明治大中野八王子高等学校 入試対策
2020年度「明治大中野八王子高等学校の国語」
攻略のための学習方法
解法
「明中八王子の国語」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。
「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。
「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。
「解法」が定まっていない証だからだ。
そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。
さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。
そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
知識
前述のとおり、あらゆる分野からの「直接出題」があり、「本文読解」等でも必然的に問われることになる明中八王子の「総合的知識問題」。いかなる「攻略法」があるのか?
「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。
先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。
「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。
さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されているし、「記述」にも不可欠だ。
日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。
速読
大学入試にも匹敵するボリュームの問題文を読まなくてはならない。
本年度は何と9700字。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。
しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。
その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。明中八王子に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。
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2020年度「明治大中野八王子高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一 は「小説」、出典は辻村深月「傲慢と善良」(文字数約5100字)。小問は全11問(解答数15)。「抜き出し」(「空所補充」あり)、「選択肢」(「内容解釈」「本文内容合致」あり)、「語句記述」(「漢字の読み書き」5問)。問題文は7分弱で読み切り、設問を20分程度で解きたい。
大問二 は「論説文」、出典は鷲田清一「濃霧の中の方向感覚」(文字数約3200字)。小問は全10問(解答数15)。「抜き出し」(「空所補充」あり)、「選択肢」(「空所補充」あり。「内容説明」など)、「語句記述」(「漢字の読み書き」5問と「故事成語」の意味の「空所補充熟語記述」1問)。問題文は4分強で読み切り、設問を20分弱で解きたい。
【大問一】
- 時間配分:
婚約者の「坂庭真実(まみ)」が忽然と姿を消した。その居場所を探すため、「西澤架(かける)」は彼女の「過去」と向き合うことになる――生きていく痛みと苦しさ。その先にあるはずの幸せを描いた「恋愛小説」。本文は、「架」が「真実」のことについて、その姉である「希実(のぞみ)」から話を聞いている様子が描かれている。問題文全体が「同一場面」で、「会話」のやりとりが延々と続いている。ただ、内容は理解できるはずだ。「抜き出し問題」を中心に多様な小問が並んでいる。以下、いくつか考えてみよう。
[問一] 「換言説明の文中の空所補充抜き出し」(全2問/ともに「5~10字以内」指定)。傍線部②「そう見ていた」について、「これを言い換えた文中の空所(ア)・(イ)にあてはまる言葉」をそれぞれ「五字以上十字以内」で抜き出して答える。示されている「言い換えた文」は「自分の (ア) を見て、 (イ) ではないと判断していた。」となっている。「抜き出し」では、「抜き出すべき内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞っていくことが鉄則。先ずは「内容」だが、「指示語」があるので開く(「指示語」が出たら即開くこと)。直前から、「そう」=「『希実』が『架』に語っているように」だと分かる。では、何を「そう見ていた」のか? 