立教新座高等学校 入試対策
2022年度「立教新座高等学校の数学」
攻略のための学習方法
全体的に見てみると標準問題が圧倒的に多い。
2次関数、平面図形、立体図形は要注意であり、徹底した演習が必要である。
2次関数に関しては、直線(1次関数)との関連の問題は必須である。同じ概念でも使われているジャンルによって意味合いと扱い方が異なってくる、ということに気を付ける。
例えば、「変化の割合(=グラフの傾き)」は直線と放物線とでは概念的内容については、当然ながら同じであっても、実際の問題になると設問へのあてはめ方及び処理の仕方が異なってくる。
1次関数においては直線のグラフとなり、当然ながら、変化の割合(グラフの傾き)は一定である。これに反して、2次関数の放物線においては、放物線上のどの2点を選択したかで変化の割合(グラフの傾き)はプラス(右上がり)になったり、マイナス(右下がり)になったりする。
特に、放物線上の異なる2点を結んでできる変化の割合は、その2点の間隔を限りなく「ゼロ(0)」に近づけてゆくと、高校数学で学習する「微分」の世界へと入ってゆく。放物線に関しては必ず出題されると考えた方が良いし、高校数学への導入としての役割も担うと認識したうえで、しっかりと概念的な理解を深めてゆきたい。
確率の問題も近年、上位高を中心に頻出傾向にある。しかも、出題傾向は年々難易度を上げているようである。標準的問題集にあるような、場合分けのパターンが単純なもの(複雑といってもせいぜい「~の場合が2回以上ある場合」)ではなく、他の数学の分野との融合問題である場合が予想される。
例えば、確率と図形の融合問題である。
サイコロを振って偶数の目が出たらⅹの方向に目の数だけ進み、奇数が出たらyの方向に目の数だけ進むという条件で進んだ場合に、座標面上にあるグラフ(直線の場合もあれば放物線の場合もある)との関係で設問の条件を満足する場合の確率を求めよといった問題である。
このような場合に、ひたすら「場合と確率」だけを演習すればよいというわけでは決してない(勿論、しっかりした「場合と確率」の知識と演習量が求められるのは大前提ではあるが)。座標平面の特性やそこに存在するグラフ(直線又は放物線)の特徴を踏まえて問題を解けるかどうかが合否のポイントであろう。
さらには、そのようなサイコロの出た目の数字の分だけ立体図形の辺の上を移動させるなどの条件設定で作問も可能である。
しかも、サイコロの目の数だけ動く点(動点)はどのような動きをするか、また設問にある一定の条件の下で、指定された点を結んだ場合にどのような平面図形ができるか、そしてその平面で立体図形を切り取った場合における、切り口の形状や面積など、さらには切り取り後における指定された点を含む立体の体積を求める問題にも慣れておいて欲しい。
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2022年度「立教新座高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問1】独立小問問題<10分>。
2次関数、確率、空間図形、2次方程式から出題されている。
【大問2】平面図形(平行四辺形)に関する問題<10分>。
平行四辺形を用いた辺の長さや等分点に関する問題である。
【大問3】確率に関する平面図形の問題<11分>。
袋の中の数字が書かれた球を取り出す際の様々な条件に基づく確率を求める問題である。
【大問4】関数(1次関数と2次関数融合)に関する問題<13分>。
2次関数(放物線)と1次関数(直線)との交点、比例定数、指定された図形の面積、回転体の体積を求める問題である。
【大問5】空間図形(正四角錐)に関する問題<16分>。
指定された空間図形の体積を求める問題である。
【大問1】独立小問問題
- 時間配分:10分
(1)関数(比例定数、変域)<1分>。
条件よりa>0であることを瞬時に見抜くこと。放物線のy軸に関する対称性よりxの変域のどちらの端が最大値を取るのかを考える。基本問題である。
(2)カードを使った確率<3分>。
袋の中にA~Gまでの数字が書かれたカードが入っていて、同時に2枚のカードをひく。一方、各頂点をO、A~Gとする立方体があり、条件にしたがった事象に関する確率を求める。
(3)空間図形(長さ、体積)<3分>。
円すいの中に球を接する状態で辺の長さや体積を求める問題である。正面から見た平面図形で幾何の原理・定理をあてはめる。
(4)2次方程式の応用<3分>。
正の数pの小数部分をbとするため、0≦b<1となることを利用する。したがって、0≦b2<12つまり0≦b2<1である。よって、p2+b2=44を満たすので43<p2≦44となることを手掛かりに問題を解こう。
【大問2】平面図形(平行四辺形)に関する問題
- 時間配分:10分
平行四辺形の辺を等分する点に関し面積を分割する場合の面積比などを求める問題である。相似の考え方を自在にあてはめられるようにすること。
(1)辺を4等分した場合の長さの比と面積比<5分>。
EFの延長とADの延長の交点をHとすると、△PHA∽△PEG、△DEH∽△CEFを利用して比例式を立て各辺の長さを求める。また、△PFGと□ABCDの面積比は△PFG=Sとして□ABCDがSの何倍かを求めること。
