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明治大中野八王子高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2016年度「明治大中野八王子高等学校の国語」
攻略のための学習方法

解法

「明中八王子の国語」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。
「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。
「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。
「解法」が定まっていない証だからだ。
そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。
さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。
そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

知識

前述のとおり、あらゆる分野からの「直接出題」があり、「本文読解」等でも必然的に問われることになる明中八王子の「総合的知識問題」。いかなる「攻略法」があるのか?
 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。
先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。
「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。
さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されているし、「記述」にも不可欠だ。
日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・文法630」(「文法」含む)や「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字」(共に旺文社)などが推薦できる。
また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

速読

大学入試にも匹敵するボリュームの問題文を読まなくてはならない。
本年度は何と9700字。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。
しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。
その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。明中八王子に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

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2016年度「明治大中野八王子高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問一「小説」、出典は谷川直子「四月は少しつめたくて」(文字数約4800字)。
小問は全9問(解答数9)。「抜き出し」、「選択肢」(「不適切」「空所補充」「考察問題」「総合的知識問題」あり)、問題文は7分弱で読み切り、設問を15分ほどで解きたい。

大問二「論説文」、出典は前野隆司「幸せの日本論」所収の「日本はどれくらい特殊なのか?」(文字数約4000字)。
小問は全12問(解答数16)。「抜き出し」、「選択肢」(「不適切」「空所補充」「総合的知識問題」あり)、「漢字の書きとり」(全5問)。問題文は6分弱で読み切り、設問を20数分で解きたい。

【大問一】

  • 時間配分:

詩が書けなくなった大詩人の「藤堂」と訳あり女性編集者の「私」が織りなす「詩と再生の物語」――借り物ではない自分の「ことば」で気持ちを伝えたい。詩を通して「ことば」を獲得していく女性たちを描く感動作。
本文では、高村光太郎作の「智恵子抄」や「雨」をテーマとして「詩」をめぐって、「私」たちが「言葉とは何か」を考える様子が描かれている。
内容は分かりやすいはずだ。「情景描写」や「心情の機微」を読み取ることが難しい「抜出し設問」もある。
以下、いくつか考えてみよう。

[問一] 「内容説明抜き出し」(「8字」指定)。
傍線部①「二人の間に行き交う言葉は本来の意味をほとんど失っている」について、「このような状態になってしまったことを私自身どう思っているか」を抜き出す。
「抜き出し」では、「抜き出すべき内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞っていくことが鉄則。
「このような状態」とは「言葉は本来の意味をほとんど失っている」という「状態」だが、ここでの「抜き出すべき内容」は、そのことを「私自身」が「どう思っているか」ということなので注意したい。
次に、「抜き出し範囲」だ。「小説」なので「同一場面」が基本、傍線部の段落からの5段落だと分かるはずだ。確認する。
すると、最後の段落に、「言葉たちが意味をなくしたから、不幸ではないとしても、私はしあわせではないと気づく」とある。「言葉たちが意味をなくした」ことについて「私はしあわせではないと気づく」のだから、「答え」は「しあわせではない」となる。
本校合格の鍵となる「抜き出し設問」、「内容」→「範囲」→「確認」と順序立てて解いていくことが肝要だ。

<時間配分目安:1分半>

[問二] 「比喩換言説明選択肢」(4択)。
傍線部②「夕暮れのような影」について、「『影』という言葉でたとえられている内容」を答える。
「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。
ここは「比喩換言説明」なので、先ずは「影」の「原意」をつかみたい。「形はあるが、内容が黒く塗りつぶされて不明なもの」だ。では、何について「影」と表現されているのか? それを直前直後から捉えていく(「小説は同一場面の直前直後に根拠あり」が「小説の解法」の大原則)。「言葉」だと分かるはずだ。
つまり、「影」=「形はあるが、内容は不明」な「言葉」を表現している。各選択肢の「文末」(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)が、そのことに結びつかないものを「消去」する。
(ア)「意味を失ったもの」、
(イ)「しあわせを失ったもの」、
(ウ)「愛を失ったもの」、
(エ)「言葉を失ったもの」。
どうか? 「内容不明な言葉」なのだから、即座に(イ)(ウ)(エ)は「消去」できなくてはいけない。(ア)は文末以外の説明も特に誤ってはいない。
よって、「答え」は「(ア)」。「一発消去」だ。恐るべし「原意消去」! 必ず活用すること。