「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という「解法」)で確認すると、「架」自身が婚活の最中、相手の女性を「そう見ていた」と読み取れる。つまり、「抜き出すべき内容」は「『架』が相手の女性を、『希実』が語っているように見ていた」ことの「換言」ということになる。「範囲」は当然、「『希実』が語っている部分」だ。ここでは、傍線部の12行目前からの10行になる。丁寧に探していくと、「自分に釣り合う相手じゃなければ納得しない」・「相手より勝ってる部分にしか目が向かない」という言葉がある。空所部分の内容に合致し、「字数」もOKだ。念のために他の部分を確認しても相応しい言葉はない。したがって、「答え」は、(ア)=「相手より勝ってる部分」・(イ)=「自分に釣り合う相手」になる。本校合格のひとつの鍵となる「抜き出し設問」、「内容」→「範囲」→「確認」と順序立てて解いていくことが肝要だ。また、「抜き出し候補」はひとつとは限らないので、必ず「範囲」の全てを探すことが重要。
<時間配分目安:全問で2分半>
[問三] 「内容換言の抜き出し」(「8字」指定)。傍線部⑤の「自分たちの常識」と「同じ内容の言葉」を「八字」で抜き出して答える。先ずは、「抜き出すべき内容」を特定したい。「傍線部(空所部)一文一部の法則」では摑(つか)めないので、「同一場面」の「直前直後」を確認する(「小説」では「同一場面」の「直前直後」に「手がかり・ヒント」がある)。傍線部は「希実」の言葉で、直前に「娘のことは全部自分たちで決めてきた」、そして、直後に「私は真実と違って高校も大学も親の言う通りにしなかった……」とあることから、ここでの「自分たち」は「希実」と「真実」の「親たち」だと読み取れる。よって、「『希実』と『真実』の『親たち』の常識」が「内容」になる。「範囲」は「同一場面」だが、本文全体が相当するので、直近から探していきたい。すると、5行前に「希実は自立した大人だ。むしろ、田舎の狭い価値観の中で過ごす彼女の親たちの方が、架からしてみるとよほど頼りない。」という2文がある。「親たち」は「田舎の狭い価値観の中」で過ごしているわけだ。「親たちの常識」で間違いない。他に候補もないので、「答え」は「田舎の狭い価値観」になる。いくつもの「解法」を組み合わせていくことが肝要だと心得よ。
<時間配分目安:1分半>
[問六] 「内容合致選択肢」(4択)。傍線部⑪「傲慢さと善良さが、矛盾なく同じ人の中に存在してしまう」について、これに「あてはまるもの」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「内容合致」なので、「傲慢さ」・「善良さ」・「矛盾」、これらの「原意」と結びつかない選択肢を「消去」していきたい。確認する。
(ア)「誰かに決めてもらうのに、教えてくれず不満に思う」⇒何も「矛盾」していない=不適切。(イ)「自分で決められないのに、相手に求める基準が高い」⇒「善良さ」は不明だが、「傲慢さ」と「矛盾」については結びつく=適切か? (ウ)「真面目でいい子なのに、得をするとは限らない」⇒「傲慢さ」でも「矛盾」でもいない=不適切。(エ)「相手の理解を求めているのに、相手のことを考えない」⇒「傲慢さ」と「矛盾」についてはOK=適切か?
ここで2択だ。「善良さ」に関しては確認できないので、「同一場面」の「直前直後」で判別する。直前に「善良に生きている人ほど、親の言いつけを守り、誰かに決めてもらう」とある。よって、(エ)は「消去」で、「答え」は(イ)になる。本問は「2段階消去」だったが、「選択肢設問」では先ずは「原意消去」を試みることが肝要だ。
<時間配分目安:1分半>
[問九] 「内容解釈の抜き出し」(「15字」指定)。「『希実』にあって『真実』にないものにあたる言葉」を「十五字」で抜き出して答える。傍線部に関する設問ではないので厄介だ。「抜き出すべき内容」は問題文そのものであって、他に「手がかり」はない。「抜き出し範囲」も本文全体だ(まあ、そもそも全文が「同一場面」なのだが)。さて、どうするか? 本文そのものに「真実」は登場していない。そして、「真実」のことは、もうひとりの登場人物である「架」よりも「姉」である「希実」の方が知っているに決まっている。したがって、「希実」のセリフを中心に探していきたい。面倒くさいが、丁寧にたどっていくしかない。すると、傍線部⑨の「箱入り娘」で始まるセリフに「真実の場合もそうだった……。真面目でいい子の価値観は家で教えられても、生きてくために必要な悪意や打算の方は誰も教えてくれない」とある。つまり、「自分(希実)」は違うが、「真実」は「箱入り娘」であって、「生きてくために必要な悪意や打算」は教えてもらっていないと読み取れる。「字数」も合致する。他に適切な候補もない。よって、「答え」は「生きてくために必要な悪意や打算」となる。難攻不落に思える本問だが、「類推」をすることで道は開けるということだ。
<時間配分目安:3分>
