立教新座高等学校 入試対策
2023年度「立教新座高等学校の数学」
攻略のための学習方法
全体的に見てみると標準問題が圧倒的に多い。
2次関数、平面図形、立体図形は要注意であり、徹底した演習が必要である。
2次関数に関しては、直線(1次関数)との関連の問題は必須である。同じ概念でも使われているジャンルによって意味合いと扱い方が異なってくる、ということに気を付ける。
例えば、「変化の割合(=グラフの傾き)」は直線と放物線とでは概念的内容については、当然ながら同じであっても、実際の問題になると設問へのあてはめ方及び処理の仕方が異なってくる。
1次関数においては直線のグラフとなり、当然ながら、変化の割合(グラフの傾き)は一定である。これに反して、2次関数の放物線においては、放物線上のどの2点を選択したかで変化の割合(グラフの傾き)はプラス(右上がり)になったり、マイナス(右下がり)になったりする。
特に、放物線上の異なる2点を結んでできる変化の割合は、その2点の間隔を限りなく「ゼロ(0)」に近づけてゆくと、高校数学で学習する「微分」の世界へと入ってゆく。放物線に関しては必ず出題されると考えた方が良いし、高校数学への導入としての役割も担うと認識したうえで、しっかりと概念的な理解を深めてゆきたい。
確率の問題も近年、上位高を中心に頻出傾向にある。しかも、出題傾向は年々難易度を上げているようである。標準的問題集にあるような、場合分けのパターンが単純なもの(複雑といってもせいぜい「~の場合が2回以上ある場合」)ではなく、他の数学の分野との融合問題である場合が予想される。
例えば、確率と図形の融合問題である。
サイコロを振って偶数の目が出たらⅹの方向に目の数だけ進み、奇数が出たらyの方向に目の数だけ進むという条件で進んだ場合に、座標面上にあるグラフ(直線の場合もあれば放物線の場合もある)との関係で設問の条件を満足する場合の確率を求めよといった問題である。
このような場合に、ひたすら「場合と確率」だけを演習すればよいというわけでは決してない(勿論、しっかりした「場合と確率」の知識と演習量が求められるのは大前提ではあるが)。座標平面の特性やそこに存在するグラフ(直線又は放物線)の特徴を踏まえて問題を解けるかどうかが合否のポイントであろう。
さらには、そのようなサイコロの出た目の数字の分だけ立体図形の辺の上を移動させるなどの条件設定で作問も可能である。
しかも、サイコロの目の数だけ動く点(動点)はどのような動きをするか、また設問にある一定の条件の下で、指定された点を結んだ場合にどのような平面図形ができるか、そしてその平面で立体図形を切り取った場合における、切り口の形状や面積など、さらには切り取り後における指定された点を含む立体の体積を求める問題にも慣れておいて欲しい。
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2023年度「立教新座高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問1】独立小問問題<16分>
数の性質、連立方程式、平面図形、確率、1次関数から出題されている。
【大問2】関数(1次関数と2次関数融合)に関する問題<11分>
直線と放物線に関連した問題、及びxy座標平面上の図形を回転させた場合の立体の体積を求める。
【大問3】空間図形(円錐と球)に関する問題<11分>
立体に平面図形の原理である相似、三平方の定理などを的確にあてはめる問題である。
【大問4】平面図形(正六角形)に関する問題<11分>
正六角形の内部には正六角形が6つできることを手掛かりに問題を解く。
【大問5】確率に関する問題<11分>
赤、白、青の球を取り出す場合の確率を求める問題である。
【大問1】独立小問問題
- 時間配分:16分
(1)数の性質問題<2分>
与えられた分数式の分母=a2+4a+3=(a+1)(a+3)と因数分解すると、a+1とa+3の差は(a+3)- (a+1)=2となり、かつ分子の24との関係から分母は24の約数になることが分かる。
(2)連立方程式(解の利用)問題<3分>
太郎君が解いた連立方程式の解をx=p、y=qとすると、題意より花子さんの解いた連立方程式の解はx=4q、y=3pとなることを利用する。
(3)平面図形(辺の長さ)問題<3分>
△AODは3辺比がとなる直角三角形である。また、△ABDに三平方の定理をあてはめる。さらに、△ADE∽△ABDを利用する。
(4)確率問題<4分>
円周の6等分点を1~6とし、さいころをふって出た目と同じ数字の6等分点を結んだ図形が三角形にならない確率、直角三角形にならない確率を問題である。
(5)1次関数に関する問題<4分>
2つの直線上のそれぞれに1点を決めてできる三角形に関する問題である。
【大問2】関数(2次関数と1次関数)に関する問題
- 時間配分:11分
(1)直線の傾きを求める問題<1分>
A、Bはそれぞれのうえにあるので、それぞれの座標を求めて直線の式を出す。
(2)点の座標を求める問題<3分>