<時間配分目安:1分以内>

[問四] 「内容説明抜き出し」(「最初の5字」指定)。
傍線部④「もうちょっと説明してみようか」について、「説明しようとする『私』の描写が始まる部分」の「最初の5字」を答える。
「抜き出すべき内容」を特定するために、先ずは、「状況」を「傍線部一文一部の法則」(「傍線部が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という「重要解法」)で確認する。
直前から、傍線部は、「私」が答えた一言に対する「藤堂さん」の「言葉」だと分かる。ただ、ここで着目したいのは、「抜き出し内容」は「『私』の説明」自体ではなく、「説明しようとする『私』の描写が始まる部分」だということだ。
「抜出し範囲」は無論、「同一場面」。「『私』の説明」は傍線部の次段落から始まっているが、その前段落を確認すると、「静かな雨の気配が私の頭の中にぎっしりつまった言葉たちにしのび寄って~」「~私は押し出されるように口を開いた」という描写がある。この「部分」は既に、「説明しようとする『私』の描写」になっていると判断できるはず。
従って、「答え」は「静かな雨の」だ。
当然ながら、「設問内容」を正確に把握するということが「正解」への必須条件だ。

<時間配分目安:1分半>

[問九] 「考察選択肢」(4択)。
「設問」に示されている高村光太郎の詩「あどけない話」について、「この詩にはどのような発見があると言えるか」を答える。
本文冒頭にこの詩が採り上げられているが、残念ながらそこから解くことはできない。受験生自らが「考察」するという難問だ。
先ずは、「詩」をしっかりと読み取りたい。
冒頭、「智恵子は東京には空がないといふ ほんとの空が見たいといふ 私は驚いて空を見る」と始まっている。
この最後の部分に着目だ。「私は驚いて」⇒「私」が何かを「発見」したということだ。その「私」が見た東京の「空」は、「むかしなじみのきれいな空だ」と続く。しかし、それに対して、「智恵子は遠くを見ながらいふ」 「阿多多羅山の山の上に 毎日出てゐる青い空が 智恵子のほんとの空だと」。
つまり、「同じ空」ではあるが、その見方が異なるということが「発見」なのだ。
従って、選択肢(ウ)の「光太郎にとっての『むかしなじみ』の空が智恵子にとっては『むかしなじみ』の空ではないということ」が「答え」になる。
本校では、こうした問題もあるのだと心得よ。

<時間配分目安:2分半>

【大問二】

  • 時間配分:

脳科学・ロボット工学者で幸福学の第一人者による実用的日本人論。西洋と東洋を俯瞰しながら、多様性を受容する日本人の特徴などを分析し、誰もが幸せになれる日本型システム、共生社会の未来について考察している。
本文では、日本人がおもしろいのは、東洋発西洋行きの様々な文化や学問や流行をありがたがって逆輸入している点だと指摘し、日本は意外に多様だが、高度な秩序は保たれていると論じている。
「文化人類学論」で難解な専門用語も多く、内容はなかなか理解しづらい。特有の「抜き出し設問」や手強い「総合的知識問題」に本校らしさが如実に表れている。
以下、いくつか検討してみたい。

[問三] 「語句の空所補充選択肢」(4択)。
「総合的知識問題」。空所( ④ )に「あてはまる言葉」を答える。
いかにも本校らしい「四字熟語」の判別だ。直前直後を確認する。
「日本でデザイン思考が流行っているとは( ④ )だ」となっている。そして、そのことについて筆者が直後で、「日本の真似をしてつくられたものを、そうとは知らずに日本人がありがたがって真似をしている」「逆輸入ですね」と説明している。要は「逆になっている」ということだ。
であれば、「答え」は選択肢(ア)の「本末転倒」だと分からなくてはいけない。
尚、(イ)「首尾一貫」、(ウ)「温故知新」、(エ)「朝令暮改」も熟知していて当然。
本校では「高度な語彙力」が求められていると心得よ。

<時間配分目安:1分>

[問六] 「理由説明選択肢」(4択)。
傍線部⑨「いつも一番大事な部分が抜け落ちて単純化されてしまう」について、その「理由」を答える。
先ずは、何から「大事な部分が抜け落ち」るのかを「傍線部一文一部の法則」で確かめたい。
直前から、「日本的なもの、ないしは東洋的なもの」が「西洋に行くとき」、「抜け落ち」ると分かる。で、その「理由」だが、「同一意味段落」を確認していく(「論説文」では、「同一意味段落」に「根拠」「手がかり・ヒント」がある)。
すると、次段落が「その一番の理由は」と始まっていることに気づくはずだ。なので、同段落を読み解いていく。そこには、「近代西洋」の「原理的制約のために」「東洋流の本質の部分が失われた形で解釈され」と説明されている。
各選択肢の「文末」を確認する。
(ア)「わかりやすい言葉で語るから」、
(イ)「本質の部分を超越しているから」、
(ウ)「二項対立的解釈が失われるから」、
(エ)「原理的制約を受けるから」。
即座に、「答え」は「(エ)」だと分かるはずだ。
やはり、「一発消去」。「解法」に則しての「消去」を徹底すべきだ。

