お茶の水女子大附属高等学校 入試対策
2022年度「お茶の水女子大附属高等学校の数学」
攻略のための学習方法
極めて標準的な問題である。特別なアイデアや方法論は必要ない。ただし、標準的な問題演習をどれぐらい自分の頭で考え抜いたかが大事になってくる。少し解いてみて考えがまとまらず、その後の方針が立てられないときに、安易に解答を見るのではなく最後までとことん考え抜くこと(仮に正解が出なくとも構わない)が大事である。
数量編では、因数分解(標準以上のレベル)はしっかり行っておくこと。因数分解は、単に「因数分解」のジャンルにとどまらず、あらゆる分野(図形編も含め)に有用な考え方であるからである。つまり、平面図形の求積において、放物線と直線の連立方程式から交点の座標を求め、与えられた図形の面積を求める際に、因数分解を用いると手際よく短時間で確実に正解が求められる。高校数学において、全ての分野での計算の演習速度を高めるためにも因数分解は基礎力となるので、しっかり押さえておいて欲しい。
また、1次関数と2次関数は必ず出題されると考えて、あらゆる出題パターンを演習するように。
新傾向としては、平面座標と2つの円の共通接線や放物線が直線できられた場合の線分比なども十分練習をしておくように。
平面図形・空間図形共に、三平方の定理や円に関する定理(接弦定理、方べきの定理、円周角と中心角等)をしっかり図形の問題に的確にあてはめることができるかが大切である。
また、場合の数と確率は必ず標準以上からハイレベルの問題を演習するように。確率の問題も単純に「サイコロを転がして出た目に関する場合の数や確率」などの基本問題ではなく、サイコロの出た目の数だけ図形上の点が動く、という条件を考慮した問題。
その他には、新傾向の問題にも注目である。整数に関する問題。これは、整数の特性を考えさせる問題である。その際に、2つの整数mとnが「互いに素である」ことの概念をしっかり理解し、正解へ向けどのようにその考え方と原理をあてはめるかを考えられるようにしておくこと。
さらに、「互いに素」であることを前提として、最大公約数・最小公倍数の求め方の仕組みをキチンと理解するように。お茶の水女子大附属高校が入学して欲しい生徒の思考過程として、単に公式を暗記して数値を公式にはめ込むだけでよしとする思考ではなく、公式や原理・定理をその成り立ちを自分で理解するスタンスで問題の解法に取り組んでもらいたい。そのような作業を繰り返すことによって「論理的思考に根差した学力」を養成する知性が醸成される。
また、「動く図形」も押さえておきたい。例えば、立体の表面上をすべらずに一定の速さで決まった方向に移動する2つの立体のある時間(=T)における3つの立体の表面上の各1点を結んでできる新たな立体の体積を求める問題なども事前にチェックしておきたい。参考までに、その様な「新傾向問題」を演習してみようと思っている受験生は、『高校への数学「新作問題ベスト演習」』(東京出版)で「論理的思考力」を養って欲しい。
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2022年度「お茶の水女子大附属高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、独立小問題である<4分>。
正確で迅速な計算力が求められる。正負の四則演算問題と平方根の計算問題である。
大問2は、関数(1次関数と2次関数)に関する問題である<10分>。
放物線と直線の交点を求める問題を含め、関数の融合問題に関する演習は怠りなく行うこと。
大問3は、平面図形(三角形)に関する問題である<9分>。
条件を満たす角度を求める問題、また作図とそれに基づく面積を求める問題である。
大問4は、1次方程式の応用に関する問題である<12分>。
時間と速さに関する方程式の応用問題である。
大問5は、確率に関する問題である<15分>。
色玉を用いた確率の問題である。
【大問1】小問集合問題
- 時間配分:4分
いずれも標準問題であるので迅速で正確な計算力で完答したい。
(1) 四則混合の計算問題である<2分>。
ケアレスミスは絶対してはならない。
(2) 平方根の計算問題である<2分>。
平方根の中の平方数の2乗をとって平方根の外へ出して計算すること。
【大問2】関数(1次関数と2次関数)に関する問題
- 時間配分:10分
放物線と直線の交点の座標、また座標平面上の2つの三角形が等積となる条件を満たす座標を求める。
(1) 放物線と直線の交点の座標を求める問題である<4分>。
