お茶の水女子大附属高等学校 入試対策
2024年度「お茶の水女子大附属高等学校の国語」
攻略のための学習方法
合否のポイントは論説文であろう。しかも、記述問題をいかに攻略するかが重要である。論理的文章を読み理解するためには、文章の読み方をしっかり習得しなければならない。漫然と設問文を読んでみても内容を理解できる訳ではない。
重要なことは、文章がどのような流れ(論理立て)で書かれているのかを把握することである。その際に重要なことは「キーワード」は何か、「段落ごとの関係性」はどうなっているのか、を考えることである。これが本文をしっかり理解する上で不可欠な作業である。
「キーワード」とは繰り返し使われる「言葉」である。重要であるから何度も使われるのであり、何度も使われるから「キーワード」となるのである。これが「キーワード」だと感じたら、本文に印をつけることである。例えば、マルを付けるとか傍線を引くという行為が大切である。そうすることによって、読まなければ把握できない文章の内容・流れが目で見えるようになる。
つまり、文章が「視覚的」に理解できるようになるのである。文章をそのように視覚的に把握できることができれば、本文の再読は必要なくなる。これは大幅な解答する時間の短縮になるし、文章構造を視覚的に把握出るようになるのである。この作業をしっかりできるためには、論説文専門の問題集の掲載されている問題文で十分な練習を行なって欲しい。
始めはなかなか慣れずに、解答時間の短縮のために練習していたのが時間ばかりかかって効果が見えてこないかもしれない。しかし、この手順をしっかりマスターすれば、漫然と本文を読んで解答するよりもはるかに時間も短く正解に辿りつける。
したがって、慣れるまで多少の時間はかかるかもしれないが、忍耐強く練習を積んで欲しい。次に「段落ごとの関係性」を把握する方法である。先に述べた「キーワード」の視覚化と同様にこの「関係性」の把握は重要である。
重要なことは、「接続詞」の把握である。段落の冒頭にある「接続詞」の掌握である。接続詞には順接と逆接がある。その二つの接続詞を「キーワード」同様に印をつけるということである。その際に、順接と逆接につける印を統一することが重要である。例えば、「順接」はマル、「逆接」はサンカクという具合である。
そのような印をつけることによって、本文全体が一読することで視覚的に内容を把握できるようになるのである。そのような印をつけた結果、マル、マル、サンカクという具合に印がつけられたら、サンカクの後からが作者の意見の流れが変わるという実態を目で確認できるのである。
是非、この手法を習得して欲しい。小説問題も第一義的に、人物の「心情把握」である。そのためには、人物描写や情景描写を丁寧に読み込むことである。人物の振る舞いについての記述や発言内容、そしてそのような発言に対するその他の人物の反応等に関する記述も要注意である。
古典文法についても漏れがないように、万遍なく一通りの知識を明確に習得すること。
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2024年度「お茶の水女子大附属高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は、言語分野に関する論説読解問題である<19分>。
主に内容把握問題。解答形式は30字、60字、25字の記述式になっている。
大問二は、小説に関する読解問題<18分>。
登場人物の心情把握、漢字書取り、語句意味問題。圧倒的に心情把握問題が多いので、会話・情景描写を丹念に読み込むこと。
大問三は、古文読解問題である<13分>。
古語知識、内容把握、現代語訳が出題されている。基本的な古典文法、古語について確実に習得しておくこと。
【大問一】言語に関する論説文の読解問題
- 時間配分:19分
出典は、『言語の本質』(今井むつみ・秋田喜美著)。
問一は、内容把握選択問題<3分>。
Ⅰ 「『具象的』な絵画は、その対象が誰にでもよくわかる」のである。
Ⅱ 「絵文字は…視覚情報」を表すのである。
Ⅲ 音声は「聴覚的」要素である。
Ⅳ 「『ギクッ』はやや『抽象的』」なのである。
Ⅴ 「オノマトぺの『根本的』性質が関わっている」と思われるのである。
問二は、内容把握記述問題<4分>。本文に「絵画は原則、鑑賞者の使う言語や文化に関係なく受けとめられることを前提としているが、オノマトぺは特定の言語の枠組みの中で理解される」とある。
問三は、内容把握記述問題<3分>。具体絵画と抽象絵画の違いを本文よりしっかり読み取ること。本文には「抽象絵画は表現者の内的な感覚の表現に重点かれ」とある。
問四は、内容把握記述問題<4分>。「この定義によれば、オノマトペはまさに『アイコン』である。表すもの(音形)と表されるもの(感覚イメージ)に類似性があると感じ」られるのであり、「音形が感覚にアイコン的につながっている」のである。