<時間配分目安:1分半>

[問九] 「条件付き指示語換言抜き出し」(「20字以内」指定)。
傍線部⑫「そこ」が「指し示す内容」を抜き出して答える。
「条件」は「『こと』に続くように抜き出す」こと。典型的な「指示語換言」だ。無論、指示しているものは「前」にある。
「文脈」をたどっていくと、「マインドフルネスは」「決して『そこ』を目的として」「利用するためのものではありません」となっている。ということは、「そこ」=「マインドフルネスを利用している目的」となるはずだ。どのような「目的」なのか?
文頭に「マインドフルネスは、心を落ち着け仕事効率を向上させる方法としてアメリカで流行っていますが」とある。
つまり、「目的」=「心を落ち着け仕事効率を向上させる『こと』」=「答え」だと判断できなくてはいけない。
「指示語換言」では、指し示す「候補の部分」がいくつかあるので、必ず「指示語部分」に「代入確認」すること。その際、「形式」「文法」だけではなく「文脈(内容)」も合致しているかどうかを確認する必要がある。本問のように、「指示語」の「結び(文末)」が「打消し」の場合は特に要注意だ。

<時間配分目安:1分半>

[問十] 「語句の意味の換言選択肢」(4択)。
「総合的知識問題」。傍線部⑬「亜流」を「言い換えたもの」を答える。
本校志望者には当然、知っておいてほしい「語句」だが、決して平易ではない。
「亜流」=「第一流の人に追随し、それをまね、独創的でなく劣っていること」だ。
各選択肢は、(ア)「一流」、(イ)「流行」、(ウ)「模倣」、(エ)「最新」。
無論、「答え」は「(ウ)」だ。
「文脈」から判別できないこともないが、やはり、本校では「大人の語彙力」も必要になるということだ。

<時間配分目安:1分以内>

[問十二] 「漢字の書きとり」(全5問)。
さすが、本校、「漢字」といえども侮れない。単に「でる順」などで機械的に習得するだけでは対処できない。前後の「文脈」から内容を特定した上で、適切な「漢字」を当てはめる必要がある。確認する。
傍線部
③「デザイン思考ハッショウの地」=「発祥」、
⑥「キャッコウを浴びました」=「脚光」、
⑦「回帰をテイショウする」=「提唱」、
⑭「ユカイですね」=「愉快」、
⑮「エタイが知れない」=「得体」。
「同音異義語」「同訓異字」などを含め、「漢字」の練習は必須だ。

<時間配分目安:2分>

攻略ポイント

●本校では「総合的な国語力」が問われる。どのように「攻略」するか?
出題数の多い「抜き出し設問」だけに限らず、あらゆる設問に対処できなくてはいけない。
「選択肢」「空所補充」「脱文挿入」「乱文整序」「記述」等の「形式」で、「換言説明」「理由説明」「指示語説明」「文脈」などの「内容」が問われることを覚悟して準備をすることが必要だ。
いずれにしても、「設問内容」を的確に捉え、それぞれに応じた「解法」を適切に用いることが最優先となる。
そのためには、基本的「解法」を完全に習得して、自分自身の「ツール」としておくことが重要だ。

●「総合的知識問題」も決して侮れない。直接的な出題は勿論、問題文の内容理解でも「高度な語彙力」等が問われる。
本校を志望したその時点から、独自に「幅広い知識」を常に習得していくことが重要だ。学校や塾での学習だけでは全く不十分。「独習」は欠かせない。
「合格ライン」は6割強(過去5年間の「3科目合計合格者最低得点率」は57.5%、本年度は58.0%)。
「知識問題」での「失点」は致命的となると肝に銘じる必要がある。

●出題数は決して多くはなく「指定字数」も短いが、「説明記述」の対策も欠かせない(本年度は出題されていないが、決して油断するなかれ)。
正否の分岐となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。
「内容」から必要度を特定し、優先度の高いものから積み上げていく練習が必要だ。それによって、いかなる「字数」にも対応できるようにしておきたい。

●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は9000字ほど。
他の上位校と比較してもかなり多いので、当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速700字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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