栄東高等学校 入試対策
2019年度「栄東高等学校の数学」
攻略のための学習方法
計算力を安定させる
計算力については、2点を意識して、鍛えておこう。
1つめは、計算の正確さだ。計算の数字が複雑になっても、正答率が下がらないように、練習を積んでおこう。過去問を参考にすれば、どこまで複雑な計算ができればよいか、確認できる。
計算問題は独自の方法ではなく、必ず家庭教師の上手い方法をまねるように学習していこう。
2つめは、計算の持久力だ。50分という長時間、集中力を切らさずに、計算していく持久力が必要になってくる。模試の数学の成績が、上がったり下がったりして不安定な生徒は、注意したい。持久力は、きちんと時間を測って演習を繰り返すことで、身についていく。1問1問にミスがないかではなく、答案全体でミスを減らせるようになろう。
答案の完成度を上げる
本番で安定して得点できるように、答案の完成度を上げる訓練を積んでいこう。多くの志望者は、一問一問を解くことに満足しがちで、答案全体の完成度を意識するのは、受験の後半(中学3年の夏休みくらい)からだ。もっと早めに受験生として意識を持ち、答案の完成度を上げる技術を身につければ、有利になる。答案の完成度は、2つの面から確認しておきたい。
1つめは、設問ごとの時間配分だ。時間配分ができていない志望者は、過去問を解いてみると、後半に簡単な設問があっても、得点できていない。つまり、前半の設問に時間をかけすぎていて、後半の設問にまで、手をつけられていない状態だ。受験では、答案全体の得点が、評価される。したがって、答案全体の得点を上げるために、それぞれの設問を解くべきか、あるいは解かないべきか、判断力が重要になる。過去問の演習は、そのような判断力を鍛える良い教材になる。
2つめは、見直しの技術だ。まずは答案全体でどれくらい見直しが必要になるのか、目安の時間を決めよう。あらかじめ時間を決めておくと、本番で迷いが生まれにくい。そして、見直しが効率的にできるような工夫をしよう。計算式を再利用したり、図形やグラフを確認しやすいように、丁寧に準備しておこう。
栄東は、マークシート方式で解答していくので、答案用紙をすべて埋めてから、見直しをはじめては、間に合わないだろう。大問の途中でも、積極的に見直しをしていくべきだ。
例えば、【大問3】から【大問5】は、前の設問の数値を、後の設問でも利用している。もし前の設問で間違えが見つかったら、後の設問を次々に修正していかなければならない。時間を大幅に取られてしまう。
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2019年度「栄東高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は50分で、得点は100点満点だ。大問数は5問で、単元ごとに整理されている。
設問数は17問で、解答はマークシート方式となっている。解答の数字だけが求められるので、処理速度の速いの受験者が、有利な試験構成となっている。
※試験時間が余る設定になっています。見直しなどにお使おう。
【大問1】独立小問問題
- 時間配分:10分
(1)<式の計算>少数を分数にして除法を乗法にして指数と符号に気をつけること。
(2)<式の値>与式を因数分解して変形して代入する、または、そのまま代入する。どちらも計算して検算しよう。
(3)<面積>真横から見た図により相似を利用して上部の円の半径を求める。次に展開図を正確に描いて、円の面積や扇形の面積を求める。
(4)<整数>144と168の最大公約数がポールとポールの最大公約数となる。
(5)<面積>中心から接線に垂線を下ろし、1:2:√3の直角三角形を考える。三角形と扇形に分けて長方形から引く。
【大問2】確率-さいころ
- 時間配分:8分
- (1)点Gに止まるときは3の目が出たとき。よって1/6。
- (2)1回目の数が3以外で、2回目までに出た目の数の和が3または9になる場合だから5通り。よって5/36。
- (3)1回目の数が3以外で、2回目までに出た目の数の和が3、9にならなず、3回目までに出た目の数の和が3、9、15になる場合である。これらは25通りあり、25/216。
【大問3】平面図形-正方形
- 時間配分:10分
(1)<長さ>2/3×6×6=24、よって、正方形PQRSの1辺の長さは、√24=2√6。
(2)<三平方の定理>△QPCは直角二等辺三角形だから、PC=√2PQ=4√3となる。
△PBCは1:2:√3の直角三角形だから∠BPQ=60°-45°=15°となる。
(3)<特別な直角三角形>5点PBQRSは円に内接し、∠PCB=∠PSB=30°、∠PBH=∠PCS=45°を利用してBSの長さを求める。
5点PBQRSは円に内接し、∠PCB=∠PSB=30°、∠PBS=∠PCS=45°となる。点Pから線分BSに垂線を下ろしBSの長さを求める。
【大問4】関数と平面図形の融合問題
- 時間配分:10分
(1)<相似>直線ℓと円C2 の接点をD、X軸との交点をEとし、△OBE∽△PDEを利用する。
(2)<直線の式>直線ℓとY軸との交点をFとする。△OFEに三平方の定理を用いてOFの長さを揉めて傾きを求める。
(3)<面積>△OAC≡△OABより、△OACの面積を求め2倍する。AC=ABを利用してACを求める。
【大問5】空間図形-正四面体
- 時間配分:10分
<三平方の定理>
(1)2点C、Hを通る直線と辺ABとの交点を点Iとし、底面ABCにできる1:2:√3の直角三角形となる△AHIと△ACIでCHを求める。次に△OHCにて三平方の定理を用いる。
(2)<相似>正四面体OABCを3点O、I、Cを通る平面で切断した△OICを図に書いて中点連結定理と砂時計型の三角形の相似を利用する。
(3)<相似>点Pを通り面ABCに並行な平面と、3辺OA、OB、OCとの交点をD、E、Fとし、面DEFと線分AM、BMとの交点をG、Jとする。
三角錐O-DEFと正四面体OABCは相似、かつ、三角錐M-ABCと三角錐M-GJFは相似であることから相似比と体積比の関係から求める。
攻略のポイント
基本的な設問から始まって、ところどころに難しい設問が配置されている。満点を取ることも可能ではあるが、受験者の合否に影響を与えるのは、いかに失点をしないかという、答案全体の完成度になるだろう。
作業の速さ、計算の正確さ、答案全体の時間配分などを、過去問を利用して、あらかじめ訓練しておきたい。また、マークシートの特徴として、間違えてしまうと、連続して失点してしまう恐れがあるので、計画的に見直しをする必要がある。