出典は、『読書と社会科学』（内田義彦著）。

人間の思考パターンに読書が与える影響について論じた論説文である。論旨をしっかり追いかけて設問に対して適切に答えること。記述式問題が大半であるので自分の考えをまとめる記述力を磨いておくことが重要である。

 

問一は、内容把握問題＜４分＞。

文章の内容に対する疑問を明確に認識するためには、自分の読書手法が間違っていないという視点が重要である。

 

問二は、指示語問題＜３分＞。

それぞれの指示語の前をしっかり読み文脈に従って、指示語の内容を正確に理解しよう。

 

問三は、内容確認に関する問題＜２分＞。

「著者にもたれかかる」の「もたれかかる」とは、主体的にではなく「著者」の考えや意見に無批判に受け入れ、依存するという姿勢である。

 

問四は、内容把握記述問題＜３分＞。

傍線③の「生産的」というのは、読書により自分の知識や教養が膨らみ、より多くの情報を自分のものとすることができるということであるので、「非生産性」とはそのような付加的知識や情報を得ることができなくなってしまうということである。

 

問五は、四字熟語の問題＜２分＞。

２題とも標準的な問題である。３は読書における「読み手」と「著者」との関係性が明瞭ではなく、混沌としている状態を示す四字熟語を選択する。

 

問六は、内容把握問題＜３分＞。

自分の読みを深めるため、自分なりの読みをもって著者の考え方を検証することが、結果的に自分の読みを深めることになるのである。

 

問七は、内容把握問題＜３分＞。

設問個所は「功罪は逆転する」とある。一つの本に没頭するあまり、他の著者の考えを受け入れがたく感じてしまうことが、自ら読書の魅力を過小評価してしまう結果になってしまいかねないのである。

 

問八は、内容把握問題＜３分＞。

感想を書くことを目的にしてしまうと、感想を書き易い（著者の考えをまとめ易い）文章だけを選択してしまう結果になってしまう。

 

問九は、内容把握記述問題＜３分＞。

本文の内容に則して考える。感想文とは、自分の考えを整理し他人が読んでも明確に理解してもらえるために書くのである。

 

問十は、内容把握記述問題＜2分＞。

「自分が自分になる」という表現を手掛かりにアプローチしよう。自分の意見を回りの人間から評価されるためには、本文に従えばどのようにすればよいと述べているか。

 

問十一、慣用句問題＜２分＞。

「眉をひそめる」とは、不快なことに対して眉間にしわを寄せる表情をすることである。同様な意味の慣用句は「顔をしかめる」である。

 

問十二、内容把握記述問題＜3分＞。

読書という行為がなぜ「特殊」であるのかを本文に即し考えること。特殊であるということは、何か他のものとの比較の上で成立する概念である。従って、何と比較しているのかを見つけ出すこと。

 

問十三、適切接続詞選択問題＜2分＞。

順接、逆接、例示、理由と接続詞にも種々ある。前後の文章をじっくり読み込むこと。

 

問十四、内容把握記述問題＜3分＞。

「而して」とは、「そうして、こうして」という意味である。直後に「他人に理解可能な形で整然とまとまった文章表現」という箇所を参考にまとめる。

 

問十五、内容把握記述問題＜3分＞。

「こういう解り方」の「こういう」とは何かを考える。直前にある「ただ局所…つまり自分が変わった」という部分をまとめよう。

 

問十六、内容正誤問題＜3分＞。

本文をしっかり理解したうえで、選択肢の内容を吟味すること。選択肢の微妙な表現技法に惑わされないこと。

漢字１０題の書き取り問題である。馴染みのない漢字もいくつかあるが7題は正解したい。