出典は、『「窓」の思想史』（浜本隆志著）。ヨーロッパと日本の窓が、ガラスと紙という極めて対照的な特性をもつ素材が用いられてきた事実より、それぞれの文化の特徴を比較する論説文である。記述式問題が9割以上。50～60字の記述式問題を事前の十分な演習は不可欠である。本文を読み、問われている設問の内容を正確・迅速に把握し、的確に答案としてまとめ上げるスキルを向上させることが必要である。
問一は、内容把握問題＜3分＞。Aは、ヨーロッパの窓の素材である「ガラス」の特性を考える。Bは、直前に「増大する需要をまかなうようになった」とあり、その需要に対して何が必要であったかを考える。
問二は、内容把握記述問題＜4分＞。「かつてボヘミアは森林が鬱蒼と茂る豊かな自然に恵まれていた」から始まる段落をまとめる。
問三は、内容把握記述問題＜3分＞。「負の歴史」とは、人類や環境にとって「負＝好ましくない状況」のことである。ガラスの需要が高まるにつれ、豊かであったボヘミアの森林地帯は伐採が進み、結果どのようになったかを考える。
問四は、内容把握記述問題＜4分＞。「強化ガラス」は「割れやすさを克服」し、「都市のなかで次々に『ガラスの増殖化』」が進んだのである。
問五は、内容把握記述問題＜3分＞。「ヨーロッパ人が日光を人間の力によって物理的にコントロールしようと」した。
問六は、内容把握抜出問題＜2分＞。Cとはだいぶ離れた箇所ではあるが、「日本ではヨーロッパとは異なり、…」の段落の中に「障子」のもつ特性が「半透明で…」と書かれている。
問七は、内容把握問題＜2分＞。ガラスがもつ透明性により光をよく通すことになる。カーテンは、そのような「光」を物理的に遮断する役割を果たしたのである。
問八は、内容把握抜出問題＜2分＞。Eは、直後に「カーテンの色やデザインによって、室内の雰囲気を変化させることができた」とある。Gは、障子とは外国人の観察眼によれば「破れたり、季節によっては張り替えたりして、再生の循環」を繰り返してきた。
問九は、四文字熟語選択問題＜2分＞。Fは、自然災害（台風、水害）のことを「天変地異」という。Jは、日本人は自然に囲まれた生活を好んだのであり、身の回りの自然環境を「花鳥風月」といった、
問十は、内容把握記述問題＜3分＞。「障子の修理」における日本人の行為を探すこと。直前のモースの文章の中に、障子を修理する際「桜や梅の花といった美しい形に切り抜いたもので破れ目」を塞ぐというのが日本人の特性である。
問十一は、接続詞選択問題＜2分＞。順接、逆説、例示、理由などの接続詞の意味を考え、本文に適した選択肢を選ぶ。
問十二は、内容把握選択問題＜2分＞。ヨーロッパにおける「石の文化」において、ヨーロッパ人はそのような手法により室内を美しくしようとしたのか。
問十三は、慣用句問題＜2分＞。さまざまな工夫を施すことを「数奇を凝らす」といい、数量が多い状態を「枚挙に暇(いとま)がない」という。
問十四は、内容把握記述問題＜3分＞。直後の文に「乏しい光の中における効果を狙った」とある。その後にある「闇に浮かび出る具合」と「燈火を反射する加減」を参考に考ええる。
問十五は、文学史問題＜1分＞。宮沢賢治の作品を全て選択する問題。
問十六は、内容把握記述問題＜3分＞。障子を開けると自然との一体感を感じることができ、「自然の中で生活」をしているかのように感じるのである。
問十七は、文章要旨記述問題＜3分＞。日本文化とヨーロッパ文化の「自然観」についてまとめる。前者は「調和・一体化」であり、後者は「分離・支配」である。

漢字10題の書き取り問題である。どれも標準的な漢字であるが、「純朴」「清廉」「媒介」は書けるようにしておこう。