ABPQは長方形であることよりAB⊥BPであることより、直線の垂直条件(ABとBPの傾きの積=-1)とBを通る直線の式を求め、放物線との連立方程式を解く。
(3)辺の長さを求める問題<3分>
QHの長さは△APQの高さになっているので、ABPQの面積を求めその半分の面積からQHの長さを求める。
(4)回転体の体積を求める問題<4分>
QH⊥APであることより△APQをAPを軸として回転させると、△AQHと△PQHを回転させた円錐の体積の合計が求める立体の体積となる。
【大問3】空間図形(円錐と球)に関する問題
- 時間配分:11分
(1)球の半径を求める問題<3分>
球Aと円錐の接点をCとすると円錐母線⊥ACとなる。また、円錐の高さ⊥OCであることより、△AOCにおいて三平方の定理をあてはめる。
(2)体積と表面積を求める問題<4分>
円錐の頂点をP、底面の中心をQ、円錐の母線とQの半径の交点をDとすると△PCO∽△PDQとなる。相似の三角形における対応する辺の比例式から円錐の高さPQを求めることができる。また、△PDQにおいて三平方の定理をあてはめ円錐の母線を求めると側面積(母線×底面の半径×π)+底面積=円錐の表面積となる。
(3)球の半径を求める問題<4分>
球Bと円錐の母線との接点をRとすると△PBE∽△PDQとなるので、相似図形における対応する辺の長さの比例式から求める球Bの半径を求める。
【大問4】平面図形(正六角形)に関する問題
- 時間配分:11分
(1)辺の長さの比を求める問題<2分>
ABCDEFのそれぞれの対角線の交点をOとするとOはBEの中点である。また、MはBEの中点でもある。M=Oなので正六角形の中に正三角形を探し出す。さらに、AD∥GI∥FEであることより辺の比を利用して比例式を考える。
(2)三角形の面積を求める問題<3分>
ABLGはAG∥BL、AB∥GLであるので平行四辺形となる。GN=LN=GLは△GLNが正三角形であることよりABの辺の長さ(=10)となる。図形の中に正三角形(例えば、△BHLなど)を見つけ出す。さらに、△GHNと△GHIの面積比は底辺比になることを利用しよう。
(3)辺の長さの比を求める問題<3分>
H、IからGJにそれぞれ垂線HQ、IRを引くと△HKQ∽△IKRとなる。対応する辺の比を利用して比例式を考えること。また、図形の中に2つの三角形の面積比が互いに高さが等しい2つの三角形の底辺比が面積比になることを利用する。
(4)辺の長さの比を求める問題<3分>
前問より△MHIの面積が求められ、さらに△MHK:△MKI=21:16であることを利用する。高さの等しい三角形における面積比=底辺比を活用する。
【大問5】色玉を用いた確率に関する問題
- 時間配分:11分
袋の中に赤玉2個、白玉2個、青玉2個の計6個あり、1個取り出しそれを元に戻さず2個目を取る作業における確率を考える。2個同じ色が出た場合、または6個の色玉を全て取り出した場合に作業を終了することとする。
(1)計2個で作業が終了する確率を求める問題<2分>
同色の球をそれぞれ違うものとして識別することが重要である。例えば、赤1赤2、白1白2、青1青2と考える。
(2)計3個で作業が終了する確率を求める問題<3分>
計3個の色玉を取り出さす場合の数は、6×5×4=120通りである。この考え方も全ての色玉が異なるものであるという考え方で算出している。また、計3個で作業が終了する場合の数は8×3=24通りである。
(3)計4個で作業が終了する確率を求める問題<3分>
計4個の色玉を取り出さす場合の数は、6×5×4×3=360通りである。また、計4個で作業が終了する場合の数は16×3=48通りである。
(4)すべての色玉を取り出して作業が終了する確率を求める問題<3分>
余事象の考え方を利用しよう。つまり、(1)~(3)と同様に考えて計5個で作業が終了する確率を求め、それらの確率の合計を1から引くことによって求める確率が出る。
攻略のポイント
全体的には標準レベルの問題である。
事前の準備としては標準的な問題を徹底して繰り返し演習することである。特に、2次関数に関しては様々な出題パターンを想定して準備をして欲しい。
放物線(2次関数)に関する問題は、高校入試の数学においてメインテーマの一つである。
直線がからんでくると交点の座標は2次方程式の解を求める考え方が必要であるし、その際に中学校では絶対に学習しない(塾等では当然のように学習する)『解と係数の関係』の考え方を応用すると迅速かつ確実に正解へたどり着ける。
また、図形編では空間図形は必須と考えて欲しい。空間図形に平面図形で使われる各種の定理(中点連結定理、三平方の定理、特定三角形(三角定規)における三辺の比など)をしっかり当てはめられるかどうかが、合否の分かれ目といっても過言ではないであろう。
また、確率の問題にもしっかり対応できるようにしておくこと。確率で大事なのは『発想の豊かさ』である。さらに、将来的には今以上にその重要性が増すと思われる「資料の整理=統計」も用語の定義を含めてしっかり学習しておいてほしい。