[問十一] 「漢字の読み書き」(全5問/「書きとり」3問と「読み」2問)。確認する。
先ずは「読み」。①「陥る」=「おちい(る)」⇒誰もが分かるはず。④「闇雲」=「やみくも」⇒まあ、読めて当然、「先の見通しもなくむやみに事をすること」という意味も押さえておきたい。次に「書きとり」だ。傍線部⑥「キョクタン」=「極端」⇒問題ない。⑦「コンキョ」=「根拠」⇒「拠」の「トメ・ハネ」に要注意。⑧「ヨウリョウ」=「要領」⇒「文脈」から的確に読み解きたい。本問は例年に比較して平易だ。本校志望者は「全問正解」が必須だと心得よ。
<時間配分目安:全問で1分強>
※尚、[問十]は「本文内容合致の選択肢設問」だ。「論説文」であれば「本文内容合致」=「論旨合致」と捉え、「序論部」及び「結論部」と照合すればいいが、「小説」では「本文全ての内容」と照合する必要があり、とても手間がかかる。そこで時間をとられるよりは、他の小問をしっかりと確認し、確実に得点していく方が得策だ。したがって、戦術的には後回しにすること。無論、「捨て問」でも構わない。
【大問二】
- 時間配分:
危機の時代、先の見えない時代において、本当に必要とされ、信じられる知性・教養とは何か? それは、視界の悪い濃霧の中でも道を見失わずにいられる「方向感覚」だ――「社会」「政治」「文化」「教育」などの領域において、臨床哲学者が自らの「方向感覚」を研ぎ澄ませながら綴(つづ)った思索の記録。その中の2つの論考を《Ⅰ》と《Ⅱ》という問題文とし、それぞれから出題されている。前者では「何の裏付けもない全能感」と「過剰な無能感」を指摘し、後者では「対話とネットワーキングのセンスが現代の教養の中心となるべきだ」と論じている。「哲学論」で難解な語句があるが、しっかりと内容を理解したい。「抜き出し問題」が中心ではあるが、「2文の連関問題」や「総合的知識問題」などの出題もある。以下、いくつか確認してみたい。
[問一] 「内容説明選択肢」(4択)。《Ⅰ》の傍線部①「見たくないなとおもう子どものふるまい」についての「説明」を答える。「原意消去」からが基本だが、ここでは「どのようなふるまい」なのかを全く読み取れないので、流石(さすが)に無理だ。そこで、「同一意味段落」を確認する(「論説文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。次段落で「ふるまい」の2つの「具体例」を挙げ、続く段落でそれらの「ふるまい」について「子どもが大人をこき使っている」と指摘している。さらに、その2段落後にはそれらの「子ども」は「妙な全能感に知らぬ間に侵されて」しまっているとの論及がある。判別基準がそろったので、各選択肢を確認する。
(ア)「妙な全能感にもとづくふるまい」。(イ)「過剰な無能感に襲われたふるまい」。(ウ)「全能感と無能感に揺れ動くふるまい」。(エ)「互酬性の感覚にもとづくふるまい」。「大人をこき使っている」「妙な全能感に侵されている」のだから当然、「答え」は(ア)だと判断できなくてはいけない。臨機応変に適切な「解法」にシフトすることが肝要だ。
<時間配分目安:2分>
[問三(1)] 「空所補充の語句記述」(「熟語」指定)。「総合的知識問題」。《Ⅰ》の傍線部⑤「杞憂」の「意味を説明した文中の両方の空欄に共通してあてはまる熟語」を答える。説明文は「 しないでいいことを すること。」となっている。「故事成語」の定番のひとつなので、「心配する必要のないことをあれこれ心配すること。取り越し苦労」という意味は無論、知っているはずだ。よって、「答え」は「心配」だ。本問は平易だったが、「故事成語」だけではなく「四字熟語」、「ことわざ」、「慣用句」等も頻出なので、確実に定着させておくこと。
<時間配分目安:30秒以内>
[問四] 「内容説明選択肢」(4択)。《Ⅰ》の傍線部⑦「人は個々にはそれほど立派ではないという、自戒というか自重が、ここにはある」についての「説明」を答える。無論、「原意消去」から試みたい。ここでは「自戒」・「自重」の「原意」と結びつかない「説明」を「消去」していく。各選択肢の「文末」を確認する(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。
(ア)「他者を主観的に見なければならないということ」。(イ)「訓練をしなければならないということ」。(ウ)「他者との関係まで希薄になるということ」。(エ)「誇りがもてるように行動することが大切だということ」。さあ、どうだろうか? 「自戒」=「自らの言動を自分でいましめ慎むこと」、「自重」=「自らを重んじること」、これらの「原意」は定着しているはず。ともに、「自ら」のことを「自ら」が行うことだ。であれば、(エ)以外は「消去」できなくてはいけない。その他の部分の説明を「同一意味段落」で確認する。特に誤ってはいない。したがって、「答え」は(エ)でいい。結果として「一発消去」だった。やはり、「原意消去」は不可欠だと心得よ。
