お茶の水女子大附属高等学校 入試対策
2020年度「お茶の水女子大附属高等学校の国語」
攻略のための学習方法
合否のポイントは論説文であろう。しかも、記述問題をいかに攻略するかが重要である。論理的文章を読み理解するためには、文章の読み方をしっかり習得しなければならない。漫然と設問文を読んでみても内容を理解できる訳ではない。
重要なことは、文章がどのような流れ(論理立て)で書かれているのかを把握することである。その際に重要なことは「キーワード」は何か、「段落ごとの関係性」はどうなっているのか、を考えることである。これが本文をしっかり理解する上で不可欠な作業である。
「キーワード」とは繰り返し使われる「言葉」である。重要であるから何度も使われるのであり、何度も使われるから「キーワード」となるのである。これが「キーワード」だと感じたら、本文に印をつけることである。例えば、マルを付けるとか傍線を引くという行為が大切である。そうすることによって、読まなければ把握できない文章の内容・流れが目で見えるようになる。
つまり、文章が「視覚的」に理解できるようになるのである。文章をそのように視覚的に把握できることができれば、本文の再読は必要なくなる。これは大幅な解答する時間の短縮になるし、文章構造を視覚的に把握出るようになるのである。この作業をしっかりできるためには、論説文専門の問題集の掲載されている問題文で十分な練習を行なって欲しい。
始めはなかなか慣れずに、解答時間の短縮のために練習していたのが時間ばかりかかって効果が見えてこないかもしれない。しかし、この手順をしっかりマスターすれば、漫然と本文を読んで解答するよりもはるかに時間も短く正解に辿りつける。
したがって、慣れるまで多少の時間はかかるかもしれないが、忍耐強く練習を積んで欲しい。次に「段落ごとの関係性」を把握する方法である。先に述べた「キーワード」の視覚化と同様にこの「関係性」の把握は重要である。
重要なことは、「接続詞」の把握である。段落の冒頭にある「接続詞」の掌握である。接続詞には順接と逆説がある。その二つの接続詞を「キーワード」同様に印をつけるということである。その際に、順接と逆説につける印を統一することが重要である。例えば、「順接」はマル、「逆説」はサンカクという具合である。
そのような印をつけることによって、本文全体が一読することで視覚的に内容を把握できるようになるのである。そのような印をつけた結果、マル、マル、サンカクという具合に印がつけられたら、サンカクの後からが作者の意見の流れが変わるという実態を目で確認できるのである。
是非、この手法を習得して欲しい。小説問題も第一義的に、人物の「心情把握」である。そのためには、人物描写や情景描写を丁寧に読み込むことである。人物の振る舞いについての記述や発言内容、そしてそのような発言に対するその他の人物の反応等に関する記述も要注意である。
古典文法についても漏れがないように、万遍なく一通りの知識を明確に習得すること。
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2020年度「お茶の水女子大附属高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、倫理(哲学分野)に関する論説文である<20分>。
大問2は、小説に関する読解問題<18分>。
大問3は、古文読解問題である<12分>。
例年、抽象的文章が出題される。難関上位校に出題された問題(特に記述問題)の演習をしっかり行っておく必要があり、その対策が不十分であると本番での合格答案作成はかなり難しいであろう。基本的文法事項、古語は徹底的に習得しておくこと。
【大問1】倫理に関する、哲学的分野に関する論説文の読解問題
- 時間配分:20分
出典は、『平和のために戦争を考える』(眞嶋俊造著)。
戦争を根絶し平和な社会を構築するためには、まずは「戦争」を考えなければならない。そして、「考える」ということはどういうことなのかについて、筆者は論を進めるのである。
問一は、漢字の読み書き問題である<2分>。基本問題である。完答を目指したい。
問二は、語句選択問題である<3分>。言葉を発しなくとも相手に自分の考えが伝わることを「以心伝心」といい、自由自在の様子を「縦横無尽」という。
問三は、文章内容把握問題である<4分>。『思う』『感じる』と『考える』の違いを、本文に沿って考えると、他人に対する説明責任の強弱が違ってくる、というまとめ方になる。
問四は、内容把握問題である<4分>。『考える』という行為に関して、様々な態様を考える。「自分自身で考える」、「みんなで考える」など、それぞれのレベルで特徴があり、相互に補完し合うことができるのである。
