立教新座高等学校 入試対策
2024年度「立教新座高等学校の数学」
攻略のための学習方法
全体的に見てみると標準問題が圧倒的に多い。
2次関数、平面図形、立体図形は要注意であり、徹底した演習が必要である。
2次関数に関しては、直線(1次関数)との関連の問題は必須である。同じ概念でも使われているジャンルによって意味合いと扱い方が異なってくる、ということに気を付ける。
例えば、「変化の割合(=グラフの傾き)」は直線と放物線とでは概念的内容については、当然ながら同じであっても、実際の問題になると設問へのあてはめ方及び処理の仕方が異なってくる。
1次関数においては直線のグラフとなり、当然ながら、変化の割合(グラフの傾き)は一定である。これに反して、2次関数の放物線においては、放物線上のどの2点を選択したかで変化の割合(グラフの傾き)はプラス(右上がり)になったり、マイナス(右下がり)になったりする。
特に、放物線上の異なる2点を結んでできる変化の割合は、その2点の間隔を限りなく「ゼロ(0)」に近づけてゆくと、高校数学で学習する「微分」の世界へと入ってゆく。放物線に関しては必ず出題されると考えた方が良いし、高校数学への導入としての役割も担うと認識したうえで、しっかりと概念的な理解を深めてゆきたい。
確率の問題も近年、上位高を中心に頻出傾向にある。しかも、出題傾向は年々難易度を上げているようである。標準的問題集にあるような、場合分けのパターンが単純なもの(複雑といってもせいぜい「~の場合が2回以上ある場合」)ではなく、他の数学の分野との融合問題である場合が予想される。
例えば、確率と図形の融合問題である。
サイコロを振って偶数の目が出たらⅹの方向に目の数だけ進み、奇数が出たらyの方向に目の数だけ進むという条件で進んだ場合に、座標面上にあるグラフ(直線の場合もあれば放物線の場合もある)との関係で設問の条件を満足する場合の確率を求めよといった問題である。
このような場合に、ひたすら「場合と確率」だけを演習すればよいというわけでは決してない(勿論、しっかりした「場合と確率」の知識と演習量が求められるのは大前提ではあるが)。座標平面の特性やそこに存在するグラフ(直線又は放物線)の特徴を踏まえて問題を解けるかどうかが合否のポイントであろう。
さらには、そのようなサイコロの出た目の数字の分だけ立体図形の辺の上を移動させるなどの条件設定で作問も可能である。
しかも、サイコロの目の数だけ動く点(動点)はどのような動きをするか、また設問にある一定の条件の下で、指定された点を結んだ場合にどのような平面図形ができるか、そしてその平面で立体図形を切り取った場合における、切り口の形状や面積など、さらには切り取り後における指定された点を含む立体の体積を求める問題にも慣れておいて欲しい。
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2024年度「立教新座高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問1】独立小問問題<13分>。
数の計算、連立方程式、関数(1次・2次関数)、データ活用、空間図形、平面図形から出題されている。
【大問2】関数(1次関数と2次関数融合)に関する問題<11分>。
直線と放物線に関連した問題、及びxy座標平面上における等積変形の考え方をあてはめて解く問題である。
【大問3】平面図形(円と直線)に関する問題<11分>。
複数の円と共通接線に関する問題である。相似比と面積比の関係、三平方の定理などの考え方を利用する。
【大問4】空間図形(正四角錐)に関する問題<12分>。
正四角錐の体積や辺の長さ、立体図形における面積に関する問題である。
【大問5】確率に関する問題<13分>。
さいころを3回続けて投げたときの出た目に関する確率の問題である。
【大問1】独立小問問題
- 時間配分:13分
(1)数の計算問題<2分>。
2025=mと置き換えて与式をまとめることが重要である。
(2)連立方程式問題<1分>。
無理数が入った連立方程式であるが消去法で考える。
(3)関数(1次・2次関数)問題<3分>。
① 直線の式を求める問題である。A、Bはともにy=x2の上に存在し、それぞれのx座標が-1、4であることよりA、Bの座標が求められることより直線ℓの傾きが求められる。
② 正方形の面積を2等分する直線は、正方形の対角線の交点を通る。
(4)データ活用問題<3分>。
8つの異なる自然数を小さい方か順に並べた場合において、与えられた条件に従ってA、B、Cの値を求める問題である。データ活用で使用する四分位数、中央値などの概念をしっかり理解し問題にあてはめる。
(5)空間図形問題<2分>。
直方体を条件にしたがって平面で切りとった場合の切り口の周の長さを求める問題である。初めに、条件にしたがって直方体を切り取った見取り図をイメージしよう。
(6)平面図形問題<2分>。
平面図形の面積を求める問題である。与えられた図形に補助線を引き、三辺比が1:2:√3となる直角三角形を作り出すことを考える。150°という角度が重要である。
【大問2】関数(2次関数と1次関数)に関する問題
