしろみを発揮する」とは「日本語で表現できるユニークな世界がある」ということである。

問十三は、内容把握問題＜3分＞。
エ「英語は必要であっても十分な武器ではないことを認識」し、「英語が持ちえない新しい世界観を用いて科学を展開」することの必要性・重要性を本文で述べている。
オ「現代の日本の科学文化は…日本語による知的体系の創造」によって成立しているのである。

漢字10題の書き取り問題である。見慣れない漢字も多いが怠りなく事前に練習しておこう。
「レイホウ＝霊峰」「カンテツ＝貫徹」「ヨイン＝余韻」「カクリョウ＝閣僚」「スウジク＝枢軸」「チンコン＝鎮魂」「バイシン＝陪審」「ゴバン＝碁盤」「ウラヤ＝羨」「ネバ＝粘」の10題である。