出典は、『ひとつの日本文化論』（寺井美奈子著）。

人間のパーソナリティはそれぞれ違う。衣服はそれぞれ着用者個人が＜着る＞のであり、それぞれのパーソナリティが＜着る＞という行為を通して表現されるところに、衣服を＜着る＞という意味がある。つまり＜着る＞ということは、人型という肉体のうえに、着用者自身の＜型をつくる＞ことである。

問一は、内容把握問題＜2分＞。

「衣類を＜着る＞」ことの意味は、「それぞれのパーソナリティが＜着る＞という行為を通して表現される」のであり、「きものとなると、…自分で着られないため、美容師や親にまかせる人が多い。それで＜着た＞つもり」になっているのであり、それでは「＜着る＞ということにはならない」のである。

問二は、接続語問題＜4分＞。

１　空欄の前後は真逆の内容である。

２　空欄以下は直前の内容の具体例が記載されている。

３　オニギリは「三角」であるという一般的な認識があるが、筆者は「三角」である必要はないと考えている。

４　直前の内容を直後でまとめている。

５　直前の「何げない姿」の具体例が空欄以後に書かれている。

６　「自分自身の踊りの型」をつくった結果、どうなっていくのかを直後で述べている。

問三は、漢字の知識問題＜2分＞。

Bは楷書(正確に書く書体)、Cは行書(楷書をくずした書体)、Dは草書(行書をさらにくずした書体)である。

問四は、内容把握記述問題＜4分＞。

デパートで売られている「オニギリの型」は、「三角状のもので、そのなかに御飯をつめれば、誰にでもオニギリができるという寸法」であるが、「型でつくったオニギリは食べようとすると、御飯がボロボロにくずれて」しまうのである。これは、「オニギリが…三角でありさえすればよい」という認識の結果である。

問五は、指示語記述問題＜4分＞。

②　「師匠の家」にせっかく住み込んだのに、なかなか「稽古」はしてくれず「やらされることといったら雑用」ばかりである。

⑥　「すでに完成された型」を持っている「仕立てられる洋服」である。

⑧　「手の組み方」の作法として習ったのは「左が上」ということである。

問六は、語句選択問題＜1分＞。

文脈から判断すると、様々な種類のものをひとまとめにして扱うことである。

問七は、内容把握記述問題＜3分＞。

「一人ぐらいしか、きちんと基礎を覚えることはなかった」のであり、「短期間で型づくりの基礎を知ることができる」のである。

問八は、内容把握記述問題＜5分＞。

「デザイナーの仕事とは型紙作りであり」、「換言すれば、洋服というもの」は「ひとつのできあがった型、しかも身体に合った型」なのである。

問九は、内容把握記述問題＜4分＞。

本文によれば「昨年の型はあくまで昨年の自分に合った型なのであり、それで現在の自分を表現すること」はできないのである。つまり「昨年の自分と現在の自分は決して同一ではありえない」のである。

問十は、慣用表現理解選択問題＜2分＞。

「板につく」とは、「長年の経験を積んで言動がその地位にふさわしく、しっくり合う」ことである。

問十一は、内容把握問題＜2分＞。

本文に即し＜着る＞という観点で考えると人間は「客体」となる。したがって、Jが正解で「客体」となる。

問十二は、内容把握記述問題＜3分＞。

マネキン人形は、衣装係に着物を着せてもらっているのであり、それでは「着用者の主体がかけられていない」ので、ひとり一人の「個性」が表現されていないのである。

問十三は、内容把握問題＜3分＞。

「手の組み方が右が上になる」かについての理由の説明が、なかったのである。

問十四は、内容正誤選択問題＜3分＞。

・本文によれば「文化とは血肉にしみこんではじめて文化」になり得るのである。きものを着る習慣によって〈着る〉ことを身につけてきた人間の存在と文化は不可分な関係になるのである。

・〈着こなし〉とは何か。本文によれば、不要と判断されて切り落とされた部分をうまく生かすことである。

漢字10題の書き取り問題である。見慣れない漢字も多いが怠りなく事前に練習しておこう。「融通＝ユウズウ」「肥沃＝ヒヨク」「丁寧＝テイネイ」「搭載＝トウサイ」「翻弄＝ホンロウ」「便箋＝ビンセン」「全貌＝ゼンボウ」「俸給＝ホウキュウ」「橋桁＝ハシゲタ」「拙＝ツタナ（い）」の10題である。