問五は、内容把握問題<5分>。
1 ⅰは、「非母語話者」には理解が難しいのである。
ⅱは、絵画は見るものだから言語や「文化」に関係なく理解できる。
ⅲは、音声だと物事の「一部分」しか写し取れない。
ⅳは、オノマトペが「母語話者」にしか感覚的にしっくりこない。
2 本文には「換喩的思考ができるからこそ、人間の言語はオノマトペを発達させられる」とある。
【大問二】小説の読解問題
- 時間配分:18分
出典は『生きている兵隊』(石川達三著)。
問一は、漢字の書取り問題<2分>。書取りは「呼気」「生前」「夢遊」「道理」「沿岸」である。標準問題であるので完答したい。
問二は、語句の意味に関する問題<2分>。
A「とり止めもない」は、「まとまりのない」である。
B「酸鼻を極めた」は、「むごたらしく痛ましい」である。
C「卒然として」は、「にわかに」である。
問三は、心情把握選択問題<3分>。「生前に一度も口をきいたこと」がない「この兵士の最期に立ち会った人間としての責任」だと考えたのである。
問四は、心情把握記述問題<4分>。「乱暴な言葉」「大変に愛情をもった口調」とは軍医のどのような心情であるかを考える。前者は、受賞を負った兵士が自分の傷のことよりも一刻も早く戦場に戻ろうとしていることに軍医は「あきれている」のである。後者は、そのような兵士に軍医が同情し「哀れみ」を感じているのである。
問五は、 心情把握選択問題<2分>。平尾は「身のまわりに如何に多くの危険があるかを感じ」たのであり、「死に直面している戦場にいるということを実感」したのである。
問六は、心情把握記述問題<5分>。戦場にいるときの兵士は「自分の命と体の大切なことを考える力を失って」いたのであり、「どれほど戦友が斃れようとも覚醒することのないはげしい夢遊状態」になっていたのである。しかし、そのような兵士が「ひとたび敵弾が彼等の肉体に穴をあけたとき、卒然として生きている自分を発見し死に直面している自分をさとる」のである。つまり、「死に直面した戦場にいること」いう現実に気づく(覚醒する)のである。
問七は、心情把握選択問題<1分>。「自分は書き始めたが、…いまいましいと思った心は全く消えてしまい、かえって彼が可愛くなって来た」のである。つまり、自分は「わだかまりが消え、素直になっている」のである。
問八は、心情把握記述問題<5分>。初めは「志村にうち勝とうという意気込み」が強く、志村に画題を先に書かれてしまい「(志村のことを)いまいましい奴」と思っていたのである。しかし、次第に「いまいましいと思った心は全く消え…かえって彼(志村)が可愛くなって」きたのである。この心の変化をまとめる。
【大問三】古文読解問題
- 時間配分:13分
出典は『発心集』(鴨長明著)。
問一は、古語に関する問題である<2分>。
a 「ねんごろになる」は、「心のこもった」という意味である。
b 「いとほしければ」は、「気の毒なので」という意味である。
c 「あやしくて」は、「不思議に思って」という意味である。
問二は、内容理解選択問題である<1分>。
ⅰ 手紙を送ったのは「母」である。
ⅱ ありがたく思い、しみじみとした気持ちになったのは「僧都」である。
ⅲ 故(理由)を聞いたのは「僧都」である。
問三は、内容把握選択問題<2分>。「便りもあまり交わしていない様子」という意味である。
問四は、内容把握問題<3分>。
1 「使ひの男」が涙を流したのである。
2 母からの贈り物は、僧都の母が大変苦労して手に入れたものであり、最後は自分の髪を切ること(「母御前のみづから御ぐしの下を切りて」)も行ったのである。それを考えると母の子を思う愛情の深さ大きさに感銘を受けた「使ひの男」は、感動し母からの贈り物を食べられなくなったのである。
問五は、現代語訳選択問題<3分>。
③ 「なほざりにて出来たるものにても侍らず」は、「簡単に手に入れた物ではございません」という意味である。
④ 「おろそかに覚えんやは」は、「いい加減に思うだろうか」という意味である。
問六は、内容把握選択問題<2分>。僧都に対する母の贈り物に、母の子に対する深い慈愛を感じているのであるから、「すべて、あはれみの深き事、母の思ひに過ぎたるはなし」なのである。
攻略のポイント
論説、小説、古文と全てのジャンルから出題されている。また、設問内容も漢字、文法事項、内容把握(選択肢問題と記述問題)、心情理解等々である。レベル的には、比較的標準タイプの設問形式である。しかし、記述問題の割合が多いので、30~80字の記述問題について30題以上はしっかり演習をしておいて欲しい。また、国語の得点力をアップさせるためには、読解力の向上は不可欠であり、その力を充実発展させるための方法として、読書が有効であることは言うまでもない。が、読書をする時間的余裕はない受験生にとって、設問を読む際にその問題文をじっくり読み込み、設問演習を通じて真の読解力を身につけよう。