お茶の水女子大附属高等学校 入試対策
2017年度「お茶の水女子大附属高等学校の数学」
攻略のための学習方法
極めて標準的な問題である。特別なアイデアや方法論は必要ない。ただし、標準的な問題演習をどれぐらい自分の頭で考え抜いたかが大事になってくる。少し解いてみて考えがまとまらず、その後の方針が立てられないときに、安易に解答を見るのではなく最後までとことん考え抜くこと(仮に正解が出なくとも構わない)が大事である。数量編では、因数分解(標準以上のレベル)はしっかり行っておくこと。
因数分解は、単に「因数分解」のジャンルにとどまらず、あらゆる分野(図形編も含め)に有用な考え方であるからである。つまり、平面図形の求積において、放物線と直線の連立方程式から交点の座標を求め、与えられた図形の面積を求める際に、因数分解を用いると手際よく短時間で正確に正解が求められる。高校数学において、全ての分野での計算の演習速度を高めるためにも因数分解は基礎力となるので、しっかり押さえておいて欲しい。
また、1次関数と2次関数は必ず出題されると考えて、あらゆる出題パターンを演習するように。新傾向としては、平面座標と2つの円の共通接線や今年度も出題されたが、放物線が直線できられた場合の線分比なども十分練習をしておくように。
平面図形・空間図形共に、三平方の定理や円に関する定理(接弦定理、方べきの定理、円周角と中心角等)をしっかり図形の問題に的確にあてはめることができるかが大切である。
また、場合の数と確率は必ず標準以上からハイレベルの問題を演習するように。確率の問題も単純に「サイコロを転がして出た目に関する場合の数や確率」などの基本問題ではなく、サイコロの出た目の数だけ図形上の点が動く、という条件を考慮した問題。その他には、新傾向の問題にも注目である。
整数に関する問題。これは、整数の特性を考えさせる問題である。その際に、2つの整数mとnが「互いに素である」ことの概念をしっかり理解し、正解へ向けどのようにその考え方と原理をあてはめるかを考えられるようにしておくこと。さらに、「互いに素」であることを前提として、最大公約数・最小公倍数の求め方の仕組みをキチンと理解するように。
お茶の水女子大附属高校が入学して欲しい生徒の思考過程として、単に公式を暗記して数値を公式にはめ込むだけでよしとする思考ではなく、公式や原理・定理をその成り立ちを自分で理解するスタンスで問題の解法に取り組んでもらいたい。そのような作業を繰り返すことによって「論理的思考に根差した学力」を養成する知性が要請される。また、「動く図形」も押さえておきたい。例えば、立体の表面上をすべらずに一定の速さで決まった方向に移動する2つの立体のある時間(=T)における3つの立体の表面上の各1点を結んでできる新たな立体の体積を求める問題なども事前にチェックしておきたい。参考までに、その様な「新傾向問題」を演習してみようと思っている受験生は、『高校への数学「新作問題ベスト演習」』(東京出版)で「論理的思考力」を養って欲しい。
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2017年度「お茶の水女子大附属高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は独立小問題である
<10分>
因数分解や式の値、数の性質、作図である。完答を目指したい。
大問2は2次関数の問題である
<9分>
比例定数、相似の考え方、辺の長さの比に関する応用問題である。
大問3は平面図形における円と直線に関する応用問題である
<8分>
三平方の定理や相似の概念を用いた解法になれるようにしておくこと。
大問4は立方体を用いた立体図形に関する問題である
<8分>
頻出分野でもあり事前に何度も演習している類型の問題であるので、絶対に落とせない。
大問5は円と直線に関する平面図形に関する問題である
<15分>
基本方針の立て方を見誤ると徒に時間だけが過ぎてゆくので注意が必要である。
【大問1】小問集合問題
- 時間配分:
正確で迅速な計算力が求められる。
(1)2次方程式の問題である
<1分>
1分もかからずに正解を導くこと。
(2)平方根の問題である
<1分>
分母の有理化を手際よく行うこと。
(3)数の性質を用いた式の値の問題である
<2分>
無理数aの小数部分は(a-aの整数部分)となる。
(4)平面図形における辺の長さの問題である
<2分>
△ABC、△EFGにおいて点C、点Fより線分ABに垂線を下ろし考えること。相似や三平方の定理を用いること。
(5)確率の問題である
<1分>
教科書レベルの基本問題である。
(6)円に関する作図問題である
<3>
与えられた条件から、コンパスをうまく利用して作図を行うこと。
【大問2】2次関数と直線に関する融合問題
- 時間配分:
出題傾向としては、必ず出題されると考えて事前準備は十分に行うこと。
(1)比例定数やy座標を求める問題である
<3分>
放物線においても特定の2点が決定すれば比例定数は求められる。
(2)比例定数、長さの比を求める問題である
<6分>
(ⅰ)平行線の補助線を描くことにより、合同な三角形を特定し解法を考える。
(ⅱ)放物線(2次関数)と直線(1次関数)との交点を求めるやり方は、連立方程式である。
【大問3】円と直線に関する平面図形の問題
- 時間配分:
円とその円周上における接線との関係性を考えること。
(1)辺の長さに関する応用問題である
<3分>
いくつかの三角形において三平方の定理をあてはめる。
(2)辺の長さに関する応用問題である
<5分>
関連する三角形において相似の概念を取り入れること。
【大問4】立方体を用いた空間図形に関する問題
- 時間配分:
本問は頻出であり完答したい。
(1)切り取った立体図形の体積に関する問題である
<4分>
すでに何度も解いている問題である。問題を見た瞬間に手が動くように。
(2)平面図形の面積を求める問題
<4分>
面積を求める図形は等脚台形である。三平方の定理などを用いて必要な辺の長さを求めること。
【大問5】円と直線に関する平面図形の問題
- 時間配分:
方針を正確かつ迅速に立てないと時間切れになってしまう。
(1)角度の問題
<3分>
Pが動いた弧の長さと半径3㎝の円周との関係を考える。
(2)1次方程式の応用問題
<5分>
Pの速さについて文字を用いて表し、Pが円周を1周する時間を求めることができる。
(3)与えられた条件を満足する回数を求める問題
<7分>
∠POQが初めて30度になるのは何秒後かを求め、問題の条件を加味して正解を導く出すこと。
攻略のポイント
全く歯が立たない問題だけという訳ではない。つまり、難問・奇問の類は出題されない。基本的事項を応用問題にどのように適用するかがポイント。
その際に、求められる力は「計算力」と「着眼力」である。計算力は全ての問題で求められる力である。ケアレスミスは絶対に許されない。着眼力とは、問題を解くうえでの見通し、方針の立て方である。問題を見た瞬間に、正解を導くための道筋が見えなければならない。この方針の立て方を見誤ることに起因する時間のロスは試験時間において、修復不能になる。
では、どうすれば計算力の正確さが高まり正解を導く着眼力がつくのか。答えは一つである。「良問を大量に解く」ということに尽きる。しかも、その際には時間を決めて集中力を高めて取り組むことが大事である。