<時間配分目安:1分>
[問七] 「理由説明抜き出し」(「段落」の「最初の5字」指定)。《Ⅱ》の傍線部⑫「教養教育の必要」の「理由」が述べられている「段落」の「最初の五字」を抜き出して答える。これは珍しい。「段落」そのものの「抜き出し」だ。「抜き出し内容」は問題文のとおりで、「抜き出し範囲」は「同一意味段落」。《Ⅱ》は全てが「同一意味段落」で、傍線部は冒頭の段落だ。次段落以降を丁寧に確認していくと、そこからの3段落は「過去」の「教養」についての説明であり、その後で「現代に求められている『教養』についての筆者の考え」が述べられている(傍線部⑬の段落から)。そして、その2段落目が「時代が危機的な状況のときに、選択肢をできるだけ多く用意しておくために『教養』がある」とまとめられている。この「段落」が「教養教育が必要な理由」として相応しい。念のために以降の3段落をチェックする。「視点」が転換してしまっている。よって、傍線部⑬の段落の冒頭である「時代を至近」が「答え」となる。「抜き出し設問」に限らず、「同一意味段落」の「段落相互関係」を丁寧にたどることが「論説文」の要だと心得よ。
<時間配分目安:1分半>
[問九] 「2つの問題文の連関についての選択肢」(4択)。「《Ⅰ》と《Ⅱ》に共通する内容」を答える。《Ⅰ》と《Ⅱ》との連関が問われている。ともに「論説文」なので、「論旨」の「共通項」を捉えたい。それぞれの「結論部分」を確認する(両方とも「尾括型」で「結論部分」に「論旨」がまとめられている)。《Ⅰ》は「人は、他者のまなざしを意識した演技で自分を整えるしかない」、《Ⅱ》は「対話のセンスとネットワーキングのセンスが『教養』の核をなすべきもの」がそれぞれポイントになっている。つまり、「他者の視線を自らの内に引き入れること」が「共通項」だと読み取れる。ここで、各選択肢をチェックする。
(ア)「道徳の重要性」、(イ)「教養の必要性」、(ウ)「他者の視線の重要性」、(エ)「他者への思いやりの必要性」。「他者の視線」がポイントなので、「答え」は(ウ)だ。尚、2021年度から始まる「大学入学共通テスト」を意識してか、「高校入試」でもここ数年、本問のような「複数の文章の連関」が問われる出題が散見される。来年度以降も要注意だ。
<時間配分目安:2分半>
[問十] 「漢字の読み書き」(全5問/「書きとり」2問と「読み」3問)。【大問一 】の「漢字問題」とは違い、本問は本校の「標準レベル」。実力を試したい。先ずは「書きとり」。②「(修学旅行生が)まちをシュウユウする」=「周遊」⇒「文脈」から読み取ること。⑪「社会的ヨウセイ」=「要請」⇒「同音異義語」に要注意。次に「読み」だ。④「臨床心理家」=「りんしょう」⇒「病床に臨んで実地に患者の診療にあたること」という意味も押さえておくこと。⑥「偽装」=「ぎそう」⇒これは問題なし。⑨「忌避」=「きひ」⇒難しくはあるが、「高校入試」の定番だ。正解が3問以下の諸君は猛特訓が不可欠だ。
<時間配分目安:全問で1分強>
攻略のポイント
- ●本校では「総合的な国語力」が問われる。どのように「攻略」するか? 出題数の多い「抜き出し設問」だけに限らず、あらゆる設問に対処できなくてはいけない。「選択肢」「空所補充」「脱文挿入」「乱文整序」「記述」等の「形式」で、「換言説明」「理由説明」「指示語説明」「文脈」などの「内容」が問われることを覚悟して準備をすることが必要だ。いずれにしても、「設問内容」を的確に捉え、それぞれに応じた「解法」を適切に用いることが最優先となる。そのためには、基本的「解法」を完全に習得して、自分自身の「ツール」としておくことが重要だ。
- ●「総合的知識問題」も決して侮れない。直接的な出題は勿論、問題文の内容理解でも「高度な語彙力」などが問われる。本校を志望したその時点から、独自に「幅広い知識」を常に習得していくことが重要だ。学校や塾での学習だけでは全く不十分。「独習」は欠かせない。「合格ライン」は7割弱(過去8年間の「3科目合計合格者最低得点率」は65.7%、近年は上昇傾向で、本年度は66.3%)。「知識問題」での「失点」は致命的となると肝に銘じる必要がある。
- ●出題数は決して多くはなく「指定字数」も短いが、「説明記述」の対策も欠かせない(本年度は未出)。正否の分岐となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。「内容」から必要度を特定し、優先度の高いものから積み上げていく練習が必要だ。それによって、いかなる「字数」にも対応できるようにしておきたい。
- ●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は9000字ほど(本年度は約8300字)。他の上位校と比較してやや多い方なので、当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。