Aはy=ax2とy=a2x+3a上にあること及びx座標が-1であることよりA(−1, 2)と求められる。a=2より放物線と直線の式が具体的に判明するのでBの座標も求めることができる。
(2)2つの三角形の面性が等しくなるときの座標を求める問題である<6分>。
△OAB=△OBCとなるときに放物線上のCの座標を求める問題である。AC∥OBな
ので等積変形の考え方を用いてACの直線の傾きが分かり、直線ACと放物線を連立方程
式を解いてCの座標を求める。
【大問3】平面図形(三角形)に関する問題
- 時間配分:9分
平面図形における角度と作図及び三角形の面積に関する問題である。
(1)角度を求める問題である<2分>。
3点A、B、Pにおいて∠APB=x°(90°<x°<180°)であるとき、与えられた条件を満たすQを求め∠AQBの角度をx°を用いて表す問題である。条件より、△AQBにおいて∠AQB=2(∠PAB+∠PBA)である。また、△APBにおいて∠PAB+∠PBA=180°−x°であることより答えを求める。
(2)作図と三角形の面積が最大となるときの面積を求める問題である<7分>。
Pがx°=120°を満たしながら平面上を移動するとき与えられた条件に基づきQが動く曲線を作図する問題である。また、このときの△AQBの面積が最大になるときの面積を求める問題である。x°=120°という条件より、∠AQB=2×120°−180°=60°であるので∠AQB=60°を満たしながら移動する。次に、△AQBの面積が最大になるのは、ABを底辺と考えたときの高さが最大になるときであるので、QよりABに垂線QHを引く。△QAHは辺の比が1:2:√3の直角三角形であることが分かるのでQHの長さが分かり、△AQBの面積(最大)が求めることができる。
【大問4】方程式の応用に関する問題
- 時間配分:12分
池の周囲をA、B、Cの3人が与えられた条件のもとに走った場合に関する問題である。速さと時間に関する方程式の応用問題。
(1)3人がスタートしてからAとCが初めて出会うまでの時間を求める問題である<4
分>。
池の1周=dと置いて立式することがポイント。条件より、Aの速さ(分速)=となり、
このことからCの速さ(分速)=(Aの速さ)×=となる。よって、求める時間をx分とす
ると、×x+×x=dが成立する。
(2)速さと時間を求める問題である<8分>。
2人が出会ったとき、その地点で互いに進む方向を逆にする条件より、AとBが初めて出
会ってから2回目に出会うまでに移動した距離はdとなり、この時間がとなることより
A、Bそれぞれの距離が求められる。さらに、AとBの速さが判明するので求める数値が
分かる。次に、AとCが初めて出会ったときのA及びBの距離が分かるので、このときの
ABの距離はとなる。このときにAが向きを変えることになるので、AとCが初めて出
会ってからBと初めて出会うまでの時間を文字に置き換えて立式する。
【大問5】確率に関する問題
- 時間配分:15分
袋に入った赤玉、白玉、青玉をそれぞれの条件に従い取り出すときの確率を求める問題である。
(1)確率を求める問題である<1分>。
赤玉、白玉、青玉の個数比が2:3:4なので、それぞれを2個、3個、4個と考えて1個取り出したときに、それが白玉であるときの確率を求める。
(2)確率を求める問題である<4分>。
青玉を2個減らし、赤玉を6個と白玉をm個加えて1個取り出しとき、どの色を取り出す確率ものときのmの値を求める問題である。赤玉=2x、白玉=3x、青玉=4xとすると、条件より赤玉=2x+6、白玉=3x+m、青玉=4x−2として考える。確率が等しくなることを手掛かりに答えを導く。
(3)正誤問題である<10分>。
条件より明らかに(ア)、(ウ)は間違いである。
攻略のポイント
例年と比較してもレベル的には大差がない。昨年同様、難問・奇問の類は出題されない。全体的には標準的問題である。初見の問題の類も少ない。合格答案を作成するために求められる力は「計算力」と「着眼力」である。特に、「着眼点」は重要であり、それを自分のものとするために基本から標準レベルの問題演習を通じて、最後まで考え抜く習慣をしっかり身につけて欲しい。また、「着眼力」とは、問題を解くうえでの見通し、方針の立て方である。問題を見た瞬間に、正解を導くための道筋が見えてこなければならない。この方針の立て方を見誤ることに起因する時間的ロスは、本番入試では挽回不能になる。その「着眼点」を養うためには、「良問を大量に解く」ということに尽きる。また、作図が例年出題されているので、事前にしっかり準備を行なう必要がある。