- 時間配分:11分
(1)座標を求める問題<2分>。
ABCDは正方形であり、B・Cはそれぞれx軸上に存在するので、AD∥x軸である。また、A,Dはy=/4x2のうえにありy軸に関して対称であることから考えを進めていく。
(2)kの値を求める問題<3分>。
ℓとADとの交点をHとする。条件より、ABGH:CDHG=19:13であり、かつODHGは平行四辺形となる。BG=k、OB=8であることよりABGHの面積をkを用いて表しkに関する方程式を立てる。
(3)直線の式を求める問題<3分>。
A(-8,16)、D(8,16)であるので、ODの直線の傾き=2となる。また、ℓ∥ODであることよりℓの傾きも2となるので、ℓの式はy=2x+bとおけることより考えを進める。
(4)tの値を求める問題<3分>。
△OEF=△PEFとなるtの値を求める問題であるが、等積変形などの平面図形の基本的原理を的確にあてはめること。
【大問3】平面図形(円と直線)に関する問題
- 時間配分:11分
(1)辺の長さを求める問題<2分>。
円に直線が接しているので∠BRP=90°であるので△BRPは3辺比が1:2:√3の直角三角形となることより答えを求める。
(2)辺の長さを求める問題<3分>。
円Aとmの接点をTとすると△AQP≡△ATPとなる。また、∠APQ=60°、∠AQP=90°であるので、△AQPは3辺比が1:2:√3の直角三角形となる。
(3)面積比を求める問題<3分>。
円Cと円Dは相似であり、相似比はその半径の長さの比になるので、CR:DQ=9:1である。面積比は相似比の2乗の比になる。
(4)面積を求める問題<3分>。
ABRQは長方形であるのでABCDはAD∥BCの台形となる。(2)よりAB=12√3であることより台形の面積を求める公式にしたがってABCDの面積を求める。
【大問4】空間図形(正四角錐)に関する問題
- 時間配分:12分
(1)体積を求める問題<2分>。
O-ABCDは正四角錐であるので、Oから底面ABCDに垂線OHを引くとHは正方形ABCDの対角線の交点と交わる。△ABDが直角二等辺三角形であることを手掛かりに考える。
(2)周の長さを求める問題<3分>。
P、Q、R、Sの速さは1㎝/秒である。△OBCは正三角形であるので、△PBRも正三角形となり、PR=PB=12-tとなることよりPQSRの周の長さを求める。
(3)tの値を求める問題<3分>。
PQSRはPQ∥BC、RS∥BCよりPQ∥RSとなるので台形である。R、Sからそれぞれ垂線RI、SJを引くとRIJSは長方形となる。さらに、△PRI≡△QSJとなり、△PRIは3辺の比が1:2:√3の直角三角形となることより考えを進める。
(4)立体の体積を求める問題<4分>。
t=10における立体を2つの四角錐と1つの三角柱に分解して考える。
【大問5】さいころを用いた確率に関する問題
- 時間配分:13分
さいころを3回投げ、1回目、2回目、3回目の出た目をそれぞれa、b、cとするとき、ax2+bx+c=0の解に関する確率の問題である。
(1)確率を求める問題<2分>。
2つの解が-2と−3となる場合の確率を求める。目の出方は全部で6×6×6=216通りであり2解が-2、-3となるのはa=1、b=5、c=6の1通りだけである。
(2)確率を求める問題<3分>。
x=-1となる場合、与えられたxの2次方程式はa+c=bが成立する。bは1~6であるのでそれぞれの場合について考え得る場合の数を具体的に書き出す。
(3)確率を求める問題<4分>。
解が1つになるということは解の公式の平方根中のb2-4ac=0になるということである。つまり、b2=4acとなるのでb2は偶数となることが分かる。これが手掛かりである。
(4)確率を求める問題<4分>。
題意を満たす場合、つまりb2-4acが有理数となる場合を具体的に数え上げる方法も良いであろうが、余事象を考える方法にも挑戦してほしい。つまり、解が無理数となる(b2-4ac<0)場合の確率を1から引く方法である。
攻略のポイント
全体的には標準レベルの問題である。
事前の準備としては標準的な問題を徹底して繰り返し演習することである。特に、2次関数に関しては様々な出題パターンを想定して準備をして欲しい。
放物線(2次関数)に関する問題は、高校入試の数学においてメインテーマの一つである。
直線がからんでくると交点の座標は2次方程式の解を求める考え方が必要であるし、その際に中学校では絶対に学習しない(塾等では当然のように学習する)『解と係数の関係』の考え方を応用すると迅速かつ確実に正解へたどり着ける。
また、図形編では空間図形は必須と考えて欲しい。空間図形に平面図形で使われる各種の定理(中点連結定理、三平方の定理、特定三角形(三角定規)における三辺の比など)をしっかり当てはめられるかどうかが、合否の分かれ目といっても過言ではないであろう。
また、確率の問題にもしっかり対応できるようにしておくこと。確率で大事なのは『発想の豊かさ』である。さらに、将来的には今以上にその重要性が増すと思われる「資料の整理=統計」も用語の定義を含めてしっかり学習しておいてほしい。