(2)辺をn等分した場合のnの値<5分>。
EFの延長とADの延長の交点をIとすると、△PIA∽△PFG となる。よって、AI:GF=AP;PG=13:7である。また、条件よりBCをn等分するした場合、Bに最も近い点をF、Cに2番目に近い点をGとするので、BF=BC、CG=BCであり、GF=BC−BF−CG=BC−BC−BCとなる。さらに、△DEI∽△CEFであることより考えをまとめる。
【大問3】データ活用(確率)に関する問題
- 時間配分:11分
太郎君と次郎君は0、1、2、4の数字がかかれた玉が入った袋をそれぞれ持っている。このとき、提示された条件に基づき太郎君の得点が2点になる確率を求める問題である。
(1)1回目のゲーム終了時の太郎君の得点が2点となる確率を求める問題<3分>。
太郎君、次郎君は4個の玉から1個の玉を取り出すのでゲームを1回行うとき、それぞれ4通りの取り出し方がある。これらのうち太郎君の得点が2点になる場合は、太郎君が2の玉を取り出して勝つときである。
(2)2回目のゲーム終了時の太郎君の得点が2点となる確率を求める問題<4分>。
ゲームを1回行う場合の玉の取り出し方は、4×4=16である。これを2回行うと玉の取り出し方は全部で16×16=256となる。2回目で太郎君が2点になるのは、どのような場合があるのかを考える。
(3)2回目のゲーム終了時の太郎君の得点が2点となる確率を求める問題<4分>。
3回のゲームを行う場合の玉の取り出し方は16×16×16通りである。このときこの計算結果を求めず積の形のままで考えを進める。このような発想は大事である。2回目で太郎君が2点になるのは、どのような場合があるのかを考える。
【大問4】関数(1次関数と2次関数)に関する問題
- 時間配分:13分
(1)直線の式を求める問題<1分>。
A、Bはy=x2上にあり、それぞれのx座標は−3と4であるのでA、Bの座標が分かり直線ℓの式が求められる。
(2)比例定数を求める問題<2分>。
ABの式(=ℓ)の式が分かったのでCの座標が求められる。Cはy=ax2上に存在するので比例定数であるaの値が分かる。
(3)台形ABCDの面積を求める問題<3分>。
台形ABCDを三角形が2つ、平行四辺形が1つであるように分割しその合計を求める。補助線を引き、該当する3つの図形を見つけ出す。
(4)求める直線とy軸との交点のy座標を求める問題<3分>。
Dを通り台形ABDEの面積を2等分する直線をnとしたとき、nとy軸との交点のy座標を求める問題。nはある平行四辺形の面積を2等分する直線でもある。
(5)回転体の体積を求める問題<4分>。
△BDFをy軸を回転軸としたとき1回転してできる立体の体積を求める。この場合、大きな円錐からどの円錐の体積を引けばよいかを考える。
【大問5】空間図形(正四角錐)に関する問題
- 時間配分:16分
(1)正四角錐の体積を求める問題<2分>。
一辺の長さがすべて12㎝である正四面体の体積を求める問題である。何度も演習したことがある受験生も多いのではないであろうか。合同の考え方などをあてはめて考えをまとめる。
(2)辺の長さの比を求める問題<3分>。
Gを通りDFに平行な直線とOBの交点をIとするとOH:HG=OF:FIであり、OF:FB=2:1であることよりOH:HGの値を求める。
(3)指定された立体の体積を求める問題<3分>。
Hはどのような平面上に存在するかを考える。相似の考え方や相似比と面積比の関係を駆使して解答を求める。どの図形に注目するかがポイントになる。
(4)指定された立体の体積を求める問題<3分>。
△BCGを1つの面とする立体は五面体FBCHGであるので、五面体FBCHGは四面体OBCGの体積−四面体OFCHの体積となる。
(5)指定された8個の立体の表面積を求める問題<5分>。
△OBCは正三角形であるので、OからBCに垂線OJを引くと△OBJは3辺の比が1:2:√3 となる直角三角形となる。順次、三平方の定理をあてはめて必要な数値を正確に求める。同様な考えを他の立体部分にもあてはめ8個の立体の表面積の和を求めよう。
攻略のポイント
全体的には標準レベルの問題である。
事前の準備としては標準的な問題を徹底して繰り返し演習することである。特に、2次関数に関しては様々な出題パターンを想定して準備をして欲しい。
放物線(2次関数)に関する問題は、高校入試の数学においてメインテーマの一つである。
直線がからんでくると交点の座標は2次方程式の解を求める考え方が必要であるし、その際に中学校では絶対に学習しない(塾等では当然のように学習する)『解と係数の関係』の考え方を応用すると迅速かつ確実に正解へたどり着ける。
また、図形編では空間図形は必須と考えて欲しい。空間図形に平面図形で使われる各種の定理(中点連結定理、三平方の定理、特定三角形(三角定規)における三辺の比など)をしっかり当てはめられるかどうかが、合否の分かれ目といっても過言ではないであろう。
また、確率の問題にもしっかり対応できるようにしておくこと。確率で大事なのは『発想の豊かさ』である。さらに、将来的には今以上にその重要性が増すと思われる「資料の整理=統計」も用語の定義を含めてしっかり学習しておいてほしい。