問五は、自由記述問題である<3分>。「負の連鎖」によって、戦争が継続的に発生していくのである。
問六は、文章内容把握記述問題である<4分>。「戦争について考えるとき」、何故に戦争が起きるのか、「負の連鎖」とは何かなどを考えることにより、戦争発生の原因を突き止めることができる。さらに、戦争の原因を「自分ひとりだけ」で考えるのではなく、「みんなで考える」ことによって、お互いの考えの間違いを修正しながらより「正しい考え」に到達することが可能になるのである。
【大問2】小説の読解問題
- 時間配分:18分
出典は「或る朝」(志賀直哉著)。
[注]が多い文章である。現代社会においては、馴染みのない物品などの名称を[注]をしっかり読んで本文を理解すること。本題は、小説であるので人物の『心情』理解もしっかり踏まえて本文を読み進めて欲しい。
問一は、語句選択問題である<1分>。
A.「角が立つ」などの表現にも共通する「角」である。
B.「その手を食う」とは、相手の術中(思惑)にはまってしまうことである。
C.「ませている」とは、大人びていることである。
問二は、敬語に関する問題である<2分>。
敬語の3類型である尊敬、謙譲、丁寧の用法については明確に理解しておこう。敬語は受験生が苦手とする分野の一つである。
問三は、心情把握記述問題である<2分>。
同じことを繰り返していう祖母に対して、信太郎は返事もしなかった。信太郎は、そのような祖母を「うっとうしく」感じていたのである
問四は、心情把握記述問題である<3分>。
すぐ起きるように祖母からいわれた信太郎は、祖母の言葉をうっとうしく感じながらも「とりあえず」、祖母に対して「起きる振り」をしたのである。その信太郎がとった「とりあえず」の行為が「気休め」という意味である。
問五は、心情把握選択問題である<2分>。
起きることに関して、何度も祖母にいわれたから起きるのではなく、自らの意思で起きたという信太郎の気持ちをしっかり把握しよう。
問六は、文章内容把握選択問題である<2分>。
祖母は二度と信太郎を起こしには来ないのであるから、これで信太郎が起きれば「自分の意思で起きた」ことになり、「楽々と起きる気」になれたのである。
問七は、表現技法理解問題である<2分>。
いさかい合っている信太郎と祖母のやり取りを、温かく見つめている家族の信頼(絆)の強さが伝わってくる。
問八は、心情把握記述問題である<4分>。
はじめは、祖母に対する反発心から信太郎は祖母に対して「うっとうしさ」を感じ、いさかいを繰り返していた。が、そのような祖母とのいさかいを繰り返すことに、信太郎は「大人げない」・「子どもじみている」自分を感じ、反省してゆく心情変化を読み取ること。
【大問3】古文読解問題
- 時間配分:12分
出典は「徒然草」(兼好法師著)。
問一は、現代仮名遣いに関する問題である<1分>。
「なほ」は「なお」、「けふ」は「きょう」となる。
問二は、内容理解問題である<2分>。
指定された個所が、それぞれ誰が発言したかを問う問題である。本文の情景を正確に把握すること。
問三は、古語の意味に関する選択問題である<2分>。
①「手づから」とは、「自らの手で」という意味である。
⑤「ありがたし」は「有り難し」と書き、「存在することが難しい」という意味で「めずらしい」となる。
問四は、現代語訳問題である<2分>。
②「たまはる」とは、「いただく」という意味である。
④「よも」は否定の言葉を伴って、「決して~ない」という意味になる。
問五は、古文内容把握問題である<2分>。
本文の文脈を正確にたどり、直前に「誰」が「どのようなこと」を行なったのかをしっかり把握する。
問六は、内容把握記述問題である<3分>。
1.明かり障子を「一間づつ張られ」たことにより、障子は「まだら」になってしまった。
2.壊れた部分だけを直して使うことにより、息子に「何」を教えたかったのかを考える。
攻略のポイント
論説文、小説、古文と全てのジャンルから出題されている。また、設問内容も漢字、文法事項、内容把握(選択肢問題と記述問題)、心情理解等々である。
レベル的には、比較的標準タイプの設問形式である。しかし、論説文はかなり内容の高い抽象的文章になっているので、事前にしっかりとした練習は不可欠である。また、記述問題の割合が多いので、30~80字の記述問題について30題以上はしっかり演習をしておいて欲しい。
また、国語の得点力をアップさせるためには、読解力の向上は不可欠であり、その力を充実発展させるための方法として、読書が有効であることは言うまでもない。が、読書をする時間的余裕はない受験生にとって、設問を読む際にその問題文をじっくり読み込み、設問演習を通じて真の読解